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第238話 【BLACK EDGE 其の238 急カーブ】
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BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第238話
【BLACK EDGE 其の238 急カーブ】
猿に襲われたブラッド達だが、スカイが馬車の屋根に乗り猿達を次々と倒していく。
ブラッドは馬車を操作して、猿達から逃れようとするが、馬車は知らぬうちに猿によって誘導されていた。
「なに!?」
馬車の前に現れたのは壁だ。岩盤の壁がブラッド達の前に立ち塞がる。
そしてその崖を避けるように道は急カーブしていた。
馬車の速度を落としてももう間に合わない。それに猿達はまだ追ってきている。ここで速度を落とせば、囲まれて不利になる。
「フェア!! 手を貸せ!!」
ブラッドは馬車の中にいたフェアに叫ぶ。
「何をすれば良いの?」
ブラッドに近づいてきたフェアにブラッドは馬の手綱を渡した。
「こいつを握ってろ。良いか? 決して離すんじゃねぇぞ」
フェアに手綱を渡したブラッドは馬車の中に入ると、スカイに叫ぶ。
「スカイ、俺が合図したらどこでも良いから馬車にしがみつけ!」
「了解です!!」
剣で猿と戦いながらスカイは答えた。
馬車は壁に向かって速度を落とさずに近づいていく。
このままでは曲がりきれない。
馬はカーブしていくが、馬車の荷台は大きく円を描いて曲がる。馬車の側面が壁に当たりそうになった時、
「捕まれ!!」
ブラッドは叫ぶと、馬車の右側の壁に体当たりをした。それは壁のある方とは反対側だ。
ブラッドが体当たりをすると、馬車は傾いて左の車輪が浮く。
傾いた馬車の左の車輪は壁に当たると、馬車は斜めの状態のまま走り出した。
「よっしゃ!」
ブラッドはフェアと交代して手綱を持つ。そしてカーブを曲がり切ると、すぐに体制を立て直し、元の状態に戻した。
屋根の上では驚いたスカイが屋根にしがみついた固まっていたが、馬車が元の状態に戻ると大笑いする。
そして楽しそうにブラッドに叫ぶ。
「今見ましたか! 壁を走りました!! 走りましたよ!!」
「ああ、分かってるよ!! 俺だって初めてだ」
スカイが笑い喜んでいる中でも、猿達は奇襲を仕掛けてくる。だが、スカイは笑いながらもそれを一振りで、その猿達を一掃する。
ブラッドは馬車を操作するが、さっきよりも速度が出せない。それはカーブで無茶な操作をしたため、車輪が壊れてしまったのだ。
このままでは猿達に追いつかれてしまう。崖を越えた馬車はジャングルの中を突き進む。
そんな中、巨大な何かが近づいてくる音がした。
「っ!?」
そしてそれはブラッド達の馬車のすぐ真横に現れた。巨大な猪だ。馬車と比べてもさほど大きさは変わらないほど巨大な猪。背中には猿を乗せており、猿に操られているようだ。そんな猪が馬車に突進してきたのだ。
「ぐっ…………」
馬車は大破し、馬車から放り出される三人。ジャングルを転がる。
「……大丈夫か?」
立ち上がったブラッドが二人に聞く。
「ま、まぁ……」
「大丈夫で……す」
スカイとフェアもすぐに立ち上がった。しかし、馬車は壊されてしまったし、周りには猿の群れ。前方には巨大な猪が立ち塞がっている。
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第238話
【BLACK EDGE 其の238 急カーブ】
猿に襲われたブラッド達だが、スカイが馬車の屋根に乗り猿達を次々と倒していく。
ブラッドは馬車を操作して、猿達から逃れようとするが、馬車は知らぬうちに猿によって誘導されていた。
「なに!?」
馬車の前に現れたのは壁だ。岩盤の壁がブラッド達の前に立ち塞がる。
そしてその崖を避けるように道は急カーブしていた。
馬車の速度を落としてももう間に合わない。それに猿達はまだ追ってきている。ここで速度を落とせば、囲まれて不利になる。
「フェア!! 手を貸せ!!」
ブラッドは馬車の中にいたフェアに叫ぶ。
「何をすれば良いの?」
ブラッドに近づいてきたフェアにブラッドは馬の手綱を渡した。
「こいつを握ってろ。良いか? 決して離すんじゃねぇぞ」
フェアに手綱を渡したブラッドは馬車の中に入ると、スカイに叫ぶ。
「スカイ、俺が合図したらどこでも良いから馬車にしがみつけ!」
「了解です!!」
剣で猿と戦いながらスカイは答えた。
馬車は壁に向かって速度を落とさずに近づいていく。
このままでは曲がりきれない。
馬はカーブしていくが、馬車の荷台は大きく円を描いて曲がる。馬車の側面が壁に当たりそうになった時、
「捕まれ!!」
ブラッドは叫ぶと、馬車の右側の壁に体当たりをした。それは壁のある方とは反対側だ。
ブラッドが体当たりをすると、馬車は傾いて左の車輪が浮く。
傾いた馬車の左の車輪は壁に当たると、馬車は斜めの状態のまま走り出した。
「よっしゃ!」
ブラッドはフェアと交代して手綱を持つ。そしてカーブを曲がり切ると、すぐに体制を立て直し、元の状態に戻した。
屋根の上では驚いたスカイが屋根にしがみついた固まっていたが、馬車が元の状態に戻ると大笑いする。
そして楽しそうにブラッドに叫ぶ。
「今見ましたか! 壁を走りました!! 走りましたよ!!」
「ああ、分かってるよ!! 俺だって初めてだ」
スカイが笑い喜んでいる中でも、猿達は奇襲を仕掛けてくる。だが、スカイは笑いながらもそれを一振りで、その猿達を一掃する。
ブラッドは馬車を操作するが、さっきよりも速度が出せない。それはカーブで無茶な操作をしたため、車輪が壊れてしまったのだ。
このままでは猿達に追いつかれてしまう。崖を越えた馬車はジャングルの中を突き進む。
そんな中、巨大な何かが近づいてくる音がした。
「っ!?」
そしてそれはブラッド達の馬車のすぐ真横に現れた。巨大な猪だ。馬車と比べてもさほど大きさは変わらないほど巨大な猪。背中には猿を乗せており、猿に操られているようだ。そんな猪が馬車に突進してきたのだ。
「ぐっ…………」
馬車は大破し、馬車から放り出される三人。ジャングルを転がる。
「……大丈夫か?」
立ち上がったブラッドが二人に聞く。
「ま、まぁ……」
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スカイとフェアもすぐに立ち上がった。しかし、馬車は壊されてしまったし、周りには猿の群れ。前方には巨大な猪が立ち塞がっている。
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