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第343話 【BLACK EDGE 其の343 恐れ】
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BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第343話
【BLACK EDGE 其の343 恐れ】
「お主、龍を恐れているのか?」
技を躊躇したことに気づいたレトバは、ブラッドに聞いた。
ブラッドはそれに答えることはしない。その様子を見ていたレトバは槍を頭の上に上げて、両手で持つと頭上で回転させ始めた。
「その恐れは大事なことじゃ、…………じゃが、恐れすぎることもこの力のコントロールでは乱れる元になる」
会場の外から水が集まってくる。その技はギアム戦でも見せた技だ。
会場の外から集まってきた水は柱となる。五つの柱がレトバの周りで待機する。
レトバは槍の回転を止めて、槍を横にして両手で持った。
すると、水の柱となっていた水は一箇所に集まる。そして丸い水の球体となった。
その水の大きさは舞台と同じくらい大きい。
そんな水の塊を後ろに浮かせて、レトバはブラッドに話しかける。
「龍の適応者であるお主が龍の力をどこまで引き出せているか、知っておるか?」
「…………そんなの考えたこともねぇよ」
レトバは槍を片手で持って動かす。すると、槍の動きに連動して水の塊から手のひらサイズの水が浮き出してきた。
そしてその水はレトバの槍を持っていない手のひらを浮遊する。
「龍の本来の力はこの水の塊の三倍……そしてお前が引き出している龍の力は、この手のひらサイズの水の塊にも満たない」
「じゃあ、あんたはもっと引き出せていると?」
「まぁ、な。じゃが、わしでも引き出せるのはお主の五倍程度じゃがな」
レトバはそう言った後、手のひらの上で浮遊させていた水を水の塊に元に戻す。
「これだけ強大な力だ。不用意に使えば、世界の基盤すら破壊しかねない。だからこそ、恐れる気持ちは大事じゃ」
レトバはそう言うと槍を地面に突き刺した。
「じゃが、龍は意志を持っている。恐れは精神を蝕む。精神が弱まれば龍は精神を乗っ取り、肉体を支配する」
精神が弱まれば、龍は精神を乗っ取る。それは暴走状態のことを言っているのだろうか。
レトバが槍を地面に刺したのと連動するように、レトバの後ろにある水の塊は形を変える。
一本の長い柱になったと思ったら、ウネウネと動き、そしてその形は一匹の龍の形へと変化した。
「龍にはそれぞれ特性がある。わしの中にいる水龍は万物を作った龍、…………お主はまだ龍の伝説を龍から聞かされていないようじゃな、それは龍への対話を拒否しているのか、それとも龍がまだお主を認めておらぬのか」
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第343話
【BLACK EDGE 其の343 恐れ】
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会場の外から集まってきた水は柱となる。五つの柱がレトバの周りで待機する。
レトバは槍の回転を止めて、槍を横にして両手で持った。
すると、水の柱となっていた水は一箇所に集まる。そして丸い水の球体となった。
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そんな水の塊を後ろに浮かせて、レトバはブラッドに話しかける。
「龍の適応者であるお主が龍の力をどこまで引き出せているか、知っておるか?」
「…………そんなの考えたこともねぇよ」
レトバは槍を片手で持って動かす。すると、槍の動きに連動して水の塊から手のひらサイズの水が浮き出してきた。
そしてその水はレトバの槍を持っていない手のひらを浮遊する。
「龍の本来の力はこの水の塊の三倍……そしてお前が引き出している龍の力は、この手のひらサイズの水の塊にも満たない」
「じゃあ、あんたはもっと引き出せていると?」
「まぁ、な。じゃが、わしでも引き出せるのはお主の五倍程度じゃがな」
レトバはそう言った後、手のひらの上で浮遊させていた水を水の塊に元に戻す。
「これだけ強大な力だ。不用意に使えば、世界の基盤すら破壊しかねない。だからこそ、恐れる気持ちは大事じゃ」
レトバはそう言うと槍を地面に突き刺した。
「じゃが、龍は意志を持っている。恐れは精神を蝕む。精神が弱まれば龍は精神を乗っ取り、肉体を支配する」
精神が弱まれば、龍は精神を乗っ取る。それは暴走状態のことを言っているのだろうか。
レトバが槍を地面に刺したのと連動するように、レトバの後ろにある水の塊は形を変える。
一本の長い柱になったと思ったら、ウネウネと動き、そしてその形は一匹の龍の形へと変化した。
「龍にはそれぞれ特性がある。わしの中にいる水龍は万物を作った龍、…………お主はまだ龍の伝説を龍から聞かされていないようじゃな、それは龍への対話を拒否しているのか、それとも龍がまだお主を認めておらぬのか」
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