ギルドでNo.1の冒険者パーティに見習いとして加入することになった俺は、最強の冒険者として教育される。

ピラフドリア

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第25話 『戦闘!! ゴゴリン』

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ギルドでNo.1の冒険者パーティに見習いとして加入することになった俺は、最強の冒険者として教育される。



著者:ピラフドリア



第25話
『戦闘!! ゴゴリン』



「エイコイ。ゴゴリンはなんでレジーヌを連れて行ったんだ?」



 俺は目的地を目指して走りながら、エイコイに尋ねる。



「そうだな~。ゴゴリンは油断してる奴を狙う、きっとレジーヌは油断してたんだな」



「油断してたな~」



 レジーヌらしいと感じながらも、ゴゴリンの住処だと予想している場所を目指す。










 その頃、ゴゴリンに連れ去られたレジーヌは、縄に縛られた状態でゴゴリン達の前に移動させられていた。



「な、何よ、その樽は……何をする気なのよ!?」



 拘束されて動けない状態でレジーヌは叫ぶ。レジーヌの前には人間がすっぽりハマるサイズの樽が用意されている。



 縄で縛っていれば動けないと判断されたのか、そのまま樽の中に押し込まれる。樽に全身が入り、顔だけが外に出た状態でゴゴリンは洞窟の中からあるものを持ってきた。



「え……何よそれ、何する気なのよ!?」



 ゴゴリンの手にあるのはすり潰された肉片。パッと見るでは何の肉だかわからなかったが、警戒していたレジーヌは気づいてしまった。
 肉の塊の中にミミズの顔の部分のようなものが見える。そこから推測したレジーヌの予測は……。



 ──虫の肉片!? ──








 ゴゴリンに囚われたことがある村人A氏はこう語る。



「人間を捕らえたゴゴリンは人間を長く保管するため、何をしたか……。…………飯を与えてきたんです。捕まえた虫の死骸、捕獲時に死亡した人間、動物の破片……。そんなの食いたくはなかったですよ……でもね、こう、無理やり……押し込んでくるんです……」







 ゴゴリンは肉片を掬い取ると、レジーヌの口へと運ぶ。



「え……いや……」



 レジーヌは口をへの字にして閉じる。そうすることで肉片を拒んだ。しかし、ゴゴリンは残った手でレジーヌの口を無理やり開かせようとしてきた。



 力負けしてレジーヌの口が少しずつ開いていく。レジーヌの口に肉片が近づいた時。



「レジーヌゥゥゥ!!!!」







 俺とエイコイは叫び声を上げ、剣を取った。



「レジーヌ、助けに来たぞ!!」



 俺とエイコイが現れると、樽の中に入れられたレジーヌが涙目になりながら声を上げる。



「ユウゥゥゥ、エイコォォォイ!!!!」



 レジーヌは二人に助けを求めて声を出した。すると、二人に気づいたゴゴリン達が一斉に俺たちの方へ顔を向ける。



「エイコイ、大体何匹くらいだ?」



「そうだね、20匹ちょいかな、一人10匹以上倒す必要があるね」



「10匹か~、さっきより多いじゃん……。レジーヌ、ちょっと待ってろ、さっさと片付けてやる!!」



 俺とエイコイは武器を手にして、ゴゴリンへと突っ込んだ。
 ゴゴリン達も武器を手にして応戦してくる。



 人数的にはこちらが不利だ。しかし、俺とエイコイはゴゴリンを次々と倒していく。
 樽に入れられたレジーヌは、次々とモンスターを倒す俺達の姿を見て口を大きく開ける。



「あの二人……ゴゴリンをあんなに簡単に……」



 俺は盾でゴゴリンの攻撃を防ぎ、カウンターで倒す。エイコイはゴゴリンに攻撃の隙を与えず、素早く倒す。そうしていくことで次々と討伐を進める。



 なぜ、ここまで早くモンスターを倒すことができるか。
 それは先ほどの状況が違うことが理由だった。



 さっきはこちらが奇襲を受けた。今回はこちらが奇襲をする版だ。



 ゴゴリンは武器を使えて、さらにはチームワークもある。しかし、身体能力自体は高いモンスターではない。
 ゴゴリンの強みである武器の仕様とチームワークを使えなくしてしまえば、こちらが有利に戦える。



 今回は奇襲という形で戦闘になったため、油断していたゴゴリンは、チームワークを発揮することができず、さらには武器を構えることすら間に合わずにいた。
 それにより俺達はゴゴリンを倒していたのだ。



 俺達の攻撃でゴゴリンが倒れていき、すでに殆どが消滅した。残り数匹となったところで、



「待て、相棒!!」



 エイコイが声を上げて俺を止めた。



「どうした、エイコイ」



「奥にデッカいのがいるぞ」



「なっ!?」



 エイコイがそう言い、奥を見るとそれが姿を現した。他のゴゴリンの何倍もある巨体を持つ、ゴゴリンの親玉。
 体格は大人の人間くらいあるだろう、手には丸太を持っており、その巨大なゴゴリンは残っていたゴゴリンを丸太で叩き潰した。



「仲間を潰した!?」



 俺がその光景に驚く中、エイコイは解説をする。



「違う。あれは……」



 丸太で潰されたゴゴリンは気体状になり、空中を飛来する。巨大なゴゴリンはモンスターから発生した魔素を口を大きく開けて吸い込んだ。
 魔素を吸い込むと、ゴゴリンの身体はさらに大きく成長する。



 筋肉が肥大化して、パワーアップしたゴゴリンは俺達を睨んで雄叫びを上げた。



「パワーアップした!?」



「モンスターは魔力で成長するんだ。仲間を吸収することで進化した、あれはキングゴゴリンだ!!」



 キングゴゴリンと呼ばれたそれは、丸太を振り回して威嚇してくる。
 俺は盾と剣を構え直すと、



「どちらにしろ。こいつを倒せば片付くよな。エイコイ、協力して倒すぞ」



「おう、任せろ、相棒!!」



 俺とエイコイは左右に分かれて、キングゴゴリンに攻撃を始める。
 左右に分かれたことでどっちを攻撃するか、キングゴゴリンが迷っている隙に、左右から同時に剣で切りつける。



「まずは一撃目だ!!」



 俺達の剣がキングゴゴリンを切り付けると、キングゴゴリンは叫び声を上げて痛がる。
 モンスターとはいえ、ダメージを受ければ怯む。



 怯んで尻餅をついたキングゴゴリンに左右から更なる追撃で剣を振り下ろした。今度もキングゴゴリンにダメージを与えることができ、このまま順調に行けば簡単に倒せそうだ。
 しかし、キングゴゴリンもそう簡単にはやられない。



 キングゴゴリンは尻餅をついた状態から、手足をバタバタさせて暴れ出す。適当に暴れているだけだが、巨大な肉体を使い、全身で暴れているため、巻き込まれればぺっちゃんこだ。
 俺達は一旦キングゴゴリンから離れて距離を取った。



 俺達が離れたことで、キングゴゴリンは立て直しに成功する。丸太を杖のように使い、バランスを保ちながら立ち上がる。
 そして立ち上がったキングゴゴリンはダメージを感じさせない動きで、丸太を振り回し始めた。



「あのデカいのもしかして結構強い!?」



 俺は元気なキングゴゴリンの姿を一歩退いてしまう。そんな俺をエイコイは隣で見て、



「大丈夫だ。キングゴゴリンにはしっかりダメージが入ってる。耐久がゴゴリンに比べて高いだけだ、僕達でもどうにかなるよ!」



「エイコイがそう言うなら……。よし、今度こそ倒してやろう!」



「ああ、その調子だよ、相棒!!」



 俺とエイコイが気合いを入れ直すと同時に、キングゴゴリンも動き出す。丸太を振り回しながら、俺達に向かって走り出した。



「来るぞ!!」



 俺は盾を前方に構えて防ぐ構えになる。



「エイコイ。ここは俺がガードする。お前が反撃してくれ!!」



「了解!!」



 俺は振り下ろされる丸太を盾で防いでみせる。重い丸太を強い力で押しつけられる。
 鍛えてなければ潰されてしまう威力だ。しかし、



「このくらい……普段の修行に比べてばァァァァァ!!!!」



 俺は盾で振り下ろされた丸太を受け止める。そうして俺が丸太を止めている隙に、エイコイはキングゴゴリンの背後に回り込んだ。
 背後に回り込んだエイコイが剣を振り下ろし、キングゴゴリンを切り付ける。



 背中に十字の傷が出来上がるが、まだキングゴゴリンは倒れない。身体の向きを変えて振り返ると、今度はエイコイを狙い始めた。
 丸太を振り回して、エイコイを叩き潰そうとするが、エイコイは素早く移動して丸太を簡単に避けてみせる。



 俺はエイコイがキングゴゴリンを惹きつけている隙に、キングゴゴリンを背後から剣で切りつける。
 背中にあった十字の傷に、更に斜めに印が出来上がる。



 流石のキングゴゴリンもダメージがデカかったのか。膝をついて座り込む。



「よし後ひと押しだな」



 俺はトドメを刺そうと剣を強く握りしめる。しかし、エイコイがそれを止めた。



「待て、ユウ!!」



「どうした、エイコイ!!」



「キングゴゴリンの様子が変だ」



 エイコイに言われ、俺もキングゴゴリンを見ると、ダメージから息を荒げていると思われていたキングゴゴリンだが、様子が違う。
 体色が赤く変化して、全身の筋肉の量が増し始める。肉体が変化し始めていた。



「な、何が起きてるんだ!?」



「変異……だ」



「変異?」



「とにかく離れるぞ。ここにいたらまずい!!」



 エイコイはそう言って樽に入れられたレジーヌの元へ向かう。



「なんなんだよ、一体……」



 俺は自体が理解できないが、とりあえずはキングゴゴリンを放置してレジーヌの元へ向かった。



「遅いわよ!! 早く解きなさい!!」



 俺とエイコイは二人でレジーヌを引っ張り、樽からレジーヌを出そうとするが、簡単には抜けない。



「全然抜けないィィィ」



 そうこうしているうちに、キングゴゴリンの全身が赤くなり、変異が完了した。キングゴゴリンの変化に気づいたエイコイは、樽ごとレジーヌを持ち上げるように言い出す。



「とにかく一旦離れるぞ。ここにいたらまずい!!」



「お、おう」



 俺とエイコイは樽ごとレジーヌを抱える。そしてキングゴゴリンから離れるように走り出した。












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