魔術師名簿と資料集

週刊 なかのや

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【九 志帆】についての記述

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人名:九 志帆(いちじく しほ)
性別:女性
年齢:25歳
血液型:O型
誕生日:12月11日
身長:160.1cm
体重:54kg
特技:放火(ガソリンスタンドを2件爆破、その他18件を燃やしている)
所属:× Rogue ×
見た目: 
赤みがかった茶髪で、肩につくかつかないかのラフなボブカット。
毛先は焼け焦げたようにギザギザになっている。たまに無造作にハサミで切るので整っていない。
肌には炎に触れた跡が腕や指先に無数にある。新しい火傷跡と古い火傷跡が混じっており、本人は全く気にしていない。
基本的に火の粉が飛んでも燃えにくい革素材のジャケットを羽織っている。
中は黒のTシャツ(GU)。
下はダメージジーンズにブーツ(GU)。
家族:無し
年収:不明
手持ち現金:1000万程カバンに入れて持ち歩いている
貯金:不明
持ち物:ガソリン、マッチ、ターボライター、札束
性格: 
何よりも炎を愛し、火が燃え広がる様子を見ているときが最高に幸せ。爆発はその延長線上の究極の美学。火にまつわるすべてが彼女にとっての芸術であり、炎の形や煙の広がり方に独自の美意識を持っている。
火傷を気にしない。
普通の人間なら悲鳴を上げるレベルの火傷でも、彼女にとっては「火に触れた証」として誇らしいもの。
むしろ自分が火を感じられなくなる方が怖い。
火をつけるために金を使う。
燃えるものを手に入れるためなら札束を惜しげもなく使うが、それ以外のことにはあまり興味がない。1000万を持ち歩いているのも、
「燃やしたくなったらいつでも燃やせるように」という理由。
何かを所有することに一切興味がなく、手に入れたものも「いずれ燃やすもの」としか思っていない。
背景:
九 志帆が炎に魅せられたのは、生まれたときからだった。母の腕に抱かれながら、目の前で揺らめく光を見た。オレンジ色の小さな炎がゆらゆらと波打ち、闇を払うように輝く。その温もりに、まだ言葉を知らない幼い心は強く惹かれた。それが何なのかも分からないまま、ただ目を離せずにいた。

七歳の冬の夜、彼女の世界は燃えた。目を覚ますと、部屋の隅が赤く染まっていた。ぱちぱちと小さな音を立て、黒い煙が天井へと昇っていく。その光景は、あまりにも美しかった。

父と母が叫んでいる。逃げろと、助けを呼べと、必死に声を張り上げる。けれど、彼女は立ち上がらなかった。壁に映る炎の影が揺らぎ、布団の端が焦げる匂いがした。それでも、体が動かないのではない。ただ、目をそらすことができなかったのだ。

「……きれい。」

煙が喉を焦がし、熱が肌を刺す。熱さも、痛みも、どうでもよかった。崩れ落ちる天井、軋む音、弾けるガラス。炎がすべてを飲み込む様を、ただ見つめ続けていた。燃え盛る家の中で、彼女はただひとり、炎に見惚れていた。

生き残ったのは、彼女だけだった。焼け跡に座り込んで、ただぼんやりと空を見上げていた。消防士に抱きかかえられながら、彼女は小さく呟いた。「また、見たいな」と。誰もその言葉の意味を理解しなかった。

施設に預けられた彼女は、毎晩ロウソクの火を見つめた。小さく、揺らめく炎。けれど、それでは足りなかった。もっと大きく、もっと熱く、もっと激しく。あの夜のように、すべてを焼き尽くすほどの炎が欲しかった。そして十歳のとき、施設の納屋が燃えた。原因不明の火事だったが、彼女はその夜、炎の前で静かに微笑んでいた。

火が好きだった。燃える音が好きだった。黒煙が空へと昇る様が好きだった。熱で空気が揺らぐ瞬間が好きだった。火傷?そんなものはどうでもいい。皮膚が焼ける感覚すら、炎の一部に感じられた。火がすべてを焼くたびに、彼女の心は満たされた。

十六歳のある日、彼女は新たな美しさに出会った。

ガソリンの匂い。床に広がる透明な液体。その上に放たれた火。次の瞬間、炎は一瞬で爆ぜた。轟音が空気を裂き、衝撃が体を押し、赤々とした炎が空へと昇る。爆風があたりの窓を吹き飛ばし、熱波が肌を焼いた。

爆発だった。炎の究極の形。すべてを一瞬で吹き飛ばす、絶対的な力。その瞬間、彼女は悟った。炎は、ただ燃えるだけでは足りない。弾け、爆ぜ、空を焦がすほどの力を持つべきなのだ、と。

放火は、ただの遊びではなくなった。空き家、廃ビル、車、ゴミ捨て場。次々と燃やし、爆破し、彼女はその美しさに酔いしれた。火の粉が舞い、黒煙が渦を巻くたびに、彼女は生きている実感を得た。

ある日、彼女の前に2人の女が現れた。美人なのにオイル塗れの作業着を着た女と、頭をアフロに爆発させたオーバーオールを着ている少女だ。

「私達と好きな物を好きなだけ追求しないか?」

その言葉に、彼女は火以外で初めて興味を抱いた。
ただ、「× Rogue ×」と書かれたカードを渡してきた。組織の名らしい。そんなものはどうでもよかった。彼らが何をしていようが、何を目的にしていようが、彼女には関係がない。

「燃やしていいなら、何でもいいよ。」
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