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A-12-s ストーカー女を諦めさせたい
しおりを挟む「遅刻だね」
そんな言葉を僕の横で併走しながら言い放つのは幼なじみでも昔ながらの友人でもない、僕を何故か愛して止まないストーカーさんだ。僕は今から大学に行く途中である。この変態も一緒だ。
「なんでお前までいるんだよ!」
「君と一緒にいたいからだね」
「迷惑なだけだ!帰れよ!」
「断るね。君の為なら私はなんだってするさ」
「お前今日講義無いだろ!何しに行くんだよ!」
「君と1秒も離れずに居たいからさ」
「意味分かんねえよ!お前みたいな美女に好かれる程、僕はカッコよくないだろ?」
「君がそう思ってるだけだよ。君はとても魅力的だ。だから私が君の事を好きになるのは当然の事さ」
「うっせえよ!僕はお前なんか嫌いだって言ってんだろうが!」
「ツンデレだね。可愛いよ」
話が通じていない気がする。
そんな風に言い合いながら走るのも終わりを迎える。そう、もうすぐ校門なのだ。
校門前には僕の通う大学の先生達がずらりと並んでいる。その中に我が敬愛すべき学長もいる。その前には『新入生歓迎会』と書かれた看板がある。それを前にして僕は足を止める。すると隣にいた変態女も一緒に止まる。
「どうしたんだい?」
「……いや、ちょっとな」
ここで話すのは憚れる内容だった為誤魔化す様に頬を掻く。
「ああ、そういう事か」
察してくれたのか、彼女はそれ以上聞いてくる事はしなかった。こういう所は本当にありがたいと思う。まあ、それが理由で彼女を好きになった訳じゃないけど。
「おーい!遅いぞ!」
校門の所に立っていた教師らしき男が僕達に声をかけてくる。どうやら遅刻してしまった様だ。
「すいません!」
慌てて謝りつつ、校門を通り抜ける。その際チラリと先程の男を見る。男は黒髪短髪をワックスで逆立てており、目つきが悪い。スーツの上着を脱いでおり、ネクタイを緩めている。所謂チャラ男の部類に入るだろう。
だが、それだけではない。
(あいつ……)
男は鋭い眼光をこちらに向けてきていたのだ。まるで品定めをする様な視線に寒気すら覚えた。
「どうかしたかい?随分顔色が悪く見えるよ?」
「なんでもない」
彼女の言葉に首を横に振る。
「急がないと君、講義に間に合わなくなるぞ☆」
「お前は間に合わない以前に講義無いけどな」
そういうと彼女は胸を張って言うのだ。
「再来年の旦那様に遅刻はさせません」その言葉を聞いて僕は頭を抱えるのだった。
…………
荒い息遣いで教室に入ると先生が此方を見てニッコリと笑った。
「遅刻ギリギリだけど間に合ったね。佐籐君は東雲さんが一緒にいるようになってから遅刻しなくなったね。ギリギリなんだけど」
「は、はぃ…(先生…違うんです東雲さんはストーカーして僕に着いてきてるだけなんです…)」
「佐藤くんは私の旦那様なので」
「ちょっ!?」
「あぁ~はいはい。じゃあ席に座ってくださいね~」
先生も東雲さんの言葉を真に受けて納得したように手を叩いて僕の前の空いている席を指差すので僕は慌てて立ち上がって抗議しようとしたら東雲さんが素早く僕の隣の席に座った。
「はぁ…お前もう単位取ってんのに意味わかんねぇ。」
「先生公認みたいだし、隣には君が笑って座ってる。はぁ、今日もなんて幸せなんだろうか」
「幸せを噛み締めてるとこ悪いけど笑ってないからな」「ふふ、照れてるのかな?」
「うるせぇよ!」
「はいはい。そこイチャイチャしない!授業始めるよー」
「え?イチャイチャなんかしてませんよ?ねぇ?」
「…………」
「佐藤くん黙っちゃった。」そんなこんなでいつも通りの日常が始まる。
授業中東雲さんの方を見ると彼女は頬杖ついて窓の外を見ているようだった。
その姿はとても美しく見惚れてしまうほどだ。
「~で、あるからして…・」
「……」
「……」
気がつくと僕は毎日の中で彼女を見ている時間が多くなった気がする。そして今だって彼女がどんな表情をしているのか気になって横顔を眺めていた。
すると視線を感じたのか急に彼女がこちらを見た。
目が合うとニコッと微笑んでくるので思わず目を逸らす。
少しして、「授業つまんない」と小声で僕の耳元で囁いた。
「そりゃ同じ講義受けたらそうなるだろ」
僕も勿論小声だ。
「でも君がいるから楽しいんだよ?」
東雲は微笑んだ。僕は今この瞬間、耳が赤くなっている東雲が照れていることに気付いてしまう。
「ッ……狡い顔だ東雲……」
そう言われて嬉しくなってまた彼女を見る。
その日は一日中彼女の笑顔が頭から離れなかった。
…………
「はぁ…佐藤くん今日もカッコよかったなぁ…結婚したら毎日愛し合えるのに。今は隣で我慢しようか。」
東雲の部屋は佐藤の部屋の両隣なのだ。
右隣の部屋は仕事用と左隣は生活用だ。
勿論部屋の壁には彼を常に見れるようにカメラが埋め込まれている。そう、東雲はストーカーである。
そしてこの部屋には隠しカメラの他に盗聴器もあるのだ。
「時間的にシャワーかな?一応、一応ね。佐藤君に何かあったら大変だから仕方ないのさ。」
風呂のカメラをONにすると曇ってよく見えない。空かさず曇止めをONにしてティッシュを構える。
「♪~~」
「ぐっ…っっっ……有難う御座いますぅぅ」
スマホから音楽を流しながらシャワーを浴びる彼。濡れた髪から頬に水滴が垂れ、視線を下に移すと割れた腹筋と…
「巨…ッッ////」
鼻血を出しながら倒れ込む。
「私も濡れてしまうじゃないか///」
急いで録画ボタンを押す。
「何という神回……保存、保存。」
その後彼女の鼻血は止まらず1日気絶していたらしい。
翌日彼女はいつもより2時間早く起きた。理由は勿論佐藤を起こす為である。
昨日の彼の姿を思い出しニヤつきを抑えられない顔のまま扉を開ける。
「おはようございます!佐藤さん!」
「おいなんで合鍵作ってんだよ!」
「えへへ……」
「いや褒めてねぇよ!?」
佐藤はいつも通り朝食を作り始めた。
「もし良ければ私が作ろうか?」
「大丈夫だ、もうすぐ出来るから待っててくれ。」
「そうか、面目無い……因みに私の分も…」
「あるわけねぇだろうが!!」
「そんなぁ……私悲しい。泣いてしまう……」
佐藤は料理が得意なので基本自分の事は自分でやるのだが、どうしても時間が取れない時などは東雲に頼んで手伝わせていた。しかし何故か毎回邪魔してくるのだ。
「嘘だ。はい、出来たぞ。冷める前に食ってくれ。」
「あ、いいのか?……。頂きます。」
今日のメニューはパンケーキだった。
「うん、美味しい!流石私の旦那だ!」
「そりゃどうも。いや待て、いつ僕がお前の旦那になったんだ??」
「結婚を前提にお付き合いしているではないか。」
「してない!!勝手に付き合うな!」「じゃあお友達からで良いから結婚しよう。」
「結局そこに戻るのかよ!!」
「私は本気だよ。」
「尚更タチが悪いわ!!」
朝っぱらからうるさい2人である。
「そうか、今日は土曜日か。おい、お前今日休みだぞ。何しにきた?」
「ふむ、では早速デートでもするか。」
「嫌だね。僕はバイトの休日出勤なんだ。お前と遊んでいる暇は無い。」
「なら私も一緒に行く。」
「駄目だ。仕事場には一般人は立ち入り禁止なんだよ。」
「大丈夫、客に変装するから。」
「バレたらクビになるから絶対辞めろよ!?」
「……分かった。我慢しよう。その代わり今度デートしてくれないか?」
「拒否する。」
「即答か!?」
「当たり前だ。大体お前と居ると疲れるからな。」
「酷い……グスッグスッ……」
「ぐっ……狡いぞ、東雲!」
「だってぇ……グスッ…」
「はぁ、仕方ない…」
「一緒に行ってもいいのか?」
「それはダメだが」
と言って佐藤の手が東雲の頭を撫でる。
「え、?」
「僕は仕事で忙しく、このままバイトに行って帰ってくれば家の事は何も出来ないかもしれないなぁ。帰って来て温かいご飯が待っていて、部屋が綺麗になっていたら僕はどれだけ幸せなんだろうなあ~~(棒)」
佐藤は溜息を吐く。
「私に任せたまえ!!」
この時の東雲の顔は輝いていたことだろう。
「ん、宜しく頼む。」
「任せてくれたまえ!!」
こうして佐藤は出かける事にした。
時刻は昼過ぎ、佐藤は休憩室にてスマホを弄っていた。すると店長が話しかけてくる。
「佐藤君、悪いんだけど今日予定とかあったりするかい?」
「いえ、特にありませんけど……どうかしました?」
「いや、今日から新しいアルバイトの子が働くことになってね」
「へぇ~そうなんですね。どんな子ですか?」
「まだ高校生の子なんだけど……」
「え?高校生!?」
「まぁそうなるよね……」
「あ、すいません。つい驚いてしまって」
「いや大丈夫だよ。とりあえずその子に色々と教えてあげてほしいんだ」
「わかりました。ところでその子はいつから来るんですか?」
「確か1時頃って言ってたよ」
「そうなんですね。じゃあその時間になったら来ますね」1時になり、佐藤はその時間になると同時に休憩室を出た。そしてレジにいると、店の前にその少女が現れた。
「こんにちわー!」
そう元気よく挨拶する彼女は、どこかで見たことがあるような顔をしていた。しかしどこだったか思い出せない。
(う~ん……)しばらく悩んでいると、彼女がまた声をかけてきた。
「あのぉ~」
「あ!ごめんなさい。少し考え事をしていまして」
「いえいえ大丈夫ですよ」
「それであなたは……」
「私は今日からここで働かせてもらうことになりました、田中森 日奈です!よろしくお願いします!!」
「え!?もしかして日奈ちゃん!?」
「はい!そうですよ!!お久しぶりですね佐藤さん!!」
「本当に久しぶりだねぇ。最後に会ったのが中学2年くらいのときだから、もう6年ぶりくらいかな?」「そうかもしれませんね」
「まさかこんな所で会うなんて思わなかったよ」
「私も同じ気持ちですよ。でも会えて嬉しいです!!」
「僕もだよ。これから一緒に頑張ろうね」
「はい!!!」
2人はそれからバイト中ずっと話をしていた。そんな様子を見ていた店長はホッとした表情を浮かべながら仕事に戻っていった。
その後、日奈ちゃんはとてもテキパキ動いてくれて、すぐに仕事を覚えてくれた。しかもとても覚えが良く、教えることがほとんどなかったほどだ。おかげで僕はいつもより早く上がれることになった。
「ありがとうね日奈ちゃん」
「いえいえ、こちらこそ雇ってくれてありがとうございます!!」
「それじゃあお疲れ様」
「はい!お先に失礼しまーす!!」
日奈ちゃんが帰った後、僕はふと思ったことがあった。
それは日奈ちゃんはどうしてこの店で働こうと思ったのかということだ。
別に深い意味は無いのだが、単純に気になってしまったのだ。(聞いてみるだけならいいよね?)と思い、早速彼女に連絡することにした。するとすぐに返信が来た。
『どうしたんですか?』
『ちょっと聞きたいことがあってさ』
『なんですか?』
『どうして君はこの店で働きたかったの?』『ああ、そのことですか!』
『うん。何となく気になってしまってね』
『えっとですね……実はここの店の店長さんには小さい頃から良くしてもらっているんですよ』
『そうなんだ』
『はい!!』
『それと何か関係があるのかい?』
『はい。私が困った時はいつも助けてくれる優しい人なんです。なので恩返しというわけではないのですが、少しでも力になりたいと思って働いています!』
彼女のメッセージを見て僕は感動してしまった。
(こんなにも素晴らしい理由があったのか……)
『そうなんだ。ありがとう教えてくれて』
『いえいえ!全然大丈夫ですよ!!』
『あと、明日からよろしく頼むよ』
『はい!!!!』
そう返事をして彼女との会話は終了した。
「はっ!!そういえばもうこんな時間か!」
スマホの時計が18:32と出ている。家では東雲が待っていることを佐藤は完全に忘れていた。急いで帰らなければ、と思った矢先に…… ピロン♪ メッセージアプリから通知音が聞こえた。画面を見ると、そこには…【東雲さんがメッセージを取り消しました】
やばい!鬼電が来る!
♪~
【東雲さんからビデオ通話がかかってきました】
これに出なければ帰るまで鳴り続ける事が目に見えた佐藤は応答を仕方無く押した。
画面に映った東雲の顔を見た瞬間、佐藤は慌ててスマホを持ち直して顔を隠すように背けた。
その様子に東雲も不思議そうな表情を浮かべている。
すると、佐藤はいきなり頭を下げて謝り始めた。
『すまん!バイトが長引いてしまったんだ、これから急いで帰るから…』
その言葉に更に首を傾げる東雲。
『どうして顔を背けているのかな?』
その言葉を待っていた!!
『いやほら、東雲が美人すぎるからさ。恥ずかしいじゃん』
『あっ///』
東雲が照れたことが画面越しにでも見て取れる。そしてこのまま続ければ…
『わ、私のことそんな目で…』
『可愛いし美人で嫁にしたいランキング殿堂入りの東雲の顔を見たら足動かなくなっちゃうなあ』と佐藤は膝を叩いて悲しそうな表情をする。
その反応を見て東雲は頬を赤く染めながら嬉しそうにしている。
よしよし、この調子だ。
『早く帰って東雲さんの笑ってる顔が見たいんだけど東雲さんに待っててくれるか聞いて欲しいんだけd…』
『待ってるそうですっ!!』テロン♪
通話が切れた。
「勝った」
後は俺が帰った後に東雲がどう出るかだが……。
とりあえず今は家に急ごう。
佐藤が歩き出した途端に、また東雲から通知が来る。通話では無い、メッセージだ。内容はこうだった。
【ちゃんと気を付けて帰って来るんだよ?】
佐藤はすぐに返信する。未読無視は変に病んでしまうだろうと思えた。
【分かったよ。なるべく早く帰るようにする】既読が付いた後、すぐに返事が来た。
【本当だよ?私は心配症だから、今からお出迎えに行っても良いのだがね?】
それを読んで思わず笑みを浮かべてしまう佐藤。
【ありがとう。じゃあ、玄関まで迎えに来て貰えるかな?もうすぐ着くからさ】
そう、もう数十メートルで家に着くのだ。
佐藤がアパートの玄関に着くとガラス扉の向こうに東雲が手を振っていた。
「迎えに来たとも!」と扉越しに大声を出す東雲。
「ただいま東雲。」
佐藤が扉を押して中に入り東雲の前に立つ。その東雲は普段着で、髪も後ろで一つに纏めていた。
いつもより少し大人っぽく見える。
そして、大きな荷物を肩から提げている。荷物のファスナーから見覚えのある物が飛び出していた。
それは東雲の家にあるはずの物だ。
「それって・・・」
「今日は佐藤君と眠るのでね、枕を持ってきたのさ!!」
そう言って佐藤の腕を引っ張る東雲。
「え、今日泊まるんの?」
「えー、家事全部やって大人しく家で待っててくれた彼女に自分の部屋に帰れとか抜かすつもりなのかな?」
「いや…」
東雲が家に居られるように誘導したようなもんなのに…
「なら問題だろう!では帰ろうか!」と胸を張って言っている。少し威圧も感じる。
「あぁ……うん……」
そのまま東雲に引っ張られて自室に帰ることになった。
「ふぅ……とりあえず座ってくれ」
そう言われて、俺はベッドに腰掛ける。
すると東雲は俺の横にちょこんと座った。
なんだこの可愛い生き物……
いや、落ち着け。
そんな事を考えながら東雲を見ていると、 急に俺の方を向いてきた。
うっ……近いな、これじゃ目を合わせられないぞ? だがここで目を逸らすのも男らしくない気がするし……
などと悩んでいるうちに、東雲の顔が近づいてきて…
唇を奪われた。触れた柔らかい感触で頭がいっぱいになる。
どれくらい経っただろうか……
数秒だったかもしれないし数分だったかもしれない。
やっと離れたと思ったらまたキスされた。
今度はさっきより長く感じた。
もう何が何だかわからなくなってきた頃に、ようやく解放された。
顔を真っ赤にして俯いている東雲を見ると、こちらも恥ずかしくなってくる。
そして意を決したように顔を上げた東雲が僕の頬を愛おしそうに撫で、俺にまた顔を近付けた。
「どうだろう。私を少しは意識して貰えたかな?」
ふふっ と笑う彼女に煽られた気がして俺は彼女をベッドに押し倒した。
作・ɞ̴̶̷ ̫ ɞ̴̶̷
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