カタナマチェット鋭利ロリ

週刊 なかのや

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Die14話 変貌②

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表情の固くなった僕は引き攣った笑顔を見せたのだろう。彼女は表情を曇らせる。
「みど、りお兄ちゃん…ごめんね怖がらせてしまったね。でも、あの。どうしたら嫌われずに済むかな。」
彼女は、セラちゃんは、きっと僕の思考と感情を理解した上で「助ける」と言ったのだろう。僕が彼女に恐怖を感じていると知った上で自分が僕に嫌われない方法を考えながら話しかけてくれたのだ。恐怖はきっと今も僕の心を支配しているけれど、それが目の前の少女を彼女をセラちゃんという美少女を自称フィアンセを嫌う理由には成らなくて、怖いと思うより大切にしなくてはと思える僕が今は正気じゃないことを正気に思えるので僕はもうセラちゃんを怖いとは思わなかった。今にも泣きそうな彼女の手を先程まで硬直していた両手で包み込む。
「嫌いになったりしないよ。驚いただけなんだ。お見通しなのは知っているから君は分かっているのだろうけど、その持っていた感情含めて君が好きだから嫌いになんて絶対ならないよ。」
嘘も僕の感情も全て知っているのなら僕の気持ちだって見通しているだろうから。
僕の顔色を伺っている彼女は目を瞑って少し考え込んだ後直ぐに僕の目を見て「それならいいけど。何か私といて怖い事とか変だと思う事が有れば教えて、嫌われる前に直すから。」と憂い顔で話した。僕も君に嫌われる前に直せることは早く直したいよ。
「緑お兄ちゃんはそのままで居て。ずっと生きて欲しい」
そう言って貰えると生きたいと思うけど、ずっとは生きられないから。
「この戦いが終わるまで私が必ず守ってあげるから大丈夫。」
僕の手を握り返した彼女は世間的には恐怖の対象なのだろうけど、僕にとっては救世主で物語の主人公に当たるのだろう。きっと僕は僕の人生の主人公では無くて生きてきた意味は彼女に出逢うことだったと今は思えるから、僕は主人公の横を歩くモブAか Bで物語終盤で彼女の為に彼女が覚醒する条件を満たす為とか或いは彼女の代わりに死んで逝きたいと思ってしまう。
今更だけど切断くんの安否を知りたい訳では無いが取り敢えず聞いてみようと思ったので僕はセラちゃんに「切断くん何処へやった?」と聞いた。聞いたところで超能力とか僕の知らない世界へ飛ばしたとかなら理解出来ない話だろうから何と言われても「そうなんだね」って僕は頷きそうだ。彼女は少し考えたフリをしながら「難しい話をしたら緑お兄ちゃんの頭はパンクするだろうか簡潔に言うとね、パッて。ほんとに-` ̗     ̖ ´-ってね、消えちゃったの。何処に行ったかは僕にも分からないかな。行く宛てがあるならの話だけど。」と手をグーパーさせて僕を見た。ちっちゃい手の動きが余りにも可愛すぎて頷く前に彼女の開いた手に自身の手を重ねて「恋人繋ぎだね」って言ってしまった。そんな僕を苦笑いもせず、只優しく微笑んで「そうだね」と言う彼女の笑顔に惚れた。オタクでも無い一般の社会人がTwitterを初めてタイムラインに流れてきた知らないアニメの二次創作物を見て尊死するような、自分が見たことも感じたことも無いくらいに尊過ぎると思えた存在が目の前に現われて可愛く微笑まれでもしたら1オタクの僕はもうね…尊死じゃ済まされないよ。たった一言の「そうだね」でロリコンの僕は世界から存在が消滅しそうだよ。全く可愛過ぎる。脳内再生無限ループされる一言で僕はこれからコレをおかずに白飯を食える気がする。
「話聞いてる?」
「聞いてた聞いてた」聞いていなかったに違いない。だって可愛いのだから。可愛いは全てを超越した存在だから。そりゃ切断くんだってこんな可愛い生き物に近付かれたらパッて消えたくなるよな、僕も今消えそうだったのだから。僕が切断くんの立場なら怖い顔をして近寄られたとしても両手を拡げて抱き締めたい思ってしまう。消える前に可愛いの権化みたいなこの存在を肌に感じてこの世とサヨナラしたいと思う。
結局切断くんの本当の名前は何だったのだろう。ここから消えてしまった彼の名前を知っていた人間はこの世界に何人居たのだろう。きっとこの考えはどうでも良い事で、誰も切断くんの名前に興味は無くて早く話を進めてくれとか、お前の脳内話は長いから瞼が閉じ切ってしまったとか言われるんだろうね。
「切断くんの話は辞めない?どうせ僕達にしか切断くんが居たことは知り得ないのだから。彼に名前が有ったとしたら、ハサミとかカッターとかそういう名前だと思う。あ、チョキもあるね。おーいチョキ!もう居ないだろうけど僕達の勝ちだからもう産まれてくんなよ!!」と彼女は口に両手を近付けて空に大声で叫んだ。少女にしては聞き取りやすく普通の大人の僕より声が出ていたかも知れない。
「まぁ、もう僕の声も彼には聴き取ることは不可能だし彼処からこの世界に干渉することも許されないのだけれど。」
「それってどういう…」
「さぁ、次はどうしようかな緑お兄ちゃん。暗くなる前に家に帰らないと大変な事になるよ。家に帰っても僕が一緒にお風呂に入って一緒に寝ないと寝込みを悪い観測者達に命を奪われるけど、この僕をお持ち帰りしたいとは思わないかい?」
天使のような彼女が僕に下心と悪魔を隠してニヤリと笑いかけた。
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