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クラリス小話②聞いてみたかったこと
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前世の記憶を持つクラリス。
京都の隅っこ、大阪側で育ったあの頃の記憶が、どうしても消えない。
そして、この世界に生まれて25年。
彼らと出会って20年。
思い切って、ずっと聞いてみたかったことを口にした。
「リクロー、あなた……チーズケーキ好き?」
「……チーズ……ケーキ? なんですかそれ」
「ふわっとして、しゅわっとして、めっちゃ美味しいやつや!」
「すみません……聞いたこともありません」
「ステラ、あなたは? ボコボコしたクッキー好き?」
「ぼ、ボコボコ……? 甘いんですか?」
「そう! サクッとして、ボコッとして、止まらんやつ!」
「……存じません……」
二人が首をかしげるのを見て、クラリスはモヤモヤした。
ジグソーパズルの最後の1ピースがどうしてもハマらない――そんな感覚。
◇
数ヶ月後。
――焼き上がったチーズケーキには、リクローにそっくりなキャラクターの焼印。
――クッキーの袋には、ステラにそっくりなキャラクター。
「な、なんで俺の顔が……!」
「わ、わたしまで……!」
阿鼻叫喚の二人を前に、クラリスは晴れやかな笑顔で言った。
「ああ、スッキリした!」
◇
その後、この“リクロー印”と“ステラ印”のスイーツが、
王室御用達のお土産として大人気になるとは、まだ誰も知らない。
京都の隅っこ、大阪側で育ったあの頃の記憶が、どうしても消えない。
そして、この世界に生まれて25年。
彼らと出会って20年。
思い切って、ずっと聞いてみたかったことを口にした。
「リクロー、あなた……チーズケーキ好き?」
「……チーズ……ケーキ? なんですかそれ」
「ふわっとして、しゅわっとして、めっちゃ美味しいやつや!」
「すみません……聞いたこともありません」
「ステラ、あなたは? ボコボコしたクッキー好き?」
「ぼ、ボコボコ……? 甘いんですか?」
「そう! サクッとして、ボコッとして、止まらんやつ!」
「……存じません……」
二人が首をかしげるのを見て、クラリスはモヤモヤした。
ジグソーパズルの最後の1ピースがどうしてもハマらない――そんな感覚。
◇
数ヶ月後。
――焼き上がったチーズケーキには、リクローにそっくりなキャラクターの焼印。
――クッキーの袋には、ステラにそっくりなキャラクター。
「な、なんで俺の顔が……!」
「わ、わたしまで……!」
阿鼻叫喚の二人を前に、クラリスは晴れやかな笑顔で言った。
「ああ、スッキリした!」
◇
その後、この“リクロー印”と“ステラ印”のスイーツが、
王室御用達のお土産として大人気になるとは、まだ誰も知らない。
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