森と花の国の王子

あーす。

文字の大きさ
21 / 418
陵辱

濃厚なるその口づけ

しおりを挟む
 初めて会った、あの時。
木漏れ日の中だった。

面前めんぜんに立たれ顔を寄せられ…まさか息切れで苦しい唇を、塞がれようとは思ってなかった…。

唇はやわらかく熱かった。
でも逃げる事もかなわず、隅々までその熱い唇に覆われて口付けされ…。
女の子に間違われた事が、ひどくみじめで恥ずかしかった。

母に似た容姿は、自分ではいとう気は、ない。
けれど女の子のような弱々しい外観に、王位継承者として国を委ねようとしている臣下達の、いぶかる視線にぶつかると、途端にたじろいでしまう。

…でもエウロペは
『容姿など関係ない。
貴方がどれだけ、民の為に努力出来るかですよ』
そう優しくさとしてくれた。

でもそんな矢先、牡鹿のような若々しく立派な青年に、女の子に間違われて易々と唇を奪われてしまった事は、エウロペの言葉を否定するかのような出来事。

“…この方エルデリオンはもう僕を、男の子と知ってる。
知っているはずなのに…!”

やがてエルデリオンの力強い手が腰に周り…抱き寄せらる。
その熱い腕の中で逃げ場を無くす感覚に、たちまちレジィリアンスに怯えが走る。

唇は更に深く、重なって来る。
「う…んっ……!」
外そうと頭を振るが、エルデリオンの唇は追ってくる。

もがき始めるレジィリアンスの華奢な体を、逃がすまいとエルデリオンは腕に力を込める。

やがて熱に浮かされたように、更にその甘い唇の感触を味わおうと、エルデリオンは舌を差し入れ、ゆっくりレジィの唇を舐めた。
腕の中でレジィリアンスの体がびくん!と、大きく跳ねる。

“舌を使う口づけなど…このお方にはまだ、まるで経験が無いのだ…”

エルデリオンはそれが、自分でも意外なほど嬉しくて…ついレジィリアンスの口の中に、再び舌を少し差し入れた。

「…っ!」
レジィリアンスは突然の熱い、ぬめった感触に驚き、小さなその手で必死に、覆い被さろうとするエルデリオンの胸を押し返す。

がその舌先は、閉じたレジィの唇を割って、強引に押し入って来た。
拒めないレジィリアンスは泣きそうになって、必死に頭を振る。
だがエルデリオンのしなやかで強い腕は、さらにきつく華奢な体を抱き寄せる。

腕の中できつく抱きすくめられ、レジィリアンスは必死になった。
激しく頭を左右に振り、ようやく外れた唇に。
ほっ…と息を付く間もなく、エルデリオンはのし掛かるように覆い被さって来る。

「…いや!」

エルデリオンの体が密着し、恐怖を感じたレジィリアンスは横に逃げようとし、けれどエルデリオンの腕に阻まれる。

衣服を通してエルデリオンの体が熱く。
ひどく肉感的に感じ、レジィリアンスは正気を無くしそうなほど狼狽うろたえた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

捜査員達は木馬の上で過敏な反応を見せる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

少年探偵は恥部を徹底的に調べあげられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...