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誘拐計画
ラステル配下の援軍
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ついにラステルが先頭集団と相まみえる。
先頭数騎は馬上から落とされ、ラステルは向かい来る馬とすれ違った。
が、賊の乗った馬は迂回し、ラステルの背後。
ロットバルト目がけ馬を走らせ、剣を振り被る。
ロットバルトもエルデリオンもが剣を抜き、賊から打ち込まれた剣を弾き返していた。
その時。
川とは反対方向の草原から数騎、ラステルの部下が土手を駆け上り、駆けつけ来る。
ロットバルトは支流に流されて行くデルデロッテを見、ラステルに叫んだ。
「支流だ!!!」
ラステルは直ぐ頷き、賊を部下に任せ、土手上から川辺へと一直線に駆け降りて行く。
ロットバルトも横に割って入り、代わりに賊の剣を受けるラステルの部下にその場を任せ、馬の首を川辺へと向け、土手を駆け下りた。
下りた先、草原の斜め横から部下達が騎乗し、駆け来るのを見、ラステルは怒鳴る。
「半分は土手上の援護!!!
一人はランッタ川沿いの仲間に鳩を送れ!
シュテフザインの、エウロペ殿を助けろと!!!」
数騎の部下らは頷き、三騎は土手を駆け上がり、一騎は止まって懐から鳩を取り出す。
もう三騎は、先に川辺に降りていた黒装束の賊から、駆け下りて来るロットバルトと後ろに乗せてるエルデリオンを護る為、剣を抜き拍車かけた。
テリュス、そして少し遅れてエリューンが、対岸の川岸に馬ごと乗り上げ、支流に沿った道へと馬を駆る。
川中では。
最後尾のデルデロッテですら、微かに濃い栗毛の頭が見えるだけ。
速い流れでそのデルデロッテですら、見失いそう。
テリュスは土ででこぼこし、木や茂みで曲がりくねった、細い支流沿いの下り坂を馬を繰って駆け抜ける。
エリューンが直ぐその後ろを、ピタリと付いて走った。
エウロペは必死にレジィリアンスを追うものの、軽く小柄なレジィリアンスは木の葉のように流され、距離がまるで詰められない。
ずっと川は坂になって下って行くので、エウロペはこの先、滝になってないか。
そう懸念した。
が、ひゅんっ!!!
縄が岸辺から、川に投げ入れられる。
レジィリアンスに絡むロープが引かれ、レジィの姿が川岸へと引き寄せられて行く。
エウロペは必死に速い流れの中、側にあった岩にしがみつく。
岩の反対側、岸に近い方へと体を移し、手を離した直後、流されながらも必死に泳いで岸辺を目指した。
けれどロープを投げた人物は、もう気絶したレジィリアンスを岸辺で抱き上げ、その向こうの背の高い茂みへと姿を消す。
エウロペは必死に水を掻き分けながら、その後を追うように岸を目指し、足が付いて押し流されそうな早い流れの中、踏みとどまって川岸まで歩いた。
岸に足を付くなり、上流から流されて来るデルデロッテを見かけ、一声怒鳴る。
「デルデロッテ!!!」
川の中で流されてたデルデロッテは、かなり先の岸に、エウロペが立つ姿を見た。
次の瞬間、エウロペの姿は茂みの中に消え去る。
デルデロッテは猛烈に腕をかいで流れを斜めに突っ切り、岸に身を寄せ始めた。
ざざざっ!!!
エウロペは茂みを掻き分け、背の高い草だらけの土手を駆け上がる。
カカカカカッ!!!
突然激しい駒音が聞こえ、振り向くと。
少し広い道を黒塗りの質素な二頭引きの馬車が、駆け去った。
エウロペは慌てて、徒歩で馬車の後を追う。
その時、道の反対側から馬が駆けて来るのを見、エウロペは“テリュスか?!”と期待した。
「エウロペ殿ですね?!
ラステル配下です!!!」
言われて、エウロペは馬上から話しかけて来る男の顔を確かめる。
色味を抑えた地味な服装。
つばの広めの帽子を被り、顔は暗がりで、あまり伺い見えない。
が、その男から感じた、陽気な爽やかさ。
直ぐ、その言葉が本当だと。
エウロペは確信し、速度を落とした馬の背に飛び乗る。
男は何も言わなくとも、馬車の後を追った。
エウロペはほっとしていた。
幾ら二人乗っていようが。
馬車より馬が速い。
直ぐ、追いつく筈だった。
が、気配に気づき、背後に振り向く。
茂みに人影が一瞬垣間見え、エウロペは馬を繰るラステル配下に叫ぶ。
「道はこれ一つか?!」
配下は手綱引き、速度を一気に落とし、振り向く。
「いえ!!!
細いが馬一頭通れる、川沿いの道があります!!!」
指示を出さずともその男は、ピィィィィィーーーーーッ!!!と甲高く響き渡る指笛を吹いた後、馬を背後の細道へと向ける。
背の高い草地で、やっと馬一頭通れるほどの狭く、曲がりくねった道に入ると、前方から遠ざかる駒音が聞こえた。
周囲を草木でびっしり囲まれた、少し広い、二股に分かれた小道に出る。
エウロペが指示しなくとも、配下はその道を、左。
川沿いから離れた方向へと、馬の首を向けた。
やがて周囲が鬱蒼と草茂る壁。
上が小さな石橋の、トンネルに出る。
橋の下を潜った後、駒音はピタリと音が止む。
けれどその辺りは、月明かりが届かぬ真っ暗闇。
「…隠し扉が見つからないか?!」
止まった馬からエウロペは飛び降り、周囲を探り始める。
配下も馬から降り、二人は両側を塞ぐ草だらけの土壁を、手分けして探し始めた。
がん…!
エウロペは、戸板に草を生やした、隠し扉を引く。
それは板に草を生やしたカモフラージュで、配下も駆けつけ、二人で強引に大きな板を取り退けると、その向こうに馬一頭通れるほどの、ぽっかり開いた円形の洞窟。
しゅっ!
配下は手持ちの小さな松明に、火を付ける。
中の広さをエウロペと共に覗くと
「…馬で、入ってますね」
と言い、二人は顔を見合わせ、同時に馬に駆け寄る。
再び騎乗し、エウロペが促す。
が、配下の男は馬上から、握った手を開き砂を撒く。
馬が走り始め、エウロペが遠ざかる砂の撒かれた土を見ると、暗闇に蛍光緑に光ってた。
仲間に、場所を知らせる目印。
エウロペはデルデロッテが気づくかどうか、懸念した。
が、ラステルの配下がまだこの辺りをウロついてるとしたら。
彼らが追いつくのも、直。
先頭数騎は馬上から落とされ、ラステルは向かい来る馬とすれ違った。
が、賊の乗った馬は迂回し、ラステルの背後。
ロットバルト目がけ馬を走らせ、剣を振り被る。
ロットバルトもエルデリオンもが剣を抜き、賊から打ち込まれた剣を弾き返していた。
その時。
川とは反対方向の草原から数騎、ラステルの部下が土手を駆け上り、駆けつけ来る。
ロットバルトは支流に流されて行くデルデロッテを見、ラステルに叫んだ。
「支流だ!!!」
ラステルは直ぐ頷き、賊を部下に任せ、土手上から川辺へと一直線に駆け降りて行く。
ロットバルトも横に割って入り、代わりに賊の剣を受けるラステルの部下にその場を任せ、馬の首を川辺へと向け、土手を駆け下りた。
下りた先、草原の斜め横から部下達が騎乗し、駆け来るのを見、ラステルは怒鳴る。
「半分は土手上の援護!!!
一人はランッタ川沿いの仲間に鳩を送れ!
シュテフザインの、エウロペ殿を助けろと!!!」
数騎の部下らは頷き、三騎は土手を駆け上がり、一騎は止まって懐から鳩を取り出す。
もう三騎は、先に川辺に降りていた黒装束の賊から、駆け下りて来るロットバルトと後ろに乗せてるエルデリオンを護る為、剣を抜き拍車かけた。
テリュス、そして少し遅れてエリューンが、対岸の川岸に馬ごと乗り上げ、支流に沿った道へと馬を駆る。
川中では。
最後尾のデルデロッテですら、微かに濃い栗毛の頭が見えるだけ。
速い流れでそのデルデロッテですら、見失いそう。
テリュスは土ででこぼこし、木や茂みで曲がりくねった、細い支流沿いの下り坂を馬を繰って駆け抜ける。
エリューンが直ぐその後ろを、ピタリと付いて走った。
エウロペは必死にレジィリアンスを追うものの、軽く小柄なレジィリアンスは木の葉のように流され、距離がまるで詰められない。
ずっと川は坂になって下って行くので、エウロペはこの先、滝になってないか。
そう懸念した。
が、ひゅんっ!!!
縄が岸辺から、川に投げ入れられる。
レジィリアンスに絡むロープが引かれ、レジィの姿が川岸へと引き寄せられて行く。
エウロペは必死に速い流れの中、側にあった岩にしがみつく。
岩の反対側、岸に近い方へと体を移し、手を離した直後、流されながらも必死に泳いで岸辺を目指した。
けれどロープを投げた人物は、もう気絶したレジィリアンスを岸辺で抱き上げ、その向こうの背の高い茂みへと姿を消す。
エウロペは必死に水を掻き分けながら、その後を追うように岸を目指し、足が付いて押し流されそうな早い流れの中、踏みとどまって川岸まで歩いた。
岸に足を付くなり、上流から流されて来るデルデロッテを見かけ、一声怒鳴る。
「デルデロッテ!!!」
川の中で流されてたデルデロッテは、かなり先の岸に、エウロペが立つ姿を見た。
次の瞬間、エウロペの姿は茂みの中に消え去る。
デルデロッテは猛烈に腕をかいで流れを斜めに突っ切り、岸に身を寄せ始めた。
ざざざっ!!!
エウロペは茂みを掻き分け、背の高い草だらけの土手を駆け上がる。
カカカカカッ!!!
突然激しい駒音が聞こえ、振り向くと。
少し広い道を黒塗りの質素な二頭引きの馬車が、駆け去った。
エウロペは慌てて、徒歩で馬車の後を追う。
その時、道の反対側から馬が駆けて来るのを見、エウロペは“テリュスか?!”と期待した。
「エウロペ殿ですね?!
ラステル配下です!!!」
言われて、エウロペは馬上から話しかけて来る男の顔を確かめる。
色味を抑えた地味な服装。
つばの広めの帽子を被り、顔は暗がりで、あまり伺い見えない。
が、その男から感じた、陽気な爽やかさ。
直ぐ、その言葉が本当だと。
エウロペは確信し、速度を落とした馬の背に飛び乗る。
男は何も言わなくとも、馬車の後を追った。
エウロペはほっとしていた。
幾ら二人乗っていようが。
馬車より馬が速い。
直ぐ、追いつく筈だった。
が、気配に気づき、背後に振り向く。
茂みに人影が一瞬垣間見え、エウロペは馬を繰るラステル配下に叫ぶ。
「道はこれ一つか?!」
配下は手綱引き、速度を一気に落とし、振り向く。
「いえ!!!
細いが馬一頭通れる、川沿いの道があります!!!」
指示を出さずともその男は、ピィィィィィーーーーーッ!!!と甲高く響き渡る指笛を吹いた後、馬を背後の細道へと向ける。
背の高い草地で、やっと馬一頭通れるほどの狭く、曲がりくねった道に入ると、前方から遠ざかる駒音が聞こえた。
周囲を草木でびっしり囲まれた、少し広い、二股に分かれた小道に出る。
エウロペが指示しなくとも、配下はその道を、左。
川沿いから離れた方向へと、馬の首を向けた。
やがて周囲が鬱蒼と草茂る壁。
上が小さな石橋の、トンネルに出る。
橋の下を潜った後、駒音はピタリと音が止む。
けれどその辺りは、月明かりが届かぬ真っ暗闇。
「…隠し扉が見つからないか?!」
止まった馬からエウロペは飛び降り、周囲を探り始める。
配下も馬から降り、二人は両側を塞ぐ草だらけの土壁を、手分けして探し始めた。
がん…!
エウロペは、戸板に草を生やした、隠し扉を引く。
それは板に草を生やしたカモフラージュで、配下も駆けつけ、二人で強引に大きな板を取り退けると、その向こうに馬一頭通れるほどの、ぽっかり開いた円形の洞窟。
しゅっ!
配下は手持ちの小さな松明に、火を付ける。
中の広さをエウロペと共に覗くと
「…馬で、入ってますね」
と言い、二人は顔を見合わせ、同時に馬に駆け寄る。
再び騎乗し、エウロペが促す。
が、配下の男は馬上から、握った手を開き砂を撒く。
馬が走り始め、エウロペが遠ざかる砂の撒かれた土を見ると、暗闇に蛍光緑に光ってた。
仲間に、場所を知らせる目印。
エウロペはデルデロッテが気づくかどうか、懸念した。
が、ラステルの配下がまだこの辺りをウロついてるとしたら。
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