169 / 418
記憶を無くしたレジィリアンス
レジィリアンスのお相手
しおりを挟む
エウロペはテリュスに振り向く。
「レジィが一人だ。
君がデルデロッテと行って、頃合いを見て場を外してくれるか?」
テリュスは頷くものの、エリューンと顔を見合わせる。
「…さっきまで家族みたいに、みんなで寝こけてた寝台で?
レジィ、抵抗ないかな?」
ラステルが口開こうとした時。
デルデロッテが先に告げる。
「とりあえず、処理すればいいなら。
別にソファでも何とかなる。
…ずっとここで過ごすのか?」
ラステルはデルデロッテに見つめられ、言葉を返した。
「いや。
シュテフザインの家屋敷風コテージが、王城内オレシニォンよりもっと、西の地にある。
そちらにエウロペ殿一行とデルデロッテ、君とで暫く過ごし、レジィ殿の経過観察して欲しい。
顔を合わせる度、拒絶されたら…エルデリオンの心臓が保たないから」
デルデロッテは顔を下げて告げる。
「…だな」
ラステルはエウロペに向き直ると、予定を告げた。
「今夜はここで、ゆっくり休んで下さい。
ただ、媚薬が抜けるのにもう一日かかる。
それに伴って記憶も戻れば良いが…。
本人が“忘れてしまいたい”
と思ってる事柄に、向き合うだけの気力、体力が戻らないと、キツい。
今夜は様子を見、もしマズい状態なら。
別室に、デルデロッテと泊まって貰ってもいい」
デルデロッテはため息交じりに囁いた。
「…また。
私の意思は無視か」
ラステルが呆けて尋ねる。
「断る気だった?」
デルデロッテは、エウロペ、テリュス、エリューンに一斉に見つめられ、顔を下げる。
「…そこまで薄情じゃ無い」
テリュスとエリューンは笑顔になり、エウロペは大きく頷いた。
侯爵だけが。
こそっと口挟む。
「押しつけ合ってるなら。
私が幾らでも…」
咄嗟、エウロペが拳握って侯爵に詰め寄ろうとするので。
ラステルも瞬間、エウロペの前に、立ち塞がる。
「薬のせいで、自制が効かず喋ってるだけだから」
エウロペはラステルを殴りかけ、拳止めてラステルを見つめた。
空色の瞳は明るく陽気に輝いて見え、エウロペはぼやく。
「本当に、殴る気無くさせるな、君は」
ラステルは笑った。
「特技なので」
テリュスが部屋の扉を開ける。
レジィは屈み込んだ姿勢で顔を上げ、今にも泣きそう。
直ぐテリュスはレジィの横に腰掛け、囁く。
「…大丈夫だ」
そして戸口に姿を見せる、デルデロッテに視線を振った。
デルデロッテは短いため息を漏らす。
ラステルも室内に入って来るが、横に付いたエウロペに、素早く尋ねられた。
「…この部屋はレジィが使い、近くに私とテリュス、エリューンが泊まれる部屋はあるか?」
ラステルは横のエウロペを見つめ、目を見開く。
「…そうなさいます?」
エウロペが頷くので、直ぐ部屋を出て廊下の直ぐ横の扉を開く。
暖炉のある居間の向こうに、扉が二つ。
横にも二つ。
「正面の扉は寝室に続いています。
どちらも、中庭に面してる。
横の二つの寝室も同様。
居間の暖炉の横に。
さっきの部屋に続く、隠し扉がある。
警護者用の控え室なので」
背後からエリューンが入って来、暫く後テリュスも姿を見せる。
入れ替わりにラステルが戸口へと歩くと、振り向いて言った。
「食べ物と着替えをここに届けさせます。
角に近い扉が、浴室に続いてるので。
寛いで下さい」
エウロペはテリュスとエリューンを見ると
「君らは先に風呂を使え」
と告げて居間のソファに腰掛ける。
テリュスはエリューンを見ると、髪にまだ、クリームのカスが散らばってるのを見て
「お先にどうぞ」
と勧めた。
エリューンもため息吐く。
「…5歳児に戻ってはしゃいだと思ったら…突然、アレですもんね」
テリュスも頷く。
「…年頃だし」
エリューンは浴室に消え、テリュスはエウロペの、向かいに腰掛けた。
ひとしきりレジィを宥めた後、テリュスは部屋を出て行き、デルデロッテはまだ、戸口から恥ずかしげに真っ赤に頬を染め、屈むレジィを見た。
短いため息を吐くと、戸口から離れて、レジィの横に腰掛ける。
レジィは待ちかねていたように顔を上げ、両腕をデルデロッテの首に巻き付けてせがむように見つめる。
大きな青い、宝石のように綺麗な、潤んだ瞳。
真っ赤に染まる唇。
豪奢な長い、金の髪。
美しいだけでなく、愛らしさをまとい…好き者なら一発でエロい気分になった事だろう…。
デルデロッテはレジィの背に腕を回し、抱きしめながら耳元で囁く。
「…欲しい?」
肩に埋めた顔が、こくん。と頷くのを感じ、デルデロッテはそのままレジィリアンスの両腿の下に腕を入れ込むと、一気に抱き上げて立ち上がる。
「部外者は退出したから、横になれる場所で」
レジィリアンスはもう、情欲で濡れた瞳でデルデロッテを見つめ続ける。
寝台に下ろすが、首に巻き付けた腕はそのまま。
まるでキスをねだるように、顔を寄せて来るから…。
デルデロッテはそのまま口づけた。
唇が重なると、レジィの身が震える。
そっと舌を差し込むと、レジィリアンスの身はくねる。
それでデルデは、挿入されながら口づけされたいのだと。
直ぐ察した。
レジィが纏っていたのはガウンだけだったので、裾をめくり股間に手を触れながら、ゆっくり…膝をレジィの腿の下に入れ込んで行く。
レジィはその秘やかでドキドキし、少し強引だけどしなだれかかりたいほど男らしい胸元に
「?」
と感じた。
「あなた…は、侯爵…?」
「君が知ってる侯爵とは、違う?」
レジィリアンスは、頷く。
「…確…か…。
キスは軽いけど、どっか…べったりしていて……。
え…と、こんな…に…ドキドキしなかった」
デルデはくすっ。と笑う?
「…どっちが好き?」
言いながら、レジィリアンスの首筋に唇を這わせ、更に膝を進めて、股間を密着させ始める。
レジィは挿入を予感し、どきっ!と心臓が跳ね上がり、首筋に熱い唇が触れて、身を震わせながら囁く。
「い…ま…。
今の…貴方の方…が…ドキドキす…る」
デルデは顔を上げると、レジィの顔を見つめ、笑った。
「…良かった」
「レジィが一人だ。
君がデルデロッテと行って、頃合いを見て場を外してくれるか?」
テリュスは頷くものの、エリューンと顔を見合わせる。
「…さっきまで家族みたいに、みんなで寝こけてた寝台で?
レジィ、抵抗ないかな?」
ラステルが口開こうとした時。
デルデロッテが先に告げる。
「とりあえず、処理すればいいなら。
別にソファでも何とかなる。
…ずっとここで過ごすのか?」
ラステルはデルデロッテに見つめられ、言葉を返した。
「いや。
シュテフザインの家屋敷風コテージが、王城内オレシニォンよりもっと、西の地にある。
そちらにエウロペ殿一行とデルデロッテ、君とで暫く過ごし、レジィ殿の経過観察して欲しい。
顔を合わせる度、拒絶されたら…エルデリオンの心臓が保たないから」
デルデロッテは顔を下げて告げる。
「…だな」
ラステルはエウロペに向き直ると、予定を告げた。
「今夜はここで、ゆっくり休んで下さい。
ただ、媚薬が抜けるのにもう一日かかる。
それに伴って記憶も戻れば良いが…。
本人が“忘れてしまいたい”
と思ってる事柄に、向き合うだけの気力、体力が戻らないと、キツい。
今夜は様子を見、もしマズい状態なら。
別室に、デルデロッテと泊まって貰ってもいい」
デルデロッテはため息交じりに囁いた。
「…また。
私の意思は無視か」
ラステルが呆けて尋ねる。
「断る気だった?」
デルデロッテは、エウロペ、テリュス、エリューンに一斉に見つめられ、顔を下げる。
「…そこまで薄情じゃ無い」
テリュスとエリューンは笑顔になり、エウロペは大きく頷いた。
侯爵だけが。
こそっと口挟む。
「押しつけ合ってるなら。
私が幾らでも…」
咄嗟、エウロペが拳握って侯爵に詰め寄ろうとするので。
ラステルも瞬間、エウロペの前に、立ち塞がる。
「薬のせいで、自制が効かず喋ってるだけだから」
エウロペはラステルを殴りかけ、拳止めてラステルを見つめた。
空色の瞳は明るく陽気に輝いて見え、エウロペはぼやく。
「本当に、殴る気無くさせるな、君は」
ラステルは笑った。
「特技なので」
テリュスが部屋の扉を開ける。
レジィは屈み込んだ姿勢で顔を上げ、今にも泣きそう。
直ぐテリュスはレジィの横に腰掛け、囁く。
「…大丈夫だ」
そして戸口に姿を見せる、デルデロッテに視線を振った。
デルデロッテは短いため息を漏らす。
ラステルも室内に入って来るが、横に付いたエウロペに、素早く尋ねられた。
「…この部屋はレジィが使い、近くに私とテリュス、エリューンが泊まれる部屋はあるか?」
ラステルは横のエウロペを見つめ、目を見開く。
「…そうなさいます?」
エウロペが頷くので、直ぐ部屋を出て廊下の直ぐ横の扉を開く。
暖炉のある居間の向こうに、扉が二つ。
横にも二つ。
「正面の扉は寝室に続いています。
どちらも、中庭に面してる。
横の二つの寝室も同様。
居間の暖炉の横に。
さっきの部屋に続く、隠し扉がある。
警護者用の控え室なので」
背後からエリューンが入って来、暫く後テリュスも姿を見せる。
入れ替わりにラステルが戸口へと歩くと、振り向いて言った。
「食べ物と着替えをここに届けさせます。
角に近い扉が、浴室に続いてるので。
寛いで下さい」
エウロペはテリュスとエリューンを見ると
「君らは先に風呂を使え」
と告げて居間のソファに腰掛ける。
テリュスはエリューンを見ると、髪にまだ、クリームのカスが散らばってるのを見て
「お先にどうぞ」
と勧めた。
エリューンもため息吐く。
「…5歳児に戻ってはしゃいだと思ったら…突然、アレですもんね」
テリュスも頷く。
「…年頃だし」
エリューンは浴室に消え、テリュスはエウロペの、向かいに腰掛けた。
ひとしきりレジィを宥めた後、テリュスは部屋を出て行き、デルデロッテはまだ、戸口から恥ずかしげに真っ赤に頬を染め、屈むレジィを見た。
短いため息を吐くと、戸口から離れて、レジィの横に腰掛ける。
レジィは待ちかねていたように顔を上げ、両腕をデルデロッテの首に巻き付けてせがむように見つめる。
大きな青い、宝石のように綺麗な、潤んだ瞳。
真っ赤に染まる唇。
豪奢な長い、金の髪。
美しいだけでなく、愛らしさをまとい…好き者なら一発でエロい気分になった事だろう…。
デルデロッテはレジィの背に腕を回し、抱きしめながら耳元で囁く。
「…欲しい?」
肩に埋めた顔が、こくん。と頷くのを感じ、デルデロッテはそのままレジィリアンスの両腿の下に腕を入れ込むと、一気に抱き上げて立ち上がる。
「部外者は退出したから、横になれる場所で」
レジィリアンスはもう、情欲で濡れた瞳でデルデロッテを見つめ続ける。
寝台に下ろすが、首に巻き付けた腕はそのまま。
まるでキスをねだるように、顔を寄せて来るから…。
デルデロッテはそのまま口づけた。
唇が重なると、レジィの身が震える。
そっと舌を差し込むと、レジィリアンスの身はくねる。
それでデルデは、挿入されながら口づけされたいのだと。
直ぐ察した。
レジィが纏っていたのはガウンだけだったので、裾をめくり股間に手を触れながら、ゆっくり…膝をレジィの腿の下に入れ込んで行く。
レジィはその秘やかでドキドキし、少し強引だけどしなだれかかりたいほど男らしい胸元に
「?」
と感じた。
「あなた…は、侯爵…?」
「君が知ってる侯爵とは、違う?」
レジィリアンスは、頷く。
「…確…か…。
キスは軽いけど、どっか…べったりしていて……。
え…と、こんな…に…ドキドキしなかった」
デルデはくすっ。と笑う?
「…どっちが好き?」
言いながら、レジィリアンスの首筋に唇を這わせ、更に膝を進めて、股間を密着させ始める。
レジィは挿入を予感し、どきっ!と心臓が跳ね上がり、首筋に熱い唇が触れて、身を震わせながら囁く。
「い…ま…。
今の…貴方の方…が…ドキドキす…る」
デルデは顔を上げると、レジィの顔を見つめ、笑った。
「…良かった」
0
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる