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リセット 6 アドラフレン

リセット 6 アドラフレン 9

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“経験値、66っ!”
レイデンの声に、俺、力無く頷く。

更に響く声。
“ピジョン・ブラッド・ルビー付属の、召喚獣ホワイト・ウルフをゲット!”
その声と共に、宝石箱のルビーに、白い狼のカードが重なる。
「(規定回数超えてえっちすると…召喚獣が貰えるの?)」
聞くと、レイデンの声。
“アドラフレンの場合はたまたま、3回目が召喚獣だっただけで…”
賢者の声もする。
『他のも毎度、召喚獣とは限らないわよ。
でも、確率は高いけど』

俺、意識無くしながら、あの白い狼の幻覚見たのは、こーゆーコトか…。
と納得。
けど。
唇に爽やかな…液体が…。
口の中にも。
そして口いっぱいに爽やかさが広がった時。
俺、目を覚ました。

目を開けたそこに、アドラフレンの…整いきったハンサム顔が覗き込んでて。
ヘイゼルの瞳が優しく微笑んでて。
なんかすっごく、嬉しかった♡

「…刺激、強いのが好きなのに、毎度気絶しちゃうんだ?」
そう言われて。
俺、頬が染まった。
「…えと…あの…。
強いの好きなんだけれど…。
思ったより、その…凄くて………」

アドラフレン、クス…と笑う。
「流石に、お風呂に浸かった方が良さそうだ」
そう言って、身を起こして手を差し伸べるから。
その手を取ると、引っ張り上げられる。

膝立ちすると、アドラフレン、手を握ったまま寝台を降りて俺を見るから…。
俺も降りて、アドラフレンの横に並ぶ。

真横で彼の裸体見ると、改めて…真っ白な彫刻みたいに綺麗で、迫力感じる…。
動くとちゃんと、筋肉の動きが解るんだけど…。
彫刻みたいに均整取れた美しい男性の裸体が、生きて動いてる。
ってなんか、感動もの。

手を引かれて、床まであるガラス戸を開け、庭園に…裸のまま、出て行くんだけど…。
俺ちょっと、恥ずかしかった。
「(ひ…人って…居ないのかな?
さっきの女中さんとか…見られたら…?)」
つい、きょろ。とか、辺り見回してしまうのに、アドラフレンったら…服着てる時同様、全然裸を気にしてない。

「(…こ…高貴な人って…こういうものなの?)」
そう言えば…エルベスさんも、別に何て事無く、脱いでたし、アイリスも…。

逆に、オーガスタスは俺、すっごい期待してチラ見とかしてたせいか…。
恥ずかしがるって言うか…ちょっと困惑してた感じだったけど。

庭園に出て、白いタイル敷きのポーチを歩くと、横に…。
白い石で出来た結構広めの浴槽が。
黄金の獅子の彫刻から、お湯が出てる。

ちゃぽ。
アドラフレン、入って行くから、俺も手を引かれて並んで入って行く。

屋外で、周囲は緑の木々と花々。
風が吹き抜けて…空は青く晴天で、とても気持ちいい。

湯は…かなりぬるめ。
けど、とてもいい香りがする…。
浴槽の形は楕円形で、周囲が丸くて滑らか…。

胸辺りまで浸かると、横に並ぶアドラフレンが俺に、振り向く。
「…その…」
珍しく、言いかけて躊躇うから、俺
「?」
って見上げると。
「…中で出しちゃったから。掻き出さないと…。
自分で、出来る?」
って聞かれて、俺、真っ赤。
「ででで・出来ます…」
そう言って、俯いて、明るい緑がかった水色の湯面見て、そっと手を、お尻に…。
指で、少しずつ掻き出し始める。
でも幸い、(液体が)浮いて来たりしないから…気まずい思いはしなくて済んだ。

良く考えると黄金の獅子の彫刻から、湯が注がれ続けてるのに溢れたりしないから…。
きっと底の排水溝とかから、入った分だけ流れ出てるみたい…。

けど。
横の…白い彫刻みたいに見応え有る、アドラフレンの裸体を堪能できないまま…召使いさんがやって来る。
「アドラフレン様!
使者がお見えです!」
庭園からそう叫ばれて、アドラフレン、途端に引き締まった表情で叫ぶ。
「布とガウンを至急!
私と…後、少年の分を!」
「かしこまりました!」

アドラフレン、俺を見て囁く。
「多分、出かけなくては。
もしかすると、君にも来て貰うかも」
俺、惚けてアドラフレンを見上げる。
「…どうして?」
アドラフレン、整った高貴な顔を傾けて、囁く。
「…君を受注した依頼主を知る為に…。
悪いが、潜入捜査に協力してくれまいか?」

俺、びっくりし過ぎて、目を見開く。
アドラフレン、少し気遣うような表情をして、言う。
「君が召し抱えられるはずだった、『光の塔』と言う場所は、王宮の奥深く…。
本来、不正があってはならない場所なんだ。
それを…慰み者の少年を、調教して召し抱えるのは、完全に違法。
ただ、相手は高名で身分高い男。
…なので…出来れば君が召し抱えられたふりをして、依頼主の元へ行き…。
それを証拠に、依頼主を断罪したい」
「…つまり俺…囮って事ですか?」
アドラフレン、殊勝な顔をして、頷く。

しかし。
王宮?!
それって王様とかが、住んでる所?!
そんな凄いところに…俺、潜入するの?!

けどその時。
賢者の声が頭に響く。
『キャラのお願い事よ!
これクリアすると、ジュエリーのパワーアップジュエリーが貰えるからっ!』

「(…初めてのコトだね?!)」
続き、レイデンの声もする。
“それにアドラフレンだから!
気前いいから、アイリスやディングレーの時みたいに、プレゼントも貰えるかもっ!”
「(…今一不安だけど…)
はい。
俺、頑張ります!」
って、優等生のお返事してみた。
途端、アドラフレン、にっこり。
ってとっても綺麗に微笑む。

けど。
布とガウン持ってきてくれた二人が。
なんと、女中さん………。
二人共、若くて綺麗な人。

なのにアドラフレン、平気で湯から全裸で出て。
布を広げる女中さんに背を向け、布をかけて貰い、水分を拭き取り、ガウンを手渡されてる…。
もう一人の女中さんが、布広げて俺が来るの、待ってる………。

は・恥ずかしい………。

俺、仕方無く片手を浴槽の縁に付いて、出るんだけど…。
頬、赤いまま俯いて…。
背を向けて布を巻き付けられ、ガウンを手渡された。

二人が会釈して、立ち去って。
俺、どんだけほっとした事か。

けどアドラフレンはもう、布を取ってガウンに着替えて。
俺に
「布はこの椅子に」
と、籐の椅子を指し示す。
俺、慌てて布取って椅子の上に置き、ガウンに着替えた。

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