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第八章 『中央護衛連隊長就任』
夜明け
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ローランデがふと、窓を見る。
空が開け始めていた。
シェイルも気づき、ローフィスを見る。
手にグラスを持ったまま、ソファの背にもたれ、眠り込んでいた。
ディングレーがシェイルの視線に気づき、近寄る。
「寝かせるか?」
シェイルが頷くと、ディングレーはローフィスの前で屈み、手を引き自分の肩にもたれかけさせ、足をそろえて抱え上げる。
ディンダーデンが、横のオーガスタスにぼそり…と漏らす。
「かいがいしいな…」
オーガスタスは、くすり…と笑う。
「あいつが餓鬼の頃は、ローフィスに散々世話になってるからな。
ローフィスと連んでなきゃ、あんな気の利く事は、あいつ出来なかったろうな」
ディンダーデンは、連む…で思い返す。
「俺が連んでた…ってか、自分から好んで関わりを持ってたのは、主に薬草使い達だったな…」
オーガスタスは手に持ったグラスから、酒をこぼしそうになった。
「………前から思ってたが、乱暴者の経歴としては、珍しすぎる」
が、ディンダーデンはどこ吹く風。
「ずっと兄貴がライバルだったから。
唯一沈められる手段として、毒薬に夢中になった。
だが…連んだ奴らと探求し、薬草のことを知れば知るほど、ヤバさが分かった。
…分かってなかったら、使ってた。
知識は時として、目的実行の妨げとなる」
オーガスタスは顔を、下げきった。
スフォルツァはまだ、いい気分で調子外れの歌を歌い続ける、ラフォーレンの肩に腕を乗せて告げる。
「いい加減、眠くならないか?」
が、ラフォーレンは半分寝てるような目付で、スフォルツァを見返す。
スフォルツァは結果、歌い続けるラフォーレンを、エルベス家の侍従に寝室を案内され、広間を出て行った。
エルベスは困ってるテテュスの側に来て、屈む。
「まだ、飛ぼうとかするんだ…!」
そう必死に、アイリスの腰の衣服を下に引っ張り続ける。
アイリスは
「だってテテュスだって、いっぱい飛んでるじゃないか!
私だって、無茶したい!」
そう言って飛ぼうとし、テテュスは必死に衣服を引っ張り下げる。
エルベスは苦笑する。
「酔ってるんだ。
多分、いつもよりうんと早く、お酒が回ったんだな」
そう言って、アイリスをさっさと抱き上げる。
アイリスはエルベスの首に腕を巻き付け、くすくす笑う。
「昔はしょっちゅうしてくれたけど。
もう全然しなくなったのに?」
エルベスは頷く。
「君が17になって身長が同じ位になった時。
絶対重いから、二度と抱き上げるのは止めよう。
と思った」
アイリスは憤慨した。
「それは、ひどい!」
テテュスはエルベスに抱き上げられてるのに、酔ってはしゃぐアイリスを見上げ、ハラハラした。
「アイリス、そんなに動いたら、エルベスだって落としちゃうよ?!」
エルベスも、頷く。
「鍛えてる以前から比べ、病やつれでちょっと体重が落ちたから、何とか抱き上げられてるんだから!
君の体重が以前に戻ったら、絶対抱き上げられないから、左将軍補佐殿に任す」
オーガスタスは自分の名を出され、肩をすくめる。
ディンダーデンも、確かに。
と頷く。
「あいつ、確か脱ぐと凄い筋肉だったよな。
やつれたから俺も、抱き上げる気になったんだった」
オーガスタスが顔を下げる。
「…皆が抱き上げたくないヤツを押しつけられても、嬉しくない」
ファントレイユはずっと、抱きついてるギュンターの背に腕を回し、慰めてたけど。
とっくに飽きて横にいるレイファスは、やって来るゼイブンに、肩すくめて告げる。
「…僕が泣いた時も。
ファントレイユ、いつまでも付き合ってくれた」
ゼイブンは頷く。
「辛抱強過ぎて、逆に心配になる」
ゼイブンは顔を上げるギュンターに、シェイルらの去った椅子に、一人で腰掛けてるローランデを目で指し、ファントレイユを引きはがして、ぶっきら棒に声かけた。
「寝るぞ」
ファントレイユは顔を上げ、ゼイブンが席を立ったそのソファに、一人で腰掛けてる豊満美女給仕が、笑顔で手を振るのを見た。
ゼイブンを、見上げる。
「…いいの?」
ゼイブンは一瞬ためらった後、言った。
「いいんだ。今は」
ファントレイユはゼイブンに手を引かれ、ギュンターを見る。
ギュンターはまだ感謝のまなざしを向けていて、その瞳の向こうには、自分の姿…じゃなく、大人の自分…に向けられてる気がして、ファントレイユは大人の自分に告げた。
「みんな…君に感謝してる」
大人の自分は、笑って…手を振った気がした。
ゼイブンは、レイファスにも『来い!』と顎をしゃくり、レイファスはファントレイユと手を繋いで、広間を後にした。
オーガスタスはローランデに視線を向けられ、続いて退室しようとするディンダーデンの首を腕で、がしっ!と掴んで逃がさず。
ディンダーデンはオーガスタスの腕で首を絞められ、怒鳴った。
「離せ…!
二人切りにしてやればいいだろう?!」
が、ギュンターが項垂れて言った。
「…ダンザインら…神聖騎士達が完全回復するまでは…許してもらえないんだ」
ディンダーデンはオーガスタスの腕を掴んで外そうともがきながら、怒鳴った。
「なら、自重しろ!!!」
オーガスタスはぼそり…とディンダーデンに言って聞かす。
「ローランデを目前にしたギュンターの中に『自重』なんてある訳無いだろう?
逃げないなら、腕を解く」
ディンダーデンが頷くので、オーガスタスは腕を解いて放す。
途端、ディンダーデンは喰ってかかった。
「一人で仲裁が出来ないのか?!!!!」
「…俺だって、『闇の第二』の心理攻撃と拷問で、精神的にまいってるんだ。
出来るだけ、面倒は避けたい」
ディンダーデンはタナデルンタスと通じてから、色々教えて貰ってたので、オーガスタスの様子が分かってた。
「(分かってなかったら…腕を解かれた時点で、逃げ出してたのに…。
つくづく、知識、って俺の本来の行動を縛るよな…)」
と、項垂れた。
ギュンターが、少しためらってローランデの前に来る。
ローランデは椅子から立ち上がると、ギュンターをまっすぐ見た。
ギュンターが口を開く、その前にローランデが告げる。
「私はこの後、母の療養所に直ぐ、発つ」
ギュンターが、なきべそ顔をするので、ディンダーデンもオーガスタスも、思いっきり顔を背けた。
けれどローランデは、まだ真っ直ぐギュンターを見つめ、付け足す。
「君もそんな頃は忙しいだろう?
それで…一週間ほど過ごした後、帰って来る」
ギュンターが、顔を上げる。
「その頃には…神聖騎士達も、業務に戻ってるはずだ。
そして父に…一週間の時間を貰った」
ギュンターは、潤んだ瞳で、頷く。
ローランデは…いつも素っ気無く、全然感情を出さないギュンターが、今夜は感情出しまくりで。
思いっきり、怯んだけど、言った。
「…だから君も、私が帰ってくる頃、時間が取れるように調節してくれたら…君と過ごせる」
オーガスタスも、ディンダーデンもが、駆け寄ってギュンターを取り押さえようとした。
が、ギュンターはローランデにも…抱きついてた。
オーガスタスとディンダーデンは、ローランデの両横からローランデを見る。
ローランデは抱きつくギュンターの背を、ファントレイユのように撫でながら囁く。
「…なんか今夜は、牙を抜かれた猛獣みたい?」
オーガスタスは、笑って言った。
「いや、今夜だけは、一時的に人間に戻ってる」
ローランデが反対側のディンダーデンを見ると、ディンダーデンは頷いていて
「今夜のことは、見なかったことにして記憶から消そう」
と言った。
けれどローランデが「?」な表情をするので、オーガスタスが見たら。
ギュンターも、半分寝ていて。
オーガスタスは呆れてギュンターの背を引き、抱いてるローランデから引きはがした後。
一気に屈んで、抱き上げた。
「…?
おかしい…なんでローランデが…あんたになってる?」
オーガスタスは呻く。
「いいから、もう寝ろ」
ギュンターは頷くが、オーガスタスにつぶやく。
「あんたに借りがありすぎて、今後どうやったら返せるか、途方に暮れる」
ディンダーデンが横で眠そうなギュンターの顔を見、ぼやく。
「それはオーガスタスだけで無く、他全部だろう?」
途端、ギュンターの目が、ぱっちり見開かれる。
オーガスタスはディンダーデンを睨む。
「いいから今夜ぐらいは、忘れて眠らせてやれ。
今後はそんな事思い出す暇なんて無くなるぐらい、中央護衛連隊長の業務で大変だ。
ギュンター、借りを返したいなら、立派に中央護衛連隊長の椅子に座り続けてろ!!!
それが世話になった全員への、返礼だ!」
「…分かった」
言って、首を落とし、一気に眠りに落ちる。
ローランデがそっと、オーガスタスに告げる。
「もう…発つ」
オーガスタスは笑顔で頷く。
「お袋さんに、甘えて来い」
ディンダーデンが横で腕組んで呻く。
「甘えられるお袋が居るのか?
俺なんて、牙剥くお袋しか居ないぜ。
母が女姉妹で、なんとか叔母が、少しだけ甘えさせてくれてたが」
オーガスタスが、ぼそり、とつぶやく。
「俺の母親はとっくにいない。
ローフィスも、それに…ギュンターもだ」
ディンダーデンは、道理で、と頷く。
「だから俺みたいに、変なひねくれ方しなくて、意外に素直なんだな」
そう言われ、オーガスタスはがっくり、首を落とした。
空が開け始めていた。
シェイルも気づき、ローフィスを見る。
手にグラスを持ったまま、ソファの背にもたれ、眠り込んでいた。
ディングレーがシェイルの視線に気づき、近寄る。
「寝かせるか?」
シェイルが頷くと、ディングレーはローフィスの前で屈み、手を引き自分の肩にもたれかけさせ、足をそろえて抱え上げる。
ディンダーデンが、横のオーガスタスにぼそり…と漏らす。
「かいがいしいな…」
オーガスタスは、くすり…と笑う。
「あいつが餓鬼の頃は、ローフィスに散々世話になってるからな。
ローフィスと連んでなきゃ、あんな気の利く事は、あいつ出来なかったろうな」
ディンダーデンは、連む…で思い返す。
「俺が連んでた…ってか、自分から好んで関わりを持ってたのは、主に薬草使い達だったな…」
オーガスタスは手に持ったグラスから、酒をこぼしそうになった。
「………前から思ってたが、乱暴者の経歴としては、珍しすぎる」
が、ディンダーデンはどこ吹く風。
「ずっと兄貴がライバルだったから。
唯一沈められる手段として、毒薬に夢中になった。
だが…連んだ奴らと探求し、薬草のことを知れば知るほど、ヤバさが分かった。
…分かってなかったら、使ってた。
知識は時として、目的実行の妨げとなる」
オーガスタスは顔を、下げきった。
スフォルツァはまだ、いい気分で調子外れの歌を歌い続ける、ラフォーレンの肩に腕を乗せて告げる。
「いい加減、眠くならないか?」
が、ラフォーレンは半分寝てるような目付で、スフォルツァを見返す。
スフォルツァは結果、歌い続けるラフォーレンを、エルベス家の侍従に寝室を案内され、広間を出て行った。
エルベスは困ってるテテュスの側に来て、屈む。
「まだ、飛ぼうとかするんだ…!」
そう必死に、アイリスの腰の衣服を下に引っ張り続ける。
アイリスは
「だってテテュスだって、いっぱい飛んでるじゃないか!
私だって、無茶したい!」
そう言って飛ぼうとし、テテュスは必死に衣服を引っ張り下げる。
エルベスは苦笑する。
「酔ってるんだ。
多分、いつもよりうんと早く、お酒が回ったんだな」
そう言って、アイリスをさっさと抱き上げる。
アイリスはエルベスの首に腕を巻き付け、くすくす笑う。
「昔はしょっちゅうしてくれたけど。
もう全然しなくなったのに?」
エルベスは頷く。
「君が17になって身長が同じ位になった時。
絶対重いから、二度と抱き上げるのは止めよう。
と思った」
アイリスは憤慨した。
「それは、ひどい!」
テテュスはエルベスに抱き上げられてるのに、酔ってはしゃぐアイリスを見上げ、ハラハラした。
「アイリス、そんなに動いたら、エルベスだって落としちゃうよ?!」
エルベスも、頷く。
「鍛えてる以前から比べ、病やつれでちょっと体重が落ちたから、何とか抱き上げられてるんだから!
君の体重が以前に戻ったら、絶対抱き上げられないから、左将軍補佐殿に任す」
オーガスタスは自分の名を出され、肩をすくめる。
ディンダーデンも、確かに。
と頷く。
「あいつ、確か脱ぐと凄い筋肉だったよな。
やつれたから俺も、抱き上げる気になったんだった」
オーガスタスが顔を下げる。
「…皆が抱き上げたくないヤツを押しつけられても、嬉しくない」
ファントレイユはずっと、抱きついてるギュンターの背に腕を回し、慰めてたけど。
とっくに飽きて横にいるレイファスは、やって来るゼイブンに、肩すくめて告げる。
「…僕が泣いた時も。
ファントレイユ、いつまでも付き合ってくれた」
ゼイブンは頷く。
「辛抱強過ぎて、逆に心配になる」
ゼイブンは顔を上げるギュンターに、シェイルらの去った椅子に、一人で腰掛けてるローランデを目で指し、ファントレイユを引きはがして、ぶっきら棒に声かけた。
「寝るぞ」
ファントレイユは顔を上げ、ゼイブンが席を立ったそのソファに、一人で腰掛けてる豊満美女給仕が、笑顔で手を振るのを見た。
ゼイブンを、見上げる。
「…いいの?」
ゼイブンは一瞬ためらった後、言った。
「いいんだ。今は」
ファントレイユはゼイブンに手を引かれ、ギュンターを見る。
ギュンターはまだ感謝のまなざしを向けていて、その瞳の向こうには、自分の姿…じゃなく、大人の自分…に向けられてる気がして、ファントレイユは大人の自分に告げた。
「みんな…君に感謝してる」
大人の自分は、笑って…手を振った気がした。
ゼイブンは、レイファスにも『来い!』と顎をしゃくり、レイファスはファントレイユと手を繋いで、広間を後にした。
オーガスタスはローランデに視線を向けられ、続いて退室しようとするディンダーデンの首を腕で、がしっ!と掴んで逃がさず。
ディンダーデンはオーガスタスの腕で首を絞められ、怒鳴った。
「離せ…!
二人切りにしてやればいいだろう?!」
が、ギュンターが項垂れて言った。
「…ダンザインら…神聖騎士達が完全回復するまでは…許してもらえないんだ」
ディンダーデンはオーガスタスの腕を掴んで外そうともがきながら、怒鳴った。
「なら、自重しろ!!!」
オーガスタスはぼそり…とディンダーデンに言って聞かす。
「ローランデを目前にしたギュンターの中に『自重』なんてある訳無いだろう?
逃げないなら、腕を解く」
ディンダーデンが頷くので、オーガスタスは腕を解いて放す。
途端、ディンダーデンは喰ってかかった。
「一人で仲裁が出来ないのか?!!!!」
「…俺だって、『闇の第二』の心理攻撃と拷問で、精神的にまいってるんだ。
出来るだけ、面倒は避けたい」
ディンダーデンはタナデルンタスと通じてから、色々教えて貰ってたので、オーガスタスの様子が分かってた。
「(分かってなかったら…腕を解かれた時点で、逃げ出してたのに…。
つくづく、知識、って俺の本来の行動を縛るよな…)」
と、項垂れた。
ギュンターが、少しためらってローランデの前に来る。
ローランデは椅子から立ち上がると、ギュンターをまっすぐ見た。
ギュンターが口を開く、その前にローランデが告げる。
「私はこの後、母の療養所に直ぐ、発つ」
ギュンターが、なきべそ顔をするので、ディンダーデンもオーガスタスも、思いっきり顔を背けた。
けれどローランデは、まだ真っ直ぐギュンターを見つめ、付け足す。
「君もそんな頃は忙しいだろう?
それで…一週間ほど過ごした後、帰って来る」
ギュンターが、顔を上げる。
「その頃には…神聖騎士達も、業務に戻ってるはずだ。
そして父に…一週間の時間を貰った」
ギュンターは、潤んだ瞳で、頷く。
ローランデは…いつも素っ気無く、全然感情を出さないギュンターが、今夜は感情出しまくりで。
思いっきり、怯んだけど、言った。
「…だから君も、私が帰ってくる頃、時間が取れるように調節してくれたら…君と過ごせる」
オーガスタスも、ディンダーデンもが、駆け寄ってギュンターを取り押さえようとした。
が、ギュンターはローランデにも…抱きついてた。
オーガスタスとディンダーデンは、ローランデの両横からローランデを見る。
ローランデは抱きつくギュンターの背を、ファントレイユのように撫でながら囁く。
「…なんか今夜は、牙を抜かれた猛獣みたい?」
オーガスタスは、笑って言った。
「いや、今夜だけは、一時的に人間に戻ってる」
ローランデが反対側のディンダーデンを見ると、ディンダーデンは頷いていて
「今夜のことは、見なかったことにして記憶から消そう」
と言った。
けれどローランデが「?」な表情をするので、オーガスタスが見たら。
ギュンターも、半分寝ていて。
オーガスタスは呆れてギュンターの背を引き、抱いてるローランデから引きはがした後。
一気に屈んで、抱き上げた。
「…?
おかしい…なんでローランデが…あんたになってる?」
オーガスタスは呻く。
「いいから、もう寝ろ」
ギュンターは頷くが、オーガスタスにつぶやく。
「あんたに借りがありすぎて、今後どうやったら返せるか、途方に暮れる」
ディンダーデンが横で眠そうなギュンターの顔を見、ぼやく。
「それはオーガスタスだけで無く、他全部だろう?」
途端、ギュンターの目が、ぱっちり見開かれる。
オーガスタスはディンダーデンを睨む。
「いいから今夜ぐらいは、忘れて眠らせてやれ。
今後はそんな事思い出す暇なんて無くなるぐらい、中央護衛連隊長の業務で大変だ。
ギュンター、借りを返したいなら、立派に中央護衛連隊長の椅子に座り続けてろ!!!
それが世話になった全員への、返礼だ!」
「…分かった」
言って、首を落とし、一気に眠りに落ちる。
ローランデがそっと、オーガスタスに告げる。
「もう…発つ」
オーガスタスは笑顔で頷く。
「お袋さんに、甘えて来い」
ディンダーデンが横で腕組んで呻く。
「甘えられるお袋が居るのか?
俺なんて、牙剥くお袋しか居ないぜ。
母が女姉妹で、なんとか叔母が、少しだけ甘えさせてくれてたが」
オーガスタスが、ぼそり、とつぶやく。
「俺の母親はとっくにいない。
ローフィスも、それに…ギュンターもだ」
ディンダーデンは、道理で、と頷く。
「だから俺みたいに、変なひねくれ方しなくて、意外に素直なんだな」
そう言われ、オーガスタスはがっくり、首を落とした。
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