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ローフィスに指南を求めるギュンターとリーラス
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玄関階段を降りきると、ギュンターは背後に振り向き、ローフィスに問い正す。
「…つまり俺は、酒場の女は虜に出来ても。
ああ言う、身分高い女はモノに出来ないと、あんた思ってるのか?」
突然振り向かれ、その美貌の紫の瞳で見つめられ、ローフィスは一瞬顔を後ろに引いて、たじろく。
が、ぽつり…と話出す。
「…時間があって寝台に誘えれば、お前ならオトせると思う。
が、ぱっと見だけで、身分高い女を惚れさせたかったら。
お前はもっと着飾ってお上品に振る舞い、いかにも宮廷貴公子に見せないと。
デルアンダーには負ける」
ギュンターは、頷く。
「…身分高い女は、デルアンダーと寝たいと思うのか?」
ディングレーは補習に遅れる。と先を急ぎかけたが、とうとう足を止めてギュンターとローフィスの問答に耳を傾ける。
オーガスタスはローフィスの横で、ローフィスを見守っていた。
ギュンターに問われたローフィスは、ため息と共に顔を下げ、なんとか説明し始める。
「…お前、女のロマンチックって、分かってるか?
ローランデが典型だ。
寝ようと、ガツガツしない。
優しく触れたり、話を聞いたり。
優雅にダンスに誘い、食事を楽しむ。
ずっと、相手を見つめながら。
そういうのに、寝なくても乙女はときめくんだ。
…寝て良かった。
は、その後に来る」
ギュンターは眉間を、思いっきり寄せた。
「…つまりデートして楽しませて、そこで更にベットでもキめるのか?
敷居、高いな」
オーガスタスが呆れて口開く。
「デートでロマンチックなムードに浸りきったら。
多少寝技が不器用でも、許される。
直接的な快感が好きな熟女、じゃない夢見る乙女は。
寝る経験よりロマンチックなムードを好むから、寝技だけでオトせない」
ギュンターの眉間の皺が深くなったので、ローフィスが付け足す。
「だがベットでお前が。
思い切り満足させれば。
大抵の相手はお前にベタ惚れ。
そうじゃない女は…」
そこまで言うと、ギュンターだけで無くディングレーもオーガスタスも。
ローフィスのその後の言葉を、興味津々で見守った。
ローフィスは二人の視線を感じ、顔下げて口開く。
「…(ヘンなプレッシャー感じる…)プライドが邪魔して、強がってるだけだ。
本心では、お前に思いっきり抱かれたいと、欲していても。
理性的な女は、それを受け入れられないだけ。
お前がチャンスを作り、強引に迫れば。
…多分、オチる」
ディングレーとオーガスタスは今度、指導されたギュンターを見守る。
ギュンターは考え込んだ後
「…つまりそっちも、経験が要る。ってコトだな?
どこで押して、どこで引くか」
と呟く。
ローフィスは肩すくめた。
「お前と一度寝た相手は大抵、お前に引かれたら、追いかけて来るだろうな」
ギュンターは、頷いて背を向け、歩き出した。
ディングレーとオーガスタスは、咄嗟ローフィスに詰め寄る。
「…あれ以上の垂らしにさせたいのか?」(ディングレー)
「垂らしの怪物になったら、どうする?!」(オーガスタス)
ローフィスは二人に顔を寄せられ、ちょい引きつつも、言葉を返した。
「本人が望めば俺が押さなくても、怪物になるし。
みっとも無い垂らしになるより、クールで分別ある垂らしになった方が、マシだろう?」
その言い訳に、ディングレーは額に手を当て、沈み込んだし。
オーガスタスは首下げて、今後を憂いた。
その時、背後からリーラスが階段降りて来て、オーガスタスとローフィスの間に進むと、ローフィスに顔を向けて尋ねる。
「…どこで振られたのか、分からなかった」
オーガスタスは横で顔を背けて呟く。
「やっぱ、振られたか」
今度はギュンターが行きかけて、戻って来て、会話に耳を傾けた。
「…あのな。
講師がさせる訳無いだろう?」
ローフィスが言うと、オーガスタスも頷く。
「16の処女だ。
せめて初恋の相手と最初を過ごさせ、18くらいになったら頂け」
リーラスが、オーガスタスを見る。
「…俺が最初だと。
そんな、マズいか?」
ローフィスが、大きなため息吐いた後、言い捨てる。
「寝た後、ちゃんと抱きしめて甘い言葉をささやけるか?
その後、こまめに気遣いプレゼントを送り続け、デートに誘えるのか?」
オーガスタスも頷いて言う。
「せめて、三ヶ月くらいは」
リーラスは途端、泣きそうな表情をする。
「三ヶ月?
出来る訳、無いだろう?!
俺は今までそんなコト、たった一人の相手にしたのは…せいぜい続いて一週間」
ローフィスが、ぽん。とリーラスの肩叩く。
「お前は分かってナイが。
グリネスみたいな気の強い女を、抱いてあっさり捨て、恨み思い切り買うと。
…後が怖いぞ…」
リーラスはそこで、すっ!と顔上げる。
「…なんだ。
結局講師は、俺の為に振るよう仕向けたんだな?」
オーガスタスは顔下げた。
が、何とか言った。
「…そうだ。
グリネスどころか、お前の為にもならない」
リーラスは笑顔で頷く。
「なる程。
確かに俺は、なびく女は選ばず、全部頂いてるからな。
食中毒に、当たるようなモンだろう?
皿に毒が入ってるぞと。
講師は忠告してくれたも、同然なんだな?!」
ギュンターとディングレーは、嬉しそうなリーラスと裏腹の、オーガスタスとローフィスの顔下げる様を見た。
全然懲りず、あくまで前向きなリーラスに、二人は沈痛な面持ちで顔を下げた後。
やっと、ローフィスが口開いた。
「…そうとも言える。
お前が、傷つけられた女の恨みを思い知らない限り。
周囲が気を使わなきゃならない」
ローフィスは沈んだ声でそう言うと。
オーガスタスと共に二人同時に、揃ってリーラスから顔背け、突然歩き出して、リーラスをその場に置き去りにした。
ギュンターとディングレーは、突然離脱する二人を見た後、顔を見合わせる。
「…ナンだっけ」
のディングレーの言葉に、ギュンターも脇に追いやったすべきコトを突然思い出し
「…補習だ」
と呟く。
二人は極力リーラスと目を合わせず、無言で剣の鍛錬場に向かって、並んで歩き出した。
「…つまり俺は、酒場の女は虜に出来ても。
ああ言う、身分高い女はモノに出来ないと、あんた思ってるのか?」
突然振り向かれ、その美貌の紫の瞳で見つめられ、ローフィスは一瞬顔を後ろに引いて、たじろく。
が、ぽつり…と話出す。
「…時間があって寝台に誘えれば、お前ならオトせると思う。
が、ぱっと見だけで、身分高い女を惚れさせたかったら。
お前はもっと着飾ってお上品に振る舞い、いかにも宮廷貴公子に見せないと。
デルアンダーには負ける」
ギュンターは、頷く。
「…身分高い女は、デルアンダーと寝たいと思うのか?」
ディングレーは補習に遅れる。と先を急ぎかけたが、とうとう足を止めてギュンターとローフィスの問答に耳を傾ける。
オーガスタスはローフィスの横で、ローフィスを見守っていた。
ギュンターに問われたローフィスは、ため息と共に顔を下げ、なんとか説明し始める。
「…お前、女のロマンチックって、分かってるか?
ローランデが典型だ。
寝ようと、ガツガツしない。
優しく触れたり、話を聞いたり。
優雅にダンスに誘い、食事を楽しむ。
ずっと、相手を見つめながら。
そういうのに、寝なくても乙女はときめくんだ。
…寝て良かった。
は、その後に来る」
ギュンターは眉間を、思いっきり寄せた。
「…つまりデートして楽しませて、そこで更にベットでもキめるのか?
敷居、高いな」
オーガスタスが呆れて口開く。
「デートでロマンチックなムードに浸りきったら。
多少寝技が不器用でも、許される。
直接的な快感が好きな熟女、じゃない夢見る乙女は。
寝る経験よりロマンチックなムードを好むから、寝技だけでオトせない」
ギュンターの眉間の皺が深くなったので、ローフィスが付け足す。
「だがベットでお前が。
思い切り満足させれば。
大抵の相手はお前にベタ惚れ。
そうじゃない女は…」
そこまで言うと、ギュンターだけで無くディングレーもオーガスタスも。
ローフィスのその後の言葉を、興味津々で見守った。
ローフィスは二人の視線を感じ、顔下げて口開く。
「…(ヘンなプレッシャー感じる…)プライドが邪魔して、強がってるだけだ。
本心では、お前に思いっきり抱かれたいと、欲していても。
理性的な女は、それを受け入れられないだけ。
お前がチャンスを作り、強引に迫れば。
…多分、オチる」
ディングレーとオーガスタスは今度、指導されたギュンターを見守る。
ギュンターは考え込んだ後
「…つまりそっちも、経験が要る。ってコトだな?
どこで押して、どこで引くか」
と呟く。
ローフィスは肩すくめた。
「お前と一度寝た相手は大抵、お前に引かれたら、追いかけて来るだろうな」
ギュンターは、頷いて背を向け、歩き出した。
ディングレーとオーガスタスは、咄嗟ローフィスに詰め寄る。
「…あれ以上の垂らしにさせたいのか?」(ディングレー)
「垂らしの怪物になったら、どうする?!」(オーガスタス)
ローフィスは二人に顔を寄せられ、ちょい引きつつも、言葉を返した。
「本人が望めば俺が押さなくても、怪物になるし。
みっとも無い垂らしになるより、クールで分別ある垂らしになった方が、マシだろう?」
その言い訳に、ディングレーは額に手を当て、沈み込んだし。
オーガスタスは首下げて、今後を憂いた。
その時、背後からリーラスが階段降りて来て、オーガスタスとローフィスの間に進むと、ローフィスに顔を向けて尋ねる。
「…どこで振られたのか、分からなかった」
オーガスタスは横で顔を背けて呟く。
「やっぱ、振られたか」
今度はギュンターが行きかけて、戻って来て、会話に耳を傾けた。
「…あのな。
講師がさせる訳無いだろう?」
ローフィスが言うと、オーガスタスも頷く。
「16の処女だ。
せめて初恋の相手と最初を過ごさせ、18くらいになったら頂け」
リーラスが、オーガスタスを見る。
「…俺が最初だと。
そんな、マズいか?」
ローフィスが、大きなため息吐いた後、言い捨てる。
「寝た後、ちゃんと抱きしめて甘い言葉をささやけるか?
その後、こまめに気遣いプレゼントを送り続け、デートに誘えるのか?」
オーガスタスも頷いて言う。
「せめて、三ヶ月くらいは」
リーラスは途端、泣きそうな表情をする。
「三ヶ月?
出来る訳、無いだろう?!
俺は今までそんなコト、たった一人の相手にしたのは…せいぜい続いて一週間」
ローフィスが、ぽん。とリーラスの肩叩く。
「お前は分かってナイが。
グリネスみたいな気の強い女を、抱いてあっさり捨て、恨み思い切り買うと。
…後が怖いぞ…」
リーラスはそこで、すっ!と顔上げる。
「…なんだ。
結局講師は、俺の為に振るよう仕向けたんだな?」
オーガスタスは顔下げた。
が、何とか言った。
「…そうだ。
グリネスどころか、お前の為にもならない」
リーラスは笑顔で頷く。
「なる程。
確かに俺は、なびく女は選ばず、全部頂いてるからな。
食中毒に、当たるようなモンだろう?
皿に毒が入ってるぞと。
講師は忠告してくれたも、同然なんだな?!」
ギュンターとディングレーは、嬉しそうなリーラスと裏腹の、オーガスタスとローフィスの顔下げる様を見た。
全然懲りず、あくまで前向きなリーラスに、二人は沈痛な面持ちで顔を下げた後。
やっと、ローフィスが口開いた。
「…そうとも言える。
お前が、傷つけられた女の恨みを思い知らない限り。
周囲が気を使わなきゃならない」
ローフィスは沈んだ声でそう言うと。
オーガスタスと共に二人同時に、揃ってリーラスから顔背け、突然歩き出して、リーラスをその場に置き去りにした。
ギュンターとディングレーは、突然離脱する二人を見た後、顔を見合わせる。
「…ナンだっけ」
のディングレーの言葉に、ギュンターも脇に追いやったすべきコトを突然思い出し
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