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7 逆転し始める優位
襲撃停止で歓喜するエルベス大公家と、回復し始めるギュンターに手を焼くローフィス
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ニーシャがゼフィスを三人の貴公子とサランフォール公爵に任せ、大公邸の門を馬車で潜った時。
屋敷内では領地からの報告を携えた使者らと召使い達が、相変わらずけたたましく駆け回っていた。
「エルベス様!
出荷馬車が襲撃を受けず、無事目的地へ到着したとの至急の知らせが!」
「アナンダ領からも!
無事到着したと!」
エラインと彼の母は、同時に顔を見合わせ、叫ぶ。
「アイリスが、やったんだわ!」
エルベスは驚愕の表情で、囁く。
「彼が発って、まだたった三日しか、経っていないのに…?」
けれど執事は、別室に詰めかけている、母の知人から寄越された腕自慢の護衛達に、視線を振って囁く。
「…彼らをどこに、割り振りましょうか?
それにまだ、続々と…。
御公母の知り合いからの紹介状を携えた騎士らが…門を潜ってきておりますが…」
エルベスは、笑った。
「彼らを全て通して、領地護衛に割り振ってくれ!
全て、雇う!」
だが、執事は囁く。
「けど…命を落とした護衛らと領民達の、遺族の補償。
荷馬車の損害。
そして…護衛への給料…。
膨大な、出費ですが…」
だがその時、即座に母が言い放った。
「私の宝石を幾つか、売るわ。
エルベスの、言うとおりにして頂戴」
「御公母がそうおっしゃるのなら…」
エルベスは母に微笑んで、礼を述べようとした。
が、母はエルベスを見つめる。
「…それで?
護衛達をひとまずの仕事に就かせた後、どう使うつもりなの?」
エルベスはとても、高貴に微笑んだ。
「だってロスフォール大公に、一方的に攻撃されたままじゃ、ニーシャ姉様に怒られますからね」
エラインが背を向け、駆け出しながら振り向き、大声で叫んだ。
「ナスタ領の遺族の元へ、今から行かなくちゃだけど!
ぜひ、仕返しの提案をさせて!
私が帰るまで、ちゃんと待っててよ!」
そう、帽子をかぶりながら、慌ただしく出て行く。
エルベスと母が顔を見合わせ、エルベスが肩を竦めかけた所で。
母も言う。
「私も仕返したい案が、幾つかあるけど。
実行可能か、検証してくれる?」
エルベスは復讐が大好きな、優雅で気品に溢れた母の顔を、ため息交じりに凝視した。
その時、話を戸口で聞いていたニーシャが、室内に入って来る。
「エルベス。
呆れるのは早いわ。
私も…」
そう言いかけると、母が遮る。
「こっちの楽しみは、私とエラインでします。
貴方は、ゼフィスに仕返せるじゃない?」
エルベスが見ていると、ニーシャは腕組み、ため息交じりに囁いた。
「お母様も、相当鬱憤が溜まっていたのね…」
「当たり前よ!」
叫んで、控えてる召使いに振り向く。
「何をしてるの!
今夜は宴会よ!
ごちそうを山程用意して!
来た使者達や、寄った護衛や領民達。
それに、召使い全員にお腹いっぱい、振る舞って!」
エルベスがこっそり、母に耳打ちする。
「…あまりハデにやると…。
ロスフォール大公に、こっちがお祭り騒ぎな事情がバレますよ」
ニーシャがぴしゃり!と言い切った。
「ロスフォール大公はゼフィスと、絶対連絡が取れないように、私がするから。
この屋敷程度なら、騒いでも大丈夫よ」
母はうきうきして叫んだ。
「すっかりゼフィスを、銀の影の一族から追い払ったら。
どこの領地でも大宴会を開き、領民達にたらふく食べて貰うわ!!!
ロスフォールの、悔し顔が見られないのが残念だけど!!!」
ブログナの夜。
ゼフィスは思い切り着飾り、豊満な胸を相変わらずぎりぎりまで露出したドレスを身に纏い、女王のように客達の集う広間へと、姿を現す。
紳士達は女性に素晴らしい宝飾品をプレゼントし、食事やダンス。
夜の情事を楽しむ。
ゼフィスは三人の貴公子達から、素晴らしい宝石飾りを受け取り、瞳を輝かせてそのプレゼントを身に付け、得意の絶頂。
つい、周囲の淑女らに、きらきら光る宝飾品を、鼻高々に見せびらかして歩いた。
ニーシャは待機してる屋敷の隠れ部屋に、サランフォール公がやって来て
「私が見張ってる意味、あります?!」
と、文句言いに来るのを聞いた。
「で?
首尾はどう?」
「どう…って、ゼフィスは天下取ったような勢いで、淑女達の中、女王気取りで顰蹙買ってますよ。
ご招待したご婦人達が皆、物の分かった大人ばかりですから。
不快な事など、気づかぬふりをして、各々楽しんでいらっしゃいますけど」
「…私の取り巻き達、三人もゲームを楽しんでるわ。
ま、彼女を楽しませたご褒美が私だから。
嫌が上でも張り切るわね」
「…そんな褒美で良く、あんな毒女の相手が出来ますね」
ニーシャがまた、ジロッ!とサランフォール公を睨んだ。
が、公は咄嗟に顔を背け、ニーシャから視線をそらした。
カンカンカンカンカンっ!!!
「………………………………………」
その頃。
近衛連隊、ローフィスの隊長宿舎では。
胃腸の苦しみから解放されたギュンターが。
皿をナイフで叩きまくり。
おかわりを要求する、その抗議に。
ローフィスは、悩まされていた。
ディングレーは、食卓に座るギュンターの斜め横に立って、腕組みし。
「今日はそれだけだ」
と告げると、ギュンターは言ったディングレーを睨み付け、皿をナイフで、激しく叩きまくる。
カンカンカンカンカンカンカン…!
ディングレーはそのカン高い五月蠅さに、思わず耳に両手を当てる。
ローフィスがやって来ると。
ディアヴォロスが届けた、ひたすら苦い薬草を、ギュンターに差し出す。
が。
ギュンターはローフィスの手からグラスをひったくりながら、怒鳴る。
「腹がこんなに減りまくってるのに!
眠れるか!!!」
勢いで薬草を煽る。
ディングレーはその後、歯を剥き空腹を訴えていた美貌の野獣が。
見た事も無い程、苦さで酷く顔を歪め、表情を崩す、その顔を。
惚けて見た。
「(…いつも表情の出ないギュンターが。
こんだけ、顔面崩す薬草………。
…………って、一体………………………………。
…………俺は絶対、毒を盛られないよう、注意しよう………)」
俯き加減で、顎に手をやるディングレーを、ローフィスは見上げ。
ギュンターの方へ、顎をしゃくる。
ディングレーは気づいて、ギュンターを見る。
ギュンターはテーブルに突っ伏し、気絶するように、眠っていた。
「糞!!!」
ディングレーは、ぐったりするギュンターの腕を、掴み抱き寄せ。
寝台まで、文字道理、引きずって。
ローフィスに、ギュンターの足を寝台に引き上げて貰い。
両脇に腕を入れて、重たい上半身を寝台の上に抱え上げ。
二人がかりで何とか、ギュンターを寝台に、横たえた。
ローフィスに頷かれ、ディングレーはローフィスの後に続いて、部屋を出る。
「で。
ディアヴォロスからの薬草…。
そろそろ、切れそうか?」
ディングレーの囁きに、ローフィスは部屋を出て、振り向く。
「?
まだ、たっぷりあるから、心配要らない」
「…………ギュンターが治っても………まだ余りそう?」
「?」
ローフィスは、ディングレーの言わんとすることが分からず。
が、頷いた。
「思いっきり、たっぷり残る」
ディングレーはそれを聞いて、顔を下げ、口元に手を持って行き。
改めて、決意した。
「(俺は、あんな薬草を飲まなきゃ成らない事態だけは。
絶っっっっっっっっっっっっっっっっっっ対、避けるぞ………!!!)」
屋敷内では領地からの報告を携えた使者らと召使い達が、相変わらずけたたましく駆け回っていた。
「エルベス様!
出荷馬車が襲撃を受けず、無事目的地へ到着したとの至急の知らせが!」
「アナンダ領からも!
無事到着したと!」
エラインと彼の母は、同時に顔を見合わせ、叫ぶ。
「アイリスが、やったんだわ!」
エルベスは驚愕の表情で、囁く。
「彼が発って、まだたった三日しか、経っていないのに…?」
けれど執事は、別室に詰めかけている、母の知人から寄越された腕自慢の護衛達に、視線を振って囁く。
「…彼らをどこに、割り振りましょうか?
それにまだ、続々と…。
御公母の知り合いからの紹介状を携えた騎士らが…門を潜ってきておりますが…」
エルベスは、笑った。
「彼らを全て通して、領地護衛に割り振ってくれ!
全て、雇う!」
だが、執事は囁く。
「けど…命を落とした護衛らと領民達の、遺族の補償。
荷馬車の損害。
そして…護衛への給料…。
膨大な、出費ですが…」
だがその時、即座に母が言い放った。
「私の宝石を幾つか、売るわ。
エルベスの、言うとおりにして頂戴」
「御公母がそうおっしゃるのなら…」
エルベスは母に微笑んで、礼を述べようとした。
が、母はエルベスを見つめる。
「…それで?
護衛達をひとまずの仕事に就かせた後、どう使うつもりなの?」
エルベスはとても、高貴に微笑んだ。
「だってロスフォール大公に、一方的に攻撃されたままじゃ、ニーシャ姉様に怒られますからね」
エラインが背を向け、駆け出しながら振り向き、大声で叫んだ。
「ナスタ領の遺族の元へ、今から行かなくちゃだけど!
ぜひ、仕返しの提案をさせて!
私が帰るまで、ちゃんと待っててよ!」
そう、帽子をかぶりながら、慌ただしく出て行く。
エルベスと母が顔を見合わせ、エルベスが肩を竦めかけた所で。
母も言う。
「私も仕返したい案が、幾つかあるけど。
実行可能か、検証してくれる?」
エルベスは復讐が大好きな、優雅で気品に溢れた母の顔を、ため息交じりに凝視した。
その時、話を戸口で聞いていたニーシャが、室内に入って来る。
「エルベス。
呆れるのは早いわ。
私も…」
そう言いかけると、母が遮る。
「こっちの楽しみは、私とエラインでします。
貴方は、ゼフィスに仕返せるじゃない?」
エルベスが見ていると、ニーシャは腕組み、ため息交じりに囁いた。
「お母様も、相当鬱憤が溜まっていたのね…」
「当たり前よ!」
叫んで、控えてる召使いに振り向く。
「何をしてるの!
今夜は宴会よ!
ごちそうを山程用意して!
来た使者達や、寄った護衛や領民達。
それに、召使い全員にお腹いっぱい、振る舞って!」
エルベスがこっそり、母に耳打ちする。
「…あまりハデにやると…。
ロスフォール大公に、こっちがお祭り騒ぎな事情がバレますよ」
ニーシャがぴしゃり!と言い切った。
「ロスフォール大公はゼフィスと、絶対連絡が取れないように、私がするから。
この屋敷程度なら、騒いでも大丈夫よ」
母はうきうきして叫んだ。
「すっかりゼフィスを、銀の影の一族から追い払ったら。
どこの領地でも大宴会を開き、領民達にたらふく食べて貰うわ!!!
ロスフォールの、悔し顔が見られないのが残念だけど!!!」
ブログナの夜。
ゼフィスは思い切り着飾り、豊満な胸を相変わらずぎりぎりまで露出したドレスを身に纏い、女王のように客達の集う広間へと、姿を現す。
紳士達は女性に素晴らしい宝飾品をプレゼントし、食事やダンス。
夜の情事を楽しむ。
ゼフィスは三人の貴公子達から、素晴らしい宝石飾りを受け取り、瞳を輝かせてそのプレゼントを身に付け、得意の絶頂。
つい、周囲の淑女らに、きらきら光る宝飾品を、鼻高々に見せびらかして歩いた。
ニーシャは待機してる屋敷の隠れ部屋に、サランフォール公がやって来て
「私が見張ってる意味、あります?!」
と、文句言いに来るのを聞いた。
「で?
首尾はどう?」
「どう…って、ゼフィスは天下取ったような勢いで、淑女達の中、女王気取りで顰蹙買ってますよ。
ご招待したご婦人達が皆、物の分かった大人ばかりですから。
不快な事など、気づかぬふりをして、各々楽しんでいらっしゃいますけど」
「…私の取り巻き達、三人もゲームを楽しんでるわ。
ま、彼女を楽しませたご褒美が私だから。
嫌が上でも張り切るわね」
「…そんな褒美で良く、あんな毒女の相手が出来ますね」
ニーシャがまた、ジロッ!とサランフォール公を睨んだ。
が、公は咄嗟に顔を背け、ニーシャから視線をそらした。
カンカンカンカンカンっ!!!
「………………………………………」
その頃。
近衛連隊、ローフィスの隊長宿舎では。
胃腸の苦しみから解放されたギュンターが。
皿をナイフで叩きまくり。
おかわりを要求する、その抗議に。
ローフィスは、悩まされていた。
ディングレーは、食卓に座るギュンターの斜め横に立って、腕組みし。
「今日はそれだけだ」
と告げると、ギュンターは言ったディングレーを睨み付け、皿をナイフで、激しく叩きまくる。
カンカンカンカンカンカンカン…!
ディングレーはそのカン高い五月蠅さに、思わず耳に両手を当てる。
ローフィスがやって来ると。
ディアヴォロスが届けた、ひたすら苦い薬草を、ギュンターに差し出す。
が。
ギュンターはローフィスの手からグラスをひったくりながら、怒鳴る。
「腹がこんなに減りまくってるのに!
眠れるか!!!」
勢いで薬草を煽る。
ディングレーはその後、歯を剥き空腹を訴えていた美貌の野獣が。
見た事も無い程、苦さで酷く顔を歪め、表情を崩す、その顔を。
惚けて見た。
「(…いつも表情の出ないギュンターが。
こんだけ、顔面崩す薬草………。
…………って、一体………………………………。
…………俺は絶対、毒を盛られないよう、注意しよう………)」
俯き加減で、顎に手をやるディングレーを、ローフィスは見上げ。
ギュンターの方へ、顎をしゃくる。
ディングレーは気づいて、ギュンターを見る。
ギュンターはテーブルに突っ伏し、気絶するように、眠っていた。
「糞!!!」
ディングレーは、ぐったりするギュンターの腕を、掴み抱き寄せ。
寝台まで、文字道理、引きずって。
ローフィスに、ギュンターの足を寝台に引き上げて貰い。
両脇に腕を入れて、重たい上半身を寝台の上に抱え上げ。
二人がかりで何とか、ギュンターを寝台に、横たえた。
ローフィスに頷かれ、ディングレーはローフィスの後に続いて、部屋を出る。
「で。
ディアヴォロスからの薬草…。
そろそろ、切れそうか?」
ディングレーの囁きに、ローフィスは部屋を出て、振り向く。
「?
まだ、たっぷりあるから、心配要らない」
「…………ギュンターが治っても………まだ余りそう?」
「?」
ローフィスは、ディングレーの言わんとすることが分からず。
が、頷いた。
「思いっきり、たっぷり残る」
ディングレーはそれを聞いて、顔を下げ、口元に手を持って行き。
改めて、決意した。
「(俺は、あんな薬草を飲まなきゃ成らない事態だけは。
絶っっっっっっっっっっっっっっっっっっ対、避けるぞ………!!!)」
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