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7 逆転し始める優位
サスベスを更に自分の虜にするアイリスとアドラフレンの罠にハマり続けるゼフィス
しおりを挟むその後丸一日。
アドラフレンはジャナック伯爵夫人や、ナラータス候夫人。
とても気品ある、慎み深い淑女ばかりと話し込み、ゼフィスが近づく隙も無い。
一瞬横を通りかかっても、アドラフレンは微笑を向けるだけ。
ゼフィスが声をかけようとした途端、すっ!と背を向け、去って行ってしまう。
淑女の元へと。
ゼフィスは歯ぎしりして、悔しがった。
一方サスベスは、アイリスを伴って城の中を見回る事が、好きになった。
アイリスと…触れあえる程近くに居るのに、抱き合えない。
思いが高まって…我慢出来なく成ると寝室に戻る。
そしてそんな時、アイリスに抱かれると…高まる気持ちと共に、快感も高まり…。
そして、アイリスの青年らしい顎や彼の唇。
指先に胸の鼓動はいや増して…気づくと彼を自分から、求め続けていた。
アイリスは時には強引に男らしく。
けれどもあくまで、品の良さを無くさず…イく寸前で止めながらも天使のように微笑んで、尋ねる。
「イかせて…欲しいですか?」
とても、優しい声で。
サスベスはそんなアイリスの前で、思う限りの痴態を晒し、乱れきりながら、幾度も射精し、気絶した。
けれど目が覚めると、必ずアイリスの、腕の中にいて…。
優しい表情で囁かれる。
「お目覚めですか?」
サスベスは溺れるように、アイリスを欲した。
けれど最初は、情事の快感を高める為の、城の見回りだったのに…。
次第に、アイリスと顔を出す度、部下や召使い達が、優しく…微笑んでいるのに気づく。
サスベスは、最初は照れ…。
けれど次第に、城下の者に、声をかけるようになった。
「魚は…調理が大変か?」
コックは笑って告げる。
「いいえ。
今夜は蒸し焼きでお届けできます」
微笑まれて…サスベスも、笑い返す。
「楽しみにしている」
振り向くと、背後でアイリスも、暖かな笑顔を向けている。
サスベスはこの数日…ゼフィスといた時では決して味わえなかった、ゆったりとして暖かな、心の満足を覚えた。
ブログナで、やがてシャルロネ公爵が。
そして次に、ナンタステ公が。
「そろそろ、戻らねば」
とゼフィスの元を去り、今横に居るのはレストール伯爵だけになったと言うのに。
ゼフィスはアドラフレンの気を引く事ばかり考え、上の空。
レストール伯爵はアドラフレンからの目配せを受け取り、ゼフィスの側を離れる。
三人の取り巻きが離れ、やっと出番だと思ったのか。
ゼフィスをここに、招待したシァル侯爵が。
でっぷり太った、腹を揺すり。
好色そうな目を投げかけて、近寄って来る。
「(…忘れてた!
まだ、ここに居たんだわ!)」
ゼフィスは努めて冷静に、シァル侯爵を迎えた。
正直、王宮舞踏会との架け橋で、必死に繋ぎ止めて置いたシァル侯爵だったけど。
「(もう、三人の大物と近づきなれた…。
いいえ、虜にしたから。
こんな男、用無しだわ)」
シァル侯爵が、挨拶しようと。
差し出された、ゼフィスの手を取る。
手の甲に口づけようとした、途端。
ゼフィスは叫んだ。
「お願いです!
お放しになって!」
驚いたのは、シァル侯爵の方。
「私、どうしてもあなたに応えられませんの!!!」
もっと大声を上げられ、シァル侯爵は必死に成って、人差し指を口に当て
「しーーーっ!しーーっ!!!」
と口止めする。
けれどその時、アドラフレンがやって来た。
「…どうなさいました?」
「ああ、アドラフレン様!」
ゼフィスは大げさに、アドラフレンの胸に飛び込み、抱きつく。
「…取り乱していられる。
よければこの場は、私に任せて頂けますか?」
王族の貴公子にそう言われて。
シァル侯爵は引き下がるしか、無い。
すごすごと背を向け、遠ざかる。
が、離れた場所で、悪態を付いた。
「アドラフレンのヤツ。
ゼフィスを指名しろと、わざわざ連絡を寄越して!
さては自分が手に入れたくて、私に招待させたのか!!!」
「しっ!」
背後で、サランフォール公爵がたしなめる。
「もっと素晴らしい女性をご紹介いたします。
それで…腹立ちを、引っ込めては頂けませんか?」
貴公子の中でも、気概があってとても男らしい、サランフォール公爵にそう言われ…。
シァル侯爵は、俯く。
が、直ぐ顔を上げて言った。
「で?
どんな女性を、ご紹介頂けるんで?」
サランフォール公爵は、好色なシァル侯爵に負けない位好色な、幼馴染みの名を出した。
身分も高く、割と美人で巨乳。
だが色事となったら、どんな相手でも断らない。
サランフォール公爵が、毒女嫌いになった元凶。
子供の頃真剣に惚れて、暫く付き合った。
公爵は有頂天だったが、その後奈落へ。
失恋のきっかけは、彼女が他の男と、シてる最中を目撃したから。
その後、彼女は言った。
『他の男と寝て、どこが悪いの?』
が。
シァル侯爵は大興奮。
「エラン嬢?!
ご紹介頂けるんで?!
願っても無い、光栄です!!!」
「(…どうして誰とでも平気で寝る女で、こんなに喜べるんだ…)」
サランフォール公爵は、自分とは別世界に住んでる男だらけに囲まれ、ため息を吐いた。
一方、ゼフィスは有頂天だった。
アドラフレンが自分を抱き寄せ、素晴らしく趣味の良い庭の…暗がりへと、連れて行ってくれたから。
「…シァル侯爵が、何をされたのかは分かりません。
が、ここでトラブルは御法度。
彼もそれを、承知の筈ですが…」
アドラフレンはそう言って、首を捻る。
ゼフィスは言い訳を、必死で考えた。
が、アドラフレンは囁く。
「…だがきっと、男性と女性の見解の違いでしょう。
どこか…お怪我をされたとか?」
「助けてくださったから、何とか大丈夫ですわ。
けれど気分が…」
「ああ、どこかでお体を、休められた方がいい…」
ゼフィスの、胸は高鳴った。
アドラフレンは…やはり極上品。
気品があり、柔らかく触れて、決して不快にさせない。
その上美しい貴公子なだけで無く、男らしさもあって、頼もしい…。
ゼフィスはうっとりと…アドラフレンを見つめ続けた。
その頃…。
ロスフォール大公は、エルベス大公家の出荷馬車が襲撃を受けず、無事出荷先に届いた。
と記された、羊皮紙を握りしめて怒鳴った。
「ゼフィスはどこへ行った!
一体、何をしてる?!!!!」
ラデュークは直ぐ、室内を出ると厩へ走り、馬に飛び乗り、風のように駆けた。
が。
連絡先であるディドロ男爵も。
そしてもう一つ。
緊急連絡先の、レデナンダル邸のナーダですら。
首を横に振り
「連絡はございません」
そう告げるだけ。
ゼフィスに与えた邸宅の、隅々まで探す。
が、幾つかの招待状は見つけるものの…。
全てとっくに、開催期間は終わっていた。
知り合いの男としけ込んでいるのかと。
召使いに、訪問客について尋ねるが…。
誰も、来ていない。
「ただ…」
執事が口を開く。
「どこからかは不明ですが…。
招待状が、来ていました」
「どこの使者か。
分からぬのか?!」
「残念ながら…」
「招待状は?!」
「おそらくゼフィス様が、持って行かれたのかと」
ラデュークは仕方無く、ゼフィスが最後に使った、馬車の御者に行き先を問い正す。
が。
途中で別の馬車に乗り換えたと。
そしてその馬車が、どこの、誰の馬車かは不明………。
ラデュークは仕方無く、手ぶらでロスフォール大公の元へ、戻る。
そして首尾を報告すると、ロスフォール大公は低い…怒りを押さえた声で囁く。
「伯爵領の領主の名前から、ゼフィスを消せ…!
お前の部下を総動員して…ゼフィスが乗り換えたという、馬車を探せ!」
ラデュークは深く、頭を垂れる。
そして…自分の隠密部隊に命を下した。
何としても!
ゼフィスを乗せた、馬車を突き止めろと。
ラデュークが、ロスフォール大公の元に戻ると。
大公は、銀髪の影の一族へ差し向けた、使者を呼び出していた。
「前回も、今回も。
部下は門を開けて。
確かに、命令書を受け取りました」
大公は、怒りに震えた。
「受け取るだけで。
命令は、出していないんだな?!
ラデューク!
直ぐ様、都にいる影の一族の、部下らの所在を突き止め。
命令がどうして実行されていないのかを探れ!!!」
ラデュークは一礼し、直ぐ部屋を退出し…。
数名の部下を連れ、自ら直ぐ様、都の影の一族の、部下らのアジトがあると噂の、場所へと馬を、走らせた。
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