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9 復活を果たすエルベス大公家とギュンター
ラデュークの行方を問い正すロスフォール大公と挽回を謀るゼフィス
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ロスフォール大公邸では、デュカスの副長ナグルスが呼び出されていた。
「それで…ラデュークはどうやっても…居所が掴めぬと?!」
大公に怒鳴られて、ナグルスは言い返す。
「ですがラデュークだけで無く、他の部下らも次々と、姿を消しています」
「どういう事だ!」
「分かりません!
分からない…何が起きてるのか。
分かってるのは…。
どこかの組織が動いていると言うこと」
「どこだ?!」
が、ナグルスは顔を下げ…首を横に、振った。
「…仕方が無い!
至急、レスルに連絡を取れ!
私が、雇いたいと!
…お前は…残ってる部下をかき集め、隠れ家に集めて…大公家の荷馬車を襲え!」
ナグルスは、顔を上げて命じた大公を見る。
「…我々が…襲うのですか?!」
大公は顔を下げた。
「…もはや影の一族は、あてに出来ぬ。
今、止めたらエルベス大公家を滅することなど、到底出来ない!」
ナグルスは一礼して、下がった。
廊下に出ると、待機している部下の一人に
「レスルに“雇いたい”と、至急連絡を送れ」
と小声で命じ、ラデュークの側仕えの部下に尋ねる。
「ラデュークが立てた、荷馬車の襲撃計画は。
…奴の部屋か?」
側仕えの部下は、頷く。
が、内心呟く。
「(彼…ラデュークがいた時は、平身低頭…。
ひたすら控えめだったのに。
姿を消した途端、随分偉くなったものだ…)」
ナグルスは察して、側仕えの部下を見る。
「…ラデュークは…言ってなかったか?
どの組織が動き始めていると」
側仕えの部下は、ナグルスの声色が変わり…。
ふと、顔を上げる。
ナグルスが、囁く。
「…切り崩されてる。
ラデュークが消えたことが…こちらの敗北、決定なら…俺も身の振り方を考えねばならぬ」
「では、大公に命じられた襲撃はしないと?」
小声で言葉を返すと、ナグルスは囁いた。
「俺は“アニュス”にまだ姿が消えてない仲間を集める。
“レスル”から大公へと返事が来たら、直ぐ知らせてくれ」
「…レスルがこちらに付かねば…襲撃はしないと?」
「…襲撃はする。
やりたがってる馬鹿が、たくさんいるからな。
だが…レスルがこちらに付かねば…俺は指揮は執らない」
側仕えの部下は、頷く。
ナグルスは、親密さを交えた声色で、更に告げた。
「ここに居れば今の所安全だ。
ラデュークを始め…消えた部下らが。
今、どんな目に合ってるのか…。
それが分からないのが…不安材料だな」
側仕えの部下は顔を上げ…目端の利く男が廊下を去って行く…その背を、見送った。
ナグルスは、大公邸内は、安全だと思った。
が、馬を繋いである厩で、二人の馬丁に囲まれる。
一人が、笑う。
「…レスルが、大公に断ったら?」
ナグルスは部下に指示を出した時、廊下を通り過ぎた…侍従の一人の顔を、突然思い返す。
「(同じ…男!大公邸にも多数。
既に、潜り込んでいるのか?!)
…どこの、者だ」
「…レスル」
ナグルスは、顔を上げた。
そして…震えるようにして…笑い出す。
「…っふ…は…はっ…。
エルベス大公家が先に、レスルを雇ったのか?」
男は、頷く。
「一緒に来て、貰おうか。
それとも大公に忠義立てて。
レスルがエルベス大公家に、既に先に、雇われてると。
注進に上がるか?」
「…レスルなら…捕虜の扱いは、左程酷くないな?」
その言葉に、馬丁邸は頷き…。
ナグルスは二人の馬丁に、付いて行った。
その頃。
ゼフィスは窓のカーテンを全て閉ざし、蝋燭の明かりだけが頼りの、真っ暗な部屋で待ちくたびれた。
「(…どうして…?
どうして…影の一族の城から、使者が来ないの?!)」
だがとっくに来て良いはずの、ラデュークも来ない。
侍従に様子を尋ねると。
ラデュークは行方不明で、今だ所在不明。
ロスフォール大公が、部下を総動員させて探しているとの事。
ゼフィスは笑った。
「(…あの!
いけすかない男が、行方不明…?
きっととっくに、殺されてるわよ!)」
ゼフィスは笑みが零れるのを止められなかった。
が。
ぐすぐすしていたら…豊富な部下を持つ、ロスフォール大公のこと。
きっと、他の男を差し向けて来る。
ゼフィスはとうとう、立ち上がって叫んだ。
「使者を!
影の一族の城に!」
羊皮紙に思いをしたため、待ってる使者に手渡す。
そしてやつれきった顔を尊大に上げ、つん。
として言い渡す。
「呼ばれたら直ぐ出向くと。
サスベスに、伝えて頂戴」
使者は一礼して、退室した。
ゼフィスはとりあえずの手を打ち、けれど手の中から、最強の暗殺集団が、滑り落ちて行く感覚が離れず…。
ロスフォール大公が、ラデュークを探してる間。
何としても挽回のチャンスを掴まねば!
と、思案し始めた。
が。
気づいて、鏡を見る。
「(嫌だ…頬が、こけてる!
目の下も黒いわ。
こんな風情じゃ…例えサスベスに呼ばれても、誘惑出来ないじゃないの…!)」
「食事を持ってきて。
お風呂も。
…後で、衣装部屋に行くから。
ドレスと宝石を、出して置いて」
「お出かけされるのですか?」
侍従に問われ…ゼフィスはやつれながらも暗い輝きを帯びた艶を取り戻し、斜に見つめて言葉を返す。
「多分、直に」
「それで…ラデュークはどうやっても…居所が掴めぬと?!」
大公に怒鳴られて、ナグルスは言い返す。
「ですがラデュークだけで無く、他の部下らも次々と、姿を消しています」
「どういう事だ!」
「分かりません!
分からない…何が起きてるのか。
分かってるのは…。
どこかの組織が動いていると言うこと」
「どこだ?!」
が、ナグルスは顔を下げ…首を横に、振った。
「…仕方が無い!
至急、レスルに連絡を取れ!
私が、雇いたいと!
…お前は…残ってる部下をかき集め、隠れ家に集めて…大公家の荷馬車を襲え!」
ナグルスは、顔を上げて命じた大公を見る。
「…我々が…襲うのですか?!」
大公は顔を下げた。
「…もはや影の一族は、あてに出来ぬ。
今、止めたらエルベス大公家を滅することなど、到底出来ない!」
ナグルスは一礼して、下がった。
廊下に出ると、待機している部下の一人に
「レスルに“雇いたい”と、至急連絡を送れ」
と小声で命じ、ラデュークの側仕えの部下に尋ねる。
「ラデュークが立てた、荷馬車の襲撃計画は。
…奴の部屋か?」
側仕えの部下は、頷く。
が、内心呟く。
「(彼…ラデュークがいた時は、平身低頭…。
ひたすら控えめだったのに。
姿を消した途端、随分偉くなったものだ…)」
ナグルスは察して、側仕えの部下を見る。
「…ラデュークは…言ってなかったか?
どの組織が動き始めていると」
側仕えの部下は、ナグルスの声色が変わり…。
ふと、顔を上げる。
ナグルスが、囁く。
「…切り崩されてる。
ラデュークが消えたことが…こちらの敗北、決定なら…俺も身の振り方を考えねばならぬ」
「では、大公に命じられた襲撃はしないと?」
小声で言葉を返すと、ナグルスは囁いた。
「俺は“アニュス”にまだ姿が消えてない仲間を集める。
“レスル”から大公へと返事が来たら、直ぐ知らせてくれ」
「…レスルがこちらに付かねば…襲撃はしないと?」
「…襲撃はする。
やりたがってる馬鹿が、たくさんいるからな。
だが…レスルがこちらに付かねば…俺は指揮は執らない」
側仕えの部下は、頷く。
ナグルスは、親密さを交えた声色で、更に告げた。
「ここに居れば今の所安全だ。
ラデュークを始め…消えた部下らが。
今、どんな目に合ってるのか…。
それが分からないのが…不安材料だな」
側仕えの部下は顔を上げ…目端の利く男が廊下を去って行く…その背を、見送った。
ナグルスは、大公邸内は、安全だと思った。
が、馬を繋いである厩で、二人の馬丁に囲まれる。
一人が、笑う。
「…レスルが、大公に断ったら?」
ナグルスは部下に指示を出した時、廊下を通り過ぎた…侍従の一人の顔を、突然思い返す。
「(同じ…男!大公邸にも多数。
既に、潜り込んでいるのか?!)
…どこの、者だ」
「…レスル」
ナグルスは、顔を上げた。
そして…震えるようにして…笑い出す。
「…っふ…は…はっ…。
エルベス大公家が先に、レスルを雇ったのか?」
男は、頷く。
「一緒に来て、貰おうか。
それとも大公に忠義立てて。
レスルがエルベス大公家に、既に先に、雇われてると。
注進に上がるか?」
「…レスルなら…捕虜の扱いは、左程酷くないな?」
その言葉に、馬丁邸は頷き…。
ナグルスは二人の馬丁に、付いて行った。
その頃。
ゼフィスは窓のカーテンを全て閉ざし、蝋燭の明かりだけが頼りの、真っ暗な部屋で待ちくたびれた。
「(…どうして…?
どうして…影の一族の城から、使者が来ないの?!)」
だがとっくに来て良いはずの、ラデュークも来ない。
侍従に様子を尋ねると。
ラデュークは行方不明で、今だ所在不明。
ロスフォール大公が、部下を総動員させて探しているとの事。
ゼフィスは笑った。
「(…あの!
いけすかない男が、行方不明…?
きっととっくに、殺されてるわよ!)」
ゼフィスは笑みが零れるのを止められなかった。
が。
ぐすぐすしていたら…豊富な部下を持つ、ロスフォール大公のこと。
きっと、他の男を差し向けて来る。
ゼフィスはとうとう、立ち上がって叫んだ。
「使者を!
影の一族の城に!」
羊皮紙に思いをしたため、待ってる使者に手渡す。
そしてやつれきった顔を尊大に上げ、つん。
として言い渡す。
「呼ばれたら直ぐ出向くと。
サスベスに、伝えて頂戴」
使者は一礼して、退室した。
ゼフィスはとりあえずの手を打ち、けれど手の中から、最強の暗殺集団が、滑り落ちて行く感覚が離れず…。
ロスフォール大公が、ラデュークを探してる間。
何としても挽回のチャンスを掴まねば!
と、思案し始めた。
が。
気づいて、鏡を見る。
「(嫌だ…頬が、こけてる!
目の下も黒いわ。
こんな風情じゃ…例えサスベスに呼ばれても、誘惑出来ないじゃないの…!)」
「食事を持ってきて。
お風呂も。
…後で、衣装部屋に行くから。
ドレスと宝石を、出して置いて」
「お出かけされるのですか?」
侍従に問われ…ゼフィスはやつれながらも暗い輝きを帯びた艶を取り戻し、斜に見つめて言葉を返す。
「多分、直に」
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