アースルーリンドの騎士達 妖女ゼフィスの陰謀

あーす。

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10 逆転する明暗

ナイアス街道、広場での戦い

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 ニーシャは自室で、使者よりの羊皮紙を受け取り、囁く。

「ナイアス街道の、広場をご存知?
今夜二点鐘。
…お望みなら剣で、決着をつけましょうと。
そう告げて」

使者は頷く。
間もなくその使者は再び、大公家を訪れ、『二点鐘に広場でお待ちする』
との返事を、受け取った。

「姉様、本気ですか?」
弟のエルベス大公が、直ぐ事情を知って、部屋へとやって来る。



ニーシャは男装に着替え、銀のウィッグを付けてる途中で、多分他も来るなと予想し…。
直ぐに母と、そして妹エラインまでもがノックもせずに、駆け込んで来るを見て、ため息を吐く。

更に、甥のアイリス。
そしてアドラフレンまでもが、部屋に傾れ込んで来て…ニーシャは呆れた。





「…おそろいね?」

「私が、行きます」
エルベスが言い放ち、が直ぐ、アドラフレンも。
「私が出かけて、逮捕します」
エラインは二人に言葉をさらわれ、ムキになって叫ぶ。
「遺族を見舞ったのは、私よ?
私が!
ゼフィスに剣を振る権利があるのよ?!」

大公母はそれを聞いて、ぼやく。
「なら苦労して護衛を手配した、私にもっと、権利があるはずよ?」

「…お二人が女性ながら、大変剣が使えるのも。
ニーシャ伯母様がお二人よりもっと。
剣が使えるのも知っています。
が、ゼフィスが一番斬りたいのは、私だと思うし。
私が対決します」

甥のアイリスの言葉を聞いて、やっとニーシャは銀髪のウィッグを付け終わり、振り向く。

「ゼフィスのご指名は、私なのに?」



「なら私たちも、一緒に行くわ!」
エラインの言葉に、大公母も。
「そうよね?
誰が一番権利があるのか。
ゼフィスに決めて貰いましょうよ」
と言い出し。
アイリスは
「それなら私がゼフィスに、選ばれる自信があります。
サスベスを寝取ったのは、私ですし」
と言い。

それを聞いたエルベスが、横で項垂れてるのを見て、アドラフレンが叫ぶ。
「お分かりでは無いでしょうが!
ゼフィスは私が逮捕します!
ロスフォール大公の、裏家業も詳細に知ってるはずですから!」

みんな、一斉に叫ぶアドラフレンを見た後。
ニーシャがぼやく。

「だってそんなの、もう逮捕したロスフォール大公の部下から、もっと詳しく聞けるじゃ無い」

エラインも、叫び返す。
「ゼフィスは剣で。
対決したいとニーシャ姉様に言ったんでしょう?!」

大公母も、畳みかける。
「そうよ。
犯罪人の、最後の願い位、聞いてあげるのが人情なんじゃ無いの?」

アイリスも不満げに告げる。
「舞踏会で、ニーシャ伯母様に散々脅されたんでしょう?
逃げ続けるより、潔く剣に倒れる方を選んだんですから」

エルベスが、俯く。
「でも…有り金使って刺客を雇い、姉様を亡き者にしようとする、企みかも知れませんけど…」

皆、そう呟くエルベスに振り向き、アドラフレンがその隙に言い放つ。
「ですから私が!
出向いて、刺客が居れば叩き斬り。
ゼフィスがもし居れば!
これ以上の悪さしないよう、逮捕するんです!」

けれどエルベスは、そう叫ぶ横のアドラフレンを、気の毒そうに見た。

「…我が家の女性陣を黙らせるのは…もの凄く、大変ですよ?」

アドラフレンは、頷く。
「私も、絶対同行いたします。
ダメなら…貴方方が持ち去ったロスフォール大公のお宝を、全部没収しますから!」

エラインと大公母は、アドラフレンを見た。
大公母が、聞く。
「没収だけ?」
エラインも、とぼける。
「逮捕は、なさらないの?」

アドラフレンは二人を見て、言う。
「どこからか、行方の知らない場所から、突然出て来たと。
言う位の、配慮はありますよ」

二人は、顔を見合わせる。

「ちゃんと様子を見て、場の空気を読んで下さるんなら。
同行されても構いませんわ!」
大公母の言葉に、ニーシャはため息を吐く。

「呼び出されたのは、私なんだけど」

結局、刺客が大勢来るかも知れないと。
皆はぞろぞろ、ニーシャに付いて来た。




 月明かりで照らされた、人気の無いナイアス街道の、石畳の広場。
ニーシャが馬車から降りた途端、あちこちから男が、ぞろぞろと出てくる。

「…なんだ。男か?」
「華奢な男だ。
美女の男装だ。
そうだろ?別嬪さん」

けれどニーシャの後から。
エラインも男装で、馬車から降り立って言う。
「…貴方方…そのご面相で、姉様に好かれるとお思いなの?」

その後から、大公母までズボン姿で、降り立つ。
「…あら確かに、凄いご面相の殿方ばっかりね…。
ゼフィスって…確か女性だったわよね?」

その後、もう一台馬車がやって来ては止まり、中からエルベスが直ぐに剣を抜いて、飛び出して来る。

「やっぱり、刺客ですか?!」

大公母とエライン、ニーシャの前に立って、三人を背に庇う。

だが三人の、男装の婦人らは、互いの顔を見合わせていた。

アドラフレンが降り立ち、ゆっくりと剣を抜く。

「ご婦人方のお目当ては、ゼフィスでしょう…。
この場は男に、任せて頂けませんか?」

アイリスも降りて来て、三人の男装の婦人の前に、庇い立つエルベスと、剣を抜いてエルベスの横に並び行く、アドラフレンを見つめ、呟く。

「…数が、多いですね…。
私も男ですから。
助っ人、させてくれますよね?」

けれど歩き出すアイリスに、三人の婦人は次々に呟く。
「ドレス姿で貴婦人してると…結構ストレス溜まるのに…」
大公母のぼやきを先頭に、エラインもが口開く。

「そうよね。
このごろつきさん達相手なら…どれだけ傷つけても、逮捕されないんでしょう?」

ニーシャは剣を、びゅっ!びゅっ!と振って、呻く。
「ほら。
剣も血が吸いたいって」

「あら。
剣にモノ言わせるの?!」
母が言うと、エラインも。
「姉様の言い回しって、独特よね」

アイリスはエルベスとアドラフレンの横に並ぼうとし、思わずそのセリフの数々に、コケそうになって歩を止めた。
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