アースルーリンドの騎士達 妖女ゼフィスの陰謀

あーす。

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10 逆転する明暗

やっとマトモ?に、ローランデと愛し合えたギュンター

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 三日目の夜。
とうとう、業を煮やして、ギュンターは出かける。
王立騎士養成学校の門番が、慌てて飛び出すが、蹴散らす勢いで乗り込み、厩で馬を繋ぐなり、宿舎に駆け込む。

ローランデの部屋の扉をノックする。
召使いが扉を開けた途端、ずかずかと許可も取らず、中へ入る。
ローランデはソファでお茶を飲んでいて…突然訪問したギュンターに、ぎょっ!とする。

ギュンターは…愛しのローランデの姿を目にし、感激で声が詰まった。

「………………………………………………」

ローランデは驚きすぎて、声が出ず。
ギュンターは感激のあまり、無言。

そしてとうとう、ギュンターはローランデの側へと、歩み寄る。
ローランデは戸惑った。
が、横に座るよう、場所を空ける。

が、気づいたギュンターは、言った。
「…ここで、押し倒して良いのか?
俺は構わないが…召使いが来たら見られるぞ?」

ローランデは一辺に憤慨して、怒鳴った。
「いきなり寝室に、通せと言うつもりか?!
こんな時間に断りもせず侵入して来た君を?!!!!」

が。
ギュンターはローランデの横に雪崩れ込み、直ぐ腕に抱き寄せて囁く。
「会いたかった…!」
「私だって君の事心配して…」

けどもう。
ギュンターは倒れ込み、ローランデの唇を塞ぎ。
直ぐ、股間に手を這わせ、ローランデを煽り立てる。

「ん…っんっ!
ギュンター!」

口づげをハズされ、叫ばれてギュンターは、腕の中のローランデを見る。
愛しい…澄んだ青い瞳が瞬いて、その美しさに見惚れてると。

「…分かった。
寝室に行こう」
ローランデはそう、言った。

ローランデの後に続きながら。
ギュンターは問い続けた。
「仕方無く。か?
俺が、手が早い男だから?
でもお前だって。
俺に、蕩けさせられるの、好きだろう?」

ローランデはギュンターを睨み付け。
ギュンターが室内に入ると、バタン!と腹立ち紛れに、大きな音立てて扉を閉める。

ギュンターはその音で、少し項垂れて、ローランデに囁く。
「………どうしたい?」
「ちゃんと、事の顛末を。
君の口から聞きたい。
ゼフィスとは、一度も寝てないって君の意見。
私は絶対嘘だと思うと、ヤッケルに言った」

ギュンターは、目を見開いて叫ぶ。
「寝てない!
幾ら俺がコマしでも…!
そこまで、節操なしじゃない!」
「………だから、そういう事をちゃんと、聞きたいんだ!
噂じゃ無くて!!!」

「…俺が…ゼフィスと寝て、冷たく振って、捨てたから。
恨まれて襲撃され、毒を盛られたと…思ってたのか?」

ローランデは、頷く。
「今迄の君の所業からして。
私とシェイルは、君が寝てる派で。
ヤッケルとフィンスは
“ギュンターはそんなとこで格好つけたい男じゃないから、真実を言ってると思う”
と擁護した。
シェイルが“ギュンターを庇ってる”
って二人を責めたら、二人は肩すくめて
“ギュンターは普通なら恥と思われる事も平気でする男だから。
寝てない女に、恨まれて殺されかけた。
なんて超絶、格好悪い事を。
平然と告白したりする”
…そう言うから、今度は
『一度も寝てない女に、恨まれて殺されかけることは、格好良いのか、悪いのか』
の議論になった」

ギュンターは呆れて言葉が無くなった。
ものの、言った。
「………………………………単に俺は。
言い訳ると、回りくどくなるし。
回りくどいのが嫌いだから。
気づくと真実を、そのまま言ってる事が、多い」

「ほら!
真実じゃ無い時も、あるんだろう?!」

「…………………だがほぼ、真実だ。
都合の悪い時は、口閉じてるから」

ローランデが、呆れた。
「それ、私の時。
都合が悪くなると、毎度押し倒して、強引に口封じてるだろう?!」

ギュンターが、それを聞いて項垂れる。
「オーガスタスに言われたから。
今度からは、自重する」
「…オーガスタスに…?
何て?」
「…衝動のまま、ローランデとロクに話さず突っ走ってると。
その内、お前に“顔も見たくないほど、嫌いだ!”
と言われると…」

ローランデは項垂れてるギュンターを、そっ…と、見上げる。
美貌でいつも無表情。
誰からも乞われる、彼なのに…。
自分の口から出るかも知れない、そんな一言で。
凄く打撃を受けたように、沈んでる。

ローランデは、不思議な物を見るように、ギュンターを見た。
「私に…嫌いだ。って言われるのは…キツいのか?」
そっ…と聞くと。
ギュンターは怒鳴った。
「“顔も見たくないほど、嫌い!”
だ!
…つまり…もう会いたくないって事だろう?
だからそれは…」

「…私と会えないと、辛い…から?」
「…半端なく、辛い」

ローランデは素直に自分の感情を吐露する、ギュンターの項垂れた横顔を、見つめ続けた。

「…俺がゼフィスを振った現場は、大勢見てる。
殆ど貴婦人だが…。
きっと聞いたら、証言してくれる。
俺は…面と向かって振っといて、後でこっそり、寝る男じゃない」

ローランデは、自分にギュンターが惚れた時。
誰がいようがお構いなしに、口説き続けた事を、思い返す。

“直情型の、典型だ。
あの取り澄ました美貌と表情の無さが、そう見せないだけで”

判断力の優れた、ヤッケルがそう言ってた。

ローランデが、俯く。
「…寝て…無いのに、どうしてそこまで、恨まれる?
暗殺されるまで?」

問われて、ギュンターは囁く。
「俺を利用し、俺に気がある王家の姫君、タニアの権力を使いたかったらしい…。
つまり、俺にだけでなく、王族の権力にも、振られた事になるから意味が、普通より重かったんだろう?」

「…君は、王家の姫君とも、寝たのか?!」

ローランデに問われ、ギュンターは首を横に振る。
「三曲、踊っただけだ。
ああ…きっかけになったのは…近衛の乱暴者が、華奢な姫の腕掴んでて。
俺はその男の事が、大嫌いで。
掴まれて痛そうな姫君に同情して。
つい…そいつの、脛を蹴ったんだ。
たいして強く蹴ったつもりは無かった。
が、ヤツは隊長してるからプライド高く、たかが新兵の俺に、阻まれて頭キたらしく、次の瞬間、拳振られた。
避けたが。
俺も喧嘩を買うつもりだったが、結局オーガスタスが諫めた。
王宮舞踏会で、殴り合うな。
と言って」

「…王宮舞踏会で…殴り合う気だったのか?!」

ローランデに驚かれて。
ギュンターはローランデを見た。
やっぱり…愛おしさがこみ上げ、感情が、あふれ出る。

「マズいのか?」

ローランデはどんな場所でも、自分を貫き通す、ギュンターに呆れ…。
けれどもそれだからこそ、魅力的な、その男を呆けて、見上げた。

「ローフィスならきっと
“とてつもなく、マズい”と、言うと思うし、私も同意見だ」

ギュンターは…遠回しにそう、言われ…。
もぞ…と身をよじった。

「…凄く、他人行儀に感じる。
お前いつも…話すと他人と、都合が悪くならないよう、距離置くだろう?
俺はそれが嫌で…つまり直ぐ、抱いちまう。
でもお前は、距離作っておきたいのか?」

ローランデはそう言う…ギュンターを、凝視した。
確かに…人に、みっともない所を今迄、見せた例しがない。

けどギュンターと居ると…どんなみっとも無い自分でも、受け止めて愛してくれるから…。
時々、凄くそれが温かくて…。

ギュンターの温もりが無いと、寒々と感じる夜もあった………。

ローランデが、頬を染めて俯く。
ギュンターはそれを目にし、囁く。
「お前、色白だから。
嘘付けないな。
俺に構われて…結構、嬉しいんだろう?」

が、ローランデは無言。

ギュンターには、分かっていた。
体面が、大切な身分高い男。

たとえどれだけそれが真実でも…肯定、出来やしない彼の事情を。

「…答えなくて、いい。
拒絶さえ…されなかったら俺は、それで…………」

ローランデは、労るようにギュンターにやんわり、抱きすくめられて…。
ギュンターの頼もしい、胸に顔を埋めた。

顎にギュンターの指先が触れ、そっと顔を上げると。
ギュンターの顔が、被さってくる。

柔らかく…優しく口づけられて、ローランデはうっとりする。

もう、寝台に押し倒され、もう、ギュンターの手が股間に…。

「ギ…ュンター!
あ…あっ!」
「ここ…気持ちいいんだろう…?」
ローランデは握られて…一気に体に灯がともる。

ギュンターと違い、滅多に抱き合う事の無い、ローランデは簡単に…。
ギュンターに火をともされ、欲望の中へ、叩き込まれることを恐れ…。
ギュンターは欲望に簡単にその身を預けられたから、ローランデの恐れが理解出来なかった。

「やっ…あ…っ。
ダメ…そこ…はっ!
あ…んっ!」

もう胸をはだけられて、乳首をきつく吸われ、ローランデは女のようにもだえる自分に、恥じ入った。

そしてもう蕾に、ギュンターの指先は侵入始める。

「あ…っ!」
がくんっ!と、ローランデの顔が、揺れる。
そんな場所に挿入され、喜ぶ体を恥じていた。
なのにギュンターは、簡単に羞恥を取り去り、快感に身を任せるのは自然なことだと…導く。

けどその道は。
大公子息の自分に、許された道なんかじゃ無い…。

「あ…あっ!」
けれど、待ちわびた体は、ギュンターの挿入を思い浮かべ、激しい刺激と快感の予感に、戦慄きまくる…。

“ギュンターにされる事で起こる、自分の体の反応が、嫌いだ…!”
言葉は、虚しい。
だって、本当は求めてる。

ギュンターは元来、優しい男だから…。
心底嫌だったら、絶対無理はしない。

押さえつけた理性の下で。
本能の喜びを、知っているからこそ…。
いつも、会うと組み敷き、挿入するのだと…。

ローランデは気づき、そして、無視した。

喜んでるなんて…大公子息には、あるまじき事…!
だから理性は決して、本能の味方をしない。

「あっ…あ…」
掠れた、悲しげな声。
けれどギュンターが進んでくると。
どうしても彼にしがみついて…。
恍惚の快感の極みまで、連れて行って欲しいと。
心の奥底で、願ってしまう…。

逞しく力強い…彼に導かれるままに。

「ギュン…ター…。
ギュンター…」

ローランデの声音が、甘く掠れた声に変わる時。
ギュンターは彼から、よそ行きの彼が脱ぎ捨てられたと知る。
本当の…お前は傷つきやすく、脆い…。

だからこそ。
いつも理性を纏い、隠してる…。
けど俺は…この脆いお前を、どれ程愛しいと、思っているか…。

言葉に、出来たらそうする。
だが、どんな言葉も違う。

愛してる…じゃ、足りない。
どんな言葉も、足りなさすぎる。
だからこうして…抱き合ってる時だけ、お前にそれを、伝える事が出来る。

命を捨て去ることなど。
お前の為には、簡単にできる俺なのだと。
それほど、お前を心から…愛してると。

けれど、暫く休むと…。
ローランデの理性が、戻って来る。

「いつも思うけど!
君は寝技の上級者なんだ!
少しは初心者に合わせて、まったりしよう…。
とかって、配慮は無いのか?!」

ギュンターは、ムキになった。
「寝技は初心者でも。
剣じゃ、“剣聖”と呼ばれる達人じゃないか!
チンタラ攻めてたら、簡単にひっくり返される。
違うか?!
お前だって、ソノ気で欲望が高まって。
そこで中断されたら、大層切ないだろう?!」

「…なんでそんなに、実践的だ!
ムードを少しは、考えた事有るのか?!」

「…ムードなんて考えてるから!
お前、今迄寝たい女とロクに、寝られてないんだろう?!」

ぱんっ!

頬を平手で思い切り叩かれ。
ギュンターは目から星がこぼれた。

「…平手だろうが、お前のは凄く、効くんだぞ?!」
「…剣握る手首を痛めるのは避けたいから!
どうしても平常は、平手になる!」

「…お前に張られると、一日は腫れが引かず、ディンダーデンにもオーガスタスにも。
ローフィスにすら、お前と寝て、失言して頬張られた。
って毎度、バレてるんだぞ?!」

ぱんっ!
もう片方の、頬も張られ。
腫れてくる熱さでギュンターは、無言。

「…どうして、今ので張る?」
「…ば…バレてるのか?!
オーガスタス達に?!」

「…………………ああ」

ローランデは、真っ赤に成って顔を下げ、怒鳴った。
「帰ってくれ!
今直ぐ!」
「…まだ一回しか…」
「これ以上、頬腫らしたくないだろう?!」
「…………まあそりゃ…。
頬の張れ具合で、何回失言したか。
奴らに、直ぐバレるしな………」

「じゃあこれ以上腫らさないためにも!
直ぐ、帰れ!」
「…………ここまで腫らされたら、どれだけ増えようが構うか!」
「やっ!
ギュンター、汚い…!
直ぐ…あ…あ…んっ!
押し倒し…て…黙らせ…」

「だって、気持ちいいんだろう?
いいから、もう黙って浸ってろ!」

「馬鹿!
やっ…乳首は止めて…あ…んっ!」




 ギュンターは朝日の中、寝台で眠りこけて目を覚まさない、ローランデを見つめ、思った。
「(しまった…。
毒盛られてから禁欲状態で。
サスベスがローランデだったら…。
なんて思って、思い切りシてた反動で。
ローランデにも、思い切り、シてしまった…………。
次は会い様の、いきなりビンタを、覚悟しよう……)」

ギュンターは、念押しされた早朝の軍務に、出る時間だと気づき、ローランデに囁く。

「また…来る。
頬をどれだけ張ってもいいから。
…会いたくない。
だけは、言ってくれるな」

ローランデには聞こえず、返答の無い中。
ギュンターはそっと、ローランデの額に口づけて。
羊皮紙に伝言残し、こっそり宿舎を、抜け出した。

馬で門を潜る際。
門番に怒鳴られる。
「次は絶対、通しませんよ!!!」

ギュンターは勢いづく馬を止め、引き返して門番の、差し出す手に金貨を、握らせた。
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