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10 逆転する明暗
平和?な日常
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その暫く後。
ギュンターとディンダーデンはローフィスの呼び出しに応じ、豪華な隊長宿舎の、ローフィスの応接間にいた。
平貴族の、ローフィスの部屋。
ながら、大変豪華。
なぜならほぼ同居人の王族、ディングレーの私室に近かったから。
お茶を出され、無言で二人並んで、飲んでいる。
ギュンターが、ぼそっ…と、隣のディンダーデンに尋ねる。
「あの後何回、サスベスの元へ行った?」
「三回で、六泊した。
お前は?」
「…一回で…一晩」
「…ローランデに振られた後。
焼け糞で。
だろう?」
ギュンターは、そう言ったディンダーデンを睨む。
「…やっと護衛なしで出歩けるようになって、ローランデを強引に抱いた後(あと)、彼に思い切り平手でひっぱたかれた頬のアザが、消えた、その後(のち)に。
で。
アイリスがあの後、戻って来たか。
お前、サスベスに聞いたか?」
ディンダーデンが、頷く。
「一度も、戻ってない」
ギュンターも、頷く。
「やっぱり馬鹿っぽい笑顔だけあって、その場限りの薄情男だな。
アイリスは」
ディンダーデンも、同意して頷く。
「いかにも軽薄そうな笑顔を、チャーミング?
あいつ、頭おかしくないか?」
ずっと黙って二人の目前の椅子にかけ、大人しく茶をすすってたローフィスが、ため息を吐く。
ばんっ!
部屋の隅に立てかけてあったついたてが、音を立てて開く。
アイリスが、憤慨して姿を現し、怒鳴った。
「…教練(王立騎士養成学校)抜け出してたから!
あの後、追試と補修が、三教科もあったんです!
戦闘の無い、暇な近衛兵と違って、学生は大変なんです!!!」
ギュンターは無言で、憤慨してるアイリスに尋ねる。
「…いつもの余裕の、笑顔はどうした?」
ディンダーデンも、白けながら提言する。
「馬鹿っぽくても、笑ってた方がいいぞ?
今の顔よりずっと、可愛く見える」
「怒ってるんだから、可愛く見られなくて本望です!!!」
その時、扉が開いて、ディングレーの背後にオーガスタスの姿を見つけ、ローフィスはほっ…。と胸をなで下ろした。
「やっと、来たか」
オーガスタスはローフィスの様子を見て、肩を竦めた。
「アイリスと他の兼ね合いで、手こずってるのか?」
ローフィスは肩を竦めて、返答に代えた。
アイリスがその会話を聞いて、すかさず叫ぶ。
「…どーして、私が問題です!」
「…どーして…問題ないと思えるのかが、不思議だ」
ギュンターのぼやきを聞くものの、オーガスタスはアイリスに尋ねる。
「で、ゼフィスは本当に、死んだのか?」
ギュンターが目を見開き、ディングレーもローフィスも、問われたアイリスを見つめる。
「ニーシャ姉様が。
ふいに背後から斬りかかられ、斬り殺しましたから」
ローフィスが、尋ねる。
「ロスフォール大公の、命令だって?」
ディンダーデンが、頷き倒す。
「ヤな男だったからな。
身分が高いからって、やたらタカビーで偉そうで。
まあ俺が睨んでやると。
ビビって顔伏せてたが」
それを聞いて、皆が内心、思った。
「(大抵の男は身分関係無く、ディンダーデンに睨まれたら、ビビるだろうな…)」
オーガスタスが、ローフィスの左横にやって来て座り、唸る。
「俺はお前も同行したと聞いて、てっきりお前が殺ったのかと思ったが…」
ギュンターも、呟く。
「殺ったのは、女のニーシャか………」
ディングレーはローフィスの右側に座り、ローフィスのティーカップを横からひっさらって、言う。
「誰が始末つけようが。
俺は再びギュンターが毒盛られてふらふらな際、護衛として付き合わずに済むから、歓迎だ」
ギュンターが、ディングレーを睨み付ける。
「さてはローランデの元へ行く際。
護衛としてお前が借り出されたこと、今だ根に持ってるな?」
「当然だろう?
俺だってアイリス同様、ローランデは味方に付けときたい。
自分を強引に犯そうとする男の、護衛だなんて不名誉な役割してちゃ。
間違いなくローランデに嫌われる」
アイリスが、向かい合う男達の横の席に座って、口挟む。
「ギュンターがローランデに襲いかかった時。
ギュンターからローランデを庇ったら。
間違いなく、感謝されます」
ディングレーは、怖気てアイリスを見た。
「本気か?
一応、ローランデはギュンターとの付き合いを、受け入れてる。
嫌よ嫌よも好きの内。
で、もしかしてローランデはその…。
ギュンターにされて…実は内心、喜んだりしてる可能性だってある。
だが高貴な男だから、表面上は否定しときたいかもしれん。
そんな複雑な事情を、俺に読み取れって?
無理だ。
触らぬ神に祟りなし。
二人きりでいる間に乱入なんて。
俺は絶対、ごめんだ。
表向きはローランデに感謝されても。
腹の底では、邪魔者扱いになってるかもしれないだろう?
そんなんで、ローランデに裏で憎まれたく無い」
アイリスは呆れて言った。
「当然、ギュンターはテクアリだから、体で引きずられて切れないだけで。
本当は愛して無いから、感謝されますよ!
絶対に、心の底から!!!」
ギュンターはアイリスを、睨み付ける。
「どうして部外者でローランデ本人でも無いお前が!
愛して無いって、決めつける!」
ディンダーデンも頷く。
「ローランデは身分も高いし、プライドも高い男だから。
面と向かって男のギュンターにコマされるのが好き。
なんて、死んでも認めないだろうが…。
拒絶しきれない程度に、ギュンターは間違いなく愛されてる。
いくら面の皮厚いこいつだって。
顔を見るのは、死んでも嫌だ。
と真剣に拒絶されたら、意思の力がぽっきりと折れるさ」
「…ギュンターにそんな、デリカシー有ります?
あったらとっくに、ローランデに愛されてるはずだ。
幾らプライドが高くても。
ローランデは大切な相手には、ちゃんと向き合って。
誠実な態度の取れる人です」
オーガスタスはその言葉に、目を見開く。
「…ギュンターが相手だと、いつもの自分を貫けず、ペースを崩されるから。
ギュンターが苦手で、拒否ってるんだろう?」
オーガスタスの言葉に、ギュンターが気弱に問う。
「俺は、ローランデを尊重してるつもりだ。
が、ローランデは俺が…。
彼が、自分でいようとする、邪魔者に感じられるのか?」
ギュンターが見ると、皆揃って頷いてた。
「ローランデを尊重。
って、どっから出るんです?
尊重してたら間違っても、強引に抱いたりしませんよね?」
ローフィスはそう問うアイリスに、真顔で言った。
「ギュンターの、尊重だ。
俺達とは、範囲も意味も、全然違う」
その言葉に、皆が納得いって頷く中、ギュンターだけが、憤慨し倒した。
ギュンターとディンダーデンはローフィスの呼び出しに応じ、豪華な隊長宿舎の、ローフィスの応接間にいた。
平貴族の、ローフィスの部屋。
ながら、大変豪華。
なぜならほぼ同居人の王族、ディングレーの私室に近かったから。
お茶を出され、無言で二人並んで、飲んでいる。
ギュンターが、ぼそっ…と、隣のディンダーデンに尋ねる。
「あの後何回、サスベスの元へ行った?」
「三回で、六泊した。
お前は?」
「…一回で…一晩」
「…ローランデに振られた後。
焼け糞で。
だろう?」
ギュンターは、そう言ったディンダーデンを睨む。
「…やっと護衛なしで出歩けるようになって、ローランデを強引に抱いた後(あと)、彼に思い切り平手でひっぱたかれた頬のアザが、消えた、その後(のち)に。
で。
アイリスがあの後、戻って来たか。
お前、サスベスに聞いたか?」
ディンダーデンが、頷く。
「一度も、戻ってない」
ギュンターも、頷く。
「やっぱり馬鹿っぽい笑顔だけあって、その場限りの薄情男だな。
アイリスは」
ディンダーデンも、同意して頷く。
「いかにも軽薄そうな笑顔を、チャーミング?
あいつ、頭おかしくないか?」
ずっと黙って二人の目前の椅子にかけ、大人しく茶をすすってたローフィスが、ため息を吐く。
ばんっ!
部屋の隅に立てかけてあったついたてが、音を立てて開く。
アイリスが、憤慨して姿を現し、怒鳴った。
「…教練(王立騎士養成学校)抜け出してたから!
あの後、追試と補修が、三教科もあったんです!
戦闘の無い、暇な近衛兵と違って、学生は大変なんです!!!」
ギュンターは無言で、憤慨してるアイリスに尋ねる。
「…いつもの余裕の、笑顔はどうした?」
ディンダーデンも、白けながら提言する。
「馬鹿っぽくても、笑ってた方がいいぞ?
今の顔よりずっと、可愛く見える」
「怒ってるんだから、可愛く見られなくて本望です!!!」
その時、扉が開いて、ディングレーの背後にオーガスタスの姿を見つけ、ローフィスはほっ…。と胸をなで下ろした。
「やっと、来たか」
オーガスタスはローフィスの様子を見て、肩を竦めた。
「アイリスと他の兼ね合いで、手こずってるのか?」
ローフィスは肩を竦めて、返答に代えた。
アイリスがその会話を聞いて、すかさず叫ぶ。
「…どーして、私が問題です!」
「…どーして…問題ないと思えるのかが、不思議だ」
ギュンターのぼやきを聞くものの、オーガスタスはアイリスに尋ねる。
「で、ゼフィスは本当に、死んだのか?」
ギュンターが目を見開き、ディングレーもローフィスも、問われたアイリスを見つめる。
「ニーシャ姉様が。
ふいに背後から斬りかかられ、斬り殺しましたから」
ローフィスが、尋ねる。
「ロスフォール大公の、命令だって?」
ディンダーデンが、頷き倒す。
「ヤな男だったからな。
身分が高いからって、やたらタカビーで偉そうで。
まあ俺が睨んでやると。
ビビって顔伏せてたが」
それを聞いて、皆が内心、思った。
「(大抵の男は身分関係無く、ディンダーデンに睨まれたら、ビビるだろうな…)」
オーガスタスが、ローフィスの左横にやって来て座り、唸る。
「俺はお前も同行したと聞いて、てっきりお前が殺ったのかと思ったが…」
ギュンターも、呟く。
「殺ったのは、女のニーシャか………」
ディングレーはローフィスの右側に座り、ローフィスのティーカップを横からひっさらって、言う。
「誰が始末つけようが。
俺は再びギュンターが毒盛られてふらふらな際、護衛として付き合わずに済むから、歓迎だ」
ギュンターが、ディングレーを睨み付ける。
「さてはローランデの元へ行く際。
護衛としてお前が借り出されたこと、今だ根に持ってるな?」
「当然だろう?
俺だってアイリス同様、ローランデは味方に付けときたい。
自分を強引に犯そうとする男の、護衛だなんて不名誉な役割してちゃ。
間違いなくローランデに嫌われる」
アイリスが、向かい合う男達の横の席に座って、口挟む。
「ギュンターがローランデに襲いかかった時。
ギュンターからローランデを庇ったら。
間違いなく、感謝されます」
ディングレーは、怖気てアイリスを見た。
「本気か?
一応、ローランデはギュンターとの付き合いを、受け入れてる。
嫌よ嫌よも好きの内。
で、もしかしてローランデはその…。
ギュンターにされて…実は内心、喜んだりしてる可能性だってある。
だが高貴な男だから、表面上は否定しときたいかもしれん。
そんな複雑な事情を、俺に読み取れって?
無理だ。
触らぬ神に祟りなし。
二人きりでいる間に乱入なんて。
俺は絶対、ごめんだ。
表向きはローランデに感謝されても。
腹の底では、邪魔者扱いになってるかもしれないだろう?
そんなんで、ローランデに裏で憎まれたく無い」
アイリスは呆れて言った。
「当然、ギュンターはテクアリだから、体で引きずられて切れないだけで。
本当は愛して無いから、感謝されますよ!
絶対に、心の底から!!!」
ギュンターはアイリスを、睨み付ける。
「どうして部外者でローランデ本人でも無いお前が!
愛して無いって、決めつける!」
ディンダーデンも頷く。
「ローランデは身分も高いし、プライドも高い男だから。
面と向かって男のギュンターにコマされるのが好き。
なんて、死んでも認めないだろうが…。
拒絶しきれない程度に、ギュンターは間違いなく愛されてる。
いくら面の皮厚いこいつだって。
顔を見るのは、死んでも嫌だ。
と真剣に拒絶されたら、意思の力がぽっきりと折れるさ」
「…ギュンターにそんな、デリカシー有ります?
あったらとっくに、ローランデに愛されてるはずだ。
幾らプライドが高くても。
ローランデは大切な相手には、ちゃんと向き合って。
誠実な態度の取れる人です」
オーガスタスはその言葉に、目を見開く。
「…ギュンターが相手だと、いつもの自分を貫けず、ペースを崩されるから。
ギュンターが苦手で、拒否ってるんだろう?」
オーガスタスの言葉に、ギュンターが気弱に問う。
「俺は、ローランデを尊重してるつもりだ。
が、ローランデは俺が…。
彼が、自分でいようとする、邪魔者に感じられるのか?」
ギュンターが見ると、皆揃って頷いてた。
「ローランデを尊重。
って、どっから出るんです?
尊重してたら間違っても、強引に抱いたりしませんよね?」
ローフィスはそう問うアイリスに、真顔で言った。
「ギュンターの、尊重だ。
俺達とは、範囲も意味も、全然違う」
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