美醜逆転?おれぶちゃくないけど?

香月ミツほ

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20 〜 イーシップ 〜

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残念な事に今日は夕食会がなかった。

そして家に送ってもらってから給料の前借りをお願いするのを忘れた事に気付いた!

はぁ…。
いいや、ハリムの酒場で誰かに食べさせてもらおう。





「アンタ!げげげ元気か?」
「あ、果物屋の?」
「覚えてくれてて嬉しいよ!」

声とか口調で覚えてたんだけど、ちょうど良いや。

「おれはミチル。あなたは?」
「俺はメイベ!今日は1人か?」
「1人だし、ちょっと困ってて…」

おれは正直に理由を告げ、好きなだけ奢ってもらえる事になった。そんなに食べる方じゃないから大丈夫だよー。

並んで座って軽いお酒を飲みながらつまみを食べる。揚げ餃子みたいなの、美味しい!!

「それ、う、美味いか?」
「美味しいよ。食べてみる?」

ちょっと調子に乗って、箸で持ってあーんしてあげたら泣き出した。泣上戸かな?

「俺…、俺…っ!もう明日死んでも良い!!」
「大袈裟な!また今度、時間のある時に奢ってくれればまた、あーんしてあげるよ?もっと気楽に行こうよ。」
「良いのか?」
「良いよ。ほら、こっちも食べて。」

こんなに喜ばれたら嬉しくなっちゃう。おれからしたらこの人だって当然、美形だし、懐かれたら気分良い。

ジェミルがいなくて野放し状態です。

「なぁ、ミチルは昼は何してるんだ?」
「今は商人ギルドで給仕…お酌してる。」
「商人ギルドの給仕って、お偉方しか入れない、あれか?」
「多分それだよ。でも何だか無理やり割り込んじゃったみたいで申し訳なくて…」

仕事が簡単すぎるのも問題だと思う。

「なっ、なぁ!今、商人ギルドの給仕って言ったか?」
「ん?うん、言ったよ?」

知らない3人が割り込んできた。

「ぷ…」
「ぷ?」

「「「ぷっくり乳首ってのを詳しく!!」」」

何で知ってんの?

「なんだよそのいやらしい言葉は!?そんな卑猥な言葉をミチルに聞かせるんじゃねぇ!!」
「けどよ!それ言ったの、この人達なんだぞ?」

正におれが言った言葉だけど、それはあの会話を聞いてたって事だよね?
まずはそこから説明してもらおうか?





「なるほど。」

あそこにそんなシステムがあったなんて。
金額に折り合いがつかない時に給仕達の控え室を覗けるサービスがあるのか。のぞき部屋みたいに中でいやらしい事してる訳じゃないのに、それで良いの?

「よほど運が良くなけりゃ顔を拝む事もできない美人達の素の会話だぞ?しかも今日の会話と言ったら!!」

「うん、あのぷっくり乳首はエロかったなー。むしゃぶりつきたい!って本気で思ったもんね。」
「どんな!?」
「…勝手に喋って良いのか分からないから、言えない。」

そもそもおれがこの辺に出没したらその特典の価値が下がる?
明日、相談した方が良いかな?

「まぁ、その辺は妄想しといてもらって。おれで良ければお酌しようか?」
「良いのか!?」
「奢れないけどね。」
「これ、注いでくれ!」

お酒やツマミを持ってこちらの席に移動してきた。メイベが少しがっかりしてるので手を握って謝ってフォローする。

「みんなで楽しく飲むの好きなんだー。」

って。がっついた合コンは好きじゃないけど、みんなでワイワイ楽しく飲むのが好き。

「なぁ、そっちのやつ、恋人…なのか?」
「ううん、友達…、かな?」

様子を伺いながら言って見る。
メイベは嬉しそうだからこの答えで問題なさそう。

「はい、飲んで飲んで。」

おれの酒じゃないけど。

「アンタも飲めよ!」
「おれ、弱いから他の頼んで良い?」
「かーっ!!可愛いなぁ、おいっ!」

ツボは分からないけど喜ばせたようだ。
ハリムさんに弱いお酒を作ってもらってみんなで乾杯。

「そんなに弱いのか?」
「うん、これくらいがちょうど良い。」

サワー系レベルでじゅうぶんなのだと味見させた。
そうしたら用心棒の3人も味見したがり、回し飲み。味見の合間にいちいちおれに戻すのって、間接キス狙ってんの?中学生か!

回し飲みのせいで半分しか飲めなかったからお代わり!2杯半ならまだほろ酔い。



「「「「家まで送らせてくれ!」」」」

しばらく楽しく飲んで、お開きの時間が来た。うーん…いきなり家を教えるのはなぁ。
エルヴァンも居るし、勝手に家を教えるのはどうかと思うので断ったんだけど食い下がられた。困ったなぁ。

「店主、何かあったのか?」

警備隊の見廻りがやって来た。
エニスとジェミルだ。
…見廻りって店内にまで入って来るものなの?

「何もありませんが、どうかしましたか?」
「表に人だかりができてるから何かあったのかと思ってな。」
「あぁ、あの美人を見に来たんでしょう。どうせなら注文してくれりゃぁいいのに。」

「「ミチル!」」

ちょうど良いや。送ってもらおう。

「警備隊の2人に送ってもらうね。ありがとう、ごちそうさまでした。」

にっこり笑って手を振って、ハリムさんにもごちそうさまを言って2人を連れて外に出た。

「2人とも良いところに来てくれたね!」
「困ってたのか?」
「絡まれてたの?」

絡まれてた訳じゃないけど、1人で帰らせてもらえなかったと話したら2人が送ってくれる事になった。見廻りは良いのかな?

「むしろミチルの安全のために家を知っておいた方が良いんだよ!」
「元々、ジェミルが住んでたからジェミルは知ってるよ。」
「そうだろうけど、周りの環境とか見ておきたいんだ。」

防犯のためか。なるほど。

「ミチルはハリムの店が気に入ったのか?」
「うーん…確かに気に入ってるけど、実はね…」

手持ちが無くて少しは知ってるあの店でちょっと誰かに食べさせてもらおうと思って、と情けない現状を告白した。

「…危ないじゃないか。」
「危ない?」
「酒に弱いって知ってるヤツもいるだろう?」

そう言えばそうだった。でもハリムさんが気遣ってくれるよ?

「そんなに弱いの?」
「強い酒を舐めただけでグズグズになるんだ。」
「あれはその後に飲んだジェミルのお酒のせいだと思うよ?」

元々飲んでたし、慌てたからジェミルの残ってたお酒を一気に飲んだんだもん。

「何にせよ、酒であんな風になるなんて危険すぎる。外で飲むべきじゃないだろう。」
「えー?楽しいのにー。」

「夕食ならお酒は出ないけど、宿舎に来れば?」
「でも予約制でしょ?」
「ミチル1人くらい大丈夫だって。」

でも時間がはっきりしないんだよ?

「…宿舎に来てくれれば、遅かったら非番の人間が外食に付き合うし、間に合えば一緒に食べれば良い。明日の朝食は?」
「そうだ、買って帰らないと!」

ジェミル、気が利く!
そしてここは俺が、ってエニスが払ってくれた。優しい!!

お礼にそれぞれとハグしたらとても喜ばれた。
話を通しておいてくれると言うので、明日からしばらくは宿舎に夕飯を食べに行く事にした。

前借りしなくて済んでありがたい。
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