可愛がって下さい。

香月ミツほ

文字の大きさ
4 / 21

4 モテまくってます。

しおりを挟む
お店で隠居さんにカナッペを食べさせてもらってたら、ヤマネさんと、この町の観光案内をしてくれたが何か揉めながら入って来た。その人はメルさんと言う名前だった。

「いらっしゃいませ~!」

2人に声をかけて席を立とうとしたらご隠居さんが

「まだお返ししてもらってないぞ?」

って言うからカナッペをあーんって食べさせた。あれ?ヤマネさん達が驚いてる。

「この店は経営方針を変えたのか?」

「俺がやらせてる訳じゃない、ミッツが楽しく仕事してるだけだぞ。始めは止めてたんだが、雰囲気は悪くなってないし売り上げがかなり増えたから気にしない事にした。」

ぼく、役に立ってるんだ!
お客さんに甘えてるだけだけど。

「ヤマネさん、メルさん、ご注文は?」

「ピザをミッツに食べさせると指を舐めてもらえるサービスが付くぞ。」

「それサービスだったんですか!?
ただのイタズラじゃないですか!!」

お客さんが面白がるからやってたのに。2人はスペシャルピザとデラックスピザを注文してくれた。

「お2人はお友達だったんですね。」

即座に否定が返って来た。マスターがそいつら落とした相手の数を競ってるようなロクデナシだ、と失礼な説明をした。

「お2人共、すごく優しい良い人でしたよ。その上こんなにかっこいいんだからモテるのは当たり前でしょう?」

そう言ったら2人は頬を染めて俯いて気まずそうにしている。ぼく、変な事言ったかな?

「でもマスターの話を聞いてピザ注文したって事は、イタズラは好きなんですね。」

かっこよくて優しくてイタズラ好きなんて最高だと思う。いちゃいちゃしまくれるじゃん!
そんなおしゃべりをしてたらピザができたので運ぶ。先にできたのはメルさんのスペシャルピザ。

「熱いから気をつけて下さいね。」

そう言って口元に一切れ差し出すと、三口で食べて飲み込んでからぼくの指を舐める。れろれろと舐められてちょっと気持良くなっちゃって恥ずかしい。仕返しに動き回るメルさんの舌をぬるぬると撫で回したら、メルさんが甘いため息をついた。色っぽい~~~!

今度は一切れ食べさせてもらって、差し出された指を舐める。やられたように舐め回すとメルさんがどんどん色っぽくなった。

「メルさんそんなに色っぽい顔しちゃダメですよ?」

クスクス笑いながらからかうような事を言ってたらヤマネさんのデラックスピザができた。メルさんにじっくり指を舐められたので手を洗ってからピザを運ぶ。

「メルの後…」

やっぱり気になるみたい。飲食店なんだから洗いましたよ!って言ったらホッとしてる。
はい、あーん。

2口で食べてべろっと舌なめずりみたいにして、目がぎらついてる。それだけでちょっとぞくっとしちゃった。手首を掴まれて指をしゃぶられてワイルドに笑われるとエッチな気分になっちゃいそう。

「やだぁ…恥ずかしい…」
「その手を放せよ、おっさん。やり過ぎなんだよ。」

声の方を見ると優しい癒し系のタヌキの獣人・キアヌさん、だと思うんだけどすごい顔で睨んでて声もドスが利いている。タヌキだけに化けたのかな?
タチバナさんも一緒だ。

「ピザを頼むとミッツの指を舐められるサービスがついて来るとマスターに言われたんだが?」
「いつからそんなシステムに!?」
「今日から。」
「それ思いつきって事ですよね!?」

会話のキャッチボールだ!じゃなくて。

「ミッツが嫌がる事をしなければいいんじゃないか?」

あ、ご隠居さん!

「これほど可愛くて優しくて甘えん坊なんだからモテまくりで当然だろう。」
「あ、あ、あ、甘えん坊って…!!」

その表現は恥ずかしい!事実だから余計に恥ずかしい!!

「嫌じゃないのか?」

キアヌさんが少し怖い。

「あんまり本気で舐められるとエッチな気分になっちゃうから困りますけど、イタズラしあうのは楽しいですよ?」

キアヌさんは急に悲しそうな顔になって仕事の邪魔してごめん、って。心配してくれたんだよね?

「心配してくれて嬉しいです。また泊りに行って良いですか?」
「「「泊るならうちに!」」」

他の3人が口を揃えて言った。

「ミッツはうちに来たいと言ってるんだ。」
「社交辞令だろう?」
「情けない顔してたからでしょ。」
「うちにはまだ泊ってないから来てよ!」

「あの…ヤマネさんあの朝、機嫌悪かったけど、また泊っても良いんですか?」

「あれは!…その…」

ぼくが何か悪い事しちゃったのかと思ってたんだけど、違うのかな?

「違う!…経験なさそうだったから言いくるめて手を出してやろうと思ってたのに、俺が…この俺が!!あんなにすぐイかされるなんて!!って、ショックで自信無くして落ち込んでたんだ!!」

「お前もか!!」

ヤマネさんの告白にキアヌさんが乗っかる。寝ぼけた僕に朝勃ちを扱かれてあっという間にイかされた、って。経験が少ない自覚があったからそこまで落ち込まなかったらしい。

「お前ら直接触られたならまだ良いよ!オレ、押し倒されて首筋と乳首舐められただけでイったんだぞ!どれだけショックだったか…」

「僕も背中や腰を撫で回されて甘噛みされただけでイっちゃったのを、どうにかごまかしたんです!」

え?そうだったの?

「お前、容赦ないな…」

マスター!ぼくが悪いんですか!?悪気なんかひとかけらも無かったのに!

「ご、ごめんなさい…」

仲良くしてただけのつもりだったけど、セクハラだったのかな?悪い事しちゃったな…。

「謝って欲しい訳じゃない!恋人になりたいんだ!」
「独り占めしたい。」
「いちゃいちゃしたい。」
「2人で気持良くなりたい!」

どうしよう。まだ恋人を選ぶには早いと言うか決め手に欠けると言うか、とにかく情報が足りない。

「えっと、もっと良く知らないときちんと選べないので待ってもらえますか?」

「分かった。」
「待ってる。」
「選んでもらえるよう頑張るよ。」
「待ちますね。」

4人の了承を得て、ローテーションで泊めてもらう事になった。今夜はまだ行った事が無いメルさんのおうち。誰を選ぶ事になるか分からないけど、いっぱい可愛がってくれる人が良いな。

「みなさんよろしくお願いします!」

ぺこりと頭を下げたぼくの頭をご隠居さんが撫でながら、よく考えるんだよ、と言ってくれた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―

無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」 卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。 一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。 選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。 本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。 愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。 ※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。 ※本作は織理受けのハーレム形式です。 ※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください

処理中です...