【完結】ご褒美嫁として召喚されたのにガッカリされました。怒っていいよね?

香月ミツほ

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⑧ヘタレ攻め×ポンコツ受け=進展なし

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東の空(?)が黄金色に輝き、鳥が鳴いている。
朝チュンである。

いや違う。

愛撫と手コキでイキまくったんだから朝チュンとは言えない。

尻は何ともないが。

尻は何ともないが!!




自分でも何を言っているのか分からない。
いや、いきなり最後までいくのは難しいと思う。

けど! けどっ!!

オレだけが気持ちよくしてもらってエルピディオに何もナシとか、オレ酷くない? 寝落ち嫁じゃん! 鬼じゃん!!

恥ずかしさと申し訳なさでエルピディオの顔が見られないぃぃぃ……。

「くしゅんっ!」

やべっ!
エルピディオの顔が見られない、と掛け布団にくるまったらエルピディオから掛け布団を奪っていた。とりあえず布団を掛けて……。

「ん、ササ……? おはよう。身体はど、どう?」
「おおお、おう! おかげで絶好調だ」
「あぁ良かった。気持ちよかったね」
「ぅぐっ! ……ん?」

オレはともかく、エルピディオも気持ちよかったように聞こえる。そんなはずないよな。

「エルピディオ、あんなこと……、させてごめんな」
「あんなこと、って。なんで謝るの? お嫁さんのお世話は夫の使命だよ! あっ、嫁は嫌なんだっけ……」

そう言えばオレ、ずっとそう言ってたな。
でも今、手のひら返すのはどうにも勇気が必要で……、ゴニョゴニョ……。

でも!
あんなことまでさせて誤魔化すのは卑怯だ。
よし、告白するぞ!!

オレはベッドの上で向きを変え、エルピディオの方を向いた。朝日に煌めくプラチナブロンド、シミひとつない滑らかな肌、完璧に整った目鼻立ちに翡翠の色の瞳。髪より濃い金のまつ毛に縁取られた瞳に映るぽっちゃりしたオレ。

ぽっちゃりしたオレ……。

いやいやいやいや、それが良いって言ってくれるんだからオレの価値観は置いといて、気合いだ。気合いを入れろ!

すーはーすーはー。

深呼吸して精一杯の告白をする。

「い、嫌じゃ……、ない……」
「え?」
「オレ、今は、嫁……、嫌じゃ……、ない……」
「えぇぇぇぇぇぇっ!?」

驚いたエルピディオがベッドから転がり落ちた。おいおい、大丈夫か?

「そっ、それじゃあ受け入れてくれるの?」
「う、まぁ、そう……、だな」
「嬉しい!! そっか、やっぱり白い結婚なら受け入れられるんだね!」
「そう……、って! ちっがーう!!!!」
「ち、違うの……?」

あそこまでやっといてどこが白いんだよ!
どピンクだろうが!!
医療行為だから疾しい気持ちはありません、とか言わせないぞ!!

と、考えられたのは少し後。
興奮して違うと叫んだところで貧血起こして倒れました。何してんだよ、オレ。肝心な時に説明できなかったら後が困るだろうに!

オレはどこまでポンコツなんだ……。

夜になれば体調も落ち着いてまともに話せる、かな。



*******



「エルピディオに聞いて欲しいことがあります」
「えっと、はい」

夕食後、オレは改めて気合いを入れた。
オレの正直な気持ちを伝える。
言葉にする。告白するんだ!!!!

「嫁は嫌だと言っていたのは過去です」
「かこ……」
「現在は嫌じゃないです」
「げんざい……」
「そして白い結婚とやらの意味がちゃんと分かってません!」
「あー……、そう言えば私も何となくで言ってたかも……」

ぅおいっ!!

地球では『白い結婚』と翻訳されたあれは『空虚な結婚』と訳すべきだ、と主張する人がいた。離婚が許されないキリスト教において特別に離婚を許可される条件が性交渉をしていないことだった。つまり離婚前提の政略結婚の場合の方便だ。離婚前提の結婚とか、確かに空虚だわ。

んで、こちらの世界では?

「精神的なつながりのみの結婚、だと思ってたけどちゃんと調べたことなかったよ。調べておくね」

エルピディオが真面目に調べる気のようだ。
いや、オレはもう普通の結婚で良いんですよ?

嫁が嫌じゃない、と伝えたのに『白い結婚』の定義に気を取られたエルピディオとは、またしばらく清らかなお付き合いしかできなくなるのであった……。ぐぬぬ……。



*******



ヤキモキしながら過ごすこと10日。

エルピディオが白い結婚の意味を調べてきた。

「あのね、白い結婚というのはね……」

ずいぶん言いづらそうだがなんなんだ?

「結婚前に死別した婚約者同士を書類上で結婚させるのを言うんだって。この場合、遺産の相続権はなし。後に残された方の自己満足、らしいんだ」
「えっ……」
「だから双方が生きてたらできない」
「お、おう」
「ごめんね……」

いやいやいや、そんな辛そうな顔しなくても良いんですよ。オレはもう、普通の結婚をする気だからね。

「ならどうする?」
「………………我慢する」
「ぅおいっ! 違うだろ!! そこは普通の結婚でいいだろ! 求婚しろよ!!」
「えっ?」
「お前はオレとどうしたいんだよ!!」
「私は……、私は! ササを舐めたいです!!」
「バカヤロー!!」

なんで結婚話がプレイの話になってんだよ。
このバカが! 勇気を出す方向がおかしいだろ!



*******



冷静になるために一旦、風呂に入る。
頭を冷やすために温まるっておかしいかな。でもリラックスできれば問題ないと思う。

オレはね。

もちろん今は1人で入っている。

「ふぃー……。落ち着いてきた……。そ、そうだ。さっきオレ、求婚しろよ、って言っちゃったな。エルピディオはちゃんと聞こえてたかな」

あいつ、結構人の話聞かないトコあるみたいだよなぁ。オレが頑張ったって良いんだけど、やっぱプロポーズは嫁がしてもらう方がいいと思うんだ。

なんとなく。

自分から言いづらくて言い訳してるんじゃないんだよ。その方が幸せになれる気がするんだよ。気がするだけかも知れないけど。



………………エルピディオはオレを舐めたいらしい。



オレは舐められたいのか?

そりゃあ、舐められてみたい。
気持ちよさそうだし!
気持ちいいって聞くし!!

舐められる感覚かぁ。
うーん、うーん……。



好奇心が疼く。
エルピディオにお願いしたい。
でも舐めて、なんて言うの恥ずかしいぞ。
お願いじゃなくて許可を出す、とかどうだろう。

いや、何様だよ。
オレ様ってか? そんなキャラじゃないわー。

わっかんね!!

ダメだ、何の解決策も見つからん。
とりあえず寝るか。

そう考えて立ち上がったら湯当たりしたようでぶっ倒れたオレ。気がつけば涙と鼻水でぐしゃぐしゃのエルピディオ再び。

「ササ! 気がついた? 具合はどう?」
「あー……、なんか目が回ってる……? 気持ち悪い……」
「水、飲める? あんまり長湯したらダメだよ!」
「そっか。温泉に浸かったまま悩んでたから……」

のぼせて倒れたオレを運んでくれたらしい。
オレ、今はそれなりに重くなっていると思うけど運べるんだな。エルピディオすげぇ。

「湯温が高くないからうっかりしてた……」
「床とか硬いところに頭をぶつけたら……、当たりどころが悪かったら……、うぅっ……、グスッ
「その、なんだ。ごめんて。これからは気をつけるから……」

元はと言えばお前が変なこと言ったからだろ? なんて言ったら真に受けて落ち込むんだろうな。

「私が……、ぐすっ、気持ち悪いこと、言ったから……、温泉に避難っ、したの?」
「気持ち悪いこと?」
「な、舐めたい、って……」
「それは全然気持ち悪くない」

即答しちゃったよ。
むしろ舐めて欲しいと思っているよ。

あれ? 待てよ。

オレ、結婚とか求婚にこだわってたけど婚前交渉で問題なくね? 予想外の返しに動揺しただけだわ。脊椎反射で責めて申し訳ない。

健康な男子たる者、常に欲望と共にあり、だよな。

誰だよそんなこと言ったのは。
オレだ。
そんな事より性の不一致は離婚の原因になるものだからオレの都合のいいようにコイツを育てよう、そうしよう。

さて、どんなふうに言えばいいかな。
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