【完結】ご褒美嫁として召喚されたのにガッカリされました。怒っていいよね?

香月ミツほ

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㉒新しい趣味

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リノとノエの両親が迎えに来た。

この際なのでおいしくて柔らかい食事のレシピを教えようと思います。まぁ、パンはスープに浸せばいいんだけなんだけど、リノの家の食事はお母さんの好みで基本、かなり硬いタイプのハードパンだったらしい。

オニオングラタンスープみたいに先に入れて軽く煮るといいんじゃないかな。あとフレンチトーストとパンケーキ、蒸しパン。具合の悪い時にはミルク粥。

そして米の炊き方。

白飯はもちろん、炊き込みご飯やお粥、中華粥を伝授。

クレープは主食と捉えるか甘味と捉えるか悩んだ。どっちでもいいんだけど。

お菓子としてクッキー、パウンドケーキ、飴、フルーツのキャラメルソテー。キャラメルナッツ、プリン。

一通り教えるのに2週間かかったわー。
その間、彼らが泊まるためにジャコッペの家から古いベッドを譲ってもらって客間をベッド2つにした。家族4人で寝てもらっている。

強化合宿かな?

父親はここにいる間、子守と畑の手伝いをしてくれた。それと果樹園を営んでいるそうでうちの庭に植えた果樹の様子を見てもらった。冬の間にできる剪定や肥料の準備をしてくれたり季節ごとの手入れを教えてくれたり。

あと手入れが少なくて美味しい実のなる果実を教えてもらったので、春になったら植える予定。

紫苺と青ザクロ、赤ビワだって。

紫苺は大きなブルーベリー。1粒がさくらんぼくらいになる。
青ザクロは青くない。外側が青リンゴの色で中の粒はオレンジ。
赤ビワは少し赤みの強い普通の枇杷だけど皮を染め物に使うと赤くなる。

食べたことはあるけど庭で取れたら楽しそう。
楽しみだなぁ。






「この度は、子供達を助けてくださった上に私たちまで家に泊めて、さらに料理を教えてくださいまして、本当にありがとうございました」
「ありがとうございました。このご恩はいつかお返しします!」

リノ達の父親、母親が恩返しなんて口にするけど、子供達との生活は楽しかったから恩を感じて欲しいなんて思わない。

「いや、その……。こちらもかわいい子供達と過ごせて楽しかったんです。それにリノが痩せてる原因も気になったので……。お気になさらず」

リノの顎が弱いかも知れないことは伝えてある。もちろん、顎を鍛えるのも必要だと思うけど、これからは柔らかいものをメインにして歯応えのある物は少しずつ。

そうすれば少しはぽっちゃりしてくると思う。

だってうちにいた1ヶ月でリノはふっくらしてきたから。もちろんノエもだ。子供はぽっちゃりしていた方がいい。たぶん。

「しゃしゃ、またね」
「おう! ノエがうちに来てくれて嬉しかったぞ」
「ノエも しゃしゃのごはん たべられて うれちかった! あいがちょ!」

ノエがきちんとお礼を言うのでちょっと目頭が熱くなる。初めから良い子だったが、改めて感動する。ハグだ。ぎゅ~!!

「ササ、ぼくたちを たすけてくれて、おいしいごはんの つくりかたを おしえてくれて、……やせてるぼくに やさしくしてくれて ありがとう」
「リノみたいな良い子を放ってなんておけないよ。それにほら、エルピディオも痩せてるだろ? 見た目なんてどうでもいい。健康ならいいんだ」

リノともハグして再会の約束をする。

そしてエルピディオと2人、仮初の同居人を見送った。





*******





「……寂しいな」
「そうだね……」

2人でぼんやりしながらお茶を飲む。

まだ午前中だけど作業が手につかなくて、気分転換にお茶を飲んでいる。

朝食後に4人を見送り、仕事をしようと作業部屋に行ったものの、2人ともついつい手が止まってしまう。オレはともかく、エルピディオが失敗すると危険なので無理するべきではない、と思う。薬だし。

散歩は寒いし、町まで行くのも怠いし。

はぁ……。

「酒」
「え? ササ何か言った?」
「酒を飲もう!」
「え、でもまだ昼間……」
「飲みたいの!!」

こういう時は酒に逃げてもいいと思う。

「じゃ、じゃあ買ってくるね……」

は? マジで?
酒がない家があるなんて思わなかった!

そう言えばこっちへ来てから飲んだ事ないな。
そうか、置いてなかったのか。

「エルピディオは酒を飲まないのか?」
「うん、気持ち悪くなっちゃうから飲まないんだ」

それは飲めないと言うんだ。
でもエルピディオを放置して1人でヤケ酒……。

ないわー。

とは言え、思いついたことがある。
異世界と言えばファンタジー。
ファンタジーと言えば蜂蜜酒ミード

酒税法もないこの世界なら蜂蜜酒が作り放題じゃないか!!

味見してみたかったんだよな。
甘いって意見と甘くないって意見があって、成人したら確認しなければ! とか思ってた気がする。

よし!
蜂蜜酒を作ろう!!





きれいな容器を用意します。
材料は蜂蜜と水。これを適切な割合で混ぜて蓋をして数日放置する。

すると……!!

「お、しゅわしゅわ言ってる」
「本当? あ、本当だ!」
「よし、味見だ味見!」

2人でスプーン1杯ずつ味見したらまだアルコールはほとんどなくて、美味しい微炭酸ジュースになってた。

「成功だ! あとはこのしゅわしゅわがなくなれば酒になってるはずだ」
「えぇ? しゅわしゅわジュースの方が美味しいよ?」
「いや、蜂蜜酒ミードを作ってるんだって」

けど美味しいからジュースはジュースで作ろう。あ、蜂蜜以外でも作ってみるか。りんごでシードル、葡萄でワイン。絶対、紫苺とかでも作れると思う。

ふっふっふっ、仕込むぜ果実酒!!





と、意気込んでみたけど失敗したり成功したり。乙女が踏んでつくるワインとかあったから紫苺を潰して置いといたけど発酵せず。りんごを適当に切って瓶詰めしたら1度失敗したけど次は成功。その次はまた2度続けて失敗。

まぁ、全滅じゃないから大丈夫。
データを取ってトライ&エラーでいつかプロになる! いや、プロにはならなくていい。失敗したくないだけだ。





*******





仕込みをする昼間はいいんだが、夜、ベッドに入ると無性に淋しくなる。はぁ……。

「ササ、眠れないの?」
「んー……。どうにも淋しくて……」
「そうだね。なんて言うか、お祭りが終わったみたいな感じがする」
「それな! なぁ、ちょっとだけ……、ハグ、していいか……?」
「ふぇっ!? い、いいの? して欲しい!」

並んで寝転んでいるからハグと言っても片手だ。下になった手をどうしたらいいか分からん。誰か教えてくれ!!

それはともかく、淋しさのせいで恥ずかしさはなりを潜め、ただ静かに温もりを分かち合う。

ぐすっ

「ササ?」
「……なんでもない」
「そっか。ふふふ、とんとんしてあげるね」
「ノエじゃねぇぞ」
「いいじゃない」

そんなやりとりをしていたらいつしか眠りに落ちていた。





*******






「今回は成功だね」
「あぁ。ジュースだけどな」

美味くてついつい、酒になる前に飲み終えてしまう。もっと大きな容器で仕込まないとダメかな。

「普通の家では作ってないのか?」
「作っている……、と思うけどどうなんだろう?」
「ジャコッペに聞いてみるか」

翌日、午後イチでジャコッペの家に行く。
ジャコッペの家は麦作りと養鶏……、いや鶏じゃないから何て言うんだ? 養鳥? 七面鳥くらいのでかい鳥を飼っているらしい。

こんな時間に家にいるかな?

「こんにちは~」
「はいはい、どなた?」

ジャコッペの家を訪ねると母親らしき人が出てきた。

「あら! エルピディオね。まぁまぁ、ふっくらして! かわいくなったじゃないのぉ!」
「ど、どうも……」

おぅ、含み綿の効果は抜群だな。
前はどんな対応だったんだろう?
不愉快になりそうだから知らなくて良いや。

「初めまして、ササと言います」
「お嫁ちゃんね! ……普通ねぇ」

やかましい!
いや、これ太ってないって意味だから怒るのは変だな。けど言い方!!




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