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第13話
しおりを挟む幅5mくらいの川を渡る。小川だ。
その上に架かる橋には、恐ろしい事に欄干がない。雪解け水で川が増水した時になるべく物が引っかからないように、だって。それでも数年に1度流される橋。砦の兵士総出で橋を架けるって…大変だなぁ。
そこから先は荒れ地だけどところどころに草原が見える。
地下水脈が浅くなっているのかも知れない。
森を抜けてからは軽快に進む。
スライムジェルクッションのおかげでお尻はノーダメージです。
「ドラゴンとかいないかな?」
「ドラゴンは洞窟の中とかじゃない?」
「いるの!?」
「伝説でしか知らないねぇ。」
なんだぁ。
基本、魔獣も魔の森の中だけで存在しているので、それ以外の場所には普通の生き物しかいない。スライムもそうだって。ただ、世界中に魔の森が点在しているので森によって違う魔獣がいると言う。イラリオさんも行った事はないので噂だけ。それと、魔獣と普通の生き物の違いは姿と敵意。異世界から来た別種族でも敵意がなければ魔獣扱いにはならない。
おれだ!
夕方近くになって大きな川に辿り着いた。
150mくらいありそうな川幅。ちゃんと橋が架かっているのが凄い。でもここも欄干がないから怖いです。
「ここを渡れば町だよ。」
そう言って指し示す先には城壁に囲まれたかなり大きな建造物。川が増水する事があるので城門が高い位置にあり、そこまではスロープになっている。川の水が入らないよう、川下の向こう側から上がらなくてはならない。そしてその門から入ると、広場に出る。盛り土がしてあって街全体が城門の高さになっているので、その分、地下室も多い。
増水する春先は地下室は塞がれる。
台風対策のように。
そんな説明を聞きながら町に辿り着いた。
もう日が暮れる。……お腹空いたよー!!
宿屋で馬車も預かってくれて毛馬も世話してくれる契約になっている。
部屋は中級以上のダブルの部屋だった。
いつもは1人なのにこの部屋?
貧乏性のおれには居心地が悪い部屋だ。
で、すぐに夕飯を!って期待したけどスライムゼリーを早く売りたいんだって。素材屋さんがあるらしい。そこでさっきのスライムクッションも加工し直して防腐加工もしてもらう。
それなら行かねばなるまい。
大きな素材も引き取るから荷馬車で行ける所に店はある。量の多さに驚かれた。
買い取り価格は相場も貨幣価値も分からないのでチンプンカンプンだ。でもイラリオさんが交渉しているから希望額より安いのかも知れない。
と、突然引っ張られて話に引き込まれた。
「無理を承知で頼むよ。この可愛い子のお尻が真っ赤に腫れ上がったら可哀想だろう?砦から森を抜けもしないうちに擦り剥けて真っ赤になってたんだ。で、傷薬塗ったら泣いちゃってさぁ…」
どうしてその話になってるの?
あと泣いてないから!涙目になってただけだから!!
「ぼうず、尻はもう大丈夫か?」
「はい、傷薬とスライムクッションのおかげでもう大丈夫です。」
「見せてみろ。」
「お尻を!?」
いきなり尻を見せろなんて言われて見せる訳がない。
男同士でも!!
「大げさに言って無理を通そうって腹だろうが、他にも仕事が山ほどあるんだよ!!」
だから何の話?
イラリオさんに問いかけると、明後日帰るまでにちゃんとしたスライムクッションを作ってくれと頼んでいるんだけど間に合わん、と断られているそうだ。
それなら仕方ない。
この頼りない二の腕を見せよう!
袖を捲って腕を出して触らせると、おじさんは唸った。後ろからおれの二の腕を揉むイラリオさんがお尻と同じくらい軟らかい~って嬉しそうだ。
「…仕方ない。無理を聞いてやる。」
「ありがとうございます。」
赤ん坊かよ、しかたねぇなって聞こえたけど聞かなかった事にして笑顔でお礼を言った。
そうして宿に戻って食堂で夕飯を食べる。
スープとサラダとステーキとキッシュとパン。梨のような果物も出た。
お腹いっぱいになって部屋に戻ってシャワーを浴びる。当然のようにイラリオさんも入って来ておれを洗う。隊長命令だからね、とウィンクするけど、そこは命令されてなかったと思うよ。
まぁ、別に良いか。
この世界では寝間着は冬に着るものでそれ以外は肌着とパンツで寝るモノらしい。特にこだわりもないのでその通りにする。明日は自分サイズの服が着られるかな?
「さぁ、おいで。」
またか、と思いながらベッドに入ると抱きしめられて頭を撫でられる。
はぁ…気持良い。
「抱き心地、最高。」
それは良かった。
もう瞼が重くて目が開かない…
丸1日馴れない馬車に揺られてかなり疲れていたらしい。
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