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第14話
しおりを挟む一夜が明けてスッキリ目覚める。
イラリオさんはまだ寝ている。兵士なのにセサルさんより寝起きが悪いのかな?
仕事もなく、何も知らないから1人では何もできない。
…不安になって来た。
とりあえず、毛馬を見て来ようかな?
宿の人に聞いて厩へ行く。
3頭の毛馬が厩に隣接した柵の中でのんびり草を食んでいた。
「おはよう。」
毛色と毛の長さが違うので見分けがついたうちの毛馬に手を伸ばすと今日は大人しく頭を預けて来た。かわいい。
耳の下が好きなんだっけ、と思い出して掻くと他の毛馬も集まって来た。うちの子は明るい茶色だけど、他の2頭は片方が毛刈り済みのブルーグレーで見た目は普通の馬、もう片方はモフモフの…ホルスタイン柄。
…馬なのか羊なのか牛なのか。
「っ!?」
それぞれを順に掻いてやっていたら、うちの子にベルトを咥えて放り投げられた。ホルスタイン柄の背に落ちて弾む。そこから地面に転がった所を青灰色に転がされる。
「わっ!ちょっ、やめ…!!」
何とかやめて欲しいけど言葉にならない。毛馬相手に言葉になったところで伝わるのかどうか疑問だけど。
どれくらい転がされたか分からないけど、目が回って立てなくなった頃、宿の人に救出された。
「うぅぅ…ありがとう…ございます…」
目が回っているから相手の顔がよく分からない。目を瞑ってても回っているような感覚で辛い。お尻も痛い。その人が部屋まで姫抱きで運んでくれた。
「失礼します。」
ノックをして言葉をかけて部屋に入るとイラリオさんが寝ぼけ眼で起き上がった。
「…!どうしたの!?」
ベッドに下ろされて靴を脱がされるおれを心配そうに見つめる。
「あー…おはようございます…」
「それは良いから!」
挨拶はしないとダメだよー。
宿の人の状況説明に補足しながら横たわる僕の手に、なぜかイラリオさんの肌(局部)が触れる。あれー?
「毛馬のあんな行動は見るのも聞くのも初めてで…」
「やどの責任に着いてはヨシキが回復してから話をしよう。ありがとう。」
「責任って…僕が不用意に近づいたからで、誰も悪くないでしょう?僕が叱られるところじゃないの?」
「…それはお仕置きのおねだりかな?」
「そんなおねだりしません。」
「とにかく主人に報告して、朝食はこちらへ運びますので、ゆっくり休んで下さい。」
「ご迷惑をおかけします。」
宿の人が出て行った後、マッパの理由を聞くと寝相が悪くて…と言った。どんな寝相?
朝食が来る前にうとうとしてしまった僕が目を覚ますと昼近かった。朝ごはんは冷めちゃったけど勿体無いのでいただきました。
2人で部屋を出ると宿の主人が心配顔でやって来た。
「具合はいかがですか?」
「もう大丈夫です。ご心配おかけしました。」
ぺこりと頭を下げてから笑顔を見せる。
主人はホッとしたようだ。
「今日はこれから服を買いに行くから、夕食だけ頼む。」
「かしこまりました。」
そんなやりとりの後、行った服屋は仕立屋さんだった。この世界にはまだ既製服は王都くらいにしか存在しないらしい。じゃあ、時間かかるのかな?
「ようこそおいで下さいました!」
朗らかに出迎えるカイゼル髭の店主はリアルに揉み手をしている。初めて見た。
「今日は隊員服じゃなくて、この子の服が欲しいんだ。どんなのが良いかな?」
イラリオさんの言葉に店主の目がギラリと光った。
「サイズを測らせていただきます!」
ポケットから取り出したメジャーであちこち測ると、驚愕の表情を浮かべた。
「これは!!」
ちびがりですが、何か?
「うちの子の一昨年のサイズと同じです!!」
それはびっくりだ!
「うちの子のために作った服ですが、気に入らないと言って袖も通していない新品ですので試着して見ませんか?」
別に古着でも気にならないけど、すぐに買えるのはありがたい。
「試着させて下さい。」
一も二もなく即答した。
いそいそと奥から運んで来た大量の箱。
子供への愛がオーバーフローしている…
そしていそいそと箱を開けると、中から出て来たのはフリルたっぷりのワンピース。
娘か!!
「女物じゃないですか!」
「そうですが、サイズが合えば大丈夫ですよ。」
いや、ダメだろ。
「試着くらい良いんじゃない?」
「なんの罰ゲーム?」
「まぁまぁ、他も見て下さい。ボーイッシュなデザインの服ならきっと大丈夫ですから。」
まあ、シンプルでスカートじゃなければ構わないけど。
普通の丈とショートパンツとカプリパンツを2着ずつ。
シャツのボタンの合わせが逆なのはこっちもなんだ。そこは許容範囲だからOK。シンプルなのを選んで半袖4着長袖2着。
下着は既製品があったので肌着とパンツを6枚ずつ。
シャツとズボンは一点ものだけど、値段はどうなるんだろう?
「ねぇ、さっきの服、試着しないの?」
なぜおれなんかの女装を見たがるのか。
イラリオさんをジト目で見つめる。
「試着してくれたら割引しますよ。」
「乗った!」
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