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はじまり
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「ありがとうございます!またお越しください!」
今日も淡々とレジを打ち、淡々と商品を陳列し1日が終わっていく。
入社したのはもう7年前になるだろうか。給料も高くて、元々スーパーでアルバイトをしていたこともあったからとの軽い気持ちで入社したのが今の会社だ。
会社、といえば聞こえはいいが周りからすると只のスーパーにいるお兄さんだ。、、、いや29歳は今時はおじさんなのか??お兄さんだと思っておこう。
この店舗の店長を任されて4年になる。最初はシフト作りで混乱して25連勤になったこともあったが、今ではある程度のことは対応できるようになってきた。
まあ、いわゆる「平凡な日常」ってやつを送っている。
退勤間際、よく来る近所の女子高生に話しかけられる。
「ミカドさーん、ミカド ユウイチさーん!おっつかれさまー!」
「おう、ミクルちゃん。お客さんに俺の名前バレちゃうから大声でフルネーム呼ぶのやめろって言ってるだろ?」
「いやいや、名札に書いてあるし。てか、こんなかわいいJKから話しかけられてその態度なくなーい?」
言葉ではそう言いながらもミクルちゃんはニコニコ、いやニヤニヤしながら近寄ってくる。
「そういう問題じゃなくてな、、、。
まあ、いいや。今日も夕飯のお買い物か?」
「うん、私一人暮らしだからさ」
ミクルちゃんは1年ほど前からこの店に通っている高校生の女の子だ。
何でも家庭の事情で転校してきたらしいが一人暮らしをしているとのこと。
毎日お店で顔を合わせる程度の関係なので深くは聞いたことがないが複雑な事情があるのだろう。
とはいえ、彼女はいつ来ても明るく笑顔で接してくる。
「いつも頑張っているミカドさんに私から差し入れでーす!!」
そう言ってミクルちゃんは見たこともないパッケージのジュースを取り出した。
「なにこれ??初めて見るんだけど??海外のやつ??」
「んーー、まあそんな感じ!怪しくはないから!怪しいやつじゃないからね!仕事終わったら飲んでね!!」
そう言ってミクルちゃんは買い物に戻っていく。
、、、何で怪しくないって2回も言ったんだ?怪しさ倍増じゃないか。
とはいえ、せっかくの女子高生からの頂き物だ。仕事終わりに飲ませて頂こう。
そんなこんなで仕事も終わり帰宅する。風呂に入った後、コンビニで購入した弁当を用意する。
お茶を用意しようとして、ミクルちゃんから貰ったジュースを取り出す。
「えらい真っ青なパッケージだな・・・」
否定するわけではないが、美味しそうというよりおしゃれさを追求しているようなパッケージだ。
「味も何も書いてないけど、、、まあせっかくだし頂くか!」
正直、ちょっと怖さもあったが若い子が選ぶものに間違えはない!という謎の自信で飲み始めた。
「フルーツミックス味か!うまいな。・・・あれ、なんかめっちゃ眠くなって、、、」
眠いというよりこれは意識が薄れていくような感覚だ。複雑な事情がありそうだとは思っていたが、もしかしてミクルちゃんって結構やばいやつ??
薄れゆく意識の中で最後に考えたのはそんなしょうもないことだった。
「・・・さーん。ユウイチさーん。ユウちゃーん!んー、もう少し起きないかなー」
微かに意識が戻ってきた。ユウちゃんか。天国に行ったばあちゃんがよく呼んでくれていたなあ。・・・あれ、俺死んでる!?
死後の世界って本当にあるんだな、と感心しながら目を開けるとなぜかそこにはコスプレをしているミクルちゃんの姿があった。
「あ、ユウイチさん、やっと目を覚ました!えっと、、、先に謝っておくけど手荒い真似になってごめんね!その分サービスは沢山するから!」
「ミクルちゃん、えっと、おはよう?あれ、俺生きてるの?コスプレしてサービスって、、、えぇ!?俺を眠らせてそういうお店に連れてきたの!?ってか高校生はまだそういうお店はだめだろう!」
もしかしてそういうことか??お金を稼ぐために俺を眠らせたのか??
「はぁ!?ちがうし!?私がそんなことするって思ってたの!?・・・いや、でもこれは私が悪いね。なんにも説明してないからそう思われても仕方ないか。じゃあ、とりあえずそこの椅子に座ってくれる?」
俺は言われるがままにテーブルの前にある椅子に座る。
「では、改めて、ユウイチさん。私たちの世界、『ジャポルト』へようこそ!ちゃんと名乗ったこともなかったよね。私の名前は天野 未来(あまの みくる)だよ。いきなりだけど、私たちの世界に連れてきてごめんね。」
ノートを使いながらミクルちゃんは説明をしてくれる。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。私たちの世界?ジャポルト?そしてその恰好ってもしかして、、、」
「ユウイチさんが思っている通り、異世界転生ってやつだね!!」
異世界転生って、、、そんなことあり得るの!?俺はパニックになってつい立ち上がってしまう。
「ユウイチさん、落ち着いてよ。詳しいことはこれから説明するからさ!とりあえず、私の話を聞いてよ。」
ミクルちゃんはいつも通りの笑顔で話しかけてくる。
・・・混乱しても仕方ないな。店長を経験したことで培ってきた「予期せぬことへの対応」「一旦、相手の話を聞いておく」というスキルがここで活きるとは思わなかったが。
そんなこんなで、これからミクルちゃんの話を聞いていくのだが・・・
俺、三門 裕一(みかど ゆういち)が体験していく異世界ファンタジーはここから始まるのであった。。。
どうか!平和な結末を迎えられますように!!と切実に願いながら。
今日も淡々とレジを打ち、淡々と商品を陳列し1日が終わっていく。
入社したのはもう7年前になるだろうか。給料も高くて、元々スーパーでアルバイトをしていたこともあったからとの軽い気持ちで入社したのが今の会社だ。
会社、といえば聞こえはいいが周りからすると只のスーパーにいるお兄さんだ。、、、いや29歳は今時はおじさんなのか??お兄さんだと思っておこう。
この店舗の店長を任されて4年になる。最初はシフト作りで混乱して25連勤になったこともあったが、今ではある程度のことは対応できるようになってきた。
まあ、いわゆる「平凡な日常」ってやつを送っている。
退勤間際、よく来る近所の女子高生に話しかけられる。
「ミカドさーん、ミカド ユウイチさーん!おっつかれさまー!」
「おう、ミクルちゃん。お客さんに俺の名前バレちゃうから大声でフルネーム呼ぶのやめろって言ってるだろ?」
「いやいや、名札に書いてあるし。てか、こんなかわいいJKから話しかけられてその態度なくなーい?」
言葉ではそう言いながらもミクルちゃんはニコニコ、いやニヤニヤしながら近寄ってくる。
「そういう問題じゃなくてな、、、。
まあ、いいや。今日も夕飯のお買い物か?」
「うん、私一人暮らしだからさ」
ミクルちゃんは1年ほど前からこの店に通っている高校生の女の子だ。
何でも家庭の事情で転校してきたらしいが一人暮らしをしているとのこと。
毎日お店で顔を合わせる程度の関係なので深くは聞いたことがないが複雑な事情があるのだろう。
とはいえ、彼女はいつ来ても明るく笑顔で接してくる。
「いつも頑張っているミカドさんに私から差し入れでーす!!」
そう言ってミクルちゃんは見たこともないパッケージのジュースを取り出した。
「なにこれ??初めて見るんだけど??海外のやつ??」
「んーー、まあそんな感じ!怪しくはないから!怪しいやつじゃないからね!仕事終わったら飲んでね!!」
そう言ってミクルちゃんは買い物に戻っていく。
、、、何で怪しくないって2回も言ったんだ?怪しさ倍増じゃないか。
とはいえ、せっかくの女子高生からの頂き物だ。仕事終わりに飲ませて頂こう。
そんなこんなで仕事も終わり帰宅する。風呂に入った後、コンビニで購入した弁当を用意する。
お茶を用意しようとして、ミクルちゃんから貰ったジュースを取り出す。
「えらい真っ青なパッケージだな・・・」
否定するわけではないが、美味しそうというよりおしゃれさを追求しているようなパッケージだ。
「味も何も書いてないけど、、、まあせっかくだし頂くか!」
正直、ちょっと怖さもあったが若い子が選ぶものに間違えはない!という謎の自信で飲み始めた。
「フルーツミックス味か!うまいな。・・・あれ、なんかめっちゃ眠くなって、、、」
眠いというよりこれは意識が薄れていくような感覚だ。複雑な事情がありそうだとは思っていたが、もしかしてミクルちゃんって結構やばいやつ??
薄れゆく意識の中で最後に考えたのはそんなしょうもないことだった。
「・・・さーん。ユウイチさーん。ユウちゃーん!んー、もう少し起きないかなー」
微かに意識が戻ってきた。ユウちゃんか。天国に行ったばあちゃんがよく呼んでくれていたなあ。・・・あれ、俺死んでる!?
死後の世界って本当にあるんだな、と感心しながら目を開けるとなぜかそこにはコスプレをしているミクルちゃんの姿があった。
「あ、ユウイチさん、やっと目を覚ました!えっと、、、先に謝っておくけど手荒い真似になってごめんね!その分サービスは沢山するから!」
「ミクルちゃん、えっと、おはよう?あれ、俺生きてるの?コスプレしてサービスって、、、えぇ!?俺を眠らせてそういうお店に連れてきたの!?ってか高校生はまだそういうお店はだめだろう!」
もしかしてそういうことか??お金を稼ぐために俺を眠らせたのか??
「はぁ!?ちがうし!?私がそんなことするって思ってたの!?・・・いや、でもこれは私が悪いね。なんにも説明してないからそう思われても仕方ないか。じゃあ、とりあえずそこの椅子に座ってくれる?」
俺は言われるがままにテーブルの前にある椅子に座る。
「では、改めて、ユウイチさん。私たちの世界、『ジャポルト』へようこそ!ちゃんと名乗ったこともなかったよね。私の名前は天野 未来(あまの みくる)だよ。いきなりだけど、私たちの世界に連れてきてごめんね。」
ノートを使いながらミクルちゃんは説明をしてくれる。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。私たちの世界?ジャポルト?そしてその恰好ってもしかして、、、」
「ユウイチさんが思っている通り、異世界転生ってやつだね!!」
異世界転生って、、、そんなことあり得るの!?俺はパニックになってつい立ち上がってしまう。
「ユウイチさん、落ち着いてよ。詳しいことはこれから説明するからさ!とりあえず、私の話を聞いてよ。」
ミクルちゃんはいつも通りの笑顔で話しかけてくる。
・・・混乱しても仕方ないな。店長を経験したことで培ってきた「予期せぬことへの対応」「一旦、相手の話を聞いておく」というスキルがここで活きるとは思わなかったが。
そんなこんなで、これからミクルちゃんの話を聞いていくのだが・・・
俺、三門 裕一(みかど ゆういち)が体験していく異世界ファンタジーはここから始まるのであった。。。
どうか!平和な結末を迎えられますように!!と切実に願いながら。
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