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桃太郎、改心する
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報奨金を手にした桃太郎は足早にお爺さんたちが待っている家に向かいました。
家を出て数ヶ月が経っています。
一分、一秒でも早くお爺さんたちに会いたかったのです。
「ただいま」
家に戻ったのに、家の中に人の気配を感じられません。
「お爺さん?お婆さん?どこにいるんですか?返事してください」
声を掛けながら二人を探します。
でも二人からの応答はありません。
最後に二人の寝室に入りました。
そこには布団に入ったままのお爺さんとお爺さんに覆い被さっているお婆さんがいました。
「お爺さん、お婆さん、帰ってきました」
揺らしても起きる気配がありません。
そっと首筋に触れると、まだ冬じゃないのにとても冷たくなっていました。
脈を取ろうとしても、脈を感じることができませんでした。
お爺さんとお婆さんは死んでいました。
桃太郎は深い悲しみにくれました。
立派な告別式をしてあげたかったけれど、どうすればいいのか分かりません。
告別式の代わりに立派な墓を建ててあげました。
それはそれは豪華絢爛な墓を二人のために報奨金を使って建ててあげました。
”もっと早く孝行してあげたかった”
”もっと早くオーガ退治を終わらせればよかった”
桃太郎の中で後悔が渦巻いていました。
それからというもの、桃太郎は何も仕事が手に付かず、ただの生ける屍のようになってしまいました。
ある日、桃太郎は夢を見ました。
夢の中でお爺さんとお婆さんが出てきました。
二人は泣いています。
「お爺さん!お婆さん!」
「ぅぅ…」
「どうして泣いているんですか?」
「分からないのかい?」
「ちゃんと毎日お墓で手を合わせていますよ?寂しい思いさせてませんよ?」
「分からないのかい…」
「違うんですか?」
「見当違いも甚だしい」
「二人が寂しくないようにしてるのとは違うんですか?」
「お前はこれからどうやって生きていくんじゃ?」
「二人がいない世界で生きていても仕方ないので、二人と同じ所へ行きたいです」
「そんなの許しませんよ!!」
「お婆さん!?」
「あなたよりずっと前から生きているのだから先に死ぬのは自然の摂理。でも、今あなたがしようとしていることはその摂理から外れた行為なのですよ?そんなことをして私たちの元へ来たら絶対に許しませんから!!」
お婆さんの説教で目が覚めました。
起きたら桃太郎の目から大粒の涙がボロボロと零れます。
止めようとしても止まりません。
お婆さんに怒られたことは一度もありませんでした。
いつもニコニコして、桃太郎がしようとしたことを全力で応援してくれました。
そんなお婆さんが声を荒げて怒ってくれたことが桃太郎は嬉しかったのです。
その日から桃太郎は心を入れ替えて、元の働き者の桃太郎に戻りました。
お爺さんとお婆さんが大事にしてきたものを守るのは自分だけ。
そのことに気付けたことで桃太郎は生まれ変わったのです。
手始めに報奨金の残りで土地を買い、畑を作り、作物を育てました。
試しに売ってみると、『勇者が育てた』と口コミが広がり、大儲けしました。
英雄になれたからといって、必ずしもハッピーエンドというわけではないのです。
でも、本人の心の持ち様によっては、バッドエンドもハッピーエンドになるのかもしれません。
結末を決めるのは自分自身の心なのですから。
家を出て数ヶ月が経っています。
一分、一秒でも早くお爺さんたちに会いたかったのです。
「ただいま」
家に戻ったのに、家の中に人の気配を感じられません。
「お爺さん?お婆さん?どこにいるんですか?返事してください」
声を掛けながら二人を探します。
でも二人からの応答はありません。
最後に二人の寝室に入りました。
そこには布団に入ったままのお爺さんとお爺さんに覆い被さっているお婆さんがいました。
「お爺さん、お婆さん、帰ってきました」
揺らしても起きる気配がありません。
そっと首筋に触れると、まだ冬じゃないのにとても冷たくなっていました。
脈を取ろうとしても、脈を感じることができませんでした。
お爺さんとお婆さんは死んでいました。
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立派な告別式をしてあげたかったけれど、どうすればいいのか分かりません。
告別式の代わりに立派な墓を建ててあげました。
それはそれは豪華絢爛な墓を二人のために報奨金を使って建ててあげました。
”もっと早く孝行してあげたかった”
”もっと早くオーガ退治を終わらせればよかった”
桃太郎の中で後悔が渦巻いていました。
それからというもの、桃太郎は何も仕事が手に付かず、ただの生ける屍のようになってしまいました。
ある日、桃太郎は夢を見ました。
夢の中でお爺さんとお婆さんが出てきました。
二人は泣いています。
「お爺さん!お婆さん!」
「ぅぅ…」
「どうして泣いているんですか?」
「分からないのかい?」
「ちゃんと毎日お墓で手を合わせていますよ?寂しい思いさせてませんよ?」
「分からないのかい…」
「違うんですか?」
「見当違いも甚だしい」
「二人が寂しくないようにしてるのとは違うんですか?」
「お前はこれからどうやって生きていくんじゃ?」
「二人がいない世界で生きていても仕方ないので、二人と同じ所へ行きたいです」
「そんなの許しませんよ!!」
「お婆さん!?」
「あなたよりずっと前から生きているのだから先に死ぬのは自然の摂理。でも、今あなたがしようとしていることはその摂理から外れた行為なのですよ?そんなことをして私たちの元へ来たら絶対に許しませんから!!」
お婆さんの説教で目が覚めました。
起きたら桃太郎の目から大粒の涙がボロボロと零れます。
止めようとしても止まりません。
お婆さんに怒られたことは一度もありませんでした。
いつもニコニコして、桃太郎がしようとしたことを全力で応援してくれました。
そんなお婆さんが声を荒げて怒ってくれたことが桃太郎は嬉しかったのです。
その日から桃太郎は心を入れ替えて、元の働き者の桃太郎に戻りました。
お爺さんとお婆さんが大事にしてきたものを守るのは自分だけ。
そのことに気付けたことで桃太郎は生まれ変わったのです。
手始めに報奨金の残りで土地を買い、畑を作り、作物を育てました。
試しに売ってみると、『勇者が育てた』と口コミが広がり、大儲けしました。
英雄になれたからといって、必ずしもハッピーエンドというわけではないのです。
でも、本人の心の持ち様によっては、バッドエンドもハッピーエンドになるのかもしれません。
結末を決めるのは自分自身の心なのですから。
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