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妊娠・出産
第五十一話
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式は厳かに、順調に進行し、滞りなく終了した。
新居に移った保と桃。
「今日から共同生活が始まるが、よろしく頼む」
「…こちらこそよろしくお願いします」
保は既に新居に引っ越しが完了し、桃より先に新居で生活をしていた。
桃は粗方荷物は搬入していたが、細かな荷物の整理がまだであった。
「少し荷物の整理してきていい?」
「あぁ、まだ完了してなかったんだっけ…俺も手伝おうか?」
「ううん。そこまで時間かからないし、重い物ないから大丈夫」
「終わったら声かけてくれ」
「うん」
お互いの部屋に入り、それぞれの作業に取り掛かる。
数時間後、桃は荷物の整理を完了した。
(もうこんな時間…ご飯の用意でもしようかな)
キッチンに移動し、冷蔵庫を覘く。
全然中身が入っていない。
(これじゃ何もできないか…とりあえず先生呼ぼう)
保が荷物の整理が終わったら呼ぶように言っていたのを思い出して、保の部屋へ行く。
「先生、荷物の整理終わったよ?」
「………」
「先生?」
「………」
ノックして呼びかけるが、返事がない。
「先生、開けるよ?」
おそるおそるドアを開ける。
保は寝ていた。
連日慣れない打ち合わせや今日のプレッシャーとストレス。
いろんなものから解放された。
(先生、お疲れ様)
桃は保の額にキスを落とした。
「…桃?」
いきなり保が目を覚ました。
起きるとは思わなかったので、桃は動揺してしまった。
しかし、寝起きの保は桃の動揺に気付くことがなかった。
(お姫様じゃあるまいし、キスで目覚めるとか…)
「ごめん、俺寝てた?」
「うん。疲れてるみたいだし、もう少し寝てていいよ」
「いや、起きる…」
保はだるそうに体を起こした。
「ねぇ、保…さん…」
「どうした?」
「世界中の誰よりも幸せになろうね」
「もちろん。俺が桃を一生死ぬまで幸せにしてやるよ」
「あたしも保さんを死ぬまで幸せにしてあげる」
二人は微笑み合って、どちらかともなく顔を寄せ、キスを交わした。
「そうそう、先生に言いたいことあったの」
「何だ?」
「冷蔵庫に何も入ってないんだけど…」
「あぁ…外に食いに行くか?」
「先生眠いんじゃない?」
「大丈夫だ。少し寝たら楽になったから」
「それなら、先生のおすすめのお店行きたい」
「俺のおすすめ?」
「そう。いつもあたしの行きたいお店ばかりだから」
「それなら、ここから近くにあるファミレス行きたい」
「ちょっと待ってて。上着持ってくる」
「んじゃ、玄関で待ってるな」
「はぁい」
桃は部屋に行き、上着を持ってすぐ玄関に現れた。
それから、二人で手を繋いで自宅から徒歩五分の所にあるファミレスに到着した。
ウエイトレスに促されて席に着く。
「どうしてここなの?」
「桃がこういう所来たことないんじゃないかと思ってな」
「…何で分かったの?」
「伊達に桃を見てきたわけじゃない」
「ストーカーみたいで怖いよ?」
「単純に親子の思い出が少ないみたいだからファミレスとか来たことないんじゃないかと思ってな」
「ありがとう」
「これからは俺との思い出を少しずつ増やしていけばいいさ」
「そうする」
メニューを見て、保はメガステーキセットを大盛りライスで、桃はハンバーグセットを並ライスで注文した。
「先生って意外と食べるんだね」
「今日は緊張していて朝からあんまり食べれてなかったからな」
「先生でも緊張とかするんだね」
「俺だって人間だからな」
「…先生、いろいろ今日までありがとうございました」
「いきなり改まってどうした?」
「先生に負担ばかりかけてたなと思って…」
「俺がやりたくてやったことなんだから桃が気にすることはないよ」
「でも…」
「それなら、帰ったら一つ言いたいことあるからそれ言ってもいいか?」
「いいよ」
桃がそう言った所にちょうど注文していた料理が到着した。
二人は注文した料理を黙々と平らげた。
「ふぅ…」
「食ったなぁ」
「もう苦しい…」
「ちょっと休んだら帰ろうか」
「うん」
食後に保はコーヒーを、桃はアイスティーを追加注文して、飲み終えた所で会計をして帰宅した。
新居に移った保と桃。
「今日から共同生活が始まるが、よろしく頼む」
「…こちらこそよろしくお願いします」
保は既に新居に引っ越しが完了し、桃より先に新居で生活をしていた。
桃は粗方荷物は搬入していたが、細かな荷物の整理がまだであった。
「少し荷物の整理してきていい?」
「あぁ、まだ完了してなかったんだっけ…俺も手伝おうか?」
「ううん。そこまで時間かからないし、重い物ないから大丈夫」
「終わったら声かけてくれ」
「うん」
お互いの部屋に入り、それぞれの作業に取り掛かる。
数時間後、桃は荷物の整理を完了した。
(もうこんな時間…ご飯の用意でもしようかな)
キッチンに移動し、冷蔵庫を覘く。
全然中身が入っていない。
(これじゃ何もできないか…とりあえず先生呼ぼう)
保が荷物の整理が終わったら呼ぶように言っていたのを思い出して、保の部屋へ行く。
「先生、荷物の整理終わったよ?」
「………」
「先生?」
「………」
ノックして呼びかけるが、返事がない。
「先生、開けるよ?」
おそるおそるドアを開ける。
保は寝ていた。
連日慣れない打ち合わせや今日のプレッシャーとストレス。
いろんなものから解放された。
(先生、お疲れ様)
桃は保の額にキスを落とした。
「…桃?」
いきなり保が目を覚ました。
起きるとは思わなかったので、桃は動揺してしまった。
しかし、寝起きの保は桃の動揺に気付くことがなかった。
(お姫様じゃあるまいし、キスで目覚めるとか…)
「ごめん、俺寝てた?」
「うん。疲れてるみたいだし、もう少し寝てていいよ」
「いや、起きる…」
保はだるそうに体を起こした。
「ねぇ、保…さん…」
「どうした?」
「世界中の誰よりも幸せになろうね」
「もちろん。俺が桃を一生死ぬまで幸せにしてやるよ」
「あたしも保さんを死ぬまで幸せにしてあげる」
二人は微笑み合って、どちらかともなく顔を寄せ、キスを交わした。
「そうそう、先生に言いたいことあったの」
「何だ?」
「冷蔵庫に何も入ってないんだけど…」
「あぁ…外に食いに行くか?」
「先生眠いんじゃない?」
「大丈夫だ。少し寝たら楽になったから」
「それなら、先生のおすすめのお店行きたい」
「俺のおすすめ?」
「そう。いつもあたしの行きたいお店ばかりだから」
「それなら、ここから近くにあるファミレス行きたい」
「ちょっと待ってて。上着持ってくる」
「んじゃ、玄関で待ってるな」
「はぁい」
桃は部屋に行き、上着を持ってすぐ玄関に現れた。
それから、二人で手を繋いで自宅から徒歩五分の所にあるファミレスに到着した。
ウエイトレスに促されて席に着く。
「どうしてここなの?」
「桃がこういう所来たことないんじゃないかと思ってな」
「…何で分かったの?」
「伊達に桃を見てきたわけじゃない」
「ストーカーみたいで怖いよ?」
「単純に親子の思い出が少ないみたいだからファミレスとか来たことないんじゃないかと思ってな」
「ありがとう」
「これからは俺との思い出を少しずつ増やしていけばいいさ」
「そうする」
メニューを見て、保はメガステーキセットを大盛りライスで、桃はハンバーグセットを並ライスで注文した。
「先生って意外と食べるんだね」
「今日は緊張していて朝からあんまり食べれてなかったからな」
「先生でも緊張とかするんだね」
「俺だって人間だからな」
「…先生、いろいろ今日までありがとうございました」
「いきなり改まってどうした?」
「先生に負担ばかりかけてたなと思って…」
「俺がやりたくてやったことなんだから桃が気にすることはないよ」
「でも…」
「それなら、帰ったら一つ言いたいことあるからそれ言ってもいいか?」
「いいよ」
桃がそう言った所にちょうど注文していた料理が到着した。
二人は注文した料理を黙々と平らげた。
「ふぅ…」
「食ったなぁ」
「もう苦しい…」
「ちょっと休んだら帰ろうか」
「うん」
食後に保はコーヒーを、桃はアイスティーを追加注文して、飲み終えた所で会計をして帰宅した。
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