神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎

文字の大きさ
45 / 58

空飛ぶ車

しおりを挟む

 それから1週間は前国王の葬儀が続き、その間僕はマール王の代理として日中は王宮に詰めていた。

 朝から参内して夜に帰るという生活に慣れた頃、僕とカレンとの関係も微妙に変化していった。

 初めは僕の事を「ニース様」とぎこちなく呼んでいたのだが、次第に「ニースさん」と呼ぶようになり、最後にはリーサと一緒に「ニースちゃん」と呼ばれるようになった。

 僕をそう呼ぶカレンは徐々に男っぽさが消えて行き、女性らしい柔らかな物腰と可愛らしい雰囲気に変わって行った。

 自らが発する言葉で自分自身が変化していっている、僕の鑑定ではそのように出た。

「最近、カレンちゃんが何か可愛くなっている気がするのだけど」
「ええ……」

 夜、皆で夕食のテーブルを囲んでいる時に指摘するとカレン自身が意外そうに言う。

「そ、そんな事……ないわ、よ」

 男言葉も女言葉になりつつあって僕はそれが好ましかった。

「そうよ~、変わったわ」

 リーサが僕に同意する。

「あのう、カレンさんって帝国では一番強い勇者様だったのでしょう?」
「今でも強いわ、よ」

 カッツが好奇心で訊くとカレンが照れながら少しぎこちない女言葉で返す。
 以前だったらカッツのような少年を見下し、「気安く話しかけるな」と冷徹に言い放つに決まっていた。

「それに美人だし」

 僕がダメ押しをするとカレンは顔が真っ赤になって固まってしまう。
 面と向かって容姿を褒められるという事を今まで経験していないのだ。
 それを相手に言わせない威圧感と威厳を湛えていたのだが、今はすっかり穏やかになっている。

「わ、わた、私は……そんな褒めらた事がないので、困るのだ……」
「うふふ、やっぱり可愛いわよねー」

 リーサがそんなカレンを見て言う。

 カレンは公然と謁見の間で僕にやり込められた時に。
 自らしもべになるなどと言う宣言は、彼女の心に纏った鎧をはぎ取り、素の童心に戻していたのだ。

 鑑定師の僕にはそれが判った。

 それ以来リーサはずっとにこにこしていて、僕は癒されっぱなしだ。

「あー、またリーサちゃんの事見てる」

 ミニーが鋭く指摘する。

「ふふふ、旨い飯と酒、そして……最高だろう?」
「マジ最高っす、師匠!」
「あーごまかしましたね」

 ミニーが的確に突っ込んでくるが、そんな会話も今では定番になった。



 前国王の葬儀が終わると王宮全体が喪に服していて、少し暇が出来たカッツがカレンに頼んで剣の稽古をつけてもらっていた。

「そりゃ!」

 ガィン!キシィ!

 カッツが打ち込む剣をカレンは軽々と捌く。

「もっと身体の力を抜いてインパクトに集中しなさい」
「はい!先生!」

 僕のアイテムを一切使用しない、自力の鍛錬はカッツにとっていい刺激になっている。
 いかにアイテムが強力であっても、更なる高みを目指すには本人の基本的な練度を上げる事が必要なのだ。

 午前中、ずっと打ち合いの稽古をつづけてカレンも少しくたびれて言う。

「もうそろそろ終わりにしよう?」 
「え、あはい!有難うございました!カレンさん」

 カレンもカッツ達と打ち解けあって今では子弟関係、友達関係のようになっていた。


 少し長い休みを貰った僕は、彼らの稽古をバルコニーから眺めながらアイテムの製作にいそしんでいる。

「カッツもタフだなぁ」

 汗だくになった2人が屋敷の中に入って来るのを見て、僕もアイテムの製作を一旦終えた。

 そこには作りかけの飛翔魔車があった。丁度、下部と骨組みベースの部分の加工が終わり、あとはそれを籠部に取り付ければ一旦完成となる。

「あとは調整をして試運転だな……」

 その運転手として誰か丁度いい相手がいないかと考えて居ると、執事のトーマスが部屋にやってきて昼食の用意が出来たという。

「旦那様、お昼の準備が整いました」
「お、良い所にきたね」
「は?」
「あとで、少しお願いがあるのだ」
「はい、どのような」
「あれを完成させて皆で乗って飛ばそうと思う、それで君に試運転をお願いしたい」
「は!私でありますか?」

 トーマスは少し驚いていたが、特に魔力の訓練をしていない一般人のトーマスがテストには適任だと思った。

「頼むよ」
「はい」



 昼食を終えるとミニーとマーシーは王都に買い物に出かけると言って屋敷を出て行った。

 僕はリーサとカレン、カッツに手伝ってもらい飛翔魔車のベースに本体のカバーを乗せてくみ上げる。

「出来た!」

 一応綺麗に組みあがったそれを見て僕が喜ぶ。

「カッコいい!師匠、これって?」
「飛翔魔車だ」
「それって、もしかして……」

 と何も知らないカレンが訊く。

「空飛ぶ馬車だ」
「ええ~~」
「スゴ~イ」
「流石師匠」

「さて、トーマスさん、お願いしますね」

 僕はトーマスと共に二人掛けの御者の席に座り、操縦方法を教える。

「ここを握って、そう、それで集中して、上がれと念じて」
「はい……はい、では、上がれ!」

 トーマスが上がれと言うと飛翔魔車が少し浮いて静止した。

「おおお!」
「うわああ!」
「カッコいい!」

 そこで喜んでいる3人を呼び寄せて乗るように言う。

「よーし、では浮かんだまま乗車してみよう」

 地面から50センチ浮かんだままで3人が扉から中に入ると、若干バランスを崩すが問題無く操縦出来ている。

「素晴らしい上出来だ!よし、このまま屋敷の中を階段を使って下に降りて行こう」

 トーマスは僕の指示するままに操縦棒を握って念じ、飛翔魔車が滑るように動いて通路を通り、階段をスルスルと降りていく。

 1階のホールから外に出て停車し、僕はトーマスを絶賛した。

「やったぞ!トーマス、君はなんて素晴らしいんだ!」
「あ、いや~そんなにお褒め頂くと困ります」

 トーマスは自分の後頭部を撫でて照れている。

「よぅし!このまま納品に行こう」

 飛翔魔車は目の前の王宮にそのまま飛んで行った。
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

処理中です...