16 / 52
異国転移
しおりを挟む
翌日、俺たちは昼前に管理センターの屋上に舞い降りた。そこにいた10数名の警備兵を遠隔によるミューの風魔法で捕縛して身動きを封じてから作戦を開始する。
まず、管理センターの屋上で俺が全土感知の土魔法でマッピングを行う、ミューと向かい合って恋人のように両方の手を握り合い、そしてお互いの額をくっつける。ミューが風魔法のサーチエレメンタルを唱えて俺がマッピングした建物の中の人物の特徴と場所を把握して共有するのだ。
目を開けるとミューの可愛らしい顔が間近にあって気が散ってしまうので、再度目を閉じて精神を集中する。風魔法で捕縛されている警備兵からは俺たちがイチャイチャしているようにしか見えないのだろう、などと変な事を考えてしまったがそれにもかかわらず建物内の重要人物の名前と姿、場所などが特定できた。
そいつはあの自称軍師アルタイールであったが、名前が違っていた。そこではアル・ダイル、職業は軍人で戦術担当、諜報作戦の指揮官もしているようだった。
「見つけた!」
「こんな所にいたのね……」
2人で思わず笑ってしまった。益々イチャつく恋人である。彼女のサーチエレメンタルによると、屋上での異変に気が付いたアルは大急ぎで建物を脱出している最中の様子だった。余程俺たちが怖いらしい。
「クリエイトモブ!」
次に、屋上の出入口の扉の中へ土魔法で作った大量の木偶を投入して歩かせる、これで彼らが混乱している間に有利に作戦を進められるのだ。およそ数百体の人間そっくりの木偶を即席で作りマッピングデータを共有して様々な場所に向かわせた。
そして、箒に2人乗りでそのままセンターを飛び降りると丁度アルが建物から飛び出してきて乗り物で走り去る瞬間だった。俺たちはそのまま上空から彼を追跡し始める。アルを乗せたその乗り物は警報を出しながら異常な速度で走り、周りの交通に混乱を引き起こして逃走して行く様子がよく見えた。それをミューと2人でクスクス笑いながら余裕をもって追跡した。
暫くそのまま追跡すると軍港のような場所の倉庫に入っていくのが見えた。どおやらそこが目的地らしい。
風魔法でミューが警備兵を全員捕縛してから俺たちは手をつなぎ倉庫に入るとそこは巨大な空間が広がっていて、様々な機械が動いていた。それぞれの機械には専門のオペレーターが居て何か忙しく操作をしている様子がみてとれた。
「準備は良いか!?」
と、前方の機械の前でアルが技師に訊いている。
「はい……ですが」
「大丈夫だ、すぐに発つ」
「承知しました」
技師が近くの装置のレバーに触れると突然、彼らの前のステージのような場所にあの暗黒の渦巻が現れた。俺は思わず叫びそうになるのを堪えてミューに小声で箒に乗れという。
予想通り、アルはその渦に早歩きで入っていく様子だったので俺たちは高速で飛びアルを後ろから蹴り飛ばしながら一緒にその渦に飛び込んだ。
「ウワァ!!」
と叫んでいるアルが一瞬見えたが、そのあと奴の姿は消えて俺たちは倉庫ではない、森の上の空を飛んでいた。
「やった!!」
思わず叫んだが、喜ぶのはまだ早い。
アルを探すがどこにも姿が見えないので全土感知を使ったがそれでも把握はできなかった。
「しまった……見失ったな」
それでも嬉しくてミューに感謝をしてキスをした。
「戻ってこれたのね……」
とラムがいう、何となく寂しそうであった。
「まだ、元の国とは限らないけれどね」
ラムにありがとうと言って再度キスをした。
そして、箒で上空に飛び上がり地形を俯瞰するが……やはり見覚えの無い場所であった。
「ミュー、ここがどこか知っているかい?」
「ううん……」
やはり、2人とも知らない場所のようだ。仕方がないので空から見えた一番大きな街に向かった。
町の雰囲気とか、住人の姿などはなんとなく俺が元いた国の人たちに似ていて、気持ち的に安心感が染みわたって来た。そこでは、前の国のような変な乗り物はなく、皆馬車か徒歩で往来している。精霊気感知をすると、それも澄んでいてとても気分が良い。
頭に載せたカチューシャは要らないだろうと思って外して、近くの食堂に入るが言葉が通じなかった。壁に掛かれたメニューも読めないし、使える通貨がない事に気が付いて急いで質屋を探しあるいた。
「言葉が通じないな……ミューはどう?」
「ダメみたいです」
ミューも知らないという事は完全に違う国に居るという事なのだろう……。また異国に迷い込んでしまったのかと、少しがっかりした。
それで、街の住人に聞き出してなんとか質屋を探し、使えるお金に換えてから宿を取った。
「あの闇のグルグルはどういう仕組みなんだろうな……」
答えなんてわかるわけもないのに、ベッドに座って独りごちた。
「あの時、蹴られたアルさんが右のほうに流れていくのを一瞬だけど見えたの」
「あ、そうだな。それで俺たちは真中の方に進んで行った感じはした、そういう事がなにか関係している可能性はあるのか……」
それは今後の課題として、とりあえずはこの国をもっと知る必要があった。
その満月の晩、俺たちはこっそり窓から飛び立って、夜の散歩を楽しんだ。もっとも、探索という名目だったのだがそんなことはどうでも良かったのだ。もっとミューと一緒に居たかっただけだ。
町から離れた大きな丘の上に立派なお城が見えたのでそこの屋上に降り立って世界を俯瞰する。その城からは俺たちが泊っている町が良く見え、その先にある海、小島の島々が幻想的に月明かりに照らされていた。明日はまた、小島めぐりをして楽園の建設をしようか?と提案するとミューもノリノリで喜んだ。
どこに行っても3人の楽園は初めに造るべきだなと思ったのだ。
まず、管理センターの屋上で俺が全土感知の土魔法でマッピングを行う、ミューと向かい合って恋人のように両方の手を握り合い、そしてお互いの額をくっつける。ミューが風魔法のサーチエレメンタルを唱えて俺がマッピングした建物の中の人物の特徴と場所を把握して共有するのだ。
目を開けるとミューの可愛らしい顔が間近にあって気が散ってしまうので、再度目を閉じて精神を集中する。風魔法で捕縛されている警備兵からは俺たちがイチャイチャしているようにしか見えないのだろう、などと変な事を考えてしまったがそれにもかかわらず建物内の重要人物の名前と姿、場所などが特定できた。
そいつはあの自称軍師アルタイールであったが、名前が違っていた。そこではアル・ダイル、職業は軍人で戦術担当、諜報作戦の指揮官もしているようだった。
「見つけた!」
「こんな所にいたのね……」
2人で思わず笑ってしまった。益々イチャつく恋人である。彼女のサーチエレメンタルによると、屋上での異変に気が付いたアルは大急ぎで建物を脱出している最中の様子だった。余程俺たちが怖いらしい。
「クリエイトモブ!」
次に、屋上の出入口の扉の中へ土魔法で作った大量の木偶を投入して歩かせる、これで彼らが混乱している間に有利に作戦を進められるのだ。およそ数百体の人間そっくりの木偶を即席で作りマッピングデータを共有して様々な場所に向かわせた。
そして、箒に2人乗りでそのままセンターを飛び降りると丁度アルが建物から飛び出してきて乗り物で走り去る瞬間だった。俺たちはそのまま上空から彼を追跡し始める。アルを乗せたその乗り物は警報を出しながら異常な速度で走り、周りの交通に混乱を引き起こして逃走して行く様子がよく見えた。それをミューと2人でクスクス笑いながら余裕をもって追跡した。
暫くそのまま追跡すると軍港のような場所の倉庫に入っていくのが見えた。どおやらそこが目的地らしい。
風魔法でミューが警備兵を全員捕縛してから俺たちは手をつなぎ倉庫に入るとそこは巨大な空間が広がっていて、様々な機械が動いていた。それぞれの機械には専門のオペレーターが居て何か忙しく操作をしている様子がみてとれた。
「準備は良いか!?」
と、前方の機械の前でアルが技師に訊いている。
「はい……ですが」
「大丈夫だ、すぐに発つ」
「承知しました」
技師が近くの装置のレバーに触れると突然、彼らの前のステージのような場所にあの暗黒の渦巻が現れた。俺は思わず叫びそうになるのを堪えてミューに小声で箒に乗れという。
予想通り、アルはその渦に早歩きで入っていく様子だったので俺たちは高速で飛びアルを後ろから蹴り飛ばしながら一緒にその渦に飛び込んだ。
「ウワァ!!」
と叫んでいるアルが一瞬見えたが、そのあと奴の姿は消えて俺たちは倉庫ではない、森の上の空を飛んでいた。
「やった!!」
思わず叫んだが、喜ぶのはまだ早い。
アルを探すがどこにも姿が見えないので全土感知を使ったがそれでも把握はできなかった。
「しまった……見失ったな」
それでも嬉しくてミューに感謝をしてキスをした。
「戻ってこれたのね……」
とラムがいう、何となく寂しそうであった。
「まだ、元の国とは限らないけれどね」
ラムにありがとうと言って再度キスをした。
そして、箒で上空に飛び上がり地形を俯瞰するが……やはり見覚えの無い場所であった。
「ミュー、ここがどこか知っているかい?」
「ううん……」
やはり、2人とも知らない場所のようだ。仕方がないので空から見えた一番大きな街に向かった。
町の雰囲気とか、住人の姿などはなんとなく俺が元いた国の人たちに似ていて、気持ち的に安心感が染みわたって来た。そこでは、前の国のような変な乗り物はなく、皆馬車か徒歩で往来している。精霊気感知をすると、それも澄んでいてとても気分が良い。
頭に載せたカチューシャは要らないだろうと思って外して、近くの食堂に入るが言葉が通じなかった。壁に掛かれたメニューも読めないし、使える通貨がない事に気が付いて急いで質屋を探しあるいた。
「言葉が通じないな……ミューはどう?」
「ダメみたいです」
ミューも知らないという事は完全に違う国に居るという事なのだろう……。また異国に迷い込んでしまったのかと、少しがっかりした。
それで、街の住人に聞き出してなんとか質屋を探し、使えるお金に換えてから宿を取った。
「あの闇のグルグルはどういう仕組みなんだろうな……」
答えなんてわかるわけもないのに、ベッドに座って独りごちた。
「あの時、蹴られたアルさんが右のほうに流れていくのを一瞬だけど見えたの」
「あ、そうだな。それで俺たちは真中の方に進んで行った感じはした、そういう事がなにか関係している可能性はあるのか……」
それは今後の課題として、とりあえずはこの国をもっと知る必要があった。
その満月の晩、俺たちはこっそり窓から飛び立って、夜の散歩を楽しんだ。もっとも、探索という名目だったのだがそんなことはどうでも良かったのだ。もっとミューと一緒に居たかっただけだ。
町から離れた大きな丘の上に立派なお城が見えたのでそこの屋上に降り立って世界を俯瞰する。その城からは俺たちが泊っている町が良く見え、その先にある海、小島の島々が幻想的に月明かりに照らされていた。明日はまた、小島めぐりをして楽園の建設をしようか?と提案するとミューもノリノリで喜んだ。
どこに行っても3人の楽園は初めに造るべきだなと思ったのだ。
60
あなたにおすすめの小説
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる