追放されたおっさんは最強の精霊使いでした

すもも太郎

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異国転移

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翌日、俺たちは昼前に管理センターの屋上に舞い降りた。そこにいた10数名の警備兵を遠隔によるミューの風魔法で捕縛して身動きを封じてから作戦を開始する。


 まず、管理センターの屋上で俺が全土感知の土魔法でマッピングを行う、ミューと向かい合って恋人のように両方の手を握り合い、そしてお互いの額をくっつける。ミューが風魔法のサーチエレメンタルを唱えて俺がマッピングした建物の中の人物の特徴と場所を把握して共有するのだ。


 目を開けるとミューの可愛らしい顔が間近にあって気が散ってしまうので、再度目を閉じて精神を集中する。風魔法で捕縛されている警備兵からは俺たちがイチャイチャしているようにしか見えないのだろう、などと変な事を考えてしまったがそれにもかかわらず建物内の重要人物の名前と姿、場所などが特定できた。


 そいつはあの自称軍師アルタイールであったが、名前が違っていた。そこではアル・ダイル、職業は軍人で戦術担当、諜報作戦の指揮官もしているようだった。


 「見つけた!」

 「こんな所にいたのね……」


 2人で思わず笑ってしまった。益々イチャつく恋人である。彼女のサーチエレメンタルによると、屋上での異変に気が付いたアルは大急ぎで建物を脱出している最中の様子だった。余程俺たちが怖いらしい。


 「クリエイトモブ!」


 次に、屋上の出入口の扉の中へ土魔法で作った大量の木偶を投入して歩かせる、これで彼らが混乱している間に有利に作戦を進められるのだ。およそ数百体の人間そっくりの木偶を即席で作りマッピングデータを共有して様々な場所に向かわせた。


 そして、箒に2人乗りでそのままセンターを飛び降りると丁度アルが建物から飛び出してきて乗り物で走り去る瞬間だった。俺たちはそのまま上空から彼を追跡し始める。アルを乗せたその乗り物は警報を出しながら異常な速度で走り、周りの交通に混乱を引き起こして逃走して行く様子がよく見えた。それをミューと2人でクスクス笑いながら余裕をもって追跡した。


 暫くそのまま追跡すると軍港のような場所の倉庫に入っていくのが見えた。どおやらそこが目的地らしい。


 風魔法でミューが警備兵を全員捕縛してから俺たちは手をつなぎ倉庫に入るとそこは巨大な空間が広がっていて、様々な機械が動いていた。それぞれの機械には専門のオペレーターが居て何か忙しく操作をしている様子がみてとれた。


 「準備は良いか!?」


 と、前方の機械の前でアルが技師に訊いている。


 「はい……ですが」

 「大丈夫だ、すぐに発つ」

 「承知しました」


 技師が近くの装置のレバーに触れると突然、彼らの前のステージのような場所にあの暗黒の渦巻が現れた。俺は思わず叫びそうになるのを堪えてミューに小声で箒に乗れという。


 予想通り、アルはその渦に早歩きで入っていく様子だったので俺たちは高速で飛びアルを後ろから蹴り飛ばしながら一緒にその渦に飛び込んだ。


 「ウワァ!!」


 と叫んでいるアルが一瞬見えたが、そのあと奴の姿は消えて俺たちは倉庫ではない、森の上の空を飛んでいた。


 「やった!!」


 思わず叫んだが、喜ぶのはまだ早い。


 アルを探すがどこにも姿が見えないので全土感知を使ったがそれでも把握はできなかった。


 「しまった……見失ったな」


 それでも嬉しくてミューに感謝をしてキスをした。


 「戻ってこれたのね……」


 とラムがいう、何となく寂しそうであった。


 「まだ、元の国とは限らないけれどね」


 ラムにありがとうと言って再度キスをした。


 そして、箒で上空に飛び上がり地形を俯瞰するが……やはり見覚えの無い場所であった。


 「ミュー、ここがどこか知っているかい?」

 「ううん……」


 やはり、2人とも知らない場所のようだ。仕方がないので空から見えた一番大きな街に向かった。


 町の雰囲気とか、住人の姿などはなんとなく俺が元いた国の人たちに似ていて、気持ち的に安心感が染みわたって来た。そこでは、前の国のような変な乗り物はなく、皆馬車か徒歩で往来している。精霊気感知をすると、それも澄んでいてとても気分が良い。


 頭に載せたカチューシャは要らないだろうと思って外して、近くの食堂に入るが言葉が通じなかった。壁に掛かれたメニューも読めないし、使える通貨がない事に気が付いて急いで質屋を探しあるいた。


 「言葉が通じないな……ミューはどう?」

 「ダメみたいです」


 ミューも知らないという事は完全に違う国に居るという事なのだろう……。また異国に迷い込んでしまったのかと、少しがっかりした。


 それで、街の住人に聞き出してなんとか質屋を探し、使えるお金に換えてから宿を取った。


 「あの闇のグルグルはどういう仕組みなんだろうな……」


 答えなんてわかるわけもないのに、ベッドに座って独りごちた。


 「あの時、蹴られたアルさんが右のほうに流れていくのを一瞬だけど見えたの」 

 「あ、そうだな。それで俺たちは真中の方に進んで行った感じはした、そういう事がなにか関係している可能性はあるのか……」


 それは今後の課題として、とりあえずはこの国をもっと知る必要があった。


 その満月の晩、俺たちはこっそり窓から飛び立って、夜の散歩を楽しんだ。もっとも、探索という名目だったのだがそんなことはどうでも良かったのだ。もっとミューと一緒に居たかっただけだ。


 町から離れた大きな丘の上に立派なお城が見えたのでそこの屋上に降り立って世界を俯瞰する。その城からは俺たちが泊っている町が良く見え、その先にある海、小島の島々が幻想的に月明かりに照らされていた。明日はまた、小島めぐりをして楽園の建設をしようか?と提案するとミューもノリノリで喜んだ。


 どこに行っても3人の楽園は初めに造るべきだなと思ったのだ。

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