追放されたおっさんは最強の精霊使いでした

すもも太郎

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秘密結社バラクーダ

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 その金貨を質屋で交換してもらい再度占いオババの所に行くと、既に撤収してしまって居なかった。


 「……帰ってしまったか」

 「あ、これ……」


 と言ってミューが地面に落ちている一枚の小さな紙切れに気が付いた。その紙のおかしさが気になったのだ。


 「やっぱり、これ風の魔法が掛かっています……」


 と言うと同時に手の中の紙切れはミューの風の魔力に影響されて変化した。グレーの只の紙切れに2列の数字が浮かび上がっていく。 


 ”51-931” ”82-123”


 「アキ……これ、何か数字が現れましたけど何でしょう?」

 「うむ、これは何かの暗号か‥‥‥?」


 ハッと気が付いて急いで地図を出して確認すると、その理由が判った。


 「”82-123”はここの番地だな、そして”51-931”は‥‥‥」


 それはここから南にある港の側のようだった。これはある種の賭けだった、あの占いオババを信じるかそれとも罠であるかの。だが、俺はあのオババを信じようと思った。それは初めて出会った時にミューの真実を見抜いたその能力、そして俺の勘だ。


 「面白いじゃないか、これに乗ってやろう」

 「どうするのですか?」


 「その場所に行ってみよう、大丈夫、この国では全土感知が使えるはずだ」

 「今から行きますか?」


 「その前にミュー、おなか減っただろ?俺もペコペコなんだ」


 と言ってそばの高級レストランに入った。腹が減っては仕事は捗らないし金は沢山あるのだ。俺たちはゆっくりと食事を楽しんだ後、徒歩でその港に向かった。時々全土感知を使い、害意のある誰かに追跡されていない事だけ確認できた。


 徒歩一時間程度で夕闇に沈む行くその漁師港に着くとあらかじめ全土感知で確認した通りだった。開けた砂浜に小さい漁師の仕事小屋があるのが見える。恐らくそこに来いという事だったのだ。


 砂浜にでる前に念のために俺とミューでコンビ魔法の全域調査を行った。その姿を他人が見たらラブラブなカップルが夕闇の浜辺で愛を語り合っているかのように見えただろう‥‥‥。2人を見ているのは周囲では黒猫一匹だけだった。


 調査結果、小屋に2人居て片方はオババのようだ。もう一人は男、カールという中年の料理人で風の魔法使いだった。だが、なぜかオババの名前や属性などの情報は得られなかった、少なくとも只の占い師では無いらしい。2人からは敵対する属性は感じなかったので大丈夫だろうと言う事が判った。


 「行こうか」

 「はい」


 俺たちはその扉をドキドキしながらノックする。


 「どうぞ」


 とあのオババの声が帰って来た。


 「失礼する」


 と言って扉を開けると、やはりそこは漁師の狭い農具置き場兼仕事場のようだ。中央のテーブルの上にランタンが下がり燈っていて、小さい作業用のテーブルの向こう側に男とオババが座っていた。準備万端で待っていたという感じだ。


 「よく来たね、どうぞ座って」

 「オババ、この2人が?」


 オババが座ってくれといい、カールは俺とミューをジロジロと観察している。俺の肩に乗っている風君には気が付いていない様子だった。風の魔法使いのはずなのにおかしな事もあるものだと思った。


 「初めまして、俺はアキ、こちらはミューです」


 と先に挨拶をしてから勧められるままに椅子に腰を掛けた。


 「私の事は知っているね?このガサツな男はカールじゃよ、私の仲間だから安心していいよ」

 「カールです初めまして、先ほどは失礼した、噂とはあまりにもイメージが食い違ったので‥‥‥」


 俺たちの事はもう噂になっているようだ。


 「それで、何か話があったと思うのだが」


 と俺の方から切り出した。


 「では、私からご説明しよう、我々はバラクーダという地下組織だ」


 カールは凄い秘密をべらべらと話しはじめた。どうやら政府転覆を狙う地下組織でその構成員は数百人、全員が魔法使いの能力者だという。そして、この世界に偶発的にやって来た異国人が多いとも。


 「まさか、あの黒い渦に吸い込まれて来た人が沢山いるという事なのですか?」

 「ええ、昔から居たのですが‥‥‥政府の組織に捕まってしまった人も多いのです」


 「今はどのくらいいるのですか?」


 数十人だという、その異国人の中には俺達と同郷もいるのだろうか‥‥‥。だがそれ以上に気になったのは政府転覆の理由だった。


 「政府転覆というのは何が理由なのですか?」

 「あの政府はの、世界に破壊と苦しみの闇を撒いておる‥‥‥許しておけぬのじゃ!」


 とオババが腹に据えかねているという風に答えてくれた。 


 「じゃが、未だこちらの戦力が整わず力のあるものを探しておると言う事じゃ」

 「ふ~む‥‥‥」


 俺は少し考えてから前回、管理センターを襲撃した時の話をした。そしてアルを追いかけて軍港の倉庫に作られた転移装置の事も。


 「なるほど、丁度そのくらいから政府の組織改革が始ったわけだな‥‥‥まさかあなた方2人でやってのけるとは」

 「あの建物が同じ場所であるのなら、また同じことをやるのはそれほど難しくはないと思うのですが」


 「ふむ、じゃが今は管理センターは組織改革されてより軍事的に強固な組織になったのじゃ、そして本体は地下にある事までは判って居る」

 「地下‥‥‥」


 「そうじゃ、あの辺り一帯が地下でつながっていて巨大な地下都市のようになっておるのじゃ」

 「そうですか‥‥‥」


 「それと、今は軍港は廃棄されてそこも巨大な軍事施設になっておる」

 「それは厄介そうですね」


 「ですが、こちらにも5スターズという戦力もあるのです」


 と、カールが割って入った。それが彼らのトップ5のエリート能力者だという。


 「グスタフ、メロエ、リーフ、サリナ、カイラスこの5人は我々の隠し玉なのですが、それぞれが局地戦レベルでは軍隊と同等の戦力をもっています」

 「凄いじゃないですか」


 「ですが、政府軍にも切り札があって、ダストボックスと我々は呼んでいますが、それのせいで力を発揮できないのです」

 「‥‥‥厄介ですね、どういうモノなのですか?」


 彼の説明によれば、それは黑くて表面に紋様が刻まれていて‥‥‥まるでそれは俺が遺跡で見つけた精霊気の吸引箱そっくりだった。


 「もしかして、それに触れると化け物になったりしませんか?」

 「それをご存知とは!!ええ、その通りですがそれは我々の中でもトップシークレットなのです‥‥‥」


 「実はそれと同じものを別の世界で見つけた事があるのです、何とか破壊しましたが‥‥‥」


 俺が説明するとオババとカールは顔を見合わせて唸った。


 「凄い!どうやってあれを壊したのですか?」

 「土の魔法で破壊しました」


 納得できないという様子だったので、近くにあった使い古されて放置されている漁具で実演して見せた。


 「デコンポジション」


 すると、その軽石で出来た漁具は徐々に分解還元されて砂になった。


 カールとオババはそれを見て言葉を失っていた。

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