追放されたおっさんは最強の精霊使いでした

すもも太郎

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打倒アルダイル

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 「アキ様とお連れの方でしょうか?」


 その妙に背の低い男は慇懃な物言いで本人確認をし始めた。俺は事前に全土感知で彼に敵意が無い事が分かっていたので、普通に対応することにする。


 「宿屋の親父に訊いたのかい?」

 「炎の魔法使い様 ですね? 私は夜鷹のシグといいます、どうぞお見知りおきを」


 それを聞いて一瞬ギョッとしたが、それでこの男の正体が大体つかめた。以前察知したのと同じ感覚が僅かに残っていたのだ。俺達を監視していた者たちの1人だった。


 「ほぅ、どこまで知ってるのだ?」

 「先日の見事な戦い、拝見させて頂きました」


 「‥‥‥それで、どんな用事だ?」

 「はい、実は王がお2人に是非会いたいと切望しております」


 「‥‥‥やはり、王宮の関係者なのか」

 「今は利害をともにしていると、言うべきですが。王にあって頂けませんか?」



 「そうだろうとも‥‥‥いいよ、すぐに行こうか?」

 「はい、そうして頂けるとありがたく存じます」


 その場でミューの返事を聞かずに俺は即決してしまった。どちらにしろこうなる運命だったのだろうと感じていたのだ。


 「ミュー、勝手に決めてごめんな。ここから先は俺が話を進めていくけどいいかい?」

 「‥‥‥」


 ミューは無言で頷く。声をだすと少女だと悟られる可能性があったのだ。





 王宮に馬車が着くと、裏口から迎え入れられた。表向きには出来ないという事がそれでも分かった。そちらの方が俺も好都合である。そして先導する執事によって豪華で大きな応接室に誘われ、上客としてのもてなしを受けた。入る前に全土感知を行っていたが、トラップの類は一切なかったので本当に客として迎えられたと判断できる。


 暫くその豪華な座り心地の良いソファーにミューと腰かけていると、ドアをノックして年配の2人の紳士とともに、いかにも王様然とした国王が入って来る。1人はこの前の防衛戦の総指揮のアルキメデク准将だが、片方は初対面だった。



 「はじめましてアキです、こちらは私のお供のミューです」

 「これはようこそおいで下さいました、どうぞお座りください」


 立ち上がって挨拶をすると、王が直々に再度ソファーを勧めてくる。


 「私はこの度の作戦の総指揮をとりました、アルキメデクであります、そしてこちらは作戦参謀のラルフといいます、どうぞよろしく」


 軍服を着た准将が作戦参謀のラルフを紹介してくれる。ラルフは50代そこそこで、いかにもインテリという風貌をしている紳士で黒く神秘的な瞳で俺とミューを見てから胸に手を当てて軽くお辞儀をする。




 「‥‥‥それで」

 「炎の魔法使い様に是非にお願いがあるのじゃ」


 と王が担当直入に用件を述べる。


 「ご存知の通り、今の同盟‥‥‥いやダレーシア国は帝国の侵略を受けて国家の危機にあるのじゃ」

 「力を貸せと?」


 「流石、話が早い」

 「良いですよ」


 「王!少しお待ちください」


 俺が二つ返事でOKをだすと、それを怪しんだのかラルフが王に待ったを掛けた。


 「なんじゃ?」

 「確かにお2人の力は超絶かもしれませんが、その扱い方を間違えると諸刃ともなりかねません」



 ラルフが王を静止するのはもっともな話で、どこの馬の骨とも知れない2人を王宮に引き入れるというのは危険な事であるのは間違いない。だが、今はお互いにそんな事で時間を浪費している場合では無かったのだ。俺はアルダイルについて切り出して問題の核心に直接迫った。



 「アルダイルという男をご存知だろうか?」

 「アル‥‥‥」


 と王が言いよどんだところ、ラルフがすかさず答える。


 「アルダイルというのは帝国の軍師で作戦参謀であります、王よ」

 「おお、聞いた事があるぞ。色々と厄介な相手じゃと」


 「アルと我々は少々因縁がありまして‥‥‥世界を荒らしているアルダイルを止めに来たのです」

 「なんと‥‥‥知り合いじゃったか」


 「それは興味深いですね」


 とラルフが口を挟む。



 「詳しくは言えませんが‥‥‥アルダイルは危険な奴で放置しておくと世界を滅ぼします」


 これには王もラフルもアルキメデクも全員黙ってしまった。途方もない話を聞かされた人間というのは、たとえ訓練された人であっても思考停止してしまうものだ。


 「世界を滅ぼす‥‥‥とは?」

 「あの男の本性は怪物なのです、悪魔と取引してでも世界を手中に収める事が奴の目的なのです、そしてその結果、奴の欲望によって世界が滅ぼされるのです」


 しかし、それはあまりにも正直すぎ、直接すぎる話であった。この世界の指折りの権力者とその補佐官がポカンとして、俺の言葉の意味を追いかけるのに必死である様は中々見ごたえがあった。




 「何か、よくわからんが‥‥‥奴は帝国も狙っているという事で良いのか?」

 「勿論です、全世界の支配が奴の目的ですから」


 「ふむ‥‥‥」

 「その道具としてあの魔獣を使っているのです」


 「なるほど、アキ殿のいう事に嘘がないのは真実を語っている言葉の重みで余にもわかるぞ」

 「確かに‥‥‥」


 とラルフも腑に落ちるという感じで同意する。


 下手に言説を弄すよりも、核心に切り込む方が信を得やすいというのは世の常なのだ。


 「それでアキ殿に何か策はあるのか?」

 「勿論あります。ですが、それには王の協力が必要になります」


 「うむ、持ちつ持たれつというのは信用に値することじゃ」 

 「そう言っていただけると助かります」



 それから俺は小一時間ほどかけて、今まで温めていた作戦の全体像を全員に話した。


 それは王国のみならず同盟全体の了解を得る必要がある大規模な作戦である。

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