追放されたおっさんは最強の精霊使いでした

すもも太郎

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壮大な計画

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 「まず、先日防衛したあの砦を外見だけでも良いので、デラックスにしましょう」


 と、俺は戦略の説明を始めた。”アンダーク砦”と呼ばれるその砦を強化しようという。


 「帝国の魔獣が分散していると対応に苦慮するので、あそこの砦に敵の戦力が集まるように宣伝をするのです」

 「それと、砦をデラックスにすることとどういう関係があるのじゃ?」


 「はい、先日魔獣を撃退した事は同盟諸国にも大いにアピールになったはずです、そこでもう一押ししてあの砦を不落の要塞として宣伝するのです、帝国の野望を打ち砕く希望の要塞として全世界にアピールするのです」

 「ほほぅ、それは‥‥‥しかし危険はないのか?」


 「危険は伴いますが、1つだけ条件をクリアすれば大丈夫だと思います」

 「その条件とは?」 


 「我々2人を絶対に表にださずに隠密として作戦に参加させるという事、そしてそれを極秘にする事です」 

 「どうしてじゃ?そなたらが最強と分かれば同盟諸国もより一層心強いというもの‥‥‥」


 「アルダイルは我々の力を知っているのです」

 「何か不味いのか?」


 「今までの経験だと、必ず対策を打ち出してきます。例えばその砦を襲わずにこの王都に突撃を掛けてきたりとか、防衛が困難な汚い事をやるはずです」

 「‥‥‥なるほど、アキ殿は洞察力も素晴らしいようじゃな」

 「全くです」


 王の称賛に准将も同意する。だが、ラルフは何か引っかかるという顔をしている。


 「お言葉ですが、アキ殿。もし仮にその砦に攻略困難なほどの魔獣が一斉に投入された場合はどうなりますか?」

 「その場合も我々で対応できるはずです」


 「今現在確認されているだけで、15体の魔獣があるのですが」

 「そ、そんなにか‥‥‥」


 とラルフの指摘に王が狼狽しだす。


 「先日の戦闘でも確認しましたが、あの砦はかつて要塞として機能していただけあって、立地には非常に恵まれています」

 「籠城するには強固ではあるが‥‥‥」


 王が納得がいかぬという顔でこたえる。


 「あの丘の上に目立つようにして建っていて、そして周囲に自然以外の何もない事がメリットになるのです」

 「それは周囲からあの砦を援護するものが何もないともいえるのじゃが?」


 「ええ、大丈夫です、周囲には十分な精霊気が漲っておりますから」

 「‥‥‥精霊気?」


 「魔法を発動するためのエネルギーのようなものです」

 「ほぅ、それは興味深いですね」


 とラルフが興味を示す。


 「それで15体同時攻撃、というのは中々考えにくい事ではありますが、そうなった場合の対処も可能と?」

 「出来ると思います」


 信じられない‥‥‥という空気がその場に流れるのが判った。前回の魔獣一体ですら、一国の戦闘員の全てに匹敵するほどの破壊力があるのだ。それを15体同時に対処なんて事は人智を遥かに超えている。


 「ふむ‥‥‥しかし、そんなことが可能なのだろうか」


 と王が考え込んでしまった。王が心配するのも無理のない事だったが、ここで降りられると困ってしまうので、実演をして見せようかと思っていた所で応接間の扉がノックされて緊急の知らせが飛び込んできた。


 「急ぎお知らせいたします!予定よりも早く、東のアンダークの砦に敵の軍勢と魔獣2体が向かっているとの観測がありました」

 「なん‥‥‥じゃと!それで到着予定は?」


 「恐らく2日後と思われます」

 「うむ‥‥‥さがってよい」


 「先ほどの件、我々を隠密でその戦闘に参加させてもらえるのなら2体同時に打ち取って見せましょう」


 とその好機に乗じて提案する。


 「うむ、じゃが。仮に、今ここでアキ殿を失う事は避けたいのじゃ」

 「我々はそんなに弱くありませんよ」


 それには全員が「ほほぅ‥‥‥」とため息をつくのが聞こえるようだった。かつてこれほどまで魔獣に大して強気な人間は見た事がないのだ。


 「では、1つ力試しと言う事でよろしいのではないでしょうか?万一の場合は援護して救出する作戦も練っておけば良いと思われますし」


 とラルフが少し挑戦的な瞳で俺をみて言う。「やれるものならやってみろ」と言わんばかりだ。


 「そうか、そち等がそういうのならば良いだろう、これからはアキ殿とミュー殿は我が同盟の特別隠密チームとして参加してほしい」

 「いいですとも」


 ミューもコクっと頷く。







 そのアンダークの砦は以前と変わらない表情を称えていた。半分壊れて機能しなくなった弓塔などを眺めていると何とも言えない切ない気分になる。やはり、砦は俺たちが住んでいた楽園のような明るくて楽しい雰囲気には馴染まないのだろうかと思う。


 今回の戦闘まではまだ2日あると言う事だったので、俺たちは2人で周囲を散歩することにした。勿論表向きには戦術の為の調査という事にしてあったのだが。


 砦の周辺を散策するとこの地域にもユニークな生き物が多数生息しているのが見て取れる。その中でもひと際目についたのは頭に角が複数生えているイノシシのような生物だった。あれで突進されたら堪ったものじゃないな等とミューと話していた。


 「やっぱり、この世界は俺たちの世界とは大分違うみたいだな」

 「うん。でもこのカエルちゃん可愛いよ」


 と足元の草に止まっている、体色が七色に光るカエルの前にしゃがみ込み、それを指さしてミューが言う。


 「ああ、連れて行きたいくらい可愛いな」


 でも、この世界から連れ出すなんて事は許されない事だというもの判っていた。人にしても同じだ、アルダイルに連れ出されて奴隷にされたり、又は連れ込んで世界支配構図を変えたり、そんな不自然な事は許せなかった。


 「そろそろ、帰ろうか」

 「うん」


 ジッとカエルを見ているミューに声をかけて帰る。後ろでカエルがピョンと撥ねて水たまりに飛び込むのが聞こえた。俺は元々フィールドワークに出ている方が感覚が研ぎ澄まされるのだった。

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