追放されたおっさんは最強の精霊使いでした

すもも太郎

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2回戦 虐殺

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 俺とミューは、今回王宮から支給された王国軍の兵士の標準装備の兵装を貸与されて装備した。これならば誰が見ても一般の兵士にしか見えないので、敵に悟られないだろうと言う事なのだった。そして2人の素性は警備隊の隊長にすら秘密にしてあった。ただ、特務工作員と言う事であらかじめ准将から2人の行動は自由とすることだけが通達されているのみだ。








 ドグァアアアン!ドグァアアアン!ドグァアアアン!


 その日の早朝に銅鑼が鳴り帝国軍の襲撃を告げる。事前に報告があったとおり今回は2体の魔獣だったが予想外な組み合わせだった。2人で前回と同じ弓塔に移動して見ると、巨猿が巨大なイノシシに似た化け物に跨って街道を突進して来ているのが確認できた。


 ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!


 周囲に土埃と凄まじい振動を轟かせながら突進している。それを見た砦の兵士は恐怖に取りつかれて半分程が逃げ出してしまった。


 「うわぁあああああ」

 「化け物ぉおおおおおお」


 新米の兵隊が多いので仕方ないが、こちらの方にまっすぐに砦と同じサイズの巨大な化け物が突進してくる様は度肝を抜かれるほどの恐怖があるのだ。何とか踏みとどまった兵士も足が震えている。


 「あれに直撃されたら砦の防護壁ではもたないだろうな‥‥‥射程に入ったら直ぐにアレを頼む」

 「はいアキ」


 ‥‥‥そして、その化け物はあっという間に距離を縮めて射程に入った。その瞬間弓が唸り矢が超速度で放たれる。


 ヴォン!バババババ!


 前回同様にミューが風緊縛矢を放ちその直後に俺が爆裂矢を連発する。


 ドザァアアアアアア‥‥‥


 ドガガガガァン!


 風の緊縛魔法の矢が命中してイノシシの化け物が転び滑るところに爆裂矢が連続して命中して巨大な爆発が起こる。そして即トドメにはいる。



 「風君、ちょっと手伝ってくれ」

 「いいよ!」


 バババババ!


 風の精霊に手伝ってもらい軌道が変化する魔法矢を放つ。斜め上に向かって放ったアイスジャベリンアロー(氷槍矢)は精霊の導きで、怪物の真上で軌道を変化させて真下に降り注いだ。


 ドドドドドドドドゴォン!


 爆音を発しながら巨大な氷の槍に変化した矢が降り注ぐ。


 ギャァア!

 ブギィイイイイ!


 怪物の耳をつんざく悲鳴が聞こえたがそれは直ぐに止む。濃い土埃が周囲を包み視界が全くなくなるが、俺には全土感知で何が起こっているのか分かっている。魔獣にまだ少し息があるのでトドメで同じようにアイスジャベリンアローを放つ。それは同じような軌道を描いて土煙の中に吸い込まれて爆音を発した。


 ドドドドドドドドゴォン!


 そして完全な沈黙が周囲を包む。砦の上から観察していた兵士も我を忘れて異常な光景に見入っていた。


 やがて土煙が徐々に晴れていくと巨大な魔獣の死体が2つ転がっているのが見えて来た。すると兵士たちが歓声を上げて砦門を開けて怪物に襲い掛かる。


 一方、俺の全土感知で何かが周囲を観察しているのが判ったが、そいつを察知した瞬間にまたしてもソレは消え失せた。だが今回は1人だったのが判った。


 「また、誰かが観察に来ていたようだぞ」

 「でも害意はないよね?」


 俺とミューのコンビ魔法で探索してみるが、広範囲で探査しても害意のある存在は皆無であった。しかしそれは前回宿に来た夜鷹の連中とも何か違う感じがしたのだ。それは‥‥‥彼らよりも、より一層透明感が高い‥‥‥という妙な感覚だったのだが。







 そしていつも通り王都に戻ると、やはり大歓声で出迎えられた。もはや砦の兵士は一躍大英雄になっていた。若い兵士に町の女たちが群がり、商店主達は兵士に持ちきれないほどの差し入れを持たせている。王宮に続く建物の上からは大歓声が延々と降ってくる。


 王都はそのまま祝勝祝いのお祭りになだれ込みバカ騒ぎが始まってしまったが、それを止めるものは誰一人としていない。2度も魔獣を撃退した事実が、王都の住人の鬱屈した閉塞感と恐怖から彼らを解放したのだ。普段は治安を取り締まっている町の警備兵ですら、酒を呑んでバカ騒ぎに加わっている始末だった。



 王宮の外から聞こえる喧噪を窓を閉めて追い払い、王は重々しく、そしてニコニコして言う。


 「流石じゃ、これで誰も文句はあるまい?」


 客間で再度行われた密会で俺たちは同じ顔をつきあわせ形だけの質疑応答を行った。


 「文句はありません、ですがどうやって倒したのでしょうか?いや、やはり聞かない方が私の身のためでしょうか」

 「恐らく‥‥‥その可能性はあるでしょう、今伝えられるのは火と氷だとだけ」


 俺とラルフは変な会話をした。お互いに盗聴の可能性、スパイによる捕縛された際の後の事を予測していた。何も知らなければ困る事はないのだ。知っている程危険度が増す、という事もある。これはそういう種類の事だとお互いに理解していた。火と氷の魔法を使った事実は監視者によって見られていただろうし、特に秘密にしなければならない事でもない。


 「なるほど、了解しました」

 「ではこれで決まりじゃな、同盟は全面的に2人に協力するという事で今後連絡会を採っていくのじゃ」

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