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18 来訪
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「アリア、ふっかーつ!」
「キャラ違いますよ」
イミュに指摘されて、ころころと笑うアリア。彼女はよく笑うようになった。今までにない変化だ。だが、アリアは自身のその変化を好ましく思っていた。
すっかり体調も戻り、いつもの生活に戻る。たまに激しい頭痛はあれど、どうにかやり過ごせば次第に落ち着くので、然程気にならなくなっていた。
「そういえば、イミュは引っ越ししたいんだっけ?」
「はい」
「アレスは?行きたいところある?」
「そうだね、ハクトワルトから出てもいいんじゃないかな?今いるのってハクトワルトの国境付近だよね」
「うーん、でも貨幣が変わるのがなぁ……。気候も変わると、作物の栽培方法も変わるし。あと法律も変わるから、暮らすとなるとちょっとなぁ……」
意外に現実的に考えているアリアに、アレスは元よりイミュも戸惑った。今まで自分が決めていたことに何でも従っていたはずのアリアのこの変化に、驚きが隠せない。
「ん?どうかした?」
「いえ、何でも」
歯切れの悪いイミュの言葉に不審げに目を向けるアリアだったが、とりあえずは色々調べてからにしよう、と引っ越し案は一旦保留となった。
最近は自身の変化に驚くことばかりだ。今まで湧くことのなかった感情や想いが溢れてくる。静だった思考もどんどんと鮮明になってきて、より多くのことを考えられるようになった気がする。
このように感じることは私だけでないようで、イミュも時々戸惑っているようだった。まぁ、長年一緒にいたのだ、無理もない。自身に戸惑っていることはあるし。
でもこの変化がとても心地よく、自らの成長を感じることができた。きっと生きてるってこういうことではないだろうか。彼から逃げてた2年間のモノクロな日々が嘘のように、色づいていくことを感じた。
「じゃあとりあえず、洗濯物干してくるね」
アレスとイミュにそう告げて、洗濯物を手に玄関を出る。
「!……やぁ、アリア、久しぶりですね」
勢いよく開けた扉を再び閉める。
(今のは何だったのだろうか)
洗濯物の入った籠を置き、自分の頬を抓る。うん、痛い。
(いや、まさかね、私のきっと妄想ね。白昼夢かしら、疲れているのかな)
再び意を決して玄関ドアを開ける。すると、やはりそこにはあまり変わらない、いや多少老け込んだ?ゴードンその人がそこに立っていた。
「ゴードン?!!」
「はい、ゴードンですよ」
アリアの大声に、部屋の奥からアレスとイミュが飛び出してくる。イミュはゴードンを見るやいなや、手を翳して魔法を飛ばすが、呆気なく弾かれてしまった。
「おや、随分と不躾ですね」
「なぜ貴方がここに!」
「誰かさんに付けた印を辿りまして。少々時間はかかりましたが、無事に着けました」
イミュが睨むが、全く気にする様子もなく、ゴードンは笑みを浮かべたままだった。
「え、と……どうやってこの魔障壁突破したの?私、何重にもかけてたよね?」
「私が教えた魔法なんですから、私が解けないわけがないでしょう」
当然のように答えられて、頭を抱える。私の日々の努力は一体なんだったのだ。
「とりあえず、お洗濯物ですか?私は中で待たせていただきますので、どうぞ先に済ませてください」
「あ、うん。って、ちょ、え?」
すたすたと訳知り顔で家に入っていくゴードンに、呆気にとられ、ただただその姿を見つめる。
(なんなんだ、一体)
一応なんとなく心の折り合いはついているとはいえ、不意打ちの状況に心臓が痛い。普通に会話してたけど、果たして大丈夫なのか。連れ戻されてしまうのだろうか、それとも何かまた利用されるのだろうか。
悪い考えがぐるぐると回る。とりあえず洗濯物を済ませなきゃ、と洗濯場に向かったが、余計なことばかり考えてしまって、なかなかどうにも洗濯は捗らなかった。
「キャラ違いますよ」
イミュに指摘されて、ころころと笑うアリア。彼女はよく笑うようになった。今までにない変化だ。だが、アリアは自身のその変化を好ましく思っていた。
すっかり体調も戻り、いつもの生活に戻る。たまに激しい頭痛はあれど、どうにかやり過ごせば次第に落ち着くので、然程気にならなくなっていた。
「そういえば、イミュは引っ越ししたいんだっけ?」
「はい」
「アレスは?行きたいところある?」
「そうだね、ハクトワルトから出てもいいんじゃないかな?今いるのってハクトワルトの国境付近だよね」
「うーん、でも貨幣が変わるのがなぁ……。気候も変わると、作物の栽培方法も変わるし。あと法律も変わるから、暮らすとなるとちょっとなぁ……」
意外に現実的に考えているアリアに、アレスは元よりイミュも戸惑った。今まで自分が決めていたことに何でも従っていたはずのアリアのこの変化に、驚きが隠せない。
「ん?どうかした?」
「いえ、何でも」
歯切れの悪いイミュの言葉に不審げに目を向けるアリアだったが、とりあえずは色々調べてからにしよう、と引っ越し案は一旦保留となった。
最近は自身の変化に驚くことばかりだ。今まで湧くことのなかった感情や想いが溢れてくる。静だった思考もどんどんと鮮明になってきて、より多くのことを考えられるようになった気がする。
このように感じることは私だけでないようで、イミュも時々戸惑っているようだった。まぁ、長年一緒にいたのだ、無理もない。自身に戸惑っていることはあるし。
でもこの変化がとても心地よく、自らの成長を感じることができた。きっと生きてるってこういうことではないだろうか。彼から逃げてた2年間のモノクロな日々が嘘のように、色づいていくことを感じた。
「じゃあとりあえず、洗濯物干してくるね」
アレスとイミュにそう告げて、洗濯物を手に玄関を出る。
「!……やぁ、アリア、久しぶりですね」
勢いよく開けた扉を再び閉める。
(今のは何だったのだろうか)
洗濯物の入った籠を置き、自分の頬を抓る。うん、痛い。
(いや、まさかね、私のきっと妄想ね。白昼夢かしら、疲れているのかな)
再び意を決して玄関ドアを開ける。すると、やはりそこにはあまり変わらない、いや多少老け込んだ?ゴードンその人がそこに立っていた。
「ゴードン?!!」
「はい、ゴードンですよ」
アリアの大声に、部屋の奥からアレスとイミュが飛び出してくる。イミュはゴードンを見るやいなや、手を翳して魔法を飛ばすが、呆気なく弾かれてしまった。
「おや、随分と不躾ですね」
「なぜ貴方がここに!」
「誰かさんに付けた印を辿りまして。少々時間はかかりましたが、無事に着けました」
イミュが睨むが、全く気にする様子もなく、ゴードンは笑みを浮かべたままだった。
「え、と……どうやってこの魔障壁突破したの?私、何重にもかけてたよね?」
「私が教えた魔法なんですから、私が解けないわけがないでしょう」
当然のように答えられて、頭を抱える。私の日々の努力は一体なんだったのだ。
「とりあえず、お洗濯物ですか?私は中で待たせていただきますので、どうぞ先に済ませてください」
「あ、うん。って、ちょ、え?」
すたすたと訳知り顔で家に入っていくゴードンに、呆気にとられ、ただただその姿を見つめる。
(なんなんだ、一体)
一応なんとなく心の折り合いはついているとはいえ、不意打ちの状況に心臓が痛い。普通に会話してたけど、果たして大丈夫なのか。連れ戻されてしまうのだろうか、それとも何かまた利用されるのだろうか。
悪い考えがぐるぐると回る。とりあえず洗濯物を済ませなきゃ、と洗濯場に向かったが、余計なことばかり考えてしまって、なかなかどうにも洗濯は捗らなかった。
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