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第八十九話 トップシークレット
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ろくでもないことを口走ろうとしていたグルーの口を思いっきり閉じる。さっきまでの朗らかな雰囲気から一気に殺伐とした状況に、ヴィルもグルーも一瞬で顔色が変わった。
「う、うぐ……っ」
「シ、シオン!? 急にどうしたんだ!?」
「いいのいいの、ヴィルは気にしないで~。……いい、グルー。私が勇者と聖女の間にできた子だというのはトップシークレットなのよ、わかった? もしこの秘密を喋ろうものなら、今すぐその舌を切り落とすわよ」
「ひぃ!? わわわわわわかった……っ、絶対に言わないと約束する!!」
「はい。言質取ったわよ。契約に上乗せしておくから、もし破ったらどうなるかは……わかっているわよね?」
私がにっこりと微笑むながらドスをきかせると、グルーはコクコクと首がもげそうなほどの勢いで縦に振る。
あー、危ない危ない。
もしヴィルにこのことがバレたら、今度は私が両親みたいに雲隠れしなきゃいけなくなっちゃうところだった。
ふぅ、と密かに胸を撫で下ろす。
ヴィルは未だに何が何だかと言った様子だし、石化したときのことはわからないだろうからグルーが喋らない限り恐らく大丈夫なはず。
というか、ここでバレたら今まで私の素性を隠していた意味がなくなってしまう。
「さて、魔王も倒したことだし、王様との約束もこれでおしまいでしょ? さっさと王様とのところに戻って約束通り結婚できるようにしてもらわないと!」
「でも、どうやって帰るんだ?」
「そりゃ、ここに便利な乗り物がいるんだから、それを使わなきゃ……ねぇ?」
「いやいやいやいや! お主、距離を考えておるか!? ここから帝都までどれほどあると……!」
「何言ってるの、そのために契約したんでしょうが。私はさっきので聖女の力すっからかんだし、私のおかげで命拾いしたならそれくらいやってもいいんじゃない?」
「ま、魔物遣いが荒すぎる……っ」
「何か言った?」
「いえ、何でもないです!」
不満そうなグルーだが、渋々といった様子で背中に乗せてくれる。私がヴィルに手を差し出すと、「自分で乗れる」となぜか私の背後に乗ってきた。
「あれ? 位置変わる?」
「これでいい。オレが監視してないと途中で何やらかすかわからないからな」
「何よそれ。信用ないなぁ~。もう魔力もすっからかんだし、何もしないわよ」
「よく言う。魔力なくても体力はまだ残ってるだろ? もし道中好みの男見つけたら飛び降りるだろ」
「それは……まぁ、しょうがなくない?」
「しょうがなくない」
そう言われてなぜか背後からギュッと抱きしめられる。
「ヴィル?」
「こうでもしないと危ないだろ」
確かに、体力も気力もすっからかんだからくっついてないと振り落とされる可能性があるかもしれない。
でも歴代彼氏からも背後から抱きしめられるなんてことなかったからなんだか新鮮で、ちょっぴり恥ずかしかった。顔には出さないけど。
「じゃあ、帰りましょうか。王都へ」
「う、うぐ……っ」
「シ、シオン!? 急にどうしたんだ!?」
「いいのいいの、ヴィルは気にしないで~。……いい、グルー。私が勇者と聖女の間にできた子だというのはトップシークレットなのよ、わかった? もしこの秘密を喋ろうものなら、今すぐその舌を切り落とすわよ」
「ひぃ!? わわわわわわかった……っ、絶対に言わないと約束する!!」
「はい。言質取ったわよ。契約に上乗せしておくから、もし破ったらどうなるかは……わかっているわよね?」
私がにっこりと微笑むながらドスをきかせると、グルーはコクコクと首がもげそうなほどの勢いで縦に振る。
あー、危ない危ない。
もしヴィルにこのことがバレたら、今度は私が両親みたいに雲隠れしなきゃいけなくなっちゃうところだった。
ふぅ、と密かに胸を撫で下ろす。
ヴィルは未だに何が何だかと言った様子だし、石化したときのことはわからないだろうからグルーが喋らない限り恐らく大丈夫なはず。
というか、ここでバレたら今まで私の素性を隠していた意味がなくなってしまう。
「さて、魔王も倒したことだし、王様との約束もこれでおしまいでしょ? さっさと王様とのところに戻って約束通り結婚できるようにしてもらわないと!」
「でも、どうやって帰るんだ?」
「そりゃ、ここに便利な乗り物がいるんだから、それを使わなきゃ……ねぇ?」
「いやいやいやいや! お主、距離を考えておるか!? ここから帝都までどれほどあると……!」
「何言ってるの、そのために契約したんでしょうが。私はさっきので聖女の力すっからかんだし、私のおかげで命拾いしたならそれくらいやってもいいんじゃない?」
「ま、魔物遣いが荒すぎる……っ」
「何か言った?」
「いえ、何でもないです!」
不満そうなグルーだが、渋々といった様子で背中に乗せてくれる。私がヴィルに手を差し出すと、「自分で乗れる」となぜか私の背後に乗ってきた。
「あれ? 位置変わる?」
「これでいい。オレが監視してないと途中で何やらかすかわからないからな」
「何よそれ。信用ないなぁ~。もう魔力もすっからかんだし、何もしないわよ」
「よく言う。魔力なくても体力はまだ残ってるだろ? もし道中好みの男見つけたら飛び降りるだろ」
「それは……まぁ、しょうがなくない?」
「しょうがなくない」
そう言われてなぜか背後からギュッと抱きしめられる。
「ヴィル?」
「こうでもしないと危ないだろ」
確かに、体力も気力もすっからかんだからくっついてないと振り落とされる可能性があるかもしれない。
でも歴代彼氏からも背後から抱きしめられるなんてことなかったからなんだか新鮮で、ちょっぴり恥ずかしかった。顔には出さないけど。
「じゃあ、帰りましょうか。王都へ」
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