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第一章 新人いびり
新人いびり⑯
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「清田! 何でもっと早くフォローしなかった!!」
「そ、そんなこと言われましても……っ」
「お前のせいでこっちはとんだ恥を晒されたんだぞ!!」
「課長、その言い方は酷いと思います! 清田さんはちゃんとフォローしてくれたじゃないですか」
「そもそも吾妻くんから資料ももらってましたよね? 何で読んでないんですかっ」
「う、煩い! 俺も忙しいんだ! 一々そんなもの読んでいる暇があるわけないだろう!!」
コンペからの帰り道、カラスマ工業に着くまでの車内は最悪の空気だった。
結局コンペの結果は不採用。
どう考えても敗因は田町しか思い当たらず、メンバーはみんなピリピリとしていた。
田町は不機嫌を露わに当たり散らすも、メンバーもメンバーで思うところがあるため普段とは違いフォローすることもなく、むしろ攻撃してくる始末。
この状況に田町の苛立ちは最高点まで達していたが、メンバーも理不尽な八つ当たりに納得できず、みんな苛立ちが隠せないようで、地獄のような時間が続いた。
「と、とにかく、社長に報告しないと」
「そうですね。吾妻くんもせっかく今まで頑張ってくれてたのにこんな結果になってしまって」
「そもそもヤツが忌引きなんかで休むのが悪いんだろう!! あいつさえ来ていたらこんなことには……っ! 全部吾妻のせいじゃないかっ!!」
「まだ言いますか。忌引きは本人じゃどうしようもないことだと言うのに」
「死んだやつのことなんてどうだっていいだろ!! 誰が死んだのか知らんが、どうせ両親が死んだところで高齢だったなら寿命だろ!? 一々嘆く必要がどこにある! 社会人として会社に仕えているなら仕事が何よりも優先に決まってるだろ!!!」
車内で響く田町の声。
田町を除く誰もがその言葉に呆気に取られる。
よくもそんな暴言が吐けるな、しかもまともに仕事をしてなかったやつが、と田町以外の全員が絶句した。
その後も最悪な空気のまま車は会社に到着し、みんな無言のまま気が重くなりながらも事務所に着いたとき、何やら事務所が騒がしいとみんなが顔を見合わす。
そして意を決して清田が事務所のドアを開けた瞬間、服や髪が乱れた真野と知らない女性が立ってこちらを見るなり、「勝哉さん、どういうことなの!?」「田町さん、どういうことなんですか!!!?」と一斉に二人が田町に詰め寄った。
「な、奈々、どうしてここに……っ」
「勝哉! この女と浮気してるって本当なの!??」
「え、そ、それは……っどこで、そんな……」
「ごちゃごちゃ言ってないではっきり言いなさいよー!!」
見知らぬ女性は恐らく田町の妻なのだろう。
ふっくらとしたお腹が目立つものの、それを感じさせない勢いで田町の服を引っ掴んで揺さぶっている。
「田町さん、どういうことなんですか! 奥さんとはもう関係が終わったって言ってましたよね! 何で! 奥さんが! 妊娠してるんですかーーー!!!」
「終わってる!? 勝哉、そんなこと言ったの!!? あれだけ三人目が楽しみだって言ってたのに!???」
「いや、そんなことは……っ! 奈々、誤解だよ!」
「どういうことですか! じゃあ私に嘘をついたって言うんですか!! 私、田町さんに言われたから色々今まで危ない橋まで渡ってきたって言うのに!!」
「こら、恭子、そういうことを言うんじゃない!」
「今この女の名前呼び捨てにしてたわよね! やっぱり関係が」
「だから……っ」
さっきまでの威勢はどこへやら、怒り狂った女性二人に囲まれてたじたじの田町。
彼が周りに視線を向けるも、誰も彼もが冷めた目で田町を見ていた。
「なんとか言ったらどうなのよぉおおお!!」
「田町さん!!」
そこへ、「田町くん! 真野くん! 一体どういうことだね、これは!!!」と怒髪天を衝く勢いで森本が事務所に入ってきた。
「パパ!!」
「な、何で奈々がここにいるんだ。いや、それよりも、一体どういうことだね!! ここのところ会社を抜け出して業務時間中に二人で出かけたり、真野くんに至っては経費を誤魔化して横領してるようだな!! しかも社員の実際の給料と支給額を弄っていただなんて!」
その言葉に社内全体が騒つく。
それもそのはず、自分達に関係ない修羅場から、一気に自分達も当事者になったからだ。
さすがの社員達も今の聞き捨てならない言葉にコンペのチームメンバーは「コンペで忙しいときに二人で出かけてたんですか!?」「あれだけ忙しい忙しいって言って何もせずにこちらに負担ばかり強いてたのに!!」と田町に詰め寄り、「どういうことですか!? 真野さん!」「給料の支給額と違うってオレらの給料から横領してたってことかよ!」と真野に詰め寄っていく社員達。
「そ、それは、田町課長の指示で……っ」
「何!??」
「ばっ、恭子! ふざけるな!! お前だって……っ」
「どういうことなんだ、田町! 説明しろ!!」
「それがですね、えーっと……」
「はっきり答えろ! 一体全体どういうことなんだ! きちんと説明しろ!!」
森本に怒鳴られ、しどろもどろになる田町。
逃げ場のない追及に、田町も真野も必死に取り繕おうとするも敵わず、その日は延々と大勢の人から糾弾され続けるのであった。
「そ、そんなこと言われましても……っ」
「お前のせいでこっちはとんだ恥を晒されたんだぞ!!」
「課長、その言い方は酷いと思います! 清田さんはちゃんとフォローしてくれたじゃないですか」
「そもそも吾妻くんから資料ももらってましたよね? 何で読んでないんですかっ」
「う、煩い! 俺も忙しいんだ! 一々そんなもの読んでいる暇があるわけないだろう!!」
コンペからの帰り道、カラスマ工業に着くまでの車内は最悪の空気だった。
結局コンペの結果は不採用。
どう考えても敗因は田町しか思い当たらず、メンバーはみんなピリピリとしていた。
田町は不機嫌を露わに当たり散らすも、メンバーもメンバーで思うところがあるため普段とは違いフォローすることもなく、むしろ攻撃してくる始末。
この状況に田町の苛立ちは最高点まで達していたが、メンバーも理不尽な八つ当たりに納得できず、みんな苛立ちが隠せないようで、地獄のような時間が続いた。
「と、とにかく、社長に報告しないと」
「そうですね。吾妻くんもせっかく今まで頑張ってくれてたのにこんな結果になってしまって」
「そもそもヤツが忌引きなんかで休むのが悪いんだろう!! あいつさえ来ていたらこんなことには……っ! 全部吾妻のせいじゃないかっ!!」
「まだ言いますか。忌引きは本人じゃどうしようもないことだと言うのに」
「死んだやつのことなんてどうだっていいだろ!! 誰が死んだのか知らんが、どうせ両親が死んだところで高齢だったなら寿命だろ!? 一々嘆く必要がどこにある! 社会人として会社に仕えているなら仕事が何よりも優先に決まってるだろ!!!」
車内で響く田町の声。
田町を除く誰もがその言葉に呆気に取られる。
よくもそんな暴言が吐けるな、しかもまともに仕事をしてなかったやつが、と田町以外の全員が絶句した。
その後も最悪な空気のまま車は会社に到着し、みんな無言のまま気が重くなりながらも事務所に着いたとき、何やら事務所が騒がしいとみんなが顔を見合わす。
そして意を決して清田が事務所のドアを開けた瞬間、服や髪が乱れた真野と知らない女性が立ってこちらを見るなり、「勝哉さん、どういうことなの!?」「田町さん、どういうことなんですか!!!?」と一斉に二人が田町に詰め寄った。
「な、奈々、どうしてここに……っ」
「勝哉! この女と浮気してるって本当なの!??」
「え、そ、それは……っどこで、そんな……」
「ごちゃごちゃ言ってないではっきり言いなさいよー!!」
見知らぬ女性は恐らく田町の妻なのだろう。
ふっくらとしたお腹が目立つものの、それを感じさせない勢いで田町の服を引っ掴んで揺さぶっている。
「田町さん、どういうことなんですか! 奥さんとはもう関係が終わったって言ってましたよね! 何で! 奥さんが! 妊娠してるんですかーーー!!!」
「終わってる!? 勝哉、そんなこと言ったの!!? あれだけ三人目が楽しみだって言ってたのに!???」
「いや、そんなことは……っ! 奈々、誤解だよ!」
「どういうことですか! じゃあ私に嘘をついたって言うんですか!! 私、田町さんに言われたから色々今まで危ない橋まで渡ってきたって言うのに!!」
「こら、恭子、そういうことを言うんじゃない!」
「今この女の名前呼び捨てにしてたわよね! やっぱり関係が」
「だから……っ」
さっきまでの威勢はどこへやら、怒り狂った女性二人に囲まれてたじたじの田町。
彼が周りに視線を向けるも、誰も彼もが冷めた目で田町を見ていた。
「なんとか言ったらどうなのよぉおおお!!」
「田町さん!!」
そこへ、「田町くん! 真野くん! 一体どういうことだね、これは!!!」と怒髪天を衝く勢いで森本が事務所に入ってきた。
「パパ!!」
「な、何で奈々がここにいるんだ。いや、それよりも、一体どういうことだね!! ここのところ会社を抜け出して業務時間中に二人で出かけたり、真野くんに至っては経費を誤魔化して横領してるようだな!! しかも社員の実際の給料と支給額を弄っていただなんて!」
その言葉に社内全体が騒つく。
それもそのはず、自分達に関係ない修羅場から、一気に自分達も当事者になったからだ。
さすがの社員達も今の聞き捨てならない言葉にコンペのチームメンバーは「コンペで忙しいときに二人で出かけてたんですか!?」「あれだけ忙しい忙しいって言って何もせずにこちらに負担ばかり強いてたのに!!」と田町に詰め寄り、「どういうことですか!? 真野さん!」「給料の支給額と違うってオレらの給料から横領してたってことかよ!」と真野に詰め寄っていく社員達。
「そ、それは、田町課長の指示で……っ」
「何!??」
「ばっ、恭子! ふざけるな!! お前だって……っ」
「どういうことなんだ、田町! 説明しろ!!」
「それがですね、えーっと……」
「はっきり答えろ! 一体全体どういうことなんだ! きちんと説明しろ!!」
森本に怒鳴られ、しどろもどろになる田町。
逃げ場のない追及に、田町も真野も必死に取り繕おうとするも敵わず、その日は延々と大勢の人から糾弾され続けるのであった。
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