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第十七話 もしかして、これが恋、なの……かな?
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「身体が……あっ、声も! あっ、姿も映ってる!!」
グランがかけてくれた妖精の粉のおかげで、身体に魔力が宿るのがわかる。
声が出てすぐさままた湖面を見ると、そこにはしっかりとオフェリアの姿が映っていた。
「ありがとうございます。おかげで助かりました」
「どういたしまして。はい、これ」
「え?」
グランに差し出されたのはハンカチ。オフェリアはグランの意図が読めずにぽかんとしていると「泣いてたでしょう? もしよかったら、これで拭いて」と言われてやっとグランの意図を理解し、カッと頬を染めた。
「お気遣いどうもありがとうございます。洗ってお返しますね」
グランからハンカチを受け取ると、滲んだ涙を拭うオフェリア。グランの優しさに胸が温かくなる。
「大丈夫だよ、気にしないで。それから、同い年なんだし、敬語じゃなくてタメ口でいいよ」
「えっと……じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとう、グラン」
「それにしても、オフェリアとはハンカチとは縁があるね」
「はは、確かにそうだね」
そういえば、グランと出会ったときはハンカチを拾ってもらったのだったと思い出して苦笑する。二度目とはいえ、どうやらグランとハンカチはセットらしい。
「でも、グランはどうして私に呪いがかかってるって気づいたの?」
リアムも含めてグラン以外の誰にも気づいてもらえなかったのに、どうしてグランは気づけたのか。
あのときのオフェリアは湖面にも映らず、魔法も使えない状態だった。
ということは、認識阻害はしっかり作用していて、魔法薬の効果が薄れていたわけではないはずだ。
それなのに、グランはどうやって自分に気づいたのだろうかとオフェリアは不思議だった。
「あぁ。ボクには妖精の加護があるからね。ボクは妖精と人間のハーフだから、ボクに呪いの類いは効かないんだよ」
「妖精と人間のハーフ! そうだったんだ。なるほど、どうりでグランには効かないわけだ」
人間が使う魔法と妖精の使う魔法は違う。
人間は己れに備わっている魔力を使い、大気にある魔法を利用しているのに対し、妖精は魔法の源からできていて、魔法の根源とも言える存在であるため、人間が使う魔法よりも妖精が使う魔法のほうが優れていた。
つまり魔法では妖精には敵わず、人間の魔法は妖精には一切効かないのだ。
そのため、今回使用した妖精の粉はこういう呪いの魔法にはなんでもなおしとして作用し、オフェリアにかかっていた全ての魔法効果を打ち消すことができるのだった。
「でも、妖精の粉って希少なのによく手に入ったね」
「あぁ。ハーフなおかげか、妖精とは仲がいいんだよ。おかげですぐに分けてくれたよ」
「そうなんだ。でも、それでもすごいよ。妖精ってクセが強いって聞くし」
妖精は気まぐれな存在だ。
そのため、その日の気分でいい行いも悪い行いもする。
そもそも妖精には善悪の判断がついてないことが多く、そのときの気分やノリで何かしでかすことが多い。
だから、妖精から粉をもらうというのはいくら仲がよかったとしてもかなり難しいことのはずなのだが、どうやらグランはとても人がよいのか、話術に長けているようだ。
「それにしても、どうしてこんなタチの悪い呪いを?」
「えっと、それは……」
何て言えばいいのかとオフェリアが考えたあぐねていると、グランは「やっぱり言わなくていいよ」とオフェリアの思考を止めた。
「配慮が足らなくてごめん。嫌なことを思い出させてしまったね。とにかく、オフェリアが無事でよかったよ」
「ううん。こちらこそ、気遣ってもらってごめん。しかも、色々とお世話になりっぱなしだし」
一度ならず二度までも助けてもらってしまい、恐縮するオフェリア。
それと同時にグランの優しさを感じて胸が温かくなる。
また、決して踏み込まずに接してくれる距離感がとてもありがたかった。
「オフェリアの役に立てたならよかった。ボクでよかったらいつでもキミの力になるよ。だから、もう泣かなくていいんだよ」
「え? あれ? 何で……私……また……」
なぜか伝う涙。
せっかく借りたハンカチで拭いたはずなのに、自然と涙がポロポロと溢れてきた。
「魔法が使えない上に他の人から見えないだなんて、誰だって心細くなっても仕方ないよ。今はボクしかいないから、好きなだけ泣いていいよ」
「でも、そこまでお世話になるわけには……」
「いいんだよ、気にしないで。それに、ほら、ドラマとかでよくある『オレの胸で泣きな?』みたいなのやりたかったんだ。だから、ボクの胸、今なら空いてるよ?」
グランはそう言いながら、オフェリアを受け止めるように手を広げる。その姿はグランには似つかわなしくなくて、オフェリア思わず笑ってしまった。
「あはは、何それ。でもありがとう、その気持ちだけで十分だよ」
グランが冗談で笑わせようとしてくれているのに気づいて、ますます胸が温かくなる。荒んでいたはずの心が、ちょっとずつ潤っていった。
「そう? 残念。フラれちゃったか」
グランがおどける姿を見て、オフェリアは自分が気負わないように配慮してくれているのだと察する。
グランはつくづく気遣いの人らしい。
(グランは優しいなぁ)
グランの優しさに惹かれている自分がいるのに気づくオフェリア。彼の笑顔を見ると、なんだかドキドキしてくる。
(もしかして、これが恋なの……かな?)
グランの優しさや気遣いに胸が高鳴るのを感じる。それに付随して、グランを見るだけでも気持ちが高揚してしまって、なんだか落ち着かなかった。
(もし、私がグランのこと好きになったらリアムはどうなっちゃうんだろう。悪の帝王になっちゃうのかな)
グランへの気持ちを考えると同時に、リアムのことも考えてしまう。浮気をしているわけでもないのに、なんだかモヤモヤする。
悪いことをしてるような、なんだか後ろ暗い気持ちになって、罪悪感が募ってきてオフェリアはこの気持ちを持て余していた。
(いやいや、これがまだ恋と決まったわけではないし。今はちょっと弱ってるから、感傷に浸ってるせいでグランのことがよく見えるだけかも。一時的な感情に流されてはダメよね)
グランに感謝はあるものの、まだ気持ちは不確かだ。
惹かれている気持ちはあれど、これが本当に恋なのかどうかまだ経験値の低いオフェリアにはわからなかった。
「今日は本当にどうもありがとう。今度お礼させて」
「気にしなくていいよ。……あぁ、でもそうだな。もし何かお願いするようなことがあったらお願いするよ」
「うん。そのときは気軽に言ってね! 私にできることであれば何でもするから。じゃあまた」
「うん、また」
オフェリアはグランに手を振ると、自分の寮である星の寮へと戻る。
今度は無事に中へ入ることができて、オフェリアはホッと胸を撫で下ろすのだった。
グランがかけてくれた妖精の粉のおかげで、身体に魔力が宿るのがわかる。
声が出てすぐさままた湖面を見ると、そこにはしっかりとオフェリアの姿が映っていた。
「ありがとうございます。おかげで助かりました」
「どういたしまして。はい、これ」
「え?」
グランに差し出されたのはハンカチ。オフェリアはグランの意図が読めずにぽかんとしていると「泣いてたでしょう? もしよかったら、これで拭いて」と言われてやっとグランの意図を理解し、カッと頬を染めた。
「お気遣いどうもありがとうございます。洗ってお返しますね」
グランからハンカチを受け取ると、滲んだ涙を拭うオフェリア。グランの優しさに胸が温かくなる。
「大丈夫だよ、気にしないで。それから、同い年なんだし、敬語じゃなくてタメ口でいいよ」
「えっと……じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとう、グラン」
「それにしても、オフェリアとはハンカチとは縁があるね」
「はは、確かにそうだね」
そういえば、グランと出会ったときはハンカチを拾ってもらったのだったと思い出して苦笑する。二度目とはいえ、どうやらグランとハンカチはセットらしい。
「でも、グランはどうして私に呪いがかかってるって気づいたの?」
リアムも含めてグラン以外の誰にも気づいてもらえなかったのに、どうしてグランは気づけたのか。
あのときのオフェリアは湖面にも映らず、魔法も使えない状態だった。
ということは、認識阻害はしっかり作用していて、魔法薬の効果が薄れていたわけではないはずだ。
それなのに、グランはどうやって自分に気づいたのだろうかとオフェリアは不思議だった。
「あぁ。ボクには妖精の加護があるからね。ボクは妖精と人間のハーフだから、ボクに呪いの類いは効かないんだよ」
「妖精と人間のハーフ! そうだったんだ。なるほど、どうりでグランには効かないわけだ」
人間が使う魔法と妖精の使う魔法は違う。
人間は己れに備わっている魔力を使い、大気にある魔法を利用しているのに対し、妖精は魔法の源からできていて、魔法の根源とも言える存在であるため、人間が使う魔法よりも妖精が使う魔法のほうが優れていた。
つまり魔法では妖精には敵わず、人間の魔法は妖精には一切効かないのだ。
そのため、今回使用した妖精の粉はこういう呪いの魔法にはなんでもなおしとして作用し、オフェリアにかかっていた全ての魔法効果を打ち消すことができるのだった。
「でも、妖精の粉って希少なのによく手に入ったね」
「あぁ。ハーフなおかげか、妖精とは仲がいいんだよ。おかげですぐに分けてくれたよ」
「そうなんだ。でも、それでもすごいよ。妖精ってクセが強いって聞くし」
妖精は気まぐれな存在だ。
そのため、その日の気分でいい行いも悪い行いもする。
そもそも妖精には善悪の判断がついてないことが多く、そのときの気分やノリで何かしでかすことが多い。
だから、妖精から粉をもらうというのはいくら仲がよかったとしてもかなり難しいことのはずなのだが、どうやらグランはとても人がよいのか、話術に長けているようだ。
「それにしても、どうしてこんなタチの悪い呪いを?」
「えっと、それは……」
何て言えばいいのかとオフェリアが考えたあぐねていると、グランは「やっぱり言わなくていいよ」とオフェリアの思考を止めた。
「配慮が足らなくてごめん。嫌なことを思い出させてしまったね。とにかく、オフェリアが無事でよかったよ」
「ううん。こちらこそ、気遣ってもらってごめん。しかも、色々とお世話になりっぱなしだし」
一度ならず二度までも助けてもらってしまい、恐縮するオフェリア。
それと同時にグランの優しさを感じて胸が温かくなる。
また、決して踏み込まずに接してくれる距離感がとてもありがたかった。
「オフェリアの役に立てたならよかった。ボクでよかったらいつでもキミの力になるよ。だから、もう泣かなくていいんだよ」
「え? あれ? 何で……私……また……」
なぜか伝う涙。
せっかく借りたハンカチで拭いたはずなのに、自然と涙がポロポロと溢れてきた。
「魔法が使えない上に他の人から見えないだなんて、誰だって心細くなっても仕方ないよ。今はボクしかいないから、好きなだけ泣いていいよ」
「でも、そこまでお世話になるわけには……」
「いいんだよ、気にしないで。それに、ほら、ドラマとかでよくある『オレの胸で泣きな?』みたいなのやりたかったんだ。だから、ボクの胸、今なら空いてるよ?」
グランはそう言いながら、オフェリアを受け止めるように手を広げる。その姿はグランには似つかわなしくなくて、オフェリア思わず笑ってしまった。
「あはは、何それ。でもありがとう、その気持ちだけで十分だよ」
グランが冗談で笑わせようとしてくれているのに気づいて、ますます胸が温かくなる。荒んでいたはずの心が、ちょっとずつ潤っていった。
「そう? 残念。フラれちゃったか」
グランがおどける姿を見て、オフェリアは自分が気負わないように配慮してくれているのだと察する。
グランはつくづく気遣いの人らしい。
(グランは優しいなぁ)
グランの優しさに惹かれている自分がいるのに気づくオフェリア。彼の笑顔を見ると、なんだかドキドキしてくる。
(もしかして、これが恋なの……かな?)
グランの優しさや気遣いに胸が高鳴るのを感じる。それに付随して、グランを見るだけでも気持ちが高揚してしまって、なんだか落ち着かなかった。
(もし、私がグランのこと好きになったらリアムはどうなっちゃうんだろう。悪の帝王になっちゃうのかな)
グランへの気持ちを考えると同時に、リアムのことも考えてしまう。浮気をしているわけでもないのに、なんだかモヤモヤする。
悪いことをしてるような、なんだか後ろ暗い気持ちになって、罪悪感が募ってきてオフェリアはこの気持ちを持て余していた。
(いやいや、これがまだ恋と決まったわけではないし。今はちょっと弱ってるから、感傷に浸ってるせいでグランのことがよく見えるだけかも。一時的な感情に流されてはダメよね)
グランに感謝はあるものの、まだ気持ちは不確かだ。
惹かれている気持ちはあれど、これが本当に恋なのかどうかまだ経験値の低いオフェリアにはわからなかった。
「今日は本当にどうもありがとう。今度お礼させて」
「気にしなくていいよ。……あぁ、でもそうだな。もし何かお願いするようなことがあったらお願いするよ」
「うん。そのときは気軽に言ってね! 私にできることであれば何でもするから。じゃあまた」
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