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第十九話 何アホなこと言ってるの
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長いキスのあと、そのままベッドへと連れて行こうとするリアムをどうにか宥め、親衛隊のせいで参加できなかった授業の内容を教えてもらうために勉強会をすることになった、のはいいのだが。
相変わらずというか、むしろ両想いになったことで以前にも増して距離感が近くなり、なぜかリアムの膝の上に座わりながら教わることになってしまった。
そして現在、リアムは背後からオフェリアのお腹に手を回し、抱えるように座りながらオフェリアの頸に口づけたり匂いを嗅いだり。
勉強どころではないような行為ばかりするリアムを何度もオフェリアは諌めるも、浮かれきっているリアムには全く響いていなかった。
「あー、本当に嬉しいな。いっそ今日を両想い記念日に制定して、祝日にしたいくらいだ」
「何アホなこと言ってるの」
「いや、僕が悪の帝王になった暁には……」
「リアム~?」
「冗談だよ。でも、悪の帝王にならなくてもジャスパーに言えばワンチャン……」
「ないから。もしリアムが国家党首になったとしても、そんなしょうもない祝日設定は絶対にダメだからね」
本気なのか冗談なのか、リアムの真意が読めない。
冗談と言いつつたまに冗談ではなさそうに感じるのは、恐らく気のせいではないだろう。
「あー、好き。幸せ。オフェリア大好きだよ。愛してる」
「わかったから、もうちょっと落ち着いてってば。勉強に集中できない」
「やっと両想いになったのに落ち着くなんて無理だよ。それに、今すぐ勉強する必要ないでしょう? ……オフェリアと早く愛し合いたいな」
オフェリアが弱いとわかっててわざと耳元で囁くリアム。お腹に回ってる手もなんだか動きがいかがわしく危ういところを這い出したので、オフェリアはすかさずペチンとその手を叩いた。
「だから、それとこれとは別。学生なんだからそういう行為はまだダメ」
「えー……」
「えー、じゃない。それに、卒業するまで気を抜いちゃダメって言ったのリアムじゃない」
「そうなんだけどさー! せっかく両想いになったのに!!」
ぶーぶーと不満げな声で抗議してくるリアム。まるで駄々をこねる子供のようである。
「とにかく、今は授業の復習が大事なの。それから、また同じ目に遭わないように対策しないと」
さすがに今日みたいなことはこりごりである。しかも騙し討ちとはいえ、エージェントとしては失態であることに変わりはないので、何か対策を考えねばと考えていると、リアムが肩に顎を乗せてきた。
「そういえば、親衛隊の子達に酷い意地悪されたって言ってたね。何されたの?」
「言わなきゃダメ?」
「ダメ。前にも言ったけど、オフェリアはすぐに抱え込むくせがあるからもっと吐き出して。僕にもっと頼って。甘えて」
自分の失態を話すのは気が引けて、つい隠したくなるオフェリア。
けれど、そんなのはお見通しだと言わんばかりにリアムに釘を刺されてしまい、オフェリアは大人しく白状することにした。
「親衛隊の子達とジャスパーの彼女が結託してトイレで私を不意打ちして、認識阻害を含んだ透明になる魔法薬をかけてきたの。おかげで幽霊になった気分を味わえたわ」
あのときの最悪な気分を思い出してちょっと落ち込むオフェリア。あんな惨めな思いは二度とごめんであった。
「嫌がらせにしては随分と手の込んだことをされたんだね。……誰の発案なんだろうか」
「知らないわよ。まぁ、確かに今までにないパターンというか、ここまでするかとは思ったけど」
いくらオフェリアが憎いからといって、限度を超えてるのではなかろうか。下手したら死んでたっておかしくないし、効能作用日数によっては死んでもなお誰にも気づかれない可能性もあった。
「ところで、それをどうやって治したの? 治すのも大変だったんじゃない?」
「あぁ、それはグランっていう人間と妖精のハーフの子がいてね。彼が機転を効かせて妖精の粉をかけてくれたおかげで治せたんだよ」
「ふぅん。人間と妖精のハーフ、ねぇ。そんな人がいたんだ。……ところで、いつの間にそんな知らない男と顔見知りになってるの?」
明らかに声がワントーン下がったリアム。オフェリアはそこで自分がやらかしたことに気づいた。
(ヤバっ。グランとの出会い含めて藪蛇だった)
グランと出会ったのはジャスパーと別れ、一人になったときだ。
しかも、リアムの言いつけを破ってふらふらしているときだったので、バレたらまずいとオフェリアはどうにかリアムを言いくるめるために頭を悩ませた。
「た、たまたまっ……そう、たまたま親切にしてもらっただけで、別にそこまで親しいわけでもなくて」
「ふぅん? で、どこの寮? 学年は?」
「し、知らないよ! そこまで親しくしてるわけではないから、そういう個人情報的なのは全然知らなくて……っ」
本当はグランが同学年で陸の寮だということを把握している。
だが、リアムの様子を見るに、下手に情報を出したら確実に何か迷惑をかけに行くだろうと踏み、助けてもらったのに迷惑をかけるわけにはいかないと、オフェリアはあえてグランのことを濁した。
「たまたま、ね。ずっと僕達と一緒にいるのに?」
至近距離でジッと見つめられて変な汗が出てくる。あからさまに疑いの眼差しを向けられて、別にグランとの間に何かやましいことがあるわけでもないのになぜか後ろ暗い気持ちになってくる。
「ずっとって言っても、ほら、先生に呼ばれたり用事があったりしたときは離れることもあるじゃん」
「まぁ、ないこともないけど。……人間と妖精のハーフのグラン、ねぇ」
「お願いだから助けてもらった恩人なんだから、変なことはしないでよ?」
「もちろん、そんなことしないさ。オフェリアを助けてくれた恩人なんだから。むしろ僕の恋人を救ってくれてありがとうって感謝しに行きたいくらいだよ」
リアムはにっこりとているが、明らかに笑っていない顔で言われて血の気が引く。
(この顔はどこからどう見ても感謝してる顔ではない)
恐らく、親衛隊達などはリアムのこの笑顔でのぼせあがるだろうが、入学して以来ずっと一緒にいるオフェリアは、この笑顔は偽の笑顔だということはわかっていた。
だからこそ、焦りが募る。
「リアム。お願いだからちょっかいかけにいかないで」
「オフェリアは随分と彼を庇うね。妬けてくるなぁ」
「だから、そういうんじゃないってば。助けてもらったのに迷惑かけたら恩を仇で返すことになっちゃうから、それは嫌なだけ」
「まぁ、そういうことにしといてあげるよ」
そう言って、今度は耳に口づけられる。
思わず「ふぁ!?」と声を出せば、リアムが「可愛い」と笑った。
「やめてよ、もう。さっきも言ったけど、とりあえず今は勉強って言ってるでしょ! あとでかまってあげるから、ちょっと待って」
「言ったからね? じゃあ、あとでたっぷりかまってもらおうかな」
(あ、また余計なことを言ってしまった……!)
後悔しても吐いた言葉は戻せるはずもなく。
リアムは先程とは打って変わって上機嫌になりながら「じゃあ、復習が早く終わるように僕も手伝おう」とそれはそれは嬉々として、ジャスパーよりもわかりやすく、懇切丁寧に講義してくれるのだった。
相変わらずというか、むしろ両想いになったことで以前にも増して距離感が近くなり、なぜかリアムの膝の上に座わりながら教わることになってしまった。
そして現在、リアムは背後からオフェリアのお腹に手を回し、抱えるように座りながらオフェリアの頸に口づけたり匂いを嗅いだり。
勉強どころではないような行為ばかりするリアムを何度もオフェリアは諌めるも、浮かれきっているリアムには全く響いていなかった。
「あー、本当に嬉しいな。いっそ今日を両想い記念日に制定して、祝日にしたいくらいだ」
「何アホなこと言ってるの」
「いや、僕が悪の帝王になった暁には……」
「リアム~?」
「冗談だよ。でも、悪の帝王にならなくてもジャスパーに言えばワンチャン……」
「ないから。もしリアムが国家党首になったとしても、そんなしょうもない祝日設定は絶対にダメだからね」
本気なのか冗談なのか、リアムの真意が読めない。
冗談と言いつつたまに冗談ではなさそうに感じるのは、恐らく気のせいではないだろう。
「あー、好き。幸せ。オフェリア大好きだよ。愛してる」
「わかったから、もうちょっと落ち着いてってば。勉強に集中できない」
「やっと両想いになったのに落ち着くなんて無理だよ。それに、今すぐ勉強する必要ないでしょう? ……オフェリアと早く愛し合いたいな」
オフェリアが弱いとわかっててわざと耳元で囁くリアム。お腹に回ってる手もなんだか動きがいかがわしく危ういところを這い出したので、オフェリアはすかさずペチンとその手を叩いた。
「だから、それとこれとは別。学生なんだからそういう行為はまだダメ」
「えー……」
「えー、じゃない。それに、卒業するまで気を抜いちゃダメって言ったのリアムじゃない」
「そうなんだけどさー! せっかく両想いになったのに!!」
ぶーぶーと不満げな声で抗議してくるリアム。まるで駄々をこねる子供のようである。
「とにかく、今は授業の復習が大事なの。それから、また同じ目に遭わないように対策しないと」
さすがに今日みたいなことはこりごりである。しかも騙し討ちとはいえ、エージェントとしては失態であることに変わりはないので、何か対策を考えねばと考えていると、リアムが肩に顎を乗せてきた。
「そういえば、親衛隊の子達に酷い意地悪されたって言ってたね。何されたの?」
「言わなきゃダメ?」
「ダメ。前にも言ったけど、オフェリアはすぐに抱え込むくせがあるからもっと吐き出して。僕にもっと頼って。甘えて」
自分の失態を話すのは気が引けて、つい隠したくなるオフェリア。
けれど、そんなのはお見通しだと言わんばかりにリアムに釘を刺されてしまい、オフェリアは大人しく白状することにした。
「親衛隊の子達とジャスパーの彼女が結託してトイレで私を不意打ちして、認識阻害を含んだ透明になる魔法薬をかけてきたの。おかげで幽霊になった気分を味わえたわ」
あのときの最悪な気分を思い出してちょっと落ち込むオフェリア。あんな惨めな思いは二度とごめんであった。
「嫌がらせにしては随分と手の込んだことをされたんだね。……誰の発案なんだろうか」
「知らないわよ。まぁ、確かに今までにないパターンというか、ここまでするかとは思ったけど」
いくらオフェリアが憎いからといって、限度を超えてるのではなかろうか。下手したら死んでたっておかしくないし、効能作用日数によっては死んでもなお誰にも気づかれない可能性もあった。
「ところで、それをどうやって治したの? 治すのも大変だったんじゃない?」
「あぁ、それはグランっていう人間と妖精のハーフの子がいてね。彼が機転を効かせて妖精の粉をかけてくれたおかげで治せたんだよ」
「ふぅん。人間と妖精のハーフ、ねぇ。そんな人がいたんだ。……ところで、いつの間にそんな知らない男と顔見知りになってるの?」
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(ヤバっ。グランとの出会い含めて藪蛇だった)
グランと出会ったのはジャスパーと別れ、一人になったときだ。
しかも、リアムの言いつけを破ってふらふらしているときだったので、バレたらまずいとオフェリアはどうにかリアムを言いくるめるために頭を悩ませた。
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だが、リアムの様子を見るに、下手に情報を出したら確実に何か迷惑をかけに行くだろうと踏み、助けてもらったのに迷惑をかけるわけにはいかないと、オフェリアはあえてグランのことを濁した。
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リアムはにっこりとているが、明らかに笑っていない顔で言われて血の気が引く。
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恐らく、親衛隊達などはリアムのこの笑顔でのぼせあがるだろうが、入学して以来ずっと一緒にいるオフェリアは、この笑顔は偽の笑顔だということはわかっていた。
だからこそ、焦りが募る。
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「やめてよ、もう。さっきも言ったけど、とりあえず今は勉強って言ってるでしょ! あとでかまってあげるから、ちょっと待って」
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