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第二十四話 エスコート
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「ついにやってきてしまった、新入生歓迎パーティー……」
溜め息をつきながら今日を迎えてしまったことを恨めしく思う。
できればここから逃げ出してすぐにでも寮に籠りたいのだけど、三人から一斉に「「「どこに行くつもり?」」」と圧をかけられたらさすがの私も観念するしかなかった。
というか、圧力のかけ方が普通に我が家の家族よりも怖いんだが。
「それにしても、いつになったらお礼言えるんだろ」
初めての授業以降も同じクラスだというのにエディオンからのアプローチのせいで常に私とエディオンがセットという形となり、結局ノースくんにはお礼が言えずじまいであった。
これが私にとってずっと気がかりになっている。
寮も一緒なはずなのになぜか全然出会わず。いっそ避けられているのではないかとすら思えてくるくらいである。
(元々あまり接点はないし、さすがに避けられてはないとは思うけど。あ、でも色々と迷惑かけっぱなしだし、要注意人物だとして避けられてる可能性もあるかも!?)
はぁ、と大きなため息を吐きたい気持ちを抑えながら私はみんなに引っ張られ、エディオンとの待ち合わせ場所へと向かった。
「おい、見ろよあれ」
「誰? あんな綺麗な子、うちの学校にいたかしら?」
「お姫様みたい……」
マリアンヌとハーパーとオリビアによってドレスから装飾品、化粧に至るまでめいいっぱい綺麗に仕立て上げられて、おかげさまで誰もが振り向くような美人の出来上がりだ。
というのも、今まで知らなかったのだが、ハーパーの実家はドレスの仕立て屋、オリビアの実家はメイクアップもしている美容師だそうで、彼女達の熱の入り用はそれはもう半端なかった。
今日に至るまで、毎日色味がどうだ、この髪型ならこのドレスの形、とまさにリアル着せ替え人形の状態で、トイレに行くのさえままならないほど放課後は寮に籠ってずっとその繰り返しだった。
そのおかげで誰もが振り向くような美人に仕立て上げられ、私は今すぐ透明化の呪文を唱えて逃げ出したい気持ちでいっぱいになる。
「とにかくクラリス、頑張ってちょうだい」
「が、頑張るって……?」
「とにかく、頑張って……!」
「だから、とにかく頑張るってどういう……」
「やぁ、クラリス!」
「え、エディオン。ご、ご機嫌よう」
パーティー会場に向かう途中でエディオンに遭遇する。
待ち合わせ場所よりも早く遭遇したことで身構える暇もなかった私は口元が引き攣りながらもマリアンヌから口酸っぱく言われた通りにきちんと挨拶をした。
「っ、なんと美しいんだ! まさに僕のために天から舞い降りた女神のようだ」
「それはさすがに言い過ぎだと思うけど、ありがとう」
一々大袈裟じゃないか、と思いつつも謙遜したところでさらに大袈裟に言われそうなことはわかっていたので、とりあえず大人しく甘んじてその評価を受け入れるようにした。
チラッとエディオンの顔を見ると、ニコニコといつも以上に上機嫌なようで、早速手を差し出される。
「ここで会ったならせっかくだ、エスコートさせていただこう」
「え、えーーーー……?」
「さすがに早すぎるんじゃ……?」とちらっと三人を見ると、パッと私から離れ「「「いってらっしゃ~い」」」と満面の笑みで手を振られる。
彼女達に「薄情者ーーーーーー!」と叫びたくなるがそんな勇気もないので、せめてもの足掻きとばかりに恨めしげな目で三人を見つめるが、全然気にする様子もなくみんなニコニコと微笑んでいた。
エディオンも満足そうに、腕を差し出してくるので私は恐る恐るその腕に触れると、同性とは違った感触にドギマギする。
「クラリスにはいいお友達がいるんだね」
「そ、そうですね。いい友達です」
そこに関しては全力で同意する。
(早々にこの状況にさせたことに関しては恨んでいるけど……!)
エスコートだから仕方ないとはいえ、腕を組んでいるせいでいつもよりもさらにエディオンと距離感が近くて困惑する。
いつもよりもいい匂いはするし、彼の体温も感じるし、腕の感触や他にも接触する部分が多くてパーティーに着く前にも精神的にもうヘロヘロであった。
「クラリスはダンスは得意かい?」
「えーっと。どうでしょう、……まずまず、かと」
「面白い表現をするね」
実際ダンスはまずまずだ。
というのもNMAに入学することが決まってから家族の特訓の名の下に始めたばかりで、最近ではマリアンヌなどとも踊って練習したとはいえ付け焼き刃である。
正直、踊るならワルツが精一杯であり、タンゴやルンバなどが入ったらもうお手上げだった。
「クラリスとのダンスが楽しみだ」
ニコニコと笑うエディオンの笑顔が眩しい。
(何でこんなイケメンが私に執着するのだろうか、この人もやっぱり私の見た目だけが好きなのかしら……?)
自分で自分の思考にげんなりしつつも、自分に見た目以外の魅力が思いつかなくて「はぁ」と内心溜め息をつく。
そしてエディオンにそんな気持ちを察されないように努めながら、歓迎会が行われるホールに向かうのだった。
溜め息をつきながら今日を迎えてしまったことを恨めしく思う。
できればここから逃げ出してすぐにでも寮に籠りたいのだけど、三人から一斉に「「「どこに行くつもり?」」」と圧をかけられたらさすがの私も観念するしかなかった。
というか、圧力のかけ方が普通に我が家の家族よりも怖いんだが。
「それにしても、いつになったらお礼言えるんだろ」
初めての授業以降も同じクラスだというのにエディオンからのアプローチのせいで常に私とエディオンがセットという形となり、結局ノースくんにはお礼が言えずじまいであった。
これが私にとってずっと気がかりになっている。
寮も一緒なはずなのになぜか全然出会わず。いっそ避けられているのではないかとすら思えてくるくらいである。
(元々あまり接点はないし、さすがに避けられてはないとは思うけど。あ、でも色々と迷惑かけっぱなしだし、要注意人物だとして避けられてる可能性もあるかも!?)
はぁ、と大きなため息を吐きたい気持ちを抑えながら私はみんなに引っ張られ、エディオンとの待ち合わせ場所へと向かった。
「おい、見ろよあれ」
「誰? あんな綺麗な子、うちの学校にいたかしら?」
「お姫様みたい……」
マリアンヌとハーパーとオリビアによってドレスから装飾品、化粧に至るまでめいいっぱい綺麗に仕立て上げられて、おかげさまで誰もが振り向くような美人の出来上がりだ。
というのも、今まで知らなかったのだが、ハーパーの実家はドレスの仕立て屋、オリビアの実家はメイクアップもしている美容師だそうで、彼女達の熱の入り用はそれはもう半端なかった。
今日に至るまで、毎日色味がどうだ、この髪型ならこのドレスの形、とまさにリアル着せ替え人形の状態で、トイレに行くのさえままならないほど放課後は寮に籠ってずっとその繰り返しだった。
そのおかげで誰もが振り向くような美人に仕立て上げられ、私は今すぐ透明化の呪文を唱えて逃げ出したい気持ちでいっぱいになる。
「とにかくクラリス、頑張ってちょうだい」
「が、頑張るって……?」
「とにかく、頑張って……!」
「だから、とにかく頑張るってどういう……」
「やぁ、クラリス!」
「え、エディオン。ご、ご機嫌よう」
パーティー会場に向かう途中でエディオンに遭遇する。
待ち合わせ場所よりも早く遭遇したことで身構える暇もなかった私は口元が引き攣りながらもマリアンヌから口酸っぱく言われた通りにきちんと挨拶をした。
「っ、なんと美しいんだ! まさに僕のために天から舞い降りた女神のようだ」
「それはさすがに言い過ぎだと思うけど、ありがとう」
一々大袈裟じゃないか、と思いつつも謙遜したところでさらに大袈裟に言われそうなことはわかっていたので、とりあえず大人しく甘んじてその評価を受け入れるようにした。
チラッとエディオンの顔を見ると、ニコニコといつも以上に上機嫌なようで、早速手を差し出される。
「ここで会ったならせっかくだ、エスコートさせていただこう」
「え、えーーーー……?」
「さすがに早すぎるんじゃ……?」とちらっと三人を見ると、パッと私から離れ「「「いってらっしゃ~い」」」と満面の笑みで手を振られる。
彼女達に「薄情者ーーーーーー!」と叫びたくなるがそんな勇気もないので、せめてもの足掻きとばかりに恨めしげな目で三人を見つめるが、全然気にする様子もなくみんなニコニコと微笑んでいた。
エディオンも満足そうに、腕を差し出してくるので私は恐る恐るその腕に触れると、同性とは違った感触にドギマギする。
「クラリスにはいいお友達がいるんだね」
「そ、そうですね。いい友達です」
そこに関しては全力で同意する。
(早々にこの状況にさせたことに関しては恨んでいるけど……!)
エスコートだから仕方ないとはいえ、腕を組んでいるせいでいつもよりもさらにエディオンと距離感が近くて困惑する。
いつもよりもいい匂いはするし、彼の体温も感じるし、腕の感触や他にも接触する部分が多くてパーティーに着く前にも精神的にもうヘロヘロであった。
「クラリスはダンスは得意かい?」
「えーっと。どうでしょう、……まずまず、かと」
「面白い表現をするね」
実際ダンスはまずまずだ。
というのもNMAに入学することが決まってから家族の特訓の名の下に始めたばかりで、最近ではマリアンヌなどとも踊って練習したとはいえ付け焼き刃である。
正直、踊るならワルツが精一杯であり、タンゴやルンバなどが入ったらもうお手上げだった。
「クラリスとのダンスが楽しみだ」
ニコニコと笑うエディオンの笑顔が眩しい。
(何でこんなイケメンが私に執着するのだろうか、この人もやっぱり私の見た目だけが好きなのかしら……?)
自分で自分の思考にげんなりしつつも、自分に見た目以外の魅力が思いつかなくて「はぁ」と内心溜め息をつく。
そしてエディオンにそんな気持ちを察されないように努めながら、歓迎会が行われるホールに向かうのだった。
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