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第七十話 爆弾

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 昼食を終え、それぞれ次の授業までの間の歓談を始めたとき、ハーパーによって再び爆弾が放り込まれた。

「エディオンさま」
「なんだい?」
「エディオンさまってクラリスちゃんに積極的にアプローチなさってますけど、婚約者とかっていないんですか?」

(ハーパーーーーーーー!!!!)

 絶叫して今すぐにハーパーの口を塞ぎたい衝動に駆られる。

 どう考えても食べ終えたあとのちょっとした一服タイムにする質問ではないだろう。

 というか先程の質問といい、今の質問といい、相手は王子だというのにどうして彼女はこんなにもぶっ込んだ質問をするのか。
 怖いもの知らずなのか、ただ好奇心の塊なのか、ハーパーの行動があまりにも突拍子すぎてこちらがヒヤヒヤしてくる。

 エディオンもまさかそんな質問をされるとは思ってなかったせいか、ちょっとびっくりした表情をしたあと、いつもの調子に戻った様子でふっと口元を緩めた。

「そうだね。王家では代々婚約者は当人が選んだ女性って決まってるんだ。だから僕には今のところ婚約者はいないよ」
「へぇ、そうなんですね~」
「でも婚約者がいないとなると、申し込み殺到するんじゃありません?」
「確かに、こうして学校生活を一緒にするとなると誘惑も多そうよね」

 せっかくの機会だと言わんばかりに、エディオンの話に食いつく三人。
 こういうゴシップのような話が好きなのは、どこの世界も共通である。

「まぁ、そうだね……ないとは言えないかな? とはいえ、そこはちゃんと判断するように教育を受けているし、僕自身それなりに先見の明があるつもりではいるよ。そういうのも含めて、僕はクラリスを気に入っているからね?」

 突然話を振られて、ビクッと身体が跳ねる。

 キラーパスは心臓に悪いと思いつつ、相変わらずガンガン攻めてくるなぁ、と内心ヒヤヒヤしながら「それは……どうも」と愛想笑いを浮かべてやり過ごした。

「でも、何で婚約者を前以て決めないんです? 逆に手間じゃありません?」
「昔は先に婚約者を決めていたらしいんだけど、それで色々揉めたようでね」
「揉めたんですか?」
「王家に嫁ぎたい……いや嫁がせたい家はたくさんあるからね。それで、かつて婚約者が決まったあとに婚約者が非業の死を遂げることが多発したんだ。それからというもの、婚約者は前以て決めるのではなく、当人が選び、その相手を守る、または自分の身は自分で守れる人を探すように変わっていったんだ」
「へぇー」
「なるほど」
「そうだったんですね」
「僕としても、親が勝手に決めた相手よりも自分で結婚相手を決められるようになったのはいいことだとは思うけどね」
「王族ってのも結構大変なのね……」
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