前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ

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第百七話 親友

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「やぁ、クラリス! あぁ、今日のキミはいつにも増して美しいね」

 ホールに向かっている途中、エディオンに声をかけられる。相変わらず目敏い。
 エディオンの周りにはたくさんの女生徒達が群がっていて、彼女達は私を見るなり、ひそひそと話し始める。

「あぁ、あの子」
「あの子って噂の?」
「そうそう、あの子がエディオンさまをフったっていう」
「え、いくら見た目が綺麗だからって、何様なの!?」

 聴こえてくる会話の内容に、キュッと口を引き結ぶ。

 先日私とアイザックが交際を始めたと共に私がエディオンをフッたという噂が爆発的に広がり、最近は好奇な目に晒されるようになっていた。
 正直気にならないかと言えば嘘にはなるが、自分の選択に後悔はしていないので、私は彼女達の会話に気づかないフリをして、エディオンに話しかける。

「エディオン。そういう貴方もその礼服似合っているわ」
「それはどうもありがとう。クラリスと一緒に踊れないのは残念だけど、こればかりは仕方ないね」
「そうね。それに、これからはアイザックと一緒にいたいから、ごめんなさい」
「それに関しては本当に残念だ。……でも、仕方ないか。アイクは僕よりも将来有望だろうし。それに、クラリスがアイクを選んだというのなら、僕は甘んじて受け入れるよ。ということで、僕の大事なお友達のクラリスの変な噂を流したら困るから、キミたちはどっかへお行き」

 にっこりと有無を言わせない圧力で周りの女の子達を排除するエディオン。女の子達は渋々といった様子で散り散りになっていく。

「……前々から思ってましたけど、エディオンさまってちょっと得体の知れない不気味さがありますよね」

 こそっとミナが耳打ちしてくる。
 まさか私と同じ感想を持っている人がいるとは思わず、無言で「うんうん」と頷けば、ミナが「ですよねー!」と食いついた。

「うん? 何か言ったかい?」
「いいえ、何にも! ねぇ、ミナ」
「はい。何も」
「なんか急に二人仲良くなってないかい? ……まぁいいけど。でも、僕は恋人にはなれなかったけど、クラリスの一番の友達は僕ってことでいいよね?」
「えぇ……っと。一番とかは、決められない、かな?」
「そうですよ。いくらエディオン王子と言えど、クラリスの一番の親友は私ですから」
「私だってクラリスさまと親友です~!!」

 再び繰り返される謎の主張の数々。

「本当モテモテね~クラリスちゃん」
「クラリスちゃんは何か引き寄せるフェロモンがあるのかもね」
「私、何もしてないんだけど……」
「だからじゃない?」
「そうよ。こんなに綺麗で可愛いのにそれを鼻にかけてるわけでもなければ、誰に対しても分け隔てなく接してくれるし」
「そういうの大事よね~?」
「ねー!」

 ハーパーとオリビアの説明にわからないなりにも納得しながら、「だからクラリスちゃんはずっとそのままでいてね」と言われて、「このままの私でいいんだ」とちょっとくすぐったく思いつつも嬉しかった。
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