7 / 16
6 目標
しおりを挟む
お母さんから、もし最初から勉強し直すなら高認試験を目指したら?と言われた。
公認試験、というのがよくわからなくてお母さんに詳しく聞いたら、高認試験というのは高校卒業と同等の学力があるということが公式に認められる試験だそうだ。
そして、大学の入学試験を受ける資格を得られるのと、もし就職したときは高卒と同等扱いになるらしい。
今後生活する上で、もし今後も学んでいくのであれば、できれば取っておいたほうがいいそうだ。
正直、あまりよく理解はできていないものの、とりあえずまずはそこを目指そう、ということになった。
でも、目標が決まってちょっと安心する。
ただ漠然と何をすればいいかわからなかったときに比べて、天と地の差があるくらい不安がなくなった気がした。
「麻衣はお勉強好きだったし、きっと大丈夫よ。わからないことがあったらすぐにお母さんに言ってね。あとこれ、スマホ。連絡するときに使って。使い方はね……」
渡されたスマホは、まるでゲーム機のようだった。昔あった携帯電話とは全然違ってて、10年の間にこれだけ進化していたことにとてもびっくりした。
昔はわざわざパソコンや辞書を取り出さなきゃ調べられなかったことも、スマホだと簡単に調べられるのも便利だった。
ただ、スマホは何でもできちゃうから夢中になって触りすぎないようにと何度も言われた。
確かにゲーム機もできる、読書もできる、映像も観れる、調べ物もできる、となるとついつい触りがちになってしまいそうだと思った。
(気をつけないと……)
あと、変なサイトにいかないのと、勝手に登録しちゃダメなのと、課金しないこと。この3つは絶対にしちゃダメって言われたな。
何かしたいときはお母さんに確認して、って言われたからまずは色々お母さんに聞こう。
(みんなどうしてるんだろう)
小学校の同級生、塾のお友達、みんなみんなは今、何してるんだろう。
でも、そうは思っても連絡先もなければ、そもそも私のことを覚えてないかもしれない。
(10年だもんね。引っ越しもしちゃったし)
さっきまで上がってた気持ちがちょっとずつ下がるのがわかる。ここのところ、今まで感じたことのない気持ちばかりだ。昔はこんなにクヨクヨ悩む性格じゃなかったはずなのに。
「じゃあお母さん、お仕事行ってくるから。鍵のかけ忘れだけはしないようにね。あと、お出掛けは今は図書館だけにしてね」
退院してから最初はお母さんもつきっきりで一緒にいてくれたけど、ずっとお休みを取っていたせいかそういうわけにもいかないらしい。最近では、ちょこちょこ外のお仕事にも出るようになった。
「うん、わかった」
「お金はちゃんと管理すること」
「大丈夫だよ」
「そうは言っても、あ!車には十分気をつけるのよ」
「わかってるよー。私もう子供じゃないんだから」
言ったとき、お母さんの顔があからさまに変わったのがわかった。とても複雑そうな顔をして、先程の言葉を後悔した。
「そうね、そうよね。でも、事故は突然なんだから。あの時みたいに……ってあぁ、もうこんな時間!!いってくるわね。とにかく気をつけること」
「うん、いってらっしゃい」
玄関がパタンと閉まる。なんとなくホッとした私は、さっきのお母さんの顔を忘れようと、リビングへとすぐに戻った。
「さてと、何から始めよう」
高認試験には国語、数学、英語、理科、社会の科目があって、理科と社会はそれぞれ細かく分かれている。
理科は物理、化学、科学、生物。社会は地理歴史、公民と2つある中からさらに細かく、地理歴史だと日本史、世界史、地理、公民だと現代社会、倫理、政治経済と分かれていて、その中から自分で選んで試験を受けるらしい。
正直、これだけでも頭がいっぱいいっぱいだ。小学校でやったことももちろん活かせるとは思うけど、記憶も曖昧だし、ほとんど1からやり直しだ。
(でも、お勉強は好き。今やれることはお勉強だけだから、頑張らなきゃ)
とりあえず2年、頑張ろうということになった。10年分を2年で覚えきる。要領さえよければできないこともないと言われた。試験は年2回ある。だから自分の調子次第で出願時期とかも決めよう、とお母さんと決めた。
(焦らずに、頑張りすぎないように、でも頑張る)
まずはドリルを開く。小学校の復習だ。なんとなく進めていくと、ちょっとずつ思い出していく自分にワクワクする。
(あ、これ知ってる。これならわかる)
だんだんとドリルに夢中になっていく。気づいたら、ドリルを終えたときにはもうお昼の時間になっていた。
公認試験、というのがよくわからなくてお母さんに詳しく聞いたら、高認試験というのは高校卒業と同等の学力があるということが公式に認められる試験だそうだ。
そして、大学の入学試験を受ける資格を得られるのと、もし就職したときは高卒と同等扱いになるらしい。
今後生活する上で、もし今後も学んでいくのであれば、できれば取っておいたほうがいいそうだ。
正直、あまりよく理解はできていないものの、とりあえずまずはそこを目指そう、ということになった。
でも、目標が決まってちょっと安心する。
ただ漠然と何をすればいいかわからなかったときに比べて、天と地の差があるくらい不安がなくなった気がした。
「麻衣はお勉強好きだったし、きっと大丈夫よ。わからないことがあったらすぐにお母さんに言ってね。あとこれ、スマホ。連絡するときに使って。使い方はね……」
渡されたスマホは、まるでゲーム機のようだった。昔あった携帯電話とは全然違ってて、10年の間にこれだけ進化していたことにとてもびっくりした。
昔はわざわざパソコンや辞書を取り出さなきゃ調べられなかったことも、スマホだと簡単に調べられるのも便利だった。
ただ、スマホは何でもできちゃうから夢中になって触りすぎないようにと何度も言われた。
確かにゲーム機もできる、読書もできる、映像も観れる、調べ物もできる、となるとついつい触りがちになってしまいそうだと思った。
(気をつけないと……)
あと、変なサイトにいかないのと、勝手に登録しちゃダメなのと、課金しないこと。この3つは絶対にしちゃダメって言われたな。
何かしたいときはお母さんに確認して、って言われたからまずは色々お母さんに聞こう。
(みんなどうしてるんだろう)
小学校の同級生、塾のお友達、みんなみんなは今、何してるんだろう。
でも、そうは思っても連絡先もなければ、そもそも私のことを覚えてないかもしれない。
(10年だもんね。引っ越しもしちゃったし)
さっきまで上がってた気持ちがちょっとずつ下がるのがわかる。ここのところ、今まで感じたことのない気持ちばかりだ。昔はこんなにクヨクヨ悩む性格じゃなかったはずなのに。
「じゃあお母さん、お仕事行ってくるから。鍵のかけ忘れだけはしないようにね。あと、お出掛けは今は図書館だけにしてね」
退院してから最初はお母さんもつきっきりで一緒にいてくれたけど、ずっとお休みを取っていたせいかそういうわけにもいかないらしい。最近では、ちょこちょこ外のお仕事にも出るようになった。
「うん、わかった」
「お金はちゃんと管理すること」
「大丈夫だよ」
「そうは言っても、あ!車には十分気をつけるのよ」
「わかってるよー。私もう子供じゃないんだから」
言ったとき、お母さんの顔があからさまに変わったのがわかった。とても複雑そうな顔をして、先程の言葉を後悔した。
「そうね、そうよね。でも、事故は突然なんだから。あの時みたいに……ってあぁ、もうこんな時間!!いってくるわね。とにかく気をつけること」
「うん、いってらっしゃい」
玄関がパタンと閉まる。なんとなくホッとした私は、さっきのお母さんの顔を忘れようと、リビングへとすぐに戻った。
「さてと、何から始めよう」
高認試験には国語、数学、英語、理科、社会の科目があって、理科と社会はそれぞれ細かく分かれている。
理科は物理、化学、科学、生物。社会は地理歴史、公民と2つある中からさらに細かく、地理歴史だと日本史、世界史、地理、公民だと現代社会、倫理、政治経済と分かれていて、その中から自分で選んで試験を受けるらしい。
正直、これだけでも頭がいっぱいいっぱいだ。小学校でやったことももちろん活かせるとは思うけど、記憶も曖昧だし、ほとんど1からやり直しだ。
(でも、お勉強は好き。今やれることはお勉強だけだから、頑張らなきゃ)
とりあえず2年、頑張ろうということになった。10年分を2年で覚えきる。要領さえよければできないこともないと言われた。試験は年2回ある。だから自分の調子次第で出願時期とかも決めよう、とお母さんと決めた。
(焦らずに、頑張りすぎないように、でも頑張る)
まずはドリルを開く。小学校の復習だ。なんとなく進めていくと、ちょっとずつ思い出していく自分にワクワクする。
(あ、これ知ってる。これならわかる)
だんだんとドリルに夢中になっていく。気づいたら、ドリルを終えたときにはもうお昼の時間になっていた。
0
あなたにおすすめの小説
想い出は珈琲の薫りとともに
玻璃美月
ライト文芸
――珈琲が織りなす、家族の物語
バリスタとして働く桝田亜夜[ますだあや・25歳]は、短期留学していたローマのバルで、途方に暮れている二人の日本人男性に出会った。
ほんの少し手助けするつもりが、彼らから思いがけない頼み事をされる。それは、上司の婚約者になること。
亜夜は断りきれず、その上司だという穂積薫[ほづみかおる・33歳]に引き合わされると、数日間だけ薫の婚約者のふりをすることになった。それが終わりを迎えたとき、二人の間には情熱の火が灯っていた。
旅先の思い出として終わるはずだった関係は、二人を思いも寄らぬ運命の渦に巻き込んでいた。
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
現実とサキュバスのあいだで ――夢で告白した相手が、同居を始めた話
そう
青春
ある日家に突然現れた謎のサキュバスのホルさん!
好感度はMAXなようで流されるがまま主人公はホルさんと日常を過ごします。
ほのぼのラブコメというか日常系小説
オチなどはなく、ただひたすらにまったりします
挿絵や文章にもAIを使用しております。
苦手な方はご注意ください。
神楽囃子の夜
紫音みけ🐾新刊2月中旬発売!
ライト文芸
※第6回ライト文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。
【あらすじ】
地元の夏祭りを訪れていた少年・狭野笙悟(さのしょうご)は、そこで見かけた幽霊の少女に一目惚れしてしまう。彼女が現れるのは年に一度、祭りの夜だけであり、その姿を見ることができるのは狭野ただ一人だけだった。
年を重ねるごとに想いを募らせていく狭野は、やがて彼女に秘められた意外な真実にたどり着く……。
四人の男女の半生を描く、時を越えた現代ファンタジー。
地味男はイケメン元総長
緋村燐
青春
高校一年になったばかりの灯里は、メイクオタクである事を秘密にしながら地味子として過ごしていた。
GW前に、校外学習の班の親交を深めようという事で遊園地に行くことになった灯里達。
お化け屋敷に地味男の陸斗と入るとハプニングが!
「なぁ、オレの秘密知っちゃった?」
「誰にも言わないからっ! だから代わりに……」
ヒミツの関係はじめよう?
*野いちごに掲載しているものを改稿した作品です。
野いちご様
ベリーズカフェ様
エブリスタ様
カクヨム様
にも掲載しています。
レプリカは、まだ見ぬ春に恋を知る。
朱宮あめ
青春
俯きそうになったら桜を探して。そうすれば、自然と顔を上げられるから――。
とある事情により、神奈川を出て栃木の高校に入学した汐風は、神社で無邪気な少女・桜に出会う。
桜との出会いをきっかけに、汐風は少しづつ変わっていく。
過去のトラウマと向き合い、学校で友だちと呼べるクラスメイトもできた汐風。
次第に桜に惹かれていくが、彼女は、ひとには言えないとても大きな〝秘密〟があった――。
「私、ふつうじゃないから」
「君は君だよ」
桜の秘密を知った汐風は、ショックを受けながらもじぶんなりの決断をする――。
◆
とあるトラウマを抱え、地元を捨てた孤独な少年
錦野汐風
×
ひとには言えない大きな秘密を抱えながらも、明るく生きる無邪気な少女
千鳥桜
ふたりは世界にひとつだけの花の下で、運命的な恋をする――。
※第8回ほっこりじんわり大賞【奨励賞】受賞作品。
その後の愛すべき不思議な家族
桐条京介
ライト文芸
血の繋がらない3人が様々な困難を乗り越え、家族としての絆を紡いだ本編【愛すべき不思議な家族】の続編となります。【小説家になろうで200万PV】
ひとつの家族となった3人に、引き続き様々な出来事や苦悩、幸せな日常が訪れ、それらを経て、より確かな家族へと至っていく過程を書いています。
少女が大人になり、大人も年齢を重ね、世代を交代していく中で変わっていくもの、変わらないものを見ていただければと思います。
※この作品は小説家になろう及び他のサイトとの重複投稿作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる