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第十三話 招集状
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第十三話 招集状
王都に、静かな波紋が広がった。
貴族全会。
その招集状が、各家門へと一斉に届けられたからだ。
理由は記されていない。
だが、書状の文面は異様に整っている。
“王家の安定と統治体制の確認のため”。
それだけ。
誰もが理解していた。
これは、感情の会ではない。
審議の場だ。
王宮では、アルベルトが報告を受ける。
「全会とは何だ。私に事前通達はなかった」
「規範上、三分の二以上の賛同で招集可能でございます」
「誰が主導した」
「……明言はされておりません」
つまり、特定の敵はいない。
派閥ではない。
合意だ。
それが一番、厄介だった。
リュシエラが穏やかに言う。
「殿下を恐れているのでしょう」
「恐れる?」
「強い者は、理解されにくいのですわ」
アルベルトは机に置かれた招集状を見つめる。
文字は整然としている。
そこに悪意はない。
だからこそ、不気味だ。
廊下では、重臣たちが静かに動いている。
誰も声を荒げない。
だが、根回しは既に終わっている。
貴族社会における“規範”。
公開の場での婚約破棄。
契約の一方停止。
協議なき新税。
繰り返される“偶然”。
それらが、積み重なっている。
一つ一つは合法。
だが順序がない。
順序なき統治は、不安定と見なされる。
隣国。
エリシアは外交使節との面談を終えたところだった。
「王都で全会が開かれるとの報」
「ええ」
彼女は淡々と答える。
「規範の確認でしょう」
「動きますか」
「いいえ」
彼女は窓の外を見る。
「私たちは関係ありません」
事実だった。
婚約は破棄された。
契約は終了した。
王太子の選択は、彼の責任。
彼女の物語は別に進んでいる。
港は整備され、税率は安定し、商会は増え続ける。
王都とは無関係に。
夜。
アルベルトは書斎で一人。
全会。
それは王家に対する公開審議の場。
父王も出席する。
逃げ場はない。
目を閉じる。
暗闇。
白い衣が立つ。
足元に赤い影。
彼女が笑う。
「どこまでも私がお供します」
はっと目を開ける。
何もない。
ただ燭台の炎。
リュシエラが近づく。
「殿下はお一人ではありません」
「……私は孤立しているか」
「いいえ。殿下を理解しない者が多いだけです」
孤立ではない。
理解不足。
そう言われると、心が少し軽くなる。
だが翌日。
円卓に三つ目の空席が生まれる。
公式理由は、領地急務。
偶然は続く。
誰も騒がない。
だが距離は明確だ。
貴族全会の日取りが決まる。
王宮大広間。
全家門出席。
議題は、統治の安定性。
アルベルトは静かに立ち上がる。
「私は王太子だ」
そうだ。
立場は変わらない。
だが貴族社会では、立場は規範の上に成り立つ。
その規範が揺らいだ。
隣国。
エリシアは港の新倉庫を視察する。
商会の旗が増えた。
人は秩序に集まる。
彼女は静かに呟く。
「順序を守れば、孤立しません」
王都では、順序なき決断が続いた。
その結果が、全会という形で可視化されようとしている。
誰も怒らない。
誰も叫ばない。
だが静かな合意が、確実に形を取っていた。
王都に、静かな波紋が広がった。
貴族全会。
その招集状が、各家門へと一斉に届けられたからだ。
理由は記されていない。
だが、書状の文面は異様に整っている。
“王家の安定と統治体制の確認のため”。
それだけ。
誰もが理解していた。
これは、感情の会ではない。
審議の場だ。
王宮では、アルベルトが報告を受ける。
「全会とは何だ。私に事前通達はなかった」
「規範上、三分の二以上の賛同で招集可能でございます」
「誰が主導した」
「……明言はされておりません」
つまり、特定の敵はいない。
派閥ではない。
合意だ。
それが一番、厄介だった。
リュシエラが穏やかに言う。
「殿下を恐れているのでしょう」
「恐れる?」
「強い者は、理解されにくいのですわ」
アルベルトは机に置かれた招集状を見つめる。
文字は整然としている。
そこに悪意はない。
だからこそ、不気味だ。
廊下では、重臣たちが静かに動いている。
誰も声を荒げない。
だが、根回しは既に終わっている。
貴族社会における“規範”。
公開の場での婚約破棄。
契約の一方停止。
協議なき新税。
繰り返される“偶然”。
それらが、積み重なっている。
一つ一つは合法。
だが順序がない。
順序なき統治は、不安定と見なされる。
隣国。
エリシアは外交使節との面談を終えたところだった。
「王都で全会が開かれるとの報」
「ええ」
彼女は淡々と答える。
「規範の確認でしょう」
「動きますか」
「いいえ」
彼女は窓の外を見る。
「私たちは関係ありません」
事実だった。
婚約は破棄された。
契約は終了した。
王太子の選択は、彼の責任。
彼女の物語は別に進んでいる。
港は整備され、税率は安定し、商会は増え続ける。
王都とは無関係に。
夜。
アルベルトは書斎で一人。
全会。
それは王家に対する公開審議の場。
父王も出席する。
逃げ場はない。
目を閉じる。
暗闇。
白い衣が立つ。
足元に赤い影。
彼女が笑う。
「どこまでも私がお供します」
はっと目を開ける。
何もない。
ただ燭台の炎。
リュシエラが近づく。
「殿下はお一人ではありません」
「……私は孤立しているか」
「いいえ。殿下を理解しない者が多いだけです」
孤立ではない。
理解不足。
そう言われると、心が少し軽くなる。
だが翌日。
円卓に三つ目の空席が生まれる。
公式理由は、領地急務。
偶然は続く。
誰も騒がない。
だが距離は明確だ。
貴族全会の日取りが決まる。
王宮大広間。
全家門出席。
議題は、統治の安定性。
アルベルトは静かに立ち上がる。
「私は王太子だ」
そうだ。
立場は変わらない。
だが貴族社会では、立場は規範の上に成り立つ。
その規範が揺らいだ。
隣国。
エリシアは港の新倉庫を視察する。
商会の旗が増えた。
人は秩序に集まる。
彼女は静かに呟く。
「順序を守れば、孤立しません」
王都では、順序なき決断が続いた。
その結果が、全会という形で可視化されようとしている。
誰も怒らない。
誰も叫ばない。
だが静かな合意が、確実に形を取っていた。
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