婚約破棄された悪役令嬢、パンがなかったので貴族から菓子を奪って民衆に食べさせますわ! 馬鹿な貴族どもは、クラッカーでもかじってなさい 1/4

鷹 綾

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第7話:貴族たちの絶望の始まり

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 第7話:貴族たちの絶望の始まり
王都の貴族街は、普段の華やかさを失っていた。  
舞踏会の招待状が届く頃になると、貴族たちはいつも通り、  
豪華なドレスや宝石を準備し、甘い香りのケーキやタルトを楽しみにするはずだった。  
しかし、今夜は違った。

ローレンス伯爵邸のサロンでは、  
貴族たちが集まり、顔を青ざめさせていた。  
テーブルには、紅茶だけが並び、  
甘い菓子の皿は空っぽだった。

「どういうことだ……  
工房の菓子が、すべてなくなっている!」

伯爵の息子が、声を震わせて言った。

「昨夜、フォーマルハウトの私兵が強襲したと聞きました。  
材料も完成品も、すべて奪われたそうです」

貴族の一人が、扇子を握りしめた。

「馬鹿な……  
菓子は貴族のための高級品だ。  
高額だからこそ価値があるのに、  
庶民に配るなんて、価値を破壊する行為だわ!」

もう一人が、紅茶を啜りながら、  
苦々しく言った。

「王宮のパティシエも、土下座して頼んだらしいけど、  
あの女は拒否したそうです。  
硬質小麦1000キロと交換だなんて……  
ふざけているわ」

貴族たちは、次第に声を荒げた。

「舞踏会はどうなるんだ!  
ケーキがないなんて、ありえない!」  
「紅茶に砂糖を入れられない……  
こんな屈辱、初めてだわ」  
「馬鹿な女が……  
菓子を奪って、民に配るなんて!」

そのとき、セドリック王子の使者が入ってきた。

「殿下よりのお達しです。  
甘味断絶令を布告します。  
すべての菓子類の製造、販売、譲渡、所持を禁じます。  
目的は、食糧危機下における穀物流通の優先制御……  
および、フォーマルハウト令嬢の排除です」

貴族たちは、一瞬沈黙した。  
しかし、すぐに嘲笑が広がった。

「甘味断絶令?  
ふふ……あの女を追い詰めるためね」  
「菓子が禁じられたら、庶民はもっと飢えるわ」  
「馬鹿な女の行動が、逆に民を苦しめるだけよ」

しかし、その笑いはどこか無理やりだった。  
貴族たちの手元には、紅茶だけ。  
甘い菓子がないという現実が、  
徐々に彼らの心を蝕み始めていた。

一方、フォーマルハウト邸の書斎では、  
アルキオーネが地図を広げていた。  
クラリスが報告書を差し出す。

「お嬢様、甘味断絶令が布告されました。  
王宮は本気で私たちを排除しようとしています」

アルキオーネは、ゆったりと紅茶を啜った。  
彼女自身も、甘味を断ち続けている。  
その味は、苦く、しかし清々しかった。

「甘味断絶令……  
ふふ、貴族たちの虚飾を剥がすには、ちょうどいいですわ」

クラリスが心配そうに言った。

「お嬢様……  
貴族たちの反発が激しくなるのでは……  
菓子工房の強奪は、すでに三軒ですが、  
これ以上続けると、軍が動くかもしれません」

アルキオーネは、冷たく微笑んだ。

「構いませんわ。  
貴族たちは、菓子が高額で自分たちのものだと思い込んでいる。  
だからこそ、甘味がなくなったときの絶望は大きい。  
彼らの舞踏会が台無しになる様子を、  
想像するだけで楽しいですわ」

彼女は、地図に赤い線を引いた。  
それは、次の標的となる菓子工房の場所だった。

「次は、四軒目。  
貴族商会長の工房ですわ。  
そこを奪えば、王都の軟質小麦は、私たちの手中に」

クラリスは、深く頭を下げた。

「承知いたしました。  
私兵を手配します」

アルキオーネは、窓の外を見た。  
王都の空は、曇っていた。  
しかし、下町の灯りは、  
少しずつ明るくなっているように見えた。

「馬鹿な貴族どもは、クラッカーでもかじってなさい。  
1/4しかあげませんけど、ダイエットにちょうどいいですわ」

その言葉に、クラリスは小さく微笑んだ。

「お嬢様の逆襲、必ず成功します」

夜が深まる中、  
貴族街では、甘味のない紅茶を啜る貴族たちのため息が漏れていた。

「ケーキがないなんて……  
こんな屈辱、初めてだわ」  
「馬鹿な女のせいで……」

アルキオーネの逆襲は、  
貴族たちの心を、静かに蝕み始めていた。

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