婚約破棄された悪役令嬢、パンがなかったので貴族から菓子を奪って民衆に食べさせますわ! 馬鹿な貴族どもは、クラッカーでもかじってなさい 1/4

鷹 綾

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第11話:貴族の反発と陰謀

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第11話:貴族の反発と陰謀

王宮の謁見の間は、重苦しい空気に満ちていた。  
第一王子セドリックは玉座に座り、  
貴族たちに囲まれ、苛立った表情を隠せなかった。  
甘味断絶令を布告してから数日、  
王宮の甘味は完全に枯渇していた。  
紅茶は無糖、デザートは空の皿。  
貴族たちの顔は、次第に痩せ細り始めていた。

「フォーマルハウトの馬鹿な女が……  
菓子工房を六軒も強奪しただと?」

セドリックは、テーブルを叩いた。

貴族の一人が、震える声で言った。

「殿下……民衆の間で『クラッカー様』という噂が広がっています。  
下町の配給所には、毎日長蛇の列ができているそうです」

もう一人が、扇子で口元を隠しながら言った。

「しかも、第五王子レオニスが、あの女と接触したという情報が……  
改革派の貴族や軍部将校に声をかけているそうです」

セドリックは、目を細めた。

「レオニス……  
あの末弟が、私に逆らうつもりか?」

貴族たちは、顔を見合わせた。

「殿下、あの女は危険ですわ。  
菓子を奪い、民衆を味方につけ、  
飢餓刑などという恐ろしい刑を準備しているという噂も……」

セドリックは、冷たく笑った。

「飢餓刑?  
1日四分の一のクラッカーだけを与え、  
公開収容で民衆の前で飢えを味わわせるだと?  
馬鹿げた話だ。  
そんなものを、実際に施行できるわけがない」

しかし、その笑いはどこか無理やりだった。  
彼の頰は、わずかにこけ始めていた。

貴族の一人が、声を潜めて言った。

「殿下……  
民衆の支持が、あの女に集まりつつあります。  
『パンがないなら、お菓子を』という言葉が、  
民衆の間でスローガンになっています」

セドリックは、拳を握った。

「ふざけるな。  
あの馬鹿な女が、民を洗脳しているだけだ。  
菓子は高級品で貴族のためのもの。  
それを奪って配るなんて、価値を破壊する行為だ!」

貴族たちは、頷いた。

「そうですわ。  
高額だからこそ価値があるのに……  
庶民に渡したら、価値が下がるだけです」

セドリックは、冷たく命じた。

「陰謀を練れ。  
あの女を、反逆罪で捕らえる。  
レオニスも、一緒に捕らえろ。  
軍を動かし、下町の配給所を襲撃せよ」

貴族たちは、深く頭を下げた。

「承知いたしました。  
すぐに手配します」

一方、フォーマルハウト邸の書斎では、  
アルキオーネが地図を広げていた。  
クラリスとレオニスが、傍らに控えていた。

「お嬢様、王宮から使者が来ました。  
甘味断絶令の強化と、  
私たちへの監視を強めるとのことです」

アルキオーネは、冷たく微笑んだ。

「ふふ……貴族たちの反発が、ようやく本気になりましたわね。  
甘味がなくなって、絶望しているのでしょう」

レオニスが、静かに言った。

「王宮内部の情報です。  
第一王子派が、軍を動かして配給所を襲撃する計画を立てています。  
私たちを反逆者として捕らえ、  
飢餓刑の準備を潰すつもりです」

アルキオーネは、紅茶を一口啜った。

「襲撃?  
面白いですわ。  
貴族たちは、菓子が高額で自分たちのものだと思い込んでいる。  
だからこそ、甘味がなくなった絶望が大きい。  
その絶望を、もっと深く味わわせてあげましょう」

クラリスが心配そうに言った。

「お嬢様……軍が動けば、配給所が危うくなります。  
民衆が巻き込まれるかもしれません」

アルキオーネは、静かに頷いた。

「心配ありませんわ。  
私たちは、飢えを武器に戦います。  
軍が来たら、民衆を盾にしますわ。  
貴族たちは、民衆を傷つけることを恐れるはずです。  
民衆は、私たちの味方ですもの」

レオニスが、静かに言った。

「私も、王宮内部から情報を流します。  
襲撃のタイミングを事前に知り、  
対処しましょう」

アルキオーネは、地図に指を置いた。

「では、次の菓子工房を強奪しますわ。  
七軒目。  
貴族商会長の私邸に併設された工房です。  
そこを奪えば、王都の軟質小麦は、私たちの手中に」

クラリスは、頷いた。

「承知いたしました。  
私兵を手配します」

アルキオーネは、静かに呟いた。

「馬鹿な貴族どもは、クラッカーでもかじってなさい。  
1/4しかあげませんけど、ダイエットにちょうどいいですわ」

レオニスは、静かに笑った。

「その言葉、気に入りました」

二人は、書斎で握手を交わした。  
同志の絆は、ますます強くなっていた。

その夜、  
王宮では、セドリックが貴族たちに命じた。

「明日、軍を動かせ。  
配給所を襲撃し、アルキオーネを捕らえろ。  
あの女の首を、必ず取れ」

貴族たちは、深く頭を下げた。

「承知いたしました」

しかし、アルキオーネとレオニスの逆襲は、  
静かに、しかし確実に広がり始めていた。

配給所の夜は、  
希望の灯りが揺れていた。

(第10
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