婚約破棄された悪役令嬢、パンがなかったので貴族から菓子を奪って民衆に食べさせますわ! 馬鹿な貴族どもは、クラッカーでもかじってなさい 1/4

鷹 綾

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第13話:革命の火種

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第13話:革命の火種

王都の空は、曇り空が広がっていた。  
下町の配給所では、今日も長い列ができていた。  
アルキオーネはクラッカーの箱を抱え、民衆に一人ひとり手渡していた。  
子どもたちは笑顔で受け取り、  
老人たちは感謝の言葉を繰り返した。

「クラッカー様……ありがとうございます」  
「今日もおいしい……」

アルキオーネは、静かに微笑んだ。  
彼女の心は、冷たい氷の薔薇ではなく、  
優しい炎で燃えていた。

その列の端に、  
第五王子レオニスが再び現れた。  
彼は、簡素な服を着て、  
民衆に紛れ、クラッカーを受け取った。

「アルキオーネ様。  
王宮内部の情報です。  
第一王子派が、軍を動かして配給所を襲撃する計画を立てています。  
明日、夜明け前に」

アルキオーネは、クラッカーを配りながら、  
静かに頷いた。

「ふふ……ようやく本気になりましたわね。  
甘味断絶令で絶望し、  
菓子工房を奪われ、民衆に支持を奪われ、  
彼らのプライドは、もう限界ですわ」

レオニスは、声を潜めて言った。

「襲撃のタイミングを事前に知りました。  
私兵を配置し、民衆を盾にすれば、  
軍は手を出せません。  
民衆を傷つければ、王宮の正当性が失われます」

アルキオーネは、冷たく微笑んだ。

「そうですわ。  
貴族たちは、民衆を傷つけることを恐れるはずです。  
民衆は、私たちの味方ですもの」

二人は、配給所の裏で、  
密かに作戦を練った。

「襲撃の際は、民衆を安全な場所に避難させます。  
私兵は、軍を牽制し、  
配給を続けますわ。  
これで、軍は動けなくなります」

レオニスは、頷いた。

「わかりました。  
私も、王宮内部から情報を流します。  
改革派の貴族を増やし、  
軍部の将校を説得します」

アルキオーネは、クラッカーを一枚、レオニスに手渡した。

「王子。  
あなたは、飢えを知りましたわね」

レオニスは、クラッカーを受け取り、  
一口かじった。

「……はい。  
民衆の味です」

アルキオーネは、静かに言った。

「貴族たちは、菓子が高級品だと思い込んでいる。  
高額だからこそ価値があると。  
けれど、私たちは証明しますわ。  
菓子は、民の命を繋ぐものにもなり得ることを」

レオニスは、深く頭を下げた。

「ありがとうございます。  
私も、この国を変えるために、力を貸します」

二人は、配給所の裏で握手を交わした。  
同志の絆は、ますます強くなっていた。

その夜、王宮では、セドリックが貴族たちに命じた。

「明日、軍を動かせ。  
配給所を襲撃し、アルキオーネを捕らえろ。  
あの女の首を、必ず取れ」

貴族たちは、深く頭を下げた。

「承知いたしました」

しかし、アルキオーネとレオニスの逆襲は、  
静かに、しかし確実に広がり始めていた。

配給所の夜は、  
希望の灯りが揺れていた。

民衆の間で、  
「クラッカー様」の噂が広がっていた。  
子どもたちは、クラッカーを分け合い、  
老人たちは、希望を語り合った。

「公爵令嬢は、本当に私たちを救ってくれた……」  
「馬鹿な女なんて、嘘だわ」

アルキオーネは、配給所の屋根の上に立ち、  
王都を見下ろした。

「貴族たちは、菓子が高級品だと思い込んでいる。  
けれど、今、私たちはその幻想を砕き始めましたわ」

彼女は、静かに呟いた。

「馬鹿な貴族どもは、クラッカーでもかじってなさい。  
1/4しかあげませんけど、ダイエットにちょうどいいですわ」

夜の風が、彼女の白い髪を揺らした。  
革命の火種は、  
静かに、しかし確実に燃え上がり始めていた。

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