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第12話 効率の証明
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第12話 効率の証明
王太子の視察から一か月。
学院の空気は、以前とは違っていた。
誰もが意識している。
ここは見られている場所だと。
だが私は、外の視線よりも内側の数字を重視する。
制度が続くかどうかは、評価で決まる。
感想ではない。
実績だ。
私は机の上に積まれた報告書を一枚ずつ確認する。
出席率。
成績推移。
討論参加回数。
そして、費用。
家庭教師制度と比較した支出一覧。
数字は正直だ。
半年間の推移を並べると、明確な傾向が見える。
成績は上がっている。
平均点だけでなく、下位層の底上げが顕著だ。
私はその点に最も注目している。
上位がさらに伸びることよりも、下位が引き上げられること。
それが私の目的。
「令嬢様」
会計担当の講師が報告に来る。
「費用比較がまとまりました」
私は書類を受け取り、目を通す。
家庭教師一人を専属で雇う場合の年間費用。
学院参加費用。
講師への総支払額。
結果は明白だった。
参加家は三割以上の支出削減。
講師は二割増しの収入。
効率。
それが制度の強み。
私は父の書斎へ向かう。
「数字が出ました」
父は静かに書類を受け取る。
「ほう」
目を走らせ、すぐに理解する。
「これは反論できぬな」
「はい」
「費用は下がり、成果は上がる」
「効率の証明です」
父は満足そうに頷く。
「だが、効率は時に敵を作る」
「なぜですか」
「非効率で利益を得ていた者がいる」
私は一瞬考える。
家庭教師の中には、旧来の形に固執する者もいる。
紹介料で利益を得ていた家もある。
制度は、既存の利権を揺らす。
「承知しています」
私は静かに言う。
「ですが、効率は止められません」
その日の午後、参加家を集めた報告会を開いた。
私は壇上に立つ。
父は隣にいる。
だが、発表は私が行う。
「半年間の成果をご報告いたします」
ざわめきが止む。
私は数字を示す。
成績推移の表。
費用比較。
下位層の伸び。
「学院は、優秀な者を選び出す場ではありません」
私ははっきりと言う。
「学ぶ機会を整え、全体を引き上げる場です」
参加家の当主たちは真剣な表情で聞いている。
「結果として、仕官先からの評価も上がっています」
事実だ。
王宮の下級官吏試験だけでなく、商会や軍務でも評価が高い。
「費用対効果は明らかです」
私は最後にそう結ぶ。
沈黙。
そして、拍手。
控えめだが、確かな音。
その場にいた者たちは理解した。
学院は理念だけで動いているのではない。
理屈と成果で成立している。
夜、私は一人で報告書を読み返す。
効率。
合理性。
それは武器だ。
だが、私は知っている。
私の目的はそれだけではない。
底上げ。
より多くの機会。
効率は、そのための道具。
父が部屋に入ってくる。
「今日は立派だった」
「ありがとうございます」
「殿下にも報告は届くだろう」
「ええ」
「どう動くと思う」
私は少し考える。
「観察を続けるでしょう」
「敵にはならぬか」
「今は」
私は答える。
「今はまだ」
父は小さく笑う。
「慎重だな」
「未来は分かりません」
私は窓の外を見る。
学院の灯りが、夜の中に浮かんでいる。
あの灯りの中で、子弟たちは机に向かっている。
家格ではなく、能力で評価される場。
それは、この国ではまだ珍しい。
効率は証明された。
制度は数字で支えられた。
だが、これは通過点。
学院は根を張り始めた。
そして私は、自分の目的を改めて胸に刻む。
未来は分からない。
だからこそ、今できることを積み重ねる。
効率の証明は、その一歩にすぎない。
王太子の視察から一か月。
学院の空気は、以前とは違っていた。
誰もが意識している。
ここは見られている場所だと。
だが私は、外の視線よりも内側の数字を重視する。
制度が続くかどうかは、評価で決まる。
感想ではない。
実績だ。
私は机の上に積まれた報告書を一枚ずつ確認する。
出席率。
成績推移。
討論参加回数。
そして、費用。
家庭教師制度と比較した支出一覧。
数字は正直だ。
半年間の推移を並べると、明確な傾向が見える。
成績は上がっている。
平均点だけでなく、下位層の底上げが顕著だ。
私はその点に最も注目している。
上位がさらに伸びることよりも、下位が引き上げられること。
それが私の目的。
「令嬢様」
会計担当の講師が報告に来る。
「費用比較がまとまりました」
私は書類を受け取り、目を通す。
家庭教師一人を専属で雇う場合の年間費用。
学院参加費用。
講師への総支払額。
結果は明白だった。
参加家は三割以上の支出削減。
講師は二割増しの収入。
効率。
それが制度の強み。
私は父の書斎へ向かう。
「数字が出ました」
父は静かに書類を受け取る。
「ほう」
目を走らせ、すぐに理解する。
「これは反論できぬな」
「はい」
「費用は下がり、成果は上がる」
「効率の証明です」
父は満足そうに頷く。
「だが、効率は時に敵を作る」
「なぜですか」
「非効率で利益を得ていた者がいる」
私は一瞬考える。
家庭教師の中には、旧来の形に固執する者もいる。
紹介料で利益を得ていた家もある。
制度は、既存の利権を揺らす。
「承知しています」
私は静かに言う。
「ですが、効率は止められません」
その日の午後、参加家を集めた報告会を開いた。
私は壇上に立つ。
父は隣にいる。
だが、発表は私が行う。
「半年間の成果をご報告いたします」
ざわめきが止む。
私は数字を示す。
成績推移の表。
費用比較。
下位層の伸び。
「学院は、優秀な者を選び出す場ではありません」
私ははっきりと言う。
「学ぶ機会を整え、全体を引き上げる場です」
参加家の当主たちは真剣な表情で聞いている。
「結果として、仕官先からの評価も上がっています」
事実だ。
王宮の下級官吏試験だけでなく、商会や軍務でも評価が高い。
「費用対効果は明らかです」
私は最後にそう結ぶ。
沈黙。
そして、拍手。
控えめだが、確かな音。
その場にいた者たちは理解した。
学院は理念だけで動いているのではない。
理屈と成果で成立している。
夜、私は一人で報告書を読み返す。
効率。
合理性。
それは武器だ。
だが、私は知っている。
私の目的はそれだけではない。
底上げ。
より多くの機会。
効率は、そのための道具。
父が部屋に入ってくる。
「今日は立派だった」
「ありがとうございます」
「殿下にも報告は届くだろう」
「ええ」
「どう動くと思う」
私は少し考える。
「観察を続けるでしょう」
「敵にはならぬか」
「今は」
私は答える。
「今はまだ」
父は小さく笑う。
「慎重だな」
「未来は分かりません」
私は窓の外を見る。
学院の灯りが、夜の中に浮かんでいる。
あの灯りの中で、子弟たちは机に向かっている。
家格ではなく、能力で評価される場。
それは、この国ではまだ珍しい。
効率は証明された。
制度は数字で支えられた。
だが、これは通過点。
学院は根を張り始めた。
そして私は、自分の目的を改めて胸に刻む。
未来は分からない。
だからこそ、今できることを積み重ねる。
効率の証明は、その一歩にすぎない。
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