「婚約破棄された令嬢の異世界カフェ革命~甘い復讐と運命の恋~」

鷹 綾

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第15話: リオンとのデート

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 第15話: リオンとのデート

カフェの繁栄は、止まることを知らなかった。

オープンから二週間。伯爵のパトロン獲得のおかげで、店は領地公認の施設となり、毎日冒険者、商人、貴族で満席。街の新聞にまで取り上げられ、「甘い魔法の奇跡」と呼ばれている。

この日、珍しく午後の客足が少し落ち着いた。

ミアがカウンターを拭きながら、にこにこ顔で言った。

「エレナお姉様! 今日は少し暇ですよ! ミア、一人で店番できますから、お姉様はリオンお兄様と街を散歩してきてください!」

「えっ……? ミアちゃん、そんな急に」

私は頰を赤らめた。確かに、リオンとはいつも一緒にいるけど、デートなんて意識したことはなかった。でも、ミアの目がいたずらっぽく輝いている。

リオンが二階から降りてきて、珍しく少し照れくさそうに言った。

「……たまには休憩も必要だ。街の様子を見ておきたいし、一緒にどうだ?」

「え、ええ……いいわよ」

こうして、私とリオンの初めての「デート」が決まった。

街の中心広場へ向かう道は、石畳が綺麗に敷かれ、露店が並んでいる。秋の陽光が優しく差し込み、風に甘いカフェの香りが混じっていた。

リオンは普段の黒ローブではなく、少しカジュアルなシャツ姿。銀髪が風に揺れ、端正な顔がより目立つ。通りすがりの女性たちがちらちらこちらを見ているのに気づき、私は少し胸がざわついた。

「リオンさん、街の景色、どう?」

「ああ、活気づいてるな。君のカフェのおかげだ」

リオンが静かに微笑んだ。その笑顔に、ドキッとする。

広場に着くと、噴水の周りで子供たちが遊んでいる。露店では、果物やアクセサリー、魔道具が売られていた。

「何か欲しいものあるか?」

リオンが珍しく積極的に聞いてきた。

「うーん……あれ見て」

私は小さな露店を指さした。そこには、手作りの髪飾りが並んでいた。青いリボンに小さな魔法石が付いた、可愛らしいもの。

「これ、似合うかしら?」

店主に試着させてもらうと、リオンがじっと見て、頷いた。

「似合う。買おう」

「え、でも高いわよ?」

「俺が出す。……お礼だ。いつもケーキを食わせてもらってる」

リオンが銀貨を払い、髪飾りを私の髪にそっと付けてくれた。指先が耳に触れ、熱くなった。

「ありがとう……リオンさん」

二人は広場のベンチに座り、買ったばかりのリンゴ飴を分け合った。

「リオンさん、どうしてずっと私たちのそばにいてくれるの?」

私は勇気を出して聞いた。

リオンは少し黙ってから、静かに語り始めた。

「俺も、昔は似た境遇だった。魔法の才能がありすぎて、王都の貴族に目を付けられ、追われてな。仲間を失い、一人で旅を続けてきた」

「そんな……」

「だから、君を見ていると放っておけなかった。転移者で、理不尽に苦しんで、それでも前を向いてる。ミアみたいな子を守って、カフェを成功させて……強いよ、君は」

リオンの青い瞳が、真っ直ぐ私を見ていた。

「俺は、君たちと一緒にいると、初めて『守りたいもの』ができた気がする」

その言葉に、胸が熱くなった。

「リオンさん……私も、あなたがいなかったらここまで来れなかった。いつも守ってくれて、ありがとう」

二人の手が、ベンチでそっと触れ合った。

そのまま、少しの間無言で噴水を見つめていた。

夕陽が街をオレンジに染め始める頃、二人はカフェに戻った。

ミアがニヤニヤしながら出迎えた。

「おかえりなさい! どうでした、デート!?」

「ミアちゃん! デートなんて言わないで!」

私は真っ赤になったが、リオンが小さく笑った。

その夜、店が閉まった後。

私は二階のバルコニーで、一人空を見上げていた。

リオンとの時間が、幸せすぎて怖いくらい。

でも、同時に決意も新たになった。

この幸せを、絶対に守る。

王都からの脅迫状は、まだ机の引き出しにある。

伯爵に相談したところ、「わしが対処する」と強気だったが、相手は王家に近い貴族らしい。

――リリア・ド・ヴァレンティアの父、ヴァレンティア伯爵が関わっている可能性が高い。

元の世界の仇。

私の成功が、王都に届き始めている証拠。

「来るなら、来なさい」

私は髪飾りを触りながら、呟いた。

甘いスイーツで、あなたたちのプライドを砕いてあげる。

そのとき、店の裏口で物音がした。

リオンがすぐに杖を構え、私の隣に立った。

「……今度は本格的だ。刺客か」

闇の中から、三人の黒装束の男が現れた。

「転移者エレナ、命に従え。王都へ出頭するか、ここで死ぬか選べ」

私はリオンと並んで立ち、微笑んだ。

「選ぶなら……あなたたちを、甘くおもてなしするわ」

魔法が光り、カフェの灯りが再び輝き始めた。

戦いが、始まろうとしていた。

私の復讐は、もう止まらない。

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