追放された悪役令嬢は最強魔法で復讐し、隣国王子に永遠に愛される

鷹 綾

文字の大きさ
14 / 30

第14話 援軍と甘いデート

しおりを挟む
第14話 援軍と甘いデート

ノルドフォールの領地は、日ごとに要塞化が進んでいた。

エメロードの召喚魔法で生み出した守護獣たちが村の周囲を巡回し、闇魔法の結界が魔物だけでなく不審な侵入者をも阻む。領民たちはレグナムの指導で剣や弓の訓練を受け、女性たちも簡単な魔法を学び始めていた。

そんなある朝、村の南の道から馬車の列が近づいてきた。

旗印は──隣国ルクスフォード王国の紋章。

レグナムが門の上でそれを見て、珍しく目を輝かせた。

「来たか……兄上の援軍だ」

エメロードが隣で微笑む。

「あなたの正体を明かしてから、すぐ動いてくれたのね」

馬車列が村の広場に到着すると、先頭の馬車から一人の壮年の男性が降り立った。

金髪に紫の瞳、レグナムによく似た端正な顔立ち。ルクスフォード王国の第一王子、アレクサンドルだ。

「レグナム! 無事で何よりだ」

アレクサンドルが駆け寄り、レグナムを強く抱きしめた。

「お前が手紙で『大切な女性がいる』と書いてきたから、急いで来たぞ」

レグナムが少し照れくさそうに咳払いし、エメロードを紹介した。

「兄上、こちらがエメロード・フォン・エルグランド。この領地の領主で……俺の愛する女性だ」

エメロードは優雅に一礼した。

「アレクサンドル殿下。お越しいただき感謝いたします」

アレクサンドルはエメロードを見て、感嘆の息を漏らした。

「美しい……いや、それ以上に気品と力が感じられる。レグナムが夢中になるのも当然だ」

三人は屋敷の応接室に移り、援軍の詳細を話した。

兵士五十名、魔法使い十名、補給物資満載の馬車五台。

さらに、アレクサンドル自身もしばらく滞在し、戦略を立てるという。

「王都が軍を動かす前に、こちらの態勢を整えよう。レグナム、お前の選んだ女性なら、必ず勝てる」

レグナムが頷く。

「ありがとう、兄上。恩に着る」

援軍の到着で、領地の守りは盤石となった。

領民たちは隣国の兵士たちを温かく迎え、すぐに打ち解けた。

午後、エメロードとレグナムは少しだけ時間を盗んで、村の外れにある温泉へ向かった。

領地改革の際にエメロードが魔法で湧出させた秘湯だ。

普段は領民たちが利用しているが、今日は二人だけで貸し切り。

木々に囲まれた露天風呂。湯気が立ち上り、周囲の木々が紅葉に染まっている。

エメロードは薄い浴衣に身を包み、湯に浸かっていた。

銀髪をアップにまとめ、頰が湯気でピンクに染まる。

レグナムが隣に入り、そっと肩を抱いた。

「久しぶりに、二人きりだな」

「ええ。援軍の到着で、少し余裕ができたわ」

レグナムはエメロードの肩にキスを落とした。

「君はいつも頑張りすぎる。今日は、ゆっくり休んでほしい」

エメロードはレグナムの胸に寄りかかり、目を閉じた。

「あなたが側にいてくれるだけで、十分休まるわ」

湯の中で、二人は手を繋いだ。

レグナムの指が、エメロードの指を優しく撫でる。

「エメロード。俺は、君を幸せにしたい。復讐の後も、その後も──ずっと」

エメロードは目を開け、レグナムの紫の瞳を見つめた。

「私もよ。あなたと一緒にいる未来を、初めて想像できるようになった」

二人は湯の中でキスを交わした。

柔らかく、深く、何度も。

湯気が二人の体を包み、紅葉が風に舞う。

甘い、甘い時間。

温泉の後、二人は近くの丘に移動した。

夕暮れの星空が、ゆっくりと広がり始める。

毛布を敷いて横になり、並んで星を見上げる。

レグナムが、エメロードの手を握ったまま言った。

「昔、隠し子として宮廷で孤独だったとき、星空だけが友達だった」

エメロードは静かに聞きながら、レグナムの手に自分の手を重ねた。

「今は、私がいるわ。もう、孤独じゃない」

レグナムが微笑み、エメロードを抱き寄せた。

「君は俺の光だ。永遠の光」

二人は再びキスを交わし、星空の下で体を寄せ合った。

甘々デートの締めくくりは、丘の上で見る流れ星。

「願い事、した?」

レグナムが囁く。

エメロードはくすりと笑った。

「したわ。あなたと、ずっと一緒にいられますように──って」

「俺も、同じ願いだ」

二人は笑い合い、抱き合った。

夜が更け、屋敷に戻る頃──二人の絆は、さらに深まっていた。

レグナムの溺愛は、日増しに加速する。

エメロードの心も、復讐の炎と並行して、愛で満ちていく。

援軍が到着し、領地はますます強固に。

甘いデートで、心は癒された。

復讐への準備は、着々と。

しかし、今夜はただ──愛し合う時間。

星空が、二人の未来を祝福しているようだった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

『婚約破棄されたので北の港を発展させたら

ふわふわ
恋愛
王立学園の卒業舞踏会。 公爵令嬢アリアベルは、王太子カルディオンから突然の婚約破棄を告げられる。 「真実の愛を見つけた」 そう言って王太子が選んだのは、涙を流す義妹ヴィオレッタだった。 王都から追い出され、すべてを失った―― はずだった。 アリアベルが向かったのは、王国の北にある小さな港町。 しかし彼女の手腕によって港は急速に発展し、やがて王国最大の交易港へと変わっていく。 一方その頃、王太子と義妹は王都で好き勝手に振る舞っていたが―― やがてすべてが崩れ始める。 王太子は国外追放。 義妹は社交界から追放され修道院送り。 そして気づいた頃には、北の港こそが王国の中心になっていた。 「私はもう誰のものでもありません」 これは、婚約破棄された令嬢が自分の人生を取り戻し、 王国の未来を変えていく物語。 そして―― 彼女の隣には、いつしか新しい王太子の姿があった。 婚約破棄から始まる、逆転ざまぁロマンス。✨

「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした

しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」 十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。 会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。 魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。 ※小説家になろう様にも投稿しています※

婚約破棄されたので頑張るのをやめました 〜昼寝と紅茶だけの公爵令嬢なのに、なぜか全部うまくいきます〜あ

鍛高譚
恋愛
王太子から婚約破棄された衝撃で階段から落ちた公爵令嬢シャル・ド・ネ・アルベール。 目覚めた彼女は、なんと前世の記憶——ブラック企業で働き詰めだったOL・佐伯ゆかりとしての人生を思い出してしまう。 無理して働いた末に過労死した前世の反省から、シャルは決意する。 「もう頑張らない。今度の人生は“好き”と“昼寝”だけで満たしますわ!」 貴族としての特権をフル活用し、ワイン造りやスイーツ作りなど“趣味”の延長でゆるゆる領地改革。 気づけば国王にも称賛され、周囲の評価はうなぎのぼり!? 一方、彼女を見下していた王太子と“真実の愛()”の令嬢は社交界で大炎上。 誰もざまぁされろなんて言ってないのに……勝手に転がり落ちていく元関係者たち。 本人はただ紅茶とスコーンを楽しんでいるだけなのに―― そんな“努力しない系”令嬢が、理想の白い結婚相手と出会い、 甘くてふわふわ、そしてちょっぴり痛快な自由ライフを満喫する ざまぁ(他力本願)×スローライフ×ちょっと恋愛な物語です♪

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ

しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”―― 今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。 そして隣国の国王まで参戦!? 史上最大の婿取り争奪戦が始まる。 リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。 理由はただひとつ。 > 「幼すぎて才能がない」 ――だが、それは歴史に残る大失策となる。 成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。 灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶…… 彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。 その名声を聞きつけ、王家はざわついた。 「セリカに婿を取らせる」 父であるディオール公爵がそう発表した瞬間―― なんと、三人の王子が同時に立候補。 ・冷静沈着な第一王子アコード ・誠実温和な第二王子セドリック ・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック 王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、 王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。 しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。 セリカの名声は国境を越え、 ついには隣国の―― 国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。 「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?  そんな逸材、逃す手はない!」 国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。 当の本人であるセリカはというと―― 「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」 王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。 しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。 これは―― 婚約破棄された天才令嬢が、 王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら 自由奔放に世界を変えてしまう物語。

白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません

鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。 「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」 そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。 ——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。 「最近、おまえが気になるんだ」 「もっと夫婦としての時間を持たないか?」 今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。 愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。 わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。 政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ “白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!

『婚約破棄された公爵令嬢ですが、王国を救ったので新しい王太子に求婚されました

しおしお
恋愛
王立学園の卒業舞踏会。 公爵令嬢ルシエラ・ノクティスは、婚約者である王太子エドガルドから突然の公開婚約破棄を宣言される。 理由は―― 「真実の愛を見つけたから」。 隣には涙を浮かべる令嬢ヴィオレッタ。 ルシエラは“冷酷な悪女”として断罪され、社交界から追い出されてしまう。 だが、その婚約破棄こそが―― 王国を揺るがす大事件の始まりだった。 王家の信用は崩れ、銀行は倒れ、商人は逃げ、王都は混乱に包まれていく。 そんな中、静かに動き始めたのは――追放されたはずのルシエラ。 冷静な知性と圧倒的な手腕で王国の危機を次々と解決していく彼女の姿に、 やがて王国中の人々が気づき始める。 「この国を救っているのは誰なのか」を。 一方、ルシエラを捨てた元王太子と“真実の愛”の令嬢は、 次々と暴かれる罪と崩壊していく地位に追い詰められていき――。 そして彼女の隣に立ったのは、冷静で鋭い眼差しを持つ辺境伯ローデリック。 「君がこの国を救うなら、俺は君の隣に立つ」 婚約破棄から始まる、 王国最大級のざまぁ逆転劇。 追放された公爵令嬢が王国を救い、 転落した王太子の代わりに―― 新しい王太子妃になるまでの物語。

夫に捨てられた私は冷酷公爵と再婚しました

香木陽灯
恋愛
 伯爵夫人のマリアーヌは「夜を共に過ごす気にならない」と突然夫に告げられ、わずか五ヶ月で離縁することとなる。  これまで女癖の悪い夫に何度も不倫されても、役立たずと貶されても、文句ひとつ言わず彼を支えてきた。だがその苦労は報われることはなかった。  実家に帰っても父から不当な扱いを受けるマリアーヌ。気分転換に繰り出した街で倒れていた貴族の男性と出会い、彼を助ける。 「離縁したばかり? それは相手の見る目がなかっただけだ。良かったじゃないか。君はもう自由だ」 「自由……」  もう自由なのだとマリアーヌが気づいた矢先、両親と元夫の策略によって再婚を強いられる。相手は婚約者が逃げ出すことで有名な冷酷公爵だった。  ところが冷酷公爵と会ってみると、以前助けた男性だったのだ。  再婚を受け入れたマリアーヌは、公爵と少しずつ仲良くなっていく。  ところが公爵は王命を受け内密に仕事をしているようで……。  一方の元夫は、財政難に陥っていた。 「頼む、助けてくれ! お前は俺に恩があるだろう?」  元夫の悲痛な叫びに、マリアーヌはにっこりと微笑んだ。 「なぜかしら? 貴方を助ける気になりませんの」 ※ふんわり設定です

処理中です...